ハリー・ポッターとアンブラの魔女   作:サーフ

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今回、少し残酷な描写がございます。



隠し扉

数日後に学期末テストが始まった。

 

一応、授業の内容は把握しており、実技に関しても魔力でゴリ押しする事も出来るので、問題はなかった。

 

 呪文学ではパイナップルをテーブルの端から端までタップダンスをさせるという奇怪な内容だった。

 

私はいつもの様に杖に魔力を込めると、パイナップルは最初のうちはキレの良いタップダンスをしていたが、次第に動きが派手になり、ブレイクダンスをはじめ、端に着くころには近くに有った釘をテーブルに突き刺し、ポールダンスを踊り始めた。

見事にフィニッシュを決めると、どこからともなくクラッカーと紙テープが降り注いだ。

無事に踊り終えたパイナップルは充実感を得たように体を横たえ役目を終えた。

 

 

 変身術のテストはネズミを嗅ぎ煙草入れに変身させるものだった。

私が作り上げた箱は、スカイブルーを基調とし、様々な宝石を散りばめ、細部には金細工の装飾品をあしらわせてある。

 

 

その他にも様々なテストがあったが、私はすべて平均以上の出来で無事幕を下ろした。

 

 テストがようやく終わり、それを祝福するように豪勢な夕食を堪能した後、私は一人談話室でくつろいでいると、いつもの様にハリー達が扉を勢い良く開けて入ってきた。やはり彼等はドアの開け方を知らないらしい。

 

「大変だよ!!」

 

「テストが終わったばっかりよ、一体何があったのかしら?」

 

「さっき皆で話をしていて気が付いたんだ、ハグリッドがドラゴンを欲しがっているところに卵を持った奴が現れるなんて都合がよすぎるって」

 

「それで私達、ハグリッドに聞いてみたの、卵を持ってきたのはどんな人かって」

 

「ハグリッドの奴、顔は覚えてないって言うんだ、それにそいつにフラッフィーを手懐ける方法を教えちゃったんだ!」

 

「校長先生に伝えようとしたけど、魔法省から呼び出されて居ないらしいの!」

 

「こうなったら、僕たちで石を守らなきゃいけないんだ…」

 

一息吐いてから言葉を続けた。

 

「僕…今夜抜け出して石を守りに行くよ」

 

「ハリー!正気かよ!」

 

「そうよ、もしバレたら退学になっちゃうわ!」

 

「でもこのままじゃスネイプが石を手に入れちゃうよ!そうなったらヴォルデモートが復活するんだ!そうなったら減点や退学なんて問題じゃない!僕は行くよ!君達が何を言っても行く!」

 

完全に熱くなってハリーは力説する。

なかなか勇ましいものだ。

 

「そうね…その通りだわ!」

 

「ハーマイオニー!!君まで何を言い出すんだ!」

 

「だってそうじゃない!このままじゃ…」

 

そこまで言うとハーマイオニーは急に泣き出してしまった。

それも仕方ないだろう…私はそっと彼女の頭をなでてやるとそのまま胸に泣きついてきた。

 

「ロン…君も来てくれるかい?」

 

「あぁ…あぁ、わかったよ!僕も行くよ」

 

「ありがとう…ベヨネッタ…君も来てくれると助かる」

 

「えぇ、楽しそうだし付いて行ってあげるわ。ところでどうやって抜け出すのかしら?」

 

「うん、これを使おうと思う」

 

そう言うとハリーは一枚のマントを取り出しそれを頭から被る。すると被った場所からハリーの姿が消えていった。

 

なるほど、視認妨害の効果のあるマントのようだ。よく見ると魔力が漏れ出ているので、完全には遮断できていないようだが、目を誤魔化す分には十分だろう。

 

「これなら足音にさえ気を付ければバレないと思うんだ。だから…」

 

「君たち、何をしてるの?」

 

振り返るとそこには、部屋の扉から半身を出した、パジャマ姿でトレバーを抱えたネビルがいた。

 

「なんでもないよ、それよりまたトレバーが逃げ出したのか?」

 

「誤魔化さないでよ、また抜け出すんだろ」

 

ネビルはトレバーを強く抱きしめながら、こちらを睨みつける。

 

「見つかったらグリフィンドールの減点になっちゃう…行かせないぞ!僕…僕は君たちを行かせないよ!」

 

ネビルはトレバーを手放すと拳を握りしめてファイティングポーズをとった。

 

「ネビル…本当にごめんなさい…ペトリフィカス・トタルス【石になれ】」

 

ハーマイオニーの魔法が当たるとネビルは目を見開いたまま倒れてしまった。

 

「ハーマイオニー!」

 

「大丈夫よ、金縛りの呪文をかけただけだわ」

 

「君って案外容赦ないよね」

 

「ごめんよ、ネビル…今は急いでいるんだ」

 

ハリーがそう言うと4人でマントに入り窮屈な中を目的地まで向かっていく。

 

 

 

 運の良い事にそれほど大きな障害などは無く、無事に目的地の扉の前までやってくることができた。

 

「ここだわ…」

 

「この扉の向こうにフラッフィーが居るはずだ…スネイプが眠らせて入ったと考えるとまだ安全なはずだけど…」

 

「よし!行こう」

 

「えぇ」

 

扉を開けると、ハープの音色が鳴り響き。目の前に居る3頭犬が気持ちよさそうに寝息を立てていた。

 

「眠っているようだね…」

 

「そうだね、あれ、足元…」

 

ハリー達は小声で隠し扉を指差した。

 

「ここから入れそうね、行きましょう」

 

「あぁ」

 

隠し扉に近付いたとたん、ハープの演奏が止まってしまった。その瞬間三頭犬はトチ狂ったように唸り声をあげこちらを睨む。

 

「どうしよう…ハリー!どうするんだよ!」

 

「何とか隙を見て中に入るんだ!」

 

「そんなこと言ったって!」

 

3人がパニックを起こし大声で言い争っていると、3頭犬が私達目掛けて飛びかかって来る。

 

「「「うあぁあああああ!」」」

 

 

悲鳴を上げ抱き合っている3人の前に身を乗り出し、右手に魔力を込める。

 

「ベヨネッタ!」

 

ハリーが叫び声をあげる。それに呼応するように、3頭犬が眼前に迫ってくる。

 

「 吹っ飛べ! 」

 

右手を勢いよく突き出す。

するとマダム・バタフライの右手が現れ、私の動きに合わせる様に拳を突き出し、3頭犬の顔をまとめて殴りつけた。

殴られた三頭犬は悲鳴を上げながら部屋の奥の壁に激突し、パラパラと破片が落ちる音と、土煙が部屋を満たした。

 

「ベヨネッタ…助かったよ…」

 

 

3人は安堵の表情を浮かべた。

 

 

「ぐぅぅるあううがああああああ!」

 

吹き飛ばされた三頭犬は大声を上げ瓦礫を吹き飛ばすように立ち上がると、体の所々に血を流しながらも私を睨みつけてくる。

 

「あら、まだ元気そうじゃない」

 

「ヤバイ!早く行こう!」

 

ハリーが提案するが私はそれを拒否した。

 

「私はもう少し遊んでいくわ、貴方達は先に行って頂戴」

 

「でも危険だよ!」

 

「私はまだ踊り足りないのよ、ダンスはまだ始まったばっかりだわ」

 

「…分かったよ…気を付けてね」

 

「えぇ、後から向かうわ」

 

 

そう言うと3人は不安そうに隠し扉の中へと入っていった。

 

 

これで、遠慮はいらなくなった。

 

 

「さぁ!おいで、遊んであげるわ!」

 

「ぐあぁああああああ!」

 

 怒声を上げながら三頭犬が飛び掛かってくる。

右足を振り上げ爪を立てながら力の限り振り下ろしてくる。

 

振り下ろされる爪を寸での所を横に避けるとウィッチタイムを発動させ、両手の銃を顔目掛けて乱射する。

 

「うがぁあああああああぁっ!」

轟音と共に銃弾が雨の様に発射され、3つ全ての顔に直撃した。

 

三頭犬は、顔面に銃弾を受けのた打ち回り、乱雑に暴れ回る。

 

「遅い!」

 

乱雑な攻撃を避けながら三頭犬に駆け上ると、右の顔の眼前に飛び掛かり両手で無理やり口を開かせる。

 

「喰らえ!」

 

右足を口の中に突っ込み銃弾を撃ち込む。

 

「あがあああ…ああああ!」

 

体内に発射された弾丸は、食道と内臓に十分なダメージを与えた様で、口から血を流し、前のめりに倒れこむ。

 

血を吐いている、右の頭を持ち両腕に力を籠める。

すると、メキメキと骨が外れる音が響き、皮膚に亀裂が走る。

 

「ふんっ!」

 

ある程度、腕が回ったあたりで、思い切り力を籠め、首元からねじ切る。

 

「あぁあああああ!」

 

首をねじ切り落とされ、血飛沫をまき散らしながら残りの2つの頭が悲鳴を上げる三頭犬…いや、二頭犬は体を振り回しながら、一旦距離を取り私を睨みつける。

 

「まだ遊べるようね、さぁ、いらっしゃい。ワンちゃん」

 

「あがあああああああ!」

 

再び二頭犬が突進してきた。もはやそれしか手段を持たないのか、私を噛み殺そうと残りの頭で噛みついてきた。

 

「残念ね」

 

バク転するように噛みつきを回避した後、ウィッチタイムの中、左の首の部分に両足で着地する。

 

「もぉ…いけない子ね」

 

タップダンスを踊るように首の付け根を何度も踏みつけ、それと同時に両足の銃が撃鉄を起こし、弾丸が吐き出される。

 

首元にゼロ距離で放たれた弾丸の1発1発が、皮膚を突き抜け、首の肉を抉りながら、首自体を貫通し、首の一部をズタボロに破壊した。

 

破壊された場所からは、止めど無くまるで滝のように血が流れ続けており、漏れている鳴き声も絶え絶えだった。

 

「喰らえ!」

 

ボロボロになった首元を、両足で飛び上がるように頭を踏みつける。

その瞬間、左の首がボトリと千切れ落ち、大量の血が噴水の様に吹き出した。

 

私は止めど無く溢れ出している、血飛沫を避けながら犬の前に着地する。

 

「うぐぐうぐぅうぐぐ…」

 

 

最早その場に居るのは、2つ目の首も落とされ、首が1本だけで、息も絶え絶えとした巨大な犬が居るだけだった。

 

「そろそろ、フィニッシュね」

 

 私は、犬に背を向ける。

 

「あぁあああああああがあああ!」

 

背中を見た犬が最後の力を振り絞り、残された首で噛み付こうと突進してきた。

 

 

「CARR-MMA BOWE-COOW【主よ、来たれ、喰らい、滅ぼせ!】」

 

 

 髪の魔力を一気に開放し、ゲートを発生させる。

その直後、ゲートから、漆黒の竜のような顔が現れ、巨大な咆哮を上げる。

飛び掛かろうとしていた犬は、その声に圧倒され、その場に竦み動けなくなってしまい、残りの首で、声の主をただ茫然と眺める事しかできなかった。

その直後、召喚された、巨大な竜の頭は。犬の胴体に喰らい付いた。

 

喰らい付いた者の名前は『ゴモラ』と呼ばれ、非常に獰猛な魔物だ。

 

私が契約している魔物の中でも、トップクラスの人気を持っている。

 

 

「あっ…があああっがああ。」

 

「あああがああああ!」

 

喰いつかれた犬が絶叫を放つが、ゴモラはそんな事は意に介せず、首を左右に振るい歯を食い込ませ、何度も咀嚼を繰り返し、最後には大口を開け思い切り噛締め、犬の胴体を真っ二つに喰い千切った。

 

ゴモラは再び咆哮を上げ姿を消した。

 

部屋の中心には胴体を喰い千切られ、下半身と、真ん中だけが残った首元、その周辺には2本の千切れた頭だけを残した巨大な亡骸が転がっているだけだった。

 

 

私は死体を一瞥した後、隠し扉を吹き飛ばし中へ降りていく。

 

中に入ると垂直の穴になっており、高速で落下していく。

両足に魔力を込め、着地の体制をとる。途中で何かをぶち抜き地面に着地する。

 

目の前の扉を開けると少し広い空間があり、奥には大量の鍵が刺さった扉があった。どうやら鍵はもう空いているようだ。

 

扉を蹴破り中に入ると、白黒模様の床の上に大量のバラバラに砕けた瓦礫と、同じく白黒の石像が数体鎮座していた。

 

「まるで、チェス盤ね」

 

この部屋はチェス盤その物のようで、石像にもポーンを始めとしたチェスで使用される駒が用意されていた。

 

散らばった石を避けながら部屋を進んでいくと、奥の入り口付近にロンが倒れていた。

状況から察するに、ここでチェスゲームがありロンはその勝者のようだ。

 

一応魔力の流れは有ったので気絶しているだけだろう、そう判断しロンを避けて奥の扉に進むことにする。

 

扉に手を掛けようとすると、急に扉が開かれ奥から憔悴した顔のハーマイオニーが現れた。

 

「ベヨネッタ!貴女…無事だったのね!」

 

「えぇ、ところでハリーは?」

 

「先へ進んだわ…私は助けを呼ぶために戻るようにって…」

 

「そうなのね、なら私は先へ行かせてもらおうかしら」

 

私は再び扉に手をかける。

 

「貴女も行くのね…」

 

「えぇ、ラストダンスはまだ終わってないわ」

 

「ハリーを…ハリーを助けてあげて…」

 

「分かっているわ」

 

ハーマイオニーに軽く手を振り、扉を勢いよく開けた。

 

 




フラッフィー…良い奴だったよ。

今回は、皆様のアイドル、『ゴモラ』に登場してもらいました。

次回もお楽しみに
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