ハリー・ポッターとアンブラの魔女   作:サーフ

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やっぱり戦闘シーンが入ると少し長くなっちゃいますね。



バシリスク

 

 

 しばらく洞窟を進んで行くと、巨大な蛇のオブジェが付いた扉が目の前に現れた。

 

「ここね」

 

「多分…」

 

ハリーは扉に近付き、蛇語で何やらしゃべりかけると、オブジェクトが動き出し、扉が開いた。

 

「行こう」

 

「えぇ」

 

扉を抜けると、左右に蛇のオブジェが鎮座する、少し広い空間が現れた。

その奥には、見覚えのある少女が横たわっていた。

 

「ジニー!!」

 

ハリーは少女に駆け寄ると、必死に肩を揺らしている。

しかし、少女が目を覚ます事は無い。

 

「ジニー!死んじゃダメだ!目を開けて!」

 

 

 

 

「その子は目を覚まさないよ」

 

後ろから、聞き慣れない声がし、私達は振り返ると、柱の奥から一人の青年が現れた。

 

「トム…リドル…」

 

「誰よそれ?」

 

私が聞くと、トム・リドルという青年がその場で一礼し口を開いた。

 

「やぁ…初めましてだね、僕の名前は、『トム・リドル』君の事はハリーから日記越しに聞かせてもらってるよ、ミス・ベヨネッタ」

 

その少年は怪しげに、こちらを見ると、手を差し出してきた。

 

 

「どうして…君はゴーストなのかい?」

 

ジニーを抱いたまま、ハリーがトムに話しかけると、差し出した手を引っ込め、ゆっくりと口を開いた。

 

「記憶さ。その日記には、僕の50年前の記憶が残されている」

 

そういうと、黒い表紙の本を片手ににこやかに笑っている。

 

「それに、ジニーが目を覚まさないって…どういう事だよ!」

 

ハリーが声を荒げると、トムは不敵な笑みを浮かべていた。

 

「彼女の魂は、もう殆ど残っていないんだ」

 

「どうにかならないのか?助けてよ…このままじゃバシリスクが来る…」

 

ハリーは必死にジニーを抱えようとしている。

私はトムから視線を話さないようにしながら、ジニーに近付き、片手でジニーを持ち上げ、ハリーに担がせる。

 

「ありがとう、ベヨネッタ。さぁここから出よう!」

 

「そうはさせないよ!」

 

次の瞬間、トムの杖から閃光が走った。

 

ハリーは、咄嗟に自らの体を盾にジニーを守ろうと、覆いかぶさった。

 

私はそんな二人の前に飛び出し、杖を薙ぐようにして、魔法を打ち消す。

 

「ほぉ…やるじゃないか」

 

「貴方もね、それにしても不意打ちなんて卑怯だわ」

 

「ハハハ、なんせ僕はスリザリンの後継者だからね」

 

突然の告白に、ハリーは目を白黒させていた。

 

「どうして…スリザリンの後継者はハグリッドだって…君がそう言ったじゃないか!」

 

 

「フッ…ハグリッド…あんなウスノロがスリザリンの後継者になれる訳ないだろ」

 

「まぁ、そうよね」

 

「そんな!ベヨネッタまで…」

 

 それからは、トム・リドルがなぜこのような事をしたのかを語った。

先程のロックハートの演説を再び見せられている気分になった。

 

演説の要点をまとめると。

スリザリンの後継者はジニーであり、あの黒い本を手にし、トムに操られ、ペンキで文字を書いたりしていたという事。

 

スリザリンがマグルをこの学園から排除するのを願っていたという事だった。

 

それを聞いたハリーは、苦虫を嚙み潰した様な表情を浮かべていた。

 

対する私は、あまりにも長い演説に嫌気が差し、枝毛を探していた。今日も枝毛は無く、見事なキューティクルだ。

 

 

「そして…ハリー…君に一つ聞きたい…なぜこれといって特別な魔力も持たない赤ん坊が、神に選ばれし偉大な魔法使いをどうやって破った? ヴォルデモート卿の力が打ち砕かれたのに、君は、たった1つの傷痕だけで逃れたのか?」

