姫野四葉は勇者である 作:水甲
最初は勇者の章までやるつもりでしたが、話を考えるのにあたり、勇者の章はやらない方向になりました。
47 先代からの願い
友奈SIDE
私と東郷さんは病室で聞いた四葉ちゃんの残された時間のことを部室で風先輩たちに話した。
「そんな……」
「どういうことよ……あいつが死ぬって……」
「もしかしてこの間の戦いで満開をして……」
「私達が聞いた話では、四葉ちゃんは勇者とは違う特殊な力を持っていて、その特殊な力を無理やり引き出した結果……」
みんなが暗い顔をする中、私はあの時聞こえてきた四葉ちゃんを救う方法を話すことにした。
「実は助かる方法があるの。それはその守り神様の力を安定させる3つの神器があって……四葉ちゃんはその3つの内、2つは持っているの」
「残り一つは、四葉ちゃんのご先祖様の親友に預けているらしいです」
「それなら……四葉さんを助けられるんですね」
「ちょっと待ちなさい。その先祖とかどうとかって話って下手すれば大昔も前の話じゃない」
「下手すれば無くなっている可能性があるわね」
助ける方法はあったけど、3つ目の神器はどこにあるのかわからない。私達はどうすれば……
『みんな……来て』
突然誰かの声が聞こえた瞬間、私達はまばゆい光に包まれた。
ヒメノSIDE
あの子が悲しみに包まれている中、私は一人ある世界を見つめていた。これはちょっと先の未来……境界の勇者と女神の勇者が手を取り合い、呪いに苦しんだ彼女を救うために戦った世界……
私は彼の心の中で優しく微笑んでいた
「ここは……」
「お疲れ様」
「何だか大変なことになったみたいだね」
「えぇ、貴方の方は?」
「私の方は……というより未来を託した子孫は頑張っているよ。彼女の場合は今回みたいに他の世界の勇者たちと一緒にっていうことは出来ないけど……」
「でも信じているから……きっと彼女なら大丈夫って」
「………」
「これから先は大変だけど、私は見守っているから……」
「えぇ、がんばりますよ。姫野」
彼らがいればこんな悲しい運命ならずに済んだのかな?
???SIDE
あのときの光景を思い出した僕。何であいつは笑顔なのに悲しそうにしてたんだよ。
「………全く先輩の卒業式のときの恩を返しておくべきだよな。天の神いるよな」
「全く急に呼び出して、迷惑だと思わないのかな?」
「お前……大体急に来たりして迷惑かけてるよな」
「あはは、何のことかな?こっちでは迷惑をかけてはいないよ。言うなれば彼の世界ではだけど……」
「またいじめてたのかよ……」
「それでそんな話をするために私を呼んだんじゃないよね」
「……あの時の戦いで消えた天神刀と祝水神刀はどこにあるんだ?」
「……もう必要ないのに何に使うつもり?」
「恩返しのために……」
「そう……それだったら今はある世界に新たに作り直されてるけど、あの2つは女神や神の力がなければ完全な形に作り直されることはないわ」
「そのために必要なことは……」
「それは簡単。願ってあげなさい」
「……わかった」
友奈SIDE
気がつくと私達は大橋の近くに来ていた。そして私達の目の前にはベッドに横たわる一人の少女がいた。
「会いたかったよ。わっしー」
少女は東郷さんを見てわっしーと呼んでいた。東郷さんは戸惑いながら、
「私は東郷美森です」
「……美森ちゃんか。いい名前だね。初めまして友奈ちゃん、樹ちゃん、風ちゃん、夏凛ちゃん。ひめちゃんを助けたいんだよね」
彼女は四葉ちゃんのことを知っているの?もしかして……
「あんた、もしかして四葉と一緒に戦った先代の……」
「うん、私は乃木園子。ひめちゃんとは親友で……あなた達と同じ彼女を救いたいって思ってる一人だよ」
「乃木って……ううん、今は関係ないわ。救う方法を知ってるの?そのために私達をここに呼んだのよね」
「救う方法はあなた達が知っていることと同じ……だけど救う鍵は私が持っている」
私は園子ちゃんの首にかけているペンダントに気がついた。あれってもしかして……
「美森ちゃん、これを受け取って」
「は、はい」
東郷さんはペンダントを彼女から取った。そのペンダントには小さな鏡がついていた。
「3つ目の神器……全てが揃った今……あの子を救って……」
園子ちゃんが優しく微笑んだ瞬間、私達の端末からアラームが鳴り響いた。
「これは……」
四葉SIDE
(……この感じ、バーテックス!?)
『四葉、天の神が動き出しました。守り神である貴方が弱った今を狙って人類を滅ぼすために……』
(そっか……それだったら)
私はゆっくりと手を握り、開くといつの間にか回収された端末が握られていた。
(もう寿命がないからかな。神の身に近づいてるからこんな事ができるようになったんだね)
『四葉……』
(これが最後の戦いだね。人類のために……勇者のみんなのために……守り神として頑張るよ)
私は勇者に変身し、樹海へと向かうのであった。