ハリー・ポッターとアンブラの魔女   作:サーフ

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今回で賢者の石編は終了します。




1年の終わり

 

 部屋の奥から鋭い目線で、片手に杖を構えたダンブルドアが悠然と歩み寄ってくる。

 

「あら?高みの見物かしら?いい趣味ね」

 

「随分と手厳しいの」

 

「アイツは逃げたわよ、追わなくて良いのかしら?」

 

「今更追っても無駄じゃろうて、さて…お主が持っている石を渡してもらおうかの。それが何なのか理解しておるのじゃろ?」

 

ダンブルドアは杖をワザと見せる様に声をかける。

断るようなら強引にも奪い取ろうという算段だろう。

 

「えぇ、賢者の石、黄金を生み出し、永遠の命を得る事ができる。」

 

「そうじゃ、じゃがそれはそんなに万能なものでは…」

 

「くだらないわね」

 

「なんじゃと?」

 

「永遠の命を得る事がくだらないのよ、こんなものに縋り付く惨めな生き方なんて私はごめんだわ」

 

私の言葉を聞きダンブルドアは驚愕したように目を見開いた。

 

数瞬の後、ゆっくりと息を吐きこちらを再び見据えなおした。

 

「君は強いのぉ、多くの者はその石の魔力に飲まれ、永遠の命に引かれてしまう…愚かな事じゃ…」

 

「えぇ、でもただで渡すのは惜しいわね。貴方以外にも〈コレ〉を欲しがるのは大勢居るわよ、そうねぇ…知り合いに高値で買い取ってくれそうなやつが居るわ」

 

石を撫でる様に手のひらで遊ばせながら、ダンブルドアにワザと見せつけるようにすると、再び目線を鋭くさせ私を睨みつける。

 

「何が望みじゃ…」

 

「そうね、少し質問に答えてもらえないかしら?」

 

「なんじゃ…」

 

「貴方はなぜ【アンブラの魔女】を求めるのかしら?」

 

「予言じゃ…ある者がした予言の一説に【アンブラの魔女】という単語が出て来ての」

 

「なるほどね、どんな内容なのかしら?」

 

「詳しくは言えぬが…アンブラの魔女が…闇に生きると言われて居るその魔女が、魔法界に姿を現すとな…闇に生きるものが、ヴォルデモートと接触すればどうなるか…容易に想像できることじゃ…」

 

「そぉ…それで、もしその『闇』の魔女が現れたとして、どうするつもりかしら?」

 

「その時は、ヴォルデモートには絶対に接触させてはならぬと考えておる。どんな手を使ってもじゃ…」

 

「どんな手を使っても…ねぇ…案外物騒な事を言うのね。もうちょっと平和主義かと思っていたわ」

 

「もちろんそうならぬことが一番じゃ…じゃが…魔法界を…世界を守る為には仕方のない犠牲じゃとワシは考えておる…」

 

世界を守る為にか…大きく出たものだ。

だが嘘を付いている様には見えない。

しかし、どんな手を使っても守るという思想のはあまりにも………

 

「世界を救うね…」

 

「そうじゃ、他に質問はあるかのぉ?」

 

「最後に一ついいかしら?貴方はこの石を何に使うつもりかしら?」

 

石の使い道、これがある意味一番重要だ。

ダンブルドアの口振りからするに、自らに永遠の命を与えるという事はしないだろう。だからこそ、ダンブルドアが石を求める目的を知る必要がある。

 

少しの沈黙の後ゆっくりと口が開かれた。

 

「破壊するのじゃ、こんな物この世に在ってはならぬ」

 

破壊する?だとしたら、なぜこの石をここまで厳重に警備していたのかという疑問が残る。

 

「なら、なぜここまで厳重に守っていたのかしら?すぐに壊せたはずなのに、案外、収集癖でもあるのかしら?」

 

「奴を、ヴォルデモートをおびき寄せる為に用意したのじゃ。石があると分かれば、奴は必ず来るはずじゃからな」

 

「なるほどね、でも残念ね、逃げられたようだわ」

 

「あぁ、とても残念じゃ、じゃからこそ石を破壊するのじゃ…同じ手が奴に二度も通じるとは思えんしの…」

 

つまりは、用済みとなった物を他の誰かに利用される前に壊したいという事だ。

 

「そう言う事なら渡してあげてもいいわ。でも一つ条件があるわ」

 

「それはなんじゃね?この老いぼれに出来る事など少ないぞ」

 

「ただで渡す気はないのよ…そうね、ぬいぐるみが良いわ、飛び切り可愛いぬいぐるみと交換よ」

 