 

この話をしたかったのかと思うくらいに、テンションが上がったトムに、ハリーは冷静に答えた。

 

「僕がどうやって生き残ったか、知ってどうするんだ?君には関係ないだろ!」

 

「関係ないわけないじゃないかぁ!ヴォルデモートは、僕の過去であり、現在であり、未来なのだ!ハリー・ポッター」

 

トムが杖を振るうと、空中に『TOM MARVOLO RIDDLE』の文字が浮かんだ。

 

その後、杖を一振りすると、文字が動き出し、並びが変わる。

 

『I AM LORD VOLDEMORT』

 

「私はヴォルデモート卿だ…ね、悪趣味なアナグラムだわ」

 

「貴様!」

 

私の素直な感想が気に食わなかったのか、トムの表情が歪み、ハリーと同じ蛇語を口にした。

 

「ベヨネッタ!素直に言っちゃダメじゃないか!」

 

その直後、大きな地鳴りと共に、奥から黒い色の蛇が現れた。

 

そして、部屋の半側からは、1羽の派手な鳥が現れた。

 

「あれは…ダンブルドアの不死鳥か」

 

現れた不死鳥はハリーに薄汚い帽子を渡すと、上空を大きく旋回している。

 

「それは?」

 

「古い組み分け帽子だ…」

 

「フッ、ダンブルドアはそんな物を送ってきたのか!古い帽子に、不死鳥か!これは、素晴らしい援軍じゃないか!」

 

トムは小馬鹿にするように、嘲笑っている。

 

「さぁ?それでは本題に戻ろう。ハリー…君はどうやって生き残った?」

 

ハリーはトムを睨み返すと、力強く答えた。

 

「お前が僕を襲ったとき、どうしてが力を失ったのか、誰にも分からない。僕自身にもわからないんだ。でも、なぜお前が僕を殺せなかったのか、僕にはわかる。母さんが、僕を庇って死んだからだ!」

 

それを聞いたトムは、その表情を歪めながら、笑う。

 

「そうかぁ…母親が君を救うために死んだ。なるほど、それは呪いに対する強力な反対呪文だ。結局の所、君自身には特別なものは何もないわけだ。僕と違ってね」

 

再び、トムが不気味な笑みを浮かべる。

 

「さて…そろそろ遊ぼうじゃないか!ハリー・ポッター!そして、巻き込まれてしまった少女よ!」

 

トムはその場でお辞儀をすると、その場を離れ、スリザリンの石像の前でパーセルタングで何か囁いている。

 

その声を聴いて、ハリーはとても怯えている様だった。奴が何を言っているのか理解したのだろう。

 

次の瞬間、石像の口が開かれ、その奥から黒々とした、巨大な蛇が姿を現した。

 

大蛇は、私に近付くと、その眼で見据えてくる。

 

「ベヨネッタ!目を見ちゃだめだ!」

 

ハリーが叫ぶが、もう遅かった。

 

私の目と大蛇の目は、しっかりと合ってしまった。

 

 

「そんなに見詰められても困るわ」

 

互いに見詰めあう中、狼狽したトムの声が響いた。

 

「なんでだ…なぜ貴様は死なない!」

 

「さぁ?秘密よ」

 

私は、右手の銃の先端で、軽く眼鏡を整えて見せる。

 

「ふざけるなよ!そいつの相手は後だ!今はハリーを…」

 

トムが叫ぶ中、黄金の忌々しい光が、秘密の部屋を照らした。

 

そう…奴らが放つ、忌々しい光が…

 

「この光は…まさか!」

 

トムが光に驚くと、その場で大笑いした。

 

「フハハハハハ!そうか!そういう事か!これは素晴らしい!」

 

「どういう事だ!」

 

「ヴォルデモート卿が!現在の僕からの素晴らしい援軍が来たって事さ!」

 

トムがそう叫ぶと、スリザリンの石像を吹き飛ばしながら、赤黒い、巨大な蛇の様な天使…インスパイアドが現れた。

 

インスパイアド…天使上位三隊の「父」のヒエラルキーに属する天使で、座天使と呼ばれる。

巨大な蛇の様な見た目で、空を暴れ回る厄介な奴だ。

 

 

「これは…蛇!」

 

「違うわ、もっと質の悪い天使よ」

 

私は、両手の銃を構え、迎撃の体勢を取った。

 

「どうやら、君は天使について知っている様だね…まぁいい、さぁ!バシリスク!天使よ!行け!」

 

 バシリスクは雄叫びを上げ、インスパイアドは上空を高速で飛び回る。

 

上空を飛び回るインスパイアドと、見ただけで死に至る目を持つバシリスクを相手に、ハリーを守りながら戦わなくてはならない。この状況は非常にまずい…

 

そう思っていると、上空から不死鳥が急降下すると、バシリスクに襲い掛かった。

 

「ギュアァアアア!」

 

バシリスクは悲鳴を上げながら、のたうち回っている。

 

不死鳥はバシリスクの顔面に張り付き、その嘴で、目を抉り取った。

 

これで、目を見る事による死は回避されたのだろう…

 

 

「バシリスクの目を潰すとは…だがな!」

 

トムが右の指を弾くと、周囲からアフィニティが数体ほど現れた。

 

「行け!天使共よ!バシリスク!お前もだ!」

 

 

次の瞬間、天使とバシリスクの混成部隊が私達に迫りくる。

 

「ハリー、どこか安全な場所へ隠れていなさい」

 

「イヤだ!僕も戦うよ!」

 

ハリーの言葉に驚き、振り向くと、先程まで持って居なかった筈の銀色の剣を構えていた。

 

「その玩具はどうしたのよ」

 

「この帽子の中から出て来たんだ。きっとダンブルドア先生が…」

 

その瞬間、バシリスクが突進してくる。

 

私はハリーの襟を掴むと、横へ飛びのき、その場から離れる。

 

しかし、バシリスクはこちらの位置が分かる様で、攻撃の構えを取っている。

 

「で?どうするの?逃げ場は無さそうよ」

 

周囲を飛び交う天使達は、こちらの隙を疑い、いつ攻撃を仕掛けて来るかわからない。

 

「僕が…蛇語を話せる僕が、バシリスクを引き付けるよ!その間に君は、天使達を!」

 

意を決した表情で、ハリーがそう叫ぶと、蛇語を発しながら、私と反対方向へ移動してた。

 

「はぁ…仕方ないわね」

 

私は、プーリーの守護蝶に魔力を込めると、周囲に守護蝶が、数匹程舞う。

 

そのうちの1匹を右手の人差し指に止めると軽く息を吹きかけてやる。

すると、蝶はヒラヒラと宙を舞いながらハリーの方に止まった。これで大丈夫だろう。

 

「さぁ、相手をしてあげるわ」

 

両手の銃をポーチへとしまうと、その隙を逃さないかのように天使が杖を構え急降下し、突撃してくる。

 

「甘いわね!」

 

天使が手に持っている、身の丈程の杖を横に薙ぐように振りかざすが、それよりも先に、ポーチの中から抜き身の刀を取り出し、居合の様に切り払う。

 

「キュアアア!」

 

真っ二つに切り裂かれた天使は、断末魔を上げ、その場で消えた。

 

「いい切れ味ね、相変わらず、素敵だわぁ」

 

刀身をマジマジと眺めていると、その鏡の様に磨き上げられた刀身越しに、天使が背後から迫ってくるのを確認する。

 

「ふっ!」

 

刀を逆手に持ち、脇腹の横から真後ろに突き刺し、ウィケットウィーブを発動させ、巨大な刀身を出現させる。その後、刀を逆胴の動きで薙ぎ払い、周囲の天使共を一気に切り払う。

 

「「ギャアアア!」」

 

半数ほどの天使たちは、その場で上半身と下半身が別れ、崩れ落ちた。

 

「うわぁああああ!」

 

直後に、ハリーの悲鳴が響く。

 

声のする方を見ると、バシリスクの口の中に手を突っ込み、悲鳴を上げているハリーの姿があった。

 

「ギュアア!」

 

バシリスクは悲鳴を上げると、首を左右に振り、ハリーを吹き飛ばした。吹き飛ばされ、気絶しているハリーの肩には、1匹の蝶の亡骸が見えた。

 

「クソッ!」

 

トムは悪態を付くと、蛇語で何やら叫ぶと、蛇は大きく首を振り、口の中から銀色の剣を吐き出し、トムの元へと駆け寄った。

杖を取り出すと、バシリスクに何やら魔法をかけている。あれは、治癒魔法か?

 

 

吐き出された剣をは空中で弧を描きながら、私の元へと飛んでくる。

 

私は、それを左手で受け取ると、右手には修羅刃、左手には銀色の剣を構える。

 

「ふぅん…なかなか面白い剣ね、私の力を吸いたい様ね」

 

左手からは、必死に力を吸い取ろうとする、力を感じた。これが、ロダンの話していた、小鬼が作ったと言う剣なのだろう。

 

「いいわ、使ってあげるわ」

 

次の瞬間、残っていた天使達が、一斉に攻撃を仕掛けて来る。

 

「はぁあ!」

 

両手に広げ、魔力を込め、その場で回転しながら周囲の天使を切り払って行く。

 

しかし、ウィケットウィーブが発動したのは、修羅刃のみで、銀色の剣は魔力に耐えられないのか、ピキピキと音を立て、ヒビが入っている。

 

「あら?これだから玩具は嫌なのよ」

 

1匹の天使が地面に落下し気を失っている。

 

私はゆっくりと近付き、右足で背中を踏みつけると、両手の剣を交互に突き刺した。

 

「お仕置きね」

 

何十回と突き刺された天使は、最後に断末魔を挙げ、光になって消え去った。

 

次に、もう1匹の天使が、私の眼前に杖を振り下ろす。

 

「フッ!」

 

その杖を左手に構えた、銀色の剣で受け止める。

すると、剣から、『ピシッ』とヒビが入る音が聞こえる。

 

「くらえ!」

 

左手の剣で受け止めつつ、右手の刀を腹に突き刺し、一気に脳天まで切り裂く。

 

天使は、上半身を真っ二つに切り裂かれ、声にならない声を上げ、その場で崩れ去る。

 

すると、前方と後方から、杖と、モーニングスターを携えた天使が、攻撃の体制を取りながら挟撃してくる。

 

「フッ!」

 

両手の剣を逆手に持ち、右手で後方の天使を、左手で前方の天使を突き刺す。

 

その後、手を放し、左右逆の剣を掴むと、体を半回転させ、前後の天使を切り払う。

 

「「ギャア!」」

 

断末魔を上げ、脇腹から血を流しながら、2匹の天使が崩れ落ちる。

 

その後も、迫り来る天使たちを、両手の剣で切り捨てていったが、銀色の剣の方は、限界が来たようで、いつ壊れてもおかしくないといった状態だった。

 

「チッ」

 

軽く舌打ちをし、ヒビの入った剣をポーチへしまい、修羅刃のみで戦闘を続けた。

やはり、こちらの方がしっくりくる。

 

 

 総ての天使を切り払い、銀色の剣をポーチから取り出してみると、刃は欠けており、ヒビが全体に入っている。

最早、無事なのは柄だけだろう…

 

その直後、轟音が響いた。

 

「アァアアア!」

 

 

その瞬間、上空を浮遊していた、インスパイアドが大口を開け、突っ込んできた。

 

「フッ!邪魔よ!」

 

突進を回避すると、そのままインスパイアドの首元に腰かける。

 

「お仕置きよ!」

 

髪に魔力を込めると、インスパイアドの眼前に、マダムの両手を出現させ、突きのラッシュを食らわせる。

 

「グアアアア!!」

 

顔面を、ボコボコに殴られ、力無く地面に落下すると、光になり、消滅した。

 

「ふぅ…さて、ハリーの方は大丈夫かしら?」

 

ハリーの方を見ると、未だに気絶しているようで、地面に倒れ込んでいる。

 

「何時まで寝ているのよ。早く起きなさい」

 

ハリーの肩を軽く揺らすと、ゆっくりと瞼を開けた。

 

「あれ…僕…」

 

「さぁ、立ちなさい」

 

ヒビの入った剣をハリーに差し出すと、杖の様に使い、その場で立ち上がった。

 

「おのれ…よくも天使共を!」

 

奥から、目が潰れたままの、傷付いたバシリスクを従えたトムが現れた。

 

「バシリスク…倒したと思ってたのに…」

 

「あと少しずれて居たら、僕の魔法でも治せなかったよ…」

 

トムはニヤニヤと笑いながらハリーに厭味ったらしく言い放った。

 

「さて…これで終わりにしよう…行けバシリスク!」

 

バシリスクがその場で雄叫びを上げ、大口を開け、私達を噛み殺そうとやってくる。

 

「ベヨネッタ…逃げるんだ!」

 

傷付き、力が入らないのだろうか、片膝を地面に付けたハリーが、苦しそうに叫ぶ。

 

「そんな必要ないわよ。一気に決めるわ!」

 

修羅刃を鞘に収め居合の構えを取り、突っ込んで来るバシリスクに飛び掛かる。

 

「ギャァアア!」

 

「はぁあ!」

 

大口を開け、噛みつこうとする口に詰め寄ると、ウィッチタイムを発動させ時間の流れを遅くする。

迫り来る口の前で、力を最大まで溜める。

 

バシリスクとの距離は、あと1m程、少しでもタイミングがズレれば、私の体は食い千切られるだろう。

修羅刃を一気に引き抜き、大口を開けている下顎から喉元まで一気に切り払う。

 

「グアアアア!!」

 

堅牢な牙ごと、切り裂かれ、下顎がズレる様に落下した口元からは、血がダラダラと地面に垂れ流され、周囲に血の匂いが充満する。

 

上顎のみバシリスクは、未だに辛そうに、息をしている。ここまでの生命力を持つとは驚きだ。

 

「さて…それじゃあ仕上げにしましょうか」

 

髪の魔力を解放し、ゲートを開く。

 

「な…なんだ!」

 

トムは周囲の空気が一気に変わった事に戸惑っている。

 

「AGRAM ORS『暗黒の月よ!』」

 

次の瞬間、巨大な黒い鳥が現れた。

 

マルファス

部屋全体を覆い尽くさんばかりに巨大な漆黒の怪鳥。好奇心旺盛で、世界中のあらゆる知識や秘術を身につけている。その性格は残忍で、出会った物はすぐさまその鋭い嘴と爪でズタズタに引き裂かれるという。

 

マルファスはバシリスクの胴体をその巨大な爪で掴み、脳天を嘴で食い千切る。

 

「………」

 

最早、声にもならない声を上げ、バシリスクの命が消える。

そんなバシリスクの頭を咥えると、思い切り体を捻り、引き千切った。

 

千切られた、断面からは赤黒い血が、ドクドクと、まるでホースから水が流れ出るかのように、止め処無く漏れ出る。

 

マルファスは、引き千切ったバシリスクの頭を一口で飲み干すと、宙を舞い、何処かへと消えていった。

 

後に残されたのは、頭の無い、巨大な蛇の死体と、宙を舞い、喧しく喚き散らしている不死鳥だけだった。

 

 

「おのれ…バシリスクを倒すとは…」

 

焦燥しきった表情のトムが黒い本を拾い上げると、宙に浮きあがった

 

「このままでは分が悪い…残念だが、今回は、これで失礼させて貰おうか」

 

「待て!逃げるのか!」

 

ハリーが叫び、杖を振り魔法を放つ。

放たれた魔法はトムに直撃するが、まったく効果が無い様に見える。

 

「フッ、無駄だ!」

 

私は、銃を構え、トムの眉間目掛け、銃弾を発射する。

 

放たれた弾は、高速を維持したまま、眉間を確実に打ち抜いた。

 

「フフッ…だから言っているじゃないか…無駄だと!」

 

興奮も最高潮に達したのか、背中をのけ反らせるながら大笑いしている。

 

「ふざけるな!」

 

ハリーは怒号を上げ、怒りに身を任せ、手に持って居た、銀色の剣を投げつけた。

 

「クッ!」

 

先程まで余裕の表情を浮かべていたトムだったが、飛んでくる剣を見るなり険しい顔になり、杖を振るい、直撃する寸前で剣を制止させた。

 

「剣を投げるなんて品性を疑うなぁ、これは…返すよ!」

 

杖をハリーに向け振り下ろすと、滞空していた剣はゆっくりとその切っ先を向け、弾け飛ぶように、襲い掛かった。

 

「うわぁ!」

 

ハリーは声を上げ、両腕を顔の前に出し、防御の姿勢を取った。

 

そんな彼の前に身を乗り出す。

 

「ベヨネッタ!」

 

私は、体の軸をずらし、刀身を避け、柄の部分を掴むと、勢いそのままに体を半回転させトムに投げ返した。

 

「お返しよ、受け取りなさい」

 

「なにっ!」

 

投げ返した剣は、高速で飛翔し、黒い本ごと、トムの胸を貫き、壁に磔にした。

 

「グアアアア!!」

 

磔になったトムは、体中から黒い瘴気の様な煙をまき散らしながら、爆発四散した。

 

爆風の中で、磔にしていた剣は粉々に砕け散り、柄の部分だけが、私の手元に飛んできた。

 

 

「ふぅん、やっぱりチープな玩具は駄目ね、すぐダメになっちゃうし、物足りないわ」

 

折れた柄を後ろへ投げ捨てる。

数回ほど、金属音を響かせた後、ハリーがそれを拾い上げ、まじまじと見ている。

 

「どうしたのよ?」

 

「いや…学校の物だし、壊しちゃって大丈夫なのかなって…」

 

「こんな玩具を送ってくるダンブルドアが悪いのよ、それより、あの子そろそろ目を覚ましそうよ。目が覚めたらこれを舐めさせなさい」

 

軽く指を鳴らすと、緑色のロリポップを取り出し、ハリーに渡す。

 

治癒効果のあるロリポップだ、味の保証はしないが、病み上がりの少女には十分だろう。

 

「わかったよ!」

 

ロリポップを受け取ると、ハリーはジニーの元へと急ぎかけ寄った。

 

ふと、足元に何かが落ちているのが目に入った。

 

「これは…あの本の一部ね…アレだけの爆発で燃え尽きないなんて、なかなか面白いわね」

 

「ジニー!!目を覚ましたんだね!」

 

ハリーが急に大声を上げた。ジニーは無事目を覚ましたようだ。

 

ハリー達の方へと歩み寄ると同時に、本の一部をポーチの中へしまい込んだ。

 

その後、ジニーは目を覚まし、ハリーが状況を説明していった。

 

「ジニー!もう大丈夫だよ、リドルは消えたんだ。バジリスクもだ。二人とも早くここを出よう」

 

「そんな…私…きっと退学になるわ…」

 

ジニーは涙目になりながら、ハリーから受け取ったロリポップ舐めている。

 

「あまり美味しくないわね、これ」

 

一言そういうと、ハリーに泣き付いた。

 

緊張が解けたせいなのか、ロリポップが不味かったからなのかは、この際置いておこう。

 

しばらくハリーに抱かれ、泣いていたジニーだったが、私の存在に気が付いたのか、顔を真っ赤にしていた。

 

「気にしなくて良いわよ、でも、こんな所じゃロマンの欠片も無いわ。帰るわよ」

 

私が、出口に向かい歩き始めると、二人も一緒に出口に向かった。

 

 




グリフィンドールの剣にはここで退場してもらいます。

貴重品を壊してしまいましたがベヨネッタ本人はそこまで気にしていません。

次回で恐らく、秘密の部屋編は最後となります。
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