姫野四葉は勇者である 作:水甲
私はただただ走っていく。私が普通の人間じゃないから?その身に神を宿した存在だと聞かされたから?
違う、ただショックだったからだ。
「私が……神を宿す存在……それだったら何で……」
何であの日、あの時私はお母さんをお父さんを救うことができなかったんだろうか?特殊な力があるのに、どうして……
誰かに問いかけるが、誰も答えてくれなかった。私は……
「どうすればいいの………」
若葉SIDE
四葉とひなたの様子が気になり、少しだけ様子を見に行くと何故かひなたが立ち尽くしていた。
「どうしたんだ。ひなた?」
「若葉ちゃん……私……」
ひなたは涙を流しながら、私に抱きついてきた。本当に何があったというのだ?
「私……四葉さんを傷つけた……だから……」
「一体何があったんだ!?四葉は……」
私は泣きじゃくるひなたを落ち着かせようとしていると、そこに友奈たちもやってきた。
「若葉ちゃんが……ひなたちゃんを……」
「………痴情のもつれってやつかしら?」
「何だ?喧嘩か?」
「若葉さん、何があったのかわかりませんが、謝ったほうが……」
「ち、ちがう。話を聞いてくれ」
私は皆に誤解を解いていると落ち着きを取り戻したひなたに何があったのか聞いた。それは四葉のことだった。
「四葉が………神を宿した人間だって……」
「はい、姫野家の書物にそう書かれていました」
「それでショック受けて……」
「四葉さん………」
あいつからしてみればショックだったのだろうな。今まで普通に暮らしていたのに、今更普通の人間じゃないって言われて……
すると友奈は何故か落ち着いた顔をしていた。
「大丈夫だよ」
「友奈……」
「私は四葉ちゃんが何だって、今までと同じ仲間で友達だもん」
「そうね……高嶋さんの言うとおりね」
「そうだな。あいつが神様だって私達の仲間に変わりないんだからな」
「うん、それだけは変えちゃ駄目だよね」
みんなの言うとおりだ。四葉が何だって私達の仲間に変わりない。それだったら私達がするべきことは……アイツを探すことだ
「探しに行こう。そして四葉に私達の思いを伝えよう」
皆で四葉を探そうとした瞬間、突然端末からアラームが鳴り響いた。こんな時に敵が……
四葉SIDE
私は樹海に来ていた。遠くの方でみんなが戦ってる。私も戦わないといけないのに………
「どうすれば……」
何故か戦う意志が持てなかった。神を宿しているのに救えなかった私が……勇者になっても……
『そんなことありませんよ』
突然誰かの声が聞こえ、辺りを探すが誰もいなかった。するとまた声が聞こえてきた。
『誰も救えないってことはないですよ』
「誰?」
『私は貴方に宿る神……ヒメノです』
「ヒメノ……」
『貴方は確かにあの日、両親を救えなかった。だけどそれは私のせいでもあります』
神様のせいって……あの時、私がこの力のことを知っていれば……
『私には天の神々からすべての人類を守る力はありませんでした。ただ貴方を守るだけの神様………でも貴方だけは違う』
突然私のポケットから勾玉が飛び出し、赤い光が灯った。これって……
『貴方はこれから先、勇者として………生き残った人を……今あそこで戦ってる仲間を守る力があります。違いますか……』
守る力……そうだよね。昔の私だったら怖くて逃げ出していたかもしれないけど、今の私は……みんなを守る力がある
「………ありがとう。神様……私、頑張るよ」
ゆっくりと歩き出し、みんなの所へと向かった。そうだ、過去のことを気にしていたら駄目だ。今するべきことは……みんなと一緒に……
「力を貸してね。切り札発動!!」
変身すると同時に切り札を発動させた私、黒い神秘的な衣装に変わり、体中に勾玉が巻きつかれ、両手には弓と剣を持った姿……これが鬼神リョウメンスクナ。
飛び上がると同時に持っている武器を全部使って、みんなを取り囲んでいるバーテックスを撃退した。
「四葉……」
「お待たせ。若葉ちゃん……」
「四葉ちゃん、あのね、私達……」
友奈ちゃんが何か言いかけたけど、私はそれを遮るように襲ってきた敵を切り裂いた。
「大丈夫だよ。みんなの事わかってる。私がどんな存在でも、きっと皆が受け入れてくれるって………」
バーテックスが一箇所に集まり、進化しようとしていた。私は体に巻き付いた勾玉を全部引きちぎり、バーテックス目掛けて発射し、命中したと同時に爆発した。
「私は勇者として………ううん、みんなの守り神として戦う……それが私だよ。友奈ちゃん」
「………うん、そうだね」
「四葉……行こう」
私たちは一気に駆け出すのであった。
戦いが終わり、宿舎に戻るとひなたちゃんが私のところへ駆け寄り……
「ごめんなさい。私……」
「ううん、気にしないで……ありがとうね。私の事調べてくれて……」
「でも……」
「それに逃げちゃったのは、自分が情けないからで……謝るのは私の方だよ。ごめんね」
私がそう告げた瞬間、ひなたちゃんは私に抱きついてきた。どうすればいいのか困ったけど、ひなたちゃんはすぐに笑顔で……
「これからも一緒に……」
「うん、戦うよ。勇者として、守り神として」
こうして私はわたしのことを知り、皆を守ることを誓うのであった。だけど……私の力ってどうすれば発動できるのだろう?