ハリー・ポッターとアンブラの魔女   作:サーフ

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今回も日常回です。

まだホグワーツは安全です。


クリスマス

 12月になり、周囲に雪が積もり始める。

 

ハリー達はハグリッドから聞いたニコラス・フラメルについて、ずっと調べているようだ。

 

賢者の石について教えてやってもいいのだが、どこで知ったのかと聞かれると面倒なのでここは黙っておくことにする。

 

談話室は彼らが占拠していたので、私は大広間へ向かい、ちょっと遅めの朝食をとることにした。

 

「やぁセレッサ、君も朝食かい?」

 

いつもの取り巻きを連れたマルフォイが私に声をかけてきた。

取り巻き達は、グリフィンドール生である私を見て、少し不機嫌そうだった。

 

「えぇ、そうよ。貴方もよかったらどうかしら」

 

「さっき食べたばっかりさ、ところで君クリスマスはどうするんだい?よかったらうちに来ないか?パーティーを開くんだ」

 

「それは魅力的ね、でもクリスマスは別のパーティーに呼ばれているのよ」

 

「そいつは残念だ、それじゃあまた休み明けに会おう」

 

「えぇ、そうしましょう」

 

 

 私はクリスマス休暇が始まっても相変わらず城の中にいた。

ホグワーツ特急で帰らずとも、帰ろうと思えばいつでも帰れるのだから乗る必要はないだろうというわけで、私は寮に残っている。

 

自室に入り生徒が居なくなったのを確認してから、杖を取り出しいつもの様に「The Gates of Hell」へと戻っていった。

 

 

「よぉ、帰ってきたか、相変わらず今のお前の姿は見慣れないぜ」

 

「えぇ、エンツォ、あなたは相変わらずね」

 

そう言ってすぐに元の姿に戻る。

 

「それにしても、クリスマスには休暇を与えるなんて、随分と、まぁ、生徒思いな学校だな」

 

エンツォは相変わらず笑いながら酒を煽っていた。

 

「そうなのよ。それよりエンツォ、私これから買い物に行こうと思っているの。だから行くわよ」

 

「ちょっと待てよ!なんで俺がお前の買い物に付き合わなきゃならないんだ?俺はこれから、ガキ達のプレゼントを買いに行かなきゃならないんだ」

 

「あら、好都合じゃない」

 

エンツォの首元を掴み、無理やり店の外へと連れだしていった。

 

「ふざけるなよぉおお!ロダン!なんとかしてくれぇ!」

 

ロダンは何も見ていないという様子で、いつもの様に葉巻をふかしていた。

 

クリスマスの朝。

ホグワーツに戻ると部屋の一角にプレゼントの箱が積まれていた。

私はその箱の中から一つを手に取る。これはハーマイオニーからのようだ。

 

包みを開けて中を見ると、羊皮紙とペンのセットだ。勉強熱心な彼女らしいプレゼントだ。

他にもハリーからは眼鏡のメンテナンスセット。これはありがたい。

ロンからは訳の解らない変な人形のようなものが送り付けられていた。

それらを、自室に飾り付けてから、大広間へ行き朝食をとった。

 

 

 

 クリスマス休暇はあっという間に過ぎてしまい、その日から授業が再開した。

 

学校が始まってからというものハリー達はニコラス・フラメルについて調べて回っているようだ。

 

どうやら、一向に進展が見られないようだ。しかしここまで進展がないというのも少し可哀想なものだと思っているとロンの大声が響いた。

 

「見つけたよ!これだ!」

 

その手には一枚のカードが握られていた。あれは確か、チョコレートのオマケでついてくるカードだ。

そのカートを天高く振り上げてハリー達に見せつけていた。

 

「これだよ!このダンブルドアのカードの説明文に書かれているんだ」

 

「本当だわ、そんなオマケで見つけるなんて少し複雑だけどまぁいいわ、なんて書いてあるのかしら?」

 

「このカードによると、ダンブルドアと共同で賢者の石を作ったって書いてあるよ…賢者の石ってなんだ?」

 

ロンとハリーはお互いに顔を見合わせ不思議そうに首をかしげていた。

そんな二人を見てハーマイオニーは呆れながら一冊の本を取り出した。

 

「あなた達、本を読んだことないのかしら?ここに書いてあるわ」

 