さっきまで警戒し続けていたダンブルドアが私の言葉を聞いて心底安心しきったような顔になり自然と笑い始めた。

 

「そう言う事なら任せよ。後日特別なのを用意しよう。さて、石を渡してもらおうかの?」

 

「えぇ、契約成立ね」

 

 右手を差し出しているダンブルドアの方へ石を放り投げる。

 

投げられた石は奇麗な放物線を描きダンブルドアの眼前まで迫る。

 

ダンブルドアは石に手を伸ばす。

 

あと少しで石に触れる…その瞬間…

 

 

 

 

私は右手の銃を石へと向け引き金を引いた。

 

周囲に銃声が鳴り響き、ダンブルドアの手に収まる寸前…弾丸によって賢者の石は粉々に砕かれた。

 

目の前で石を破壊されたダンブルドアは少し肩をビクつかせ驚いた様子だった。

 

 

「セレッサ…お主…」

 

「壊す手間が省けたわね」

 

「…そうじゃ、それが正しい…」

 

少し残念そうに呟いた。

 

「ハリーはワシが運んでおこう、他の者も皆無事じゃ」

 

「そう、なら失礼するわね」

 

ゆっくりとダンブルドアの横を抜け階段を登る。

 

後ろではハリーを起こそうと私のかけた結界に四苦八苦しているダンブルドアの姿が見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 来た道を戻り、隠し扉から顔を出すと部屋の端には白い布に包まれた犬の死体が有り、その前でハグリッドが胡坐をかきながらスキレットに入れた酒を煽っていた。

 

「セレッサ…か…お前さんがやったんだろ。ハーマイオニーが、お前さんが残ったって言っておった」

 

「えぇ、そうよ」

 

「そうか…強いんだなお前さんは…フラッフィーの奴がこんなになっちまうとはな…」

 

こちらに顔を向けず、ただ無感情に声をかけてくる。

ダンブルドアにすればただの番犬だったのだろうが、彼からすれば大切なペット…友人と言ってもいい存在だったのだろう。

 

「フラッフィーは強かったか…ちゃんと番犬の役割は果たせてたか…」

 

「えぇ、最後まで喰らい付いてきたわよ、とても立派なワンちゃんだったわ」

 

「そうか…お前さんが言うんだからそうだったんだろう…すまねぇが…俺はもう少しここに居る、ハーマイオニー達は医務室に居るはずだ」

 

ハグリッドはそういうと再び酒を呷りながら、死体に寄り添っていた。

 

 

 

 地上に出ると4時を過ぎた辺りだった。

案外短い間に終わったのだと思いながら周囲を確認し杖を手にとり、バーへと向かった。

 

 

店に入るといつものbgmが流れており、奥ではロダンがグラスを磨いていた。

 

「よぉ、遅かったじゃないか」

 

「えぇ、色々あったのよ。いつもの頼むわ」

 

いつもの様にシェイカーを振るいカクテルが目の前に出される。

 

「奴ら、こっちの世界に居たわ」

 

「ほぉ…道理でこっちじゃ大人しいわけだ」

 

「えぇ、これからもっと活発になるかもしれないわ、嫌な予感がする」

 

「忙しくなりそうだな、コイツを渡しておこう、もしもの時に役立つはずだ」

 

カウンターの上を小箱が滑り私の前でピタリと止まった。

 

「あら、プレゼント。なにかしら?」

小箱を開けると中には蝶の形を模した腕輪が入っていた。

 

「プーリーの守護蝶だ、身代わりになる蝶を呼び出せる、まぁよほどのことがない限り必要ないだろうがな」

 

そう言うと、ロダンは葉巻に火をつけ一息ついた。

 

プーリーの守護蝶

遥か昔、ラサの王妃に影武者として仕えた魔女トゥーランドットが作ったと伝えられる秘宝で、使用者に守護蝶の加護をもたらす。守護蝶は使用者の周りを漂うように飛び、使用者の身代わりとなって攻撃を受け、散っていく。

 

「助かるわ、これからもっと派手なパーティーがあるかもしれないの」

 

小箱からプーリーの守護蝶を取り出し右腕に装着する。

 

「それじゃあ、行ってくるわね」

 

「あぁ、行ってこい」

 

私は右手に杖を掴み、ホグワーツを思い浮かべる。

バーから姿を消す瞬間右足の銃で、壁に磔にされている天使の眉間をぶち抜いた。

 

「ビューティフル」

 

 

 

 

 ホグワーツに戻ったのは5時を回っており、周囲には陽の光がさしていた。

ハーマイオニー達の顔でも見に行こうかと思ったが、今の時間に医務室に行っても迷惑がかかるだろう…仕方がないので自室に戻り、今日は休むことにした。

 

次の日の朝、私は彼等を見舞いに行く為、医務室へ足を運んだ。

部屋の中ではハーマイオニーだけが目を覚ましており、他の2人はまだ眠ったままだ。

 

「ベヨネッタ!お見舞いに来てくれたの?」

 

「えぇ。貴女以外は、まだ寝ているようね」

 

「そうなのよ、先生の話だとあと2~3日は眠ったままらしいわ」

 

そう言って二人の方へ視線を向けた。

その時、医務室の扉が開き奥からダンブルドアがやってきた。

 

「ダンブルドア先生!」

 

「おぉ、二人とも、体調は大丈夫かのぉ?」

 

「はい、私はこれといって悪いところは無いです」

 

「そうか、それは良いことじゃ」

 

そう言うとダンブルドアが二人の枕元に百味ビーンズの箱を置いて行った。

 

ハーマイオニーにはカエルチョコレートを手渡した。

 

「さて、セレッサ。お主にはこれじゃ」

 

それなりの大きさのある箱を手渡された。

開けると中には、チェシャ猫のぬいぐるみが入っていた。

 

「どうじゃ?気に入ってくれたかの?」

 

「えぇ、案外良いセンスしてるわね」

 

「そうじゃろう?ところで、少し話が有るのじゃが、後で校長室へ来てくれんかの?合言葉はカエルチョコレートじゃ」

 

「合言葉まで教えるなんて、拒否権がないみたいね」

 

「手厳しいのぉ」

 

どこか、とぼけたように顎の髭を弄っていた。

 

「まぁいいわ、後で行ってあげるわ」

 

「そうか、では待っておるでのぉ」

 

そう言って私達に手を振りながら医務室から退室していった。

 

私達のやり取りを見ていたハーマイオニーが少し驚いた表情をこちらへ向けた。

 

「貴女…何をしたの?ダンブルドア先生に呼び出されていたようだし…」

 

「大したことをした覚えはないわね…」

 

「信用ならないわね…フラッフィーだって貴女がやったんでしょ?一体どうやったのよ?」

 

「秘密よ、女は秘密があるものよ」

 

「よくわからないわ…」

 

「貴女にもいつか分かるはずよ、それじゃあそろそろ行ってくるわ」

 

なんとも、納得いかないという感じだったが私が扉から出ていく時には手を振り見送っていた。

 

 

「カエルチョコレート」

 

 しばらく歩き、校長室の前に行くと2体のガーゴイルが立っていたが、合言葉を言う事ですんなりと道を開けた。

 

しばらく道を進むと1枚の扉が目の前に現れた。

 

扉を蹴りで開けると中にはダンブルドアが椅子に深く腰を掛けていた。

 

「待ったかしら?」

 

「いいや、特には待ってはおらん…じゃがノックくらいはして欲しかったの」

 

「次からそうするわ、本題に入りましょうか」

 

「そうじゃの、早速じゃが、あの出てきた奴らは何者じゃ?ヴォルデモートは『天使』と言っておったが本当かの?」

 

「えぇ、アレは天使よ…でも貴方が思っているような生易しいものじゃないわよ」

 

「そうじゃったのか、じゃがなぜヴォルデモートは天使を…」

 

「さぁ?そこは分からないわね…禄でもない奴が絡んでいるという所かしら?」

 

「厄介なことになるのぉ…」

 

 

ダンブルドアは深いため息を吐きながら手元にあったカエルチョコレートを口に運んでいた。

 

「さて、お話は以上かしら?」

 

「もう一つじゃ、お主が使っていた魔法、そしてお主が呼び出した巨大な魔道生物…アレについて教えてくれんかの?」

 

「ペットよ、それじゃダメかしら?」

 

「たしかホグワーツに連れてきて良いペットにはあのような魔道生物は含まれておらんかったはずじゃがの?」

 

「そうだったわね、申請を出せば大丈夫かしら?躾はちゃんとしてあるから危険はないわよ」

 

私の提案にダンブルドアは熟考したようだったが、しばらくして口を開いた。

 

「まぁ…今回は石を守った功績もある…大目に見るとしよう…魔法についてはどう説明するのじゃ?」

 

「秘密よ、もしくはオリジナルの魔法という事にしておきましょうか」

 

「納得いく説明が欲しいのじゃがの…」

 

 

次の瞬間

一瞬にしてダンブルドアが杖を構える。

 

しかし、それより早く右手の銃を額に突きつけ、左手ではゆっくりと杖を構えた。

 

「それは、マグルの世界の銃というやつじゃな、じゃが…とてつもない魔力を持っているようじゃな…なぜそんなものを持ち込んでおる?」

 

「ただのアクセサリーよ、これにも許可が必要かしら?」

 

お互いに目を離さずに緊迫した空気が流れる。

 

まさに一触即発…しかし現状で有利なのは私だ、それについてはダンブルドアも重々理解しているようで、目線のみ鋭くさせ、杖を握っている手には力を込めているようには見えなかった。

 

「分かった、生徒に向けないと言うなら許可しよう」

 

「理解が早くて助かるわ。私に危害を加えようとしないなら、使うつもりも無いから安心なさい」

 

ダンブルドアは渋々杖を収めた。

それを確認してから私も銃をポーチへ仕舞い込んだ。

 

 

「話は終わりね、それじゃ失礼するわ」

 

踵を返し入り口の扉に手をかけると、背後からダンブルドアが声をかけた。

 

「セレッサよ…」

 

「なにかしら?」

 

「その力を悪用しない事を祈っておる…お主が悪の道に走らぬ事を…」

 

「力の使い方は私が決めるわ。それに、悪なら正す事ができるはずよ」

 

「悪なら正す事ができる…か…」

 

「えぇ、お父さんの言葉よ。失礼するわね」

 

そのまま扉を開き校長室を後にした。

 

後に残されたダンブルドアは虚空を見て虚しそうに何かを呟いていた。

 

 

 

 

 2日が過ぎたころにはハリーが目を覚ました。

目を覚ましてからは、ずっと質問攻めだった。

 

「ベヨネッタ、君が出したあの犬みたいなのはいったい何だい?」

 

「あれはペットよ、ダンブルドアにも許可は得ているわ。」

 

私は軽くハリーを流しながら大広間へ向かった。

本日は学年末パーティーが開かれており、大広間はスリザリンのメインカラーであるグリーンで装飾されており、壁には蛇の描かれた横断幕で覆われていた。

 

私はハリー達と共に席へ着いた。

 

「まったくスリザリン一色というのは気色が悪いな」

 

「そうだね、7年連続で寮対抗杯を獲得したとはいえ、これ不愉快だ」

 

ハリーとロンは不貞腐れながらスリザリンの方を睨みつけていた。

 

スリザリンの方を見てみると、マルフォイがとても誇らしげに周囲の人と話していた。

 

「さて、諸君!また1年が過ぎた!」

 

ダンブルドアの大声が響いた。

 

 

「目の前のご馳走にかぶり付く前にまずは、寮対抗杯の点数を発表する。4位、グリフィンドール312点。3位、ハッフルパフ352点。レイブンクローは426点。そしてスリザリン、472点。」

 

次の瞬間、スリザリンの寮からは歓声が上がり、スネイプも嬉しそうに拍手をしていた。

 

「うむ、スリザリンの諸君よく頑張ったのぉ、しかし最近の出来事も勘定に入れなくてはならん」

 

スリザリンの歓声が一瞬にして止まり、ダンブルドアが言葉を続けた。

 

「まず最初はロナウド・ウィーズリー。近年稀にみるチェスの腕前を披露し最高のチェス・ゲームを見せてくれたことを称え、グリフィンドールに50点を与える」

 

地下にあったチェスを攻略したのはロンだったのか。

 

「次にハーマイオニー・グレンジャー。火に囲まれながらも、冷静な論理を用いて対処したことを称え、グリフィンドールに50点を与える」

 

 

ハーマイオニーは驚いたような顔をし嬉し涙を流していた。

ハンカチを取り出しハーマイオニーに手渡してやった。

これで一気に点数が100も加点さてたことになる。

 

「3番目はハリー・ポッター。その強靭な精神力に加え、並外れた勇気を称えグリフィンドールに50点じゃ」

 

次の瞬間にはグリフィンドール全体から歓声が上がった。

 

「スリザリンとあと10点差だわ!」

ハーマイオニーが涙を拭きながら叫ぶように歓声を上げた。

 

「さて、次じゃ。敵へ立ち向かう勇気も素晴らしいものじゃが、友に立ち向かって行く事も十分に勇気のいる行動じゃ…そこで、ネビル・ロングボトムに10点を与えたい」

 

次の瞬間にはスリザリンを除く全ての寮から歓声が上がった。

「これで、並んだわ!」

これで年連続寮対抗杯独占を阻止することができたのだ。

 

「さて最後じゃ。ミス・セレッサ、その圧倒的な魔法技術で友を守り、さらには強敵にも臆することなく立ち向かったその勇気を称え…100点を与えたい」

 

 

途端に大広間全体が揺れる程の歓声が上がった。まるで爆発でも起こしたかのような衝撃だ。

ふとスリザリン寮の方を見ると、ほぼ全員が項垂れており絶望した顔をしていたが、マルフォイだけはこちらに視線を向け小さな拍手をしていた。

そんな彼に私は軽く手を振ることで返したのだった。

 

 

 

「さて、それでは飾り付けを変えなくてはならんの」

 

ダンブルドアが軽く手を叩くとスリザリン一色だった装飾が、赤と金色のグリフィンドールカラーになり。蛇の横断幕もライオンが描かれている物へと変化した。

 

 

 年末パーティーが終わった翌日には学年末テストの結果が張り出されたいた。

ロンとハリーは全体より若干高い得点を得ており、自分たちで驚愕しているようだった。

 

ハーマイオニーは全体で2位で私が1位だった。

ただ筆記の方では私が2位でハーマイオニーが1位だった。

 

「筆記なら勝っていたのに、やっぱり実技では貴女には勝てないわね」

 

そう言いながら私へ称賛の拍手を送っていた。

 

全てが終わり夏季休暇が始まろうとしていた。

持ってきた荷物を全てポーチに仕舞、ホグワーツ特急へ乗るべく駅へと向かう。

駅に着く寸前に背後からマルフォイが声をかけてきた。

 

「やぁ、セレッサ、素敵な腕輪だね。モチーフは蝶かい?」

 

「ありがとう、これお気に入りなのよ」

 

「よく似合っているよ、それと寮杯の優勝おめでとう」

 

「あら、スリザリンの貴方からそんなセリフが出るとは思わなかったわ」

 

「僕だってグリフィンドールの生徒に言いたくは無いさ、でも君に負けたと思うと仕方がないと思えるよ」

 

 

「そう言ってもらえると嬉しいわ。でも最後の追加点は卑怯だったわ、アレ獲得したのは3日前よ」

 

「確かにそうかもしれないね。でも僕らがどんなに頑張っても、君の100点を追い越す事なんて3日じゃ無理さ。それにしても凄いじゃないか、何をやったらそんな得点を取れるんだ?」

 

「そうね…天使を狩った位かしらね?」

 

「天使って…おかしなことを言うな………本当なのかい?」

 

マルフォイは少し不思議そうに呟いた。

 

「本当よ、でも貴方が考えているような可愛らしいものじゃないわよ」

 

「天使って恐ろしいものなのかい?」

 

「えぇ、余り関わらない方がいいわ。貴方みたいなタイプは格好の標的よ」

 

「分かった…注意するよ」

 

 直後に汽車が汽笛を鳴らした。

時計を見ると発車時刻の5分前になっていた。

 

「そろそろ時間だわ、それじゃ私はこれで」

 

「あぁ、また休み明けに会おう」

 

こうして私は電車に乗り込んだ。

 

 

 電車の中ではハリー達のコンパートメントに入り込みこの前の事を話したりしていた。

 

しばらく話し込んでいるとすぐに駅に着いたようで、私はいつもの黒を基調とした服に着替え3人と一緒にプラットホームへと降りた。

 

「夏休み良かったら僕の家に泊りに来ない?」

 

ロンがいきなりそう言うとハリーがとても嬉しそうな顔をした。

 

「いいね!僕も楽しみができるのは嬉しいよ」

 

「それじゃ、フクロウ便を出すよ。君たちにも送るから、よかったら来てよ」

 

「えぇ、気が向いたら行かせてもらうわ」

 

「私も、家族と話してから返事を書くわ」

 

「楽しみにしてるよ、それじゃまた」

 

ロンはそういうと大勢いる兄弟たちと共に自宅へ向かって行った。

 

「じゃあ、僕もこれで一度帰るよ」

 

「じゃあね、ハリー、ベヨネッタ、私もこれで失礼するわね」

 

こうして各々が自宅へと帰るべくその場で解散した。

私は周囲の人が居なくなったのを確認して、いつもの様にバーへと帰っていった。

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?

今回で賢者の石編は終了となります。

何とか無事投稿しきれました。

現在、秘密の部屋編を執筆中なのですが、ようやく中盤を書いていると言ったところです。

ですので、続編の投稿は、秘密の部屋編を書き上げてから、今回と同じように、1日1話くらいのペースで投稿していきたいと思います。

それでは皆様、しばらく時間をいただきますが、これからもよろしくお願

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