ハリー・ポッターとアンブラの魔女   作:サーフ

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まだ、何者かが列車に侵入しただけなので平和です。


招かれざる客

 

 「グア?」

 

侵入者の内、数体が私の存在に気が付いたのか空を滑るように、襲い掛かってくる。

 

その動きは、人間を本能的に恐怖へと叩き落すようにも思えた。

 

私は一瞬銃を構えたが…

流石にこの狭い車内で銃を使う訳にはいかない。

 

そう思い、再び仕舞い込んだ。仕方ない…

 

「はぁ!」

 

両足に力を籠め、襲い掛かってく侵入者に一気に詰め寄ると、顔面と思われる場所に膝蹴りを食らわせる。

 

「ギュアア」

 

侵入者は予想外の反撃を受けた為か、断末魔にも似た呻き声を挙げる。

 

その直後、壁をすり抜ける様にして、別の侵入者が現れ、腕を振り上げ攻撃を仕掛けて来る。

 

私はその攻撃を寸での所で回避し、ウィッチタイムの中、侵入者の襟を掴むと、両頬に往復ビンタを食らわせる。

 

「グア」

 

その後、襟を掴んだまま、右手を前に押し出し、反動を付け引き寄せると、その胴体を右足で蹴り飛ばす。

 

「ぎゅあああ」

 

声にもならない悲鳴を上げ、その侵入者は吹き飛ばされていった。

 

しかし、その声に釣られるように、周囲を漂っていた侵入者達が私の後方、最後尾に集結した。

 

「ふぅ、埒が明かないわね」

 

流石にこの量を1匹1匹相手にするのは骨が折れる。

 

私は両手に銃を構え、頭上で腕を交差させ、銃口を天井へ向ける。

 

そのまま銃弾を連射しながら、1回ターンする。

 

放たれた銃弾は真っ直ぐに飛び、列車の天井に円形状の穴が空いた。

 

「ふっ!」

 

 その場で穴を通り天高く飛び上がると、侵入者達も私の後を追うように、上空へと飛び上がった。

 

上昇中に下の方を見ると、先程の侵入者達が列をなして追いかけて来る。

 

その様相はまさに死者の葬列とでも言ったところか…

 

だがこれは好都合だ。

 

「はぁ!」

 

ウィッチタイムの中、両手に雨粒を集め、軽く息を吹きかける。

 

すると、手の中に集まった水が一瞬にして凍り、それに魔力を込め、引き伸ばすと、巨大な氷の槍を形成する。

 

「プレゼントよ!」

 

凍りの槍を侵入者の列に向けて投げつける。

 

「「「グアア!」」」

 

放たれた氷の槍は列の先頭を進んでいた侵入者を突き刺した。

 

1列で追いかけていたのが仇になり、1匹、また1匹と氷の槍によって、くし刺しとなり、最終的には総ての侵入者が貫かれ、汽車の最後部に磔にされている。

 

「ふぅ」

 

私は屋根の穴から中へと入る。

 

目の前には氷の槍に貫かれても尚、もがいている侵入者のオブジェが出来ている。

 

しかし…これは悪趣味すぎるな。

 

「悪い子ね、お仕置きしようかしら」

 

私が杖を取り出すと、不意に後ろから声がかけられた。

 

「もう十分だろう」

 

振り返ると、そこには先程まで寝ていたルーピンの姿があった。

 

「これ以上ディメンターを傷付けては魔法省も黙ってはいないだろう」

 

「へぇ…それじゃあ…アンタはこいつ等はどうするのかしら?」

 

後方では、蠢くオブジェにされながらも、呻き声を上げ、もがいているディメンターの姿があった。

 

「ここは私に任せてもらえないか?」

 

そう言うと、ルーピン杖を片手に、ディメンターに近付いていくと、ルーピンを襲おうとして居るのか、氷の呪縛を解こうと激しくもがき、怒号を上げている。

 

「シリウス・ブラックをマントの下に匿っている者は誰もいない」

 

ルーピンの説得も虚しく、ディメンターは抜け出すのを諦めない。

 

「交渉決裂のようね。で?どうするのかしら?」

 

杖を指先で遊ばせながらルーピンに近付くと、少し溜息を吐いた後、諦めた様に口を開いた。

 

「追い払うしかないな、私が合図したら奴らを逃してくれないか」

 

「任せるわ」

 

ルーピンが杖を取り出し、眼前に構えた。

 

「やってくれ」

 

合図を受けたので、私が軽く指を弾くと、乾いた音が反響した後、甲高い音を立て、氷柱が崩壊した。

 

「グオォオ」