そしてある1ページを開いて指さした。

 

「賢者の石、それは黄金を作り出し、命の水を作り出す石と書いてあるわ」

 

「命の水?それは何だい?」

 

「はぁ…」

 

ハーマイオニーは再び深いため息をついた。

 

「命の水、簡単に言えば不老不死になる水よ」

 

私がそう言うとハリーとロンは驚いたような顔をした。

 

「なんだって!そんな石スネイプが狙うのも納得だよ!僕だってほしいくらいだ!」

 

「ロン…貴方って人は…」

 

「なんだよ!ハリーだって欲しいよな?」

 

「そ…そうだね、実際目の前にあったら欲しいって思っちゃうかも…」

 

「ハリー…貴方までそんなこと言うのね」

 

「だ…だって考えてもみなよ、永遠の命だよ。ハーマイオニー、君だってほしいとは思わないかい?」

 

「まぁ…そう言われれば、そうだけど…」

 

「ほら、君だってそうじゃないか!ベヨネッタ、君もそうだろ?」

 

ロンは期待を込めた目線でこちらを見てくる。

 

そんなに私の回答が気になるのだろうか?

 

「私はそんなものに興味はないわね。人は死ぬモノだし、そんな石の力に(すが)って生きるのなんて惨めだと思わないかしら?」

 

「でも、永遠に生きられるんだぜ、魅力的じゃないか?」

 

「そういった魅力に取りつかれた者の殆どが、悲惨な結末を迎えているわ。その石を使ったからノーリスクというわけでも無いんじゃないかしら?」

 

「そういうものなのかな?僕にはよくわからないよ」

 

ハーマイオニーは永遠の命について深い思考をはじめ、

ロンとハリーはもはや考えることを放棄してただ本を眺めていた。

 

 

 

 

 

 数日が経ったある日。

今日はクィディッチの試合があるようで授業はすべて中断となった。

 

今回の審判はスネイプが担当するようで、ロンとハーマイオニーは今回の試合に出ることに反対していた。

まぁ、スネイプが犯人であると考えているようなので、反対するのもわからなくもなかった。

 

しかしハリーはそんな二人を説得して試合に出場する様だ。

 

試合結果はとても呆気ないものだった。

開始10分もせずにハリーがスニッチを掴み試合を勝利という形で締めくくったのだ。

 

 

 

談話室でハーマイオニー達と共にハリーを待っていると、神妙な面持ちのハリーが入ってきた。

緊急の要件があるようで、私達は誰も居ない空き教室に連れてこられた。

 

「やっぱり、スネイプは石を狙っているんだよ!スネイプがクィレル先生を脅しているのを見たんだ!」

 

「クィレル?確かあのターバンを巻いた男だったかしら?」

 

「貴女…先生の名前と顔ぐらい覚えておきなさいよ…」

 

「あまりにも印象が薄いのがいけないのよ。それに私の趣味じゃないわ」

 

「話を戻していいかい…スネイプはフラッフィーをどうすれば出し抜けるか聞き出していたんだ、それにクィレル先生に不審な動きをするなって脅していたんだ」

 

「でも、何でスネイプがクィレル先生を脅す必要があるのかしら?」

 

「詳しくは分からないけど、クィレル先生が石を守っていると考えると納得が行くと思うんだ。だってクィレル先生って闇の魔術の防衛術の先生だから…」

 

それを聞いてハーマイオニーは安心したように無い胸を撫でおろした。

 

「それなら、クィレル先生がいる限り石は安全って事ね」

 

それを聞いてロンが「だといいんだけどね…」と小声でつぶやいた。

 

「話は変わるんだけど、さっきハグリッドが見せたいものがあるから、今夜、小屋に来てくれって言っていたんだけど、皆行くよね?」

 

「もちろん行くよ!」

 

ロンが楽しげに答えたが、ハーマイオニーはいきなり反論で答えた。

 

「そんなのダメよ、夜間外出が校則違反なのは知っているでしょう!全くハグリッドは何を考えているのかしら?」

 

「そんなのバレなきゃ問題ないんだよ!ベヨネッタ、君はどうするんだい?」

 

「折角のお誘いだけど、今回は先約があるからお断りしておくわ」

 

「そうかよ、つまらない奴だな、行こうぜハリー」

 

そう言ってロンとハリーが談話室から出ていった。

 

「もう!信じられないわ!私あの二人を連れ戻してくるわ!」

 

お節介焼のハーマイオニーがそう言うと後を追いかけるように扉を開けて出ていった。

 

そんな彼らを見送ってから、私は杖を取り出し、いつもの様に日課を済ませに向かった。

 

日課を終わらせて部屋に戻ると案の定ハーマイオニーはまだ帰ってきていなかった。

 

 

 

 

 翌日、帰ってきたハーマイオニー達に話を聞くと、どうやらハグリッドはドラゴンの卵を持っており、それが先日孵ったというのだ。

どうも微笑ましい話だと思ったが、どうやら問題が山積みなようで、まず初めにドラゴンを飼うことは法律で禁止されているという事だ。

ハグリッドはアレでも教員なのだが…何を考えているのだろう…

 

次の問題はこれから先、どんどんと成長していき、隠し通すのが出来なくなるという事だ。

そんな時、近くで会話を聞いていたネビルが話に入ってきた。

 

「すごいね…ドラゴンを飼っているなんて…僕も見てみたいよ!」

 

「今日もロンと僕で見に行くんだ、良かったらネビルもどう?」

 

「え?いいの?」

 

「もちろんだよ」

 

「ありがとう、でもどうしてハグリッドはドラゴンを飼っているの?」

 

「何でも、お酒を飲んでいるときに卵を貰ったらしいよ」

 

「そうなんだ、いいなぁ僕もドラゴン育ててみたいな…」

 

ネビルはとても嬉しそうに、その場でハリー達とドラゴンについて話し合っていた。

 

 

 

 

 数日が経った頃グリフィンドールの点が一気に150点も減点さた。余談だが、スリザリンの点も50点ほど引かれていたようだ。

 

 一体何があったのかというと、ドラゴンに会いに行くために夜抜け出しているところをマクゴナガルに見つかった、ハリー、ロン、ネビル、そして密告するために報告をしに行ったマルフォイの4人が一人につき50点の減点をくらい、その上、罰則で夜中に森を見回らなければならないという話だ。

 

その夜、私とハーマイオニーは談話室の暖炉の前で、罰則を終えて戻ってくる彼らを待つことにした。

私はブローチの時計を確認する。そろそろ罰則が終わって帰ってくる頃だろう。

 

そう思っていると勢いよく談話室の扉が開かれハリーが飛び込んできた。

 

「奴だ!奴が生きていたんだ!」

 

「ちょっとハリー!落ち着いてよ!なにがあったの?」

 

「あぁ、ハーマイオニー、君にも聞いて欲しい…ベヨネッタ、君にもだ」

 

ハリーは数回深呼吸をしてから先程の出来事を話し始めた。

要約すると、罰則で禁じられた森のパトロールをやっている時に何者かに襲われたところを、ケンタウロスに助けられた。

襲撃者はユニコーンの血を啜りながら、生に(すが)り付いているヴォルデモートであったという事だった。

 

「これで全部が分かったよ!スネイプはヴォルデモートの手下、死喰い人の残党で、石を使ってヴォルデモートを復活させようとしてるんだ!」

 

「その名前を出すなよ!」

ヴォルデモートの名を聞いてからロンは両手で耳を押さえながら怯えていた。

 

「でも!アイツは生きていたんだ!アイツは僕を殺そうとしたんだよ!予言がそう言っているらしいんだ!」

 

「ハリー!落ち着いてよ!ロンも落ち着いて!」

 

大声で声を上げ肩で息をしながらハーマイオニーは二人に詰め寄る。

 

「この学校にはダンブルドア先生がいるのよ、それに先生が石を守るために色々な事をやっているはずだわ。だから学校にいる限りハリーは安全なのよ」

 

「うん…そうだよね」

 

不安を押し殺して納得したようにハリーは何度か頷いていた。その後ろではロンが眠そうに目を擦りながら欠伸をかみ殺していた。

やがて3人も疲れが出たようで各々が自分の寝室へと戻るように解散した。

そんな彼らを見ながら私は、どこか言い知れぬ不安を感じていたのだった。

 




いかがでしたでしょうか。
平和な日々はここで終わります。

次回からは賢者の石編もクライマックスに突入します。

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