姫野四葉は勇者である 作:水甲
四葉SIDE
私、杏ちゃん、ひなたちゃんの三人はなぜか丸亀城の裏に来ていた。理由は千景ちゃんに呼び出されたからだ。
「千景さん、一体何の用でしょう?」
「まさかと思いますが、この間若葉ちゃんが勘違いしていたことが……」
「いや、千景ちゃんがそういうことするわけ無いでしょ。それにさっき私たちに声をかけた時なんか、顔を赤らめてたし……もしかしたら……」
「こ、告白でしょうか?」
「こ、告白!?」
千景ちゃんって友奈ちゃんのことが好きだと思ってたんだけど、まさか私達のことが好きだなんて……これはどうしたものか……
そんなことを思っていると千景ちゃんがやってきた。ひなたちゃんと杏ちゃんの二人は千景ちゃんを見て、緊張した表情をしていた。
「ごめんなさい。高嶋さんたちに内緒で来てもらって……」
「い、いえ、大丈夫ですが……」
「あの、私達を呼び出したのって、その、やっぱり……」
「えぇ、あなた達ならそれなりに知識があるかと思って……」
私たちはドキドキしながら千景さんの言葉を待った。これ、本当に告白だったらどうしよう
「その………この間実家に戻った時に……告白されたの」
「「「はい?」」」
今、千景ちゃんはなんて言った?告白………告白って……
「あの友奈さんにですか?」
「伊予島さん、どうして高島さんが出てくるのかしら?」
「え、えっとそれは……」
「そ、その千景さん、告白っていつされたんですか?」
「さっきも言ったように実家に帰ったときによ。まぁ、細かく言えばこっちに戻ってくる電車の中で……」
こ、これは私たちに告白するよりも大事件だ。まさか千景ちゃんに彼氏が……でも何でわざわざこんな所に呼び出して、私達だけに伝えるのだろうか?若葉ちゃんたちにも教えてあげたら良いのに……
「でも……告白されたのはいいのだけど……私、返事もしてないし……というよりも恋愛自体どうしたらいいのか……」
「それで私たちに相談ですか……」
「上里さん、伊予島さん、姫野さんはここにいる中で詳しそうだから……」
詳しいって、私は初恋もまだなんだけど……でも千景ちゃんが私達を呼び出したのは分かる気がする。ここに呼ばれてない三人って何だか恋愛とかそういうの疎そうだし……
「あの千景さんが私達を頼ってくれるのは嬉しいのですが……」
「私もひなたさんも、四葉さんも千景さんが思っているように恋愛とか詳しくは…‥…」
「そう……でもそれでもいいわ。私にアドバイスを……」
千景さんは私たちに頭を下げていた。ここまで千景さんがするなんて……これで力になってあげない方がおかしいわね。
「分かった。千景ちゃん、私達、出来る限り手伝うわ」
「姫野さん……」
「そうですね。こういう時でも力を合わせないといけませんもんね」
「伊予島さん」
「私達に任せてください。それに……ちょっと気になることがありますし……」
「上里さん、ありがとう」
私たちは場所を移動し、千景ちゃんから改めて事情を聞くことになった。相手の名前は聞かなかったみたいだけど、どうやら今度の休日にデートをすることになったらしい。本来休日とかは大社から許可をもらわないと出かけることも出来ないのだが、どうにもその許可があっさり認められたりもしている。
「う~ん、まさか……」
「どうかしたの?ひなたちゃん」
「いえ、ちょっと……」
その話を聞いて、ひなたちゃんは何だか気になることがあるみたいだけど……何があったのかな?
千景SIDE
姫野さん、三人にアドバイスを貰らい、私はとうとうデートの日を迎えた。少し集合時間よりちょっと早めに行くともう彼は来ていた。
「またせたかしら?」
「いいえ、そんなに待ってませんよ。僕も来たばっかりですから……」
彼は笑顔でそう告げるが、大体こういうときって私が思っているよりも早く来ているかもしれない
「それじゃ行きましょうか。郡さん」
「えぇ」
私と彼は一緒に歩き出した。それにしてもちょっと気になるのは出かける際、相談した三人の姿がなかったのが気になる……
「こちら四葉。対象二人が動きました」
「あの……一緒に行動してるんですからわざわざ報告しなくてもわかりますよ」
「杏ちゃん、こういうのはノリが大切なのよ。ねぇ、ひなたちゃん」
「え、えぇ、そうですね……でも、まさか本当に彼なんて……」
「知っている方なんですか?」
「杏さんも名前くらいは聞いたことがあるのでは?彼は大社でもかなり力をもっている方で……」
「あっ、対象二人、食事をとるみたい。行きましょう」
「何というか……」
「四葉ちゃん、ノリノリね………」
近くで食事を済ませた私たち。私は彼の他愛のない話を聞いていたけど、どうして彼は私なんか好きになったのだろうか?
やっぱりこういう時は正直に聞いたほうが良いのだろうか?
「あっ、郡さん、ゲームセンターありま……」
「聞いてもいいかしら?」
私は意を決して彼に聞くことにした。何で私のことが好きなのか……
「何ですか?」
「どうして私なんか好きになったの?」
「好きになった理由ですか?」
正直恋愛というのはよく分からない……そういう事を教えてくれるはずの両親は……全く教えてくれず、ただ悪い手本のみだけだった。
だからこそ私は彼にこんなことを聞いたのだろうか?彼は少し恥ずかしそうにしながら、私に微笑んだ。
「一目惚れでしょうか?」
「一目惚れ?」
「はい、それにあなたと会うのは今回で二回目ではなく三回目だったりします」
私は彼と前にもあっているというの?思い出そうとするが全く思い出せなかった。
「思い出さなくてもいいですよ。ただ今日はこうして一緒に出かけることが出来ただけで十分ですから……」
彼はそう言って立ち去ろうとしていた。私は咄嗟に彼の腕を掴んだ
「ま、待って……」
「郡さん?」
「私は恋愛っていうのはよく分からない。見本になるはずの両親が……あれだったり……」
私がずっと悩んでいた。彼のことが好きになった時、私は本当に彼と幸せな日常を歩めるのかどうか……
「貴方は私が好きでかまわないわ。でも、私は貴方のことを幸せにするなんて無理かもしれない。もしかしたら貴方を傷つけるかも……」
突然、彼は私のことをそっと抱きしめてきた。こう言う時、拒否するべきなのだけど、私はそれができなかった。
「千景さん……大丈夫です。千景さんが僕を幸せにしなくても……僕が貴方のことを幸せにします。それに………千景さんが僕のことを傷つけたとしても僕は全然気にしませんから……」
「……なにそれ……」
私は彼から離れた。そして彼のことを見つめた。
「気にしないって……あなた、変わってるわね」
「よく言われます」
「………なるべく貴方のことが好きになれるように努力はするわ」
私はそう言って、帰るのであった。そういえば彼の名前、また聞きそびれた……
四葉SIDE
千景ちゃんが去った後、ひなたちゃんが何故か例の彼に近寄り、声をかけていた。
「…………」
「よかったですね。好感触で」
「上里さんか。それに勇者も二人……尾行してたのか?」
「千景さんのことが気になったというよりも貴方のことが気になったので」
「僕のことがね………」
彼はそう言って、ため息を付いた。というかこの人、ひなたちゃんと親しいみたいだけど、大社関係者なのかな?
「それでちょっと聞きたいのですが、千景さんと一度会ったことがあるというのは……」
「彼女は覚えてないだろうけど、昔ね……まぁ郡さんには思い出してもらわなくても良いことだけどね」
彼はそう言いながら、笑顔で去っていくのであった。というか本当にあの人は何者だろうか?
「ねぇ、ひなたちゃん、あの人、親しいみたいだけど大社関係者なの?」
「えぇ、あの人は神宮蛍。大社の中ではかなりの重役の家系なのですが……」
そんな人が千景ちゃんをね………何だか今後どうなるか気になるな……
神宮桔梗の先祖の登場でした。千景生存のための重要なキャラですが……次回は杏&珠子の話になります