はははっは…。乾いた笑いしかでねぇよ。
なぜか寝起きでハンドガンを手に入れてしまった俺はベッドの上でものすごく悩んでいた。
朝食を食べるか否かを。
いやだってね、こんなに早起きしたの久々だから朝食を取るタイミングが分からないんですよはい。休みの日だし、家族は誰も起きてないだろう。母がまだ寝ているためにまとも朝ご飯の期待はできないから、食べられるとすればバナナか目玉焼き程度だ。さすがの俺でも目玉焼きはできるわ。
ハンドガンのことは考えても分からないし、考えれば考えるほどストレスが溜まるのでいっそのこと考えないことにした。(人はそれを現実逃避と呼ぶ)だけど部屋にほっぽって、家族にバレたら困る(というレベルではないが)ので持ち歩くことにしよう。そんで後で隠し場所を探そう。
既にハンドガンには俺の指紋がべっとりとついているはずなので、それを拭き取ることも考えなくてはならない。だが皮膚片とか体液も付いてるはずだからどうやって処理しようか。いっそバラすか…?いや、素人が銃の解体なんて危険だ。大学に行くようになって暇ができたらそういうことを勉強してみるのもいいのかもしれない。
俺はウェストポーチに銃(と財布と携帯)を入れると、それを腰に巻き付けた。とりあえず誰も起きてないうちに朝食をかっぱらって作戦会議だ。まずは解体とか現時点で無理だから、とりま半永久的に見つからないような銃の遺棄場所を探さなくてはならない。
家の中でそんな場所あるのか…?…ない気がする。
最低でも父に見つからない場所であればいいがそんな場所なんてうちにあるのか?
母や妹なんかはモデルガンとか言えばバレなさそうだが、父は違う。
実は俺の父はなんともまずいことに警察官なのだ。モノホンの銃とバレたら俺が殺られるわ。勘当されちゃう。ちなみに父の趣味は掃除なので下手に家に隠すと見つかります。
なんてついてないんだ。ネトゲではLUK値高いのにね。現実ではそうはいかないってか、夢見させろよコノヤロウ。
さて、部屋から出るとするかねー。と、取手に手をかける。
そんで勢いよくドアを開けて、
「キシェェェェェッ」
「……」
パタンとまた閉めた。
…………なんだ、あれ。
今扉の向こうになんか百足ぽいような、それでいて蜘蛛っぽいようなものがいた気が……。しかもサイズがおかしかった気がするんだが……?
え?見間違いか?まだ俺、寝惚けてるのか?でもハンドガンのせいで眠気がぶっ飛んでいるのだから違うと思う……。
………。
ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ。何がヤバイって、奴だよ奴!
百足蜘蛛もどき!なんかデカイ!俺くらいある虫が叫んでた!無理無理無理!虫無理!なんなんだよあれ!
いつから家は動物園になったんだ…。
いや、虫だから動物園ではないか。
とりあえずドアの向こうにある廊下には、気色の悪い虫がいる。俺の部屋から階段に通じるのはこの廊下だけなので、下に降りるには奴をどうにかしなくちゃいけないということになる。え?やばくね?あの突然変異した虫を相手にとか無理くね?ちなみに部屋に籠るという選択肢は無しだ。いつ襲われるかわからない状況で1人でこもるとかないわ。
俺は訳のわからないこの状況での焦りからか汗ばむ手をTシャツの裾で拭こうとして、
「あ…」
ウェストポーチに入っているハンドガンの存在に気付いた。
俺の部屋にあの虫に対抗できるような武器はない。バッドならあるけど、あきらかに殴り殺せるサイズではなかった。むしろ近づけないから接近戦無理。なんかネトネトしてたし。というか戦うのもそもそも無理だ。
でもやるしかない。
……、これはまさか。
「使うしかないのか?」