姫野四葉は勇者である 作:水甲
私は勾玉をじっと見つめていた。本当にこの勾玉は何なんだろうか?ただの土産のはずなのに何でバーテックスと戦える力があるのだろうか?
いつもそんな事を考えるけど、全く答えが出てこなかった。
「あの四葉さん?」
「ん?どうしたの杏ちゃんに球子ちゃん」
「杏が四葉のことを心配してるんだよな。勾玉じっと見つめて……」
「たまっち先輩、言わなくていいのに……」
何だか心配かけられちゃって、ちょっと申し訳ない。私は勾玉を机の上に置き、二人に話した。
「この勾玉が本当に何なんだろうかなって思ってね……」
「タマたちが使ってる武器みたいに逸話とかないんだろ」
「そうなんだよね。ただのお土産だし……」
「………もしかして……でもまさか……」
杏ちゃんは何か思い当たることがあったみたいだ。それとも何か気がついたのかな?
「杏ちゃん、何か分かったの?」
「えっ、いえ、ただ……四葉さんが使っているのは八尺瓊勾玉だったりしないかなって……」
「八尺瓊勾玉?」
それって確か三種の神器って奴じゃなかったっけ?
「四葉さんが使ってる武器が勾玉ですから、もしかしてって思ったんですけど……」
「いやいや、四葉も言ってたろ。ただのお土産にそんな逸話あるわけないって」
「そう……だね。ごめんなさい四葉さん」
「ううん、大丈夫だよ。でもちょっとした手がかりもらえたからいいかもしれない」
まさかお土産が八尺瓊勾玉に変わったって言うわけないよね。
ひなたSIDE
私は大社に呼び出され、ある書類を見つめていた。そこには四葉さんのことが書かれていた。
「特別彼女には変わった経歴はないみたい……でも」
若葉ちゃんたちから聞いた武器の形状が変わったこと……そしてその時四葉ちゃんが友奈さんの切り札を使用を止めようとしたこと……一体彼女に何が起きているの?
「四葉さんの精霊は鬼神…………精霊の影響だったらと思ったけど、特に関係がないみたい」
調べても特に得られた情報はなく、私は丸亀城へ帰ろうとした時だった。一枚の書類が目に入った。
「これは……姫野家の……」
私はその記事を読んだ瞬間、ただ驚きを隠せないでいた。四葉さんは巫女や勇者ではなく………
四葉SIDE
三回目の戦い。奥の方には大量のバーテックスの他に一体だけものすごいスピードでこっちに向かってくる進化体の姿が確認できた。
「何だか今までのより人型に近いわね」
「それに小型だよ」
「小回りもきいて機動力もある。見た目と違って厄介な敵だ」
私、友奈ちゃん、若葉ちゃんの三人が身構えると球子ちゃんが不敵な笑みを浮かべていた。
「ふふふふ、ここはタマに任せタマえ!!バーテックスに知性があるらしいし、おまけに今回は割と人型に近い。それだったら……」
球子ちゃんはあるものを進化体の進行方向に投げつけた。それは最高級手打ちうどんだった。もしかするとバーテックスもうどんを好むかもしれない。それだったらバーテックスのことを知れるかも……
だけど進化体はうどんに見向きもせず、ただ走り去っていった。まさか……うどんをここまで愚弄するなんて……
「許せないね」
「あぁ、結局奴らとは分かり合えない」
私と球子ちゃんの二人は同時に進化体に攻撃をするが、かわされ、進化体の鋭い蹴りを喰らってしまった。
「つぅ、球子ちゃん!!」
「だ……いじょうぶだけど……腕が……」
腕を負傷した球子ちゃん。敵もここまでやるなんて……どうしたものかと思っていると杏ちゃんが駆けつけてきた。
「タマっち先輩、四葉さん」
「杏、これぐらい大丈夫だ。杏は下がって……」
「ううん、一緒に倒そう。四葉さん、敵の動きに制限をかけられますか?」
「制限?とりあえずやってみる」
私は勾玉で敵の進行方向を遮ると同時に、敵は方向展開をした。その瞬間、球子ちゃんの旋刃盤が投げつけられたけど、このままだと外れる。だけどその瞬間、一本の矢が旋刃盤の軌道を変え、進化体に命中し、撃退した。
「杏……すごいじゃないか」
「タマっち先輩のおかげだよ。それに四葉さんが……」
「いやいや、杏ちゃんの作戦勝ちでしょ。さて残りを一気に倒しましょうか」
私達三人は残ったバーテックスを倒しに向かうのであった。
無事に敵を倒し終え、みんなで食事を楽しむ中、私はひなたちゃんに呼び出されていた。
「どうかしたの?」
「四葉さん………お聞きしたいのですが、貴方のお家は神事や何かに関係したものですか?」
「ううん、普通の家だよ。何で……」
何でいきなりそんなことを聞くのかと思っていると、ひなたちゃんは真剣な表情であることを告げた。
「姫野四葉……貴方は勇者や巫女ではなく、神に近い存在なんです」
神に近い存在……意味がわからなかった。特別な家系というわけじゃないのに何で私がそんな存在に?
「姫野家にはあるしきたりがあったんです。それはその時代に生まれた子に神を宿すというもの……」
「ちょっと待って、私はそんな……神様だとかそんなわけないじゃない。私はただの人間……姫野四葉だよ」
私の訴えを聞いて、ひなたちゃんは首を横に振った。
「貴方に宿った神……それは触れたものを特別なものへ変えてしまう力があります。その力であなたはあの日……その勾玉を武器へと変えた」
それじゃ……この勾玉は……
「武器の形状が変わったのは、その力の影響でしょうか……」
「………そんな……そんなわけないよ!?私は………」
私はひなたちゃんの言葉を信じられず、その場から逃げ出すのであった。私がそんな特殊な人間なわけ……ないのに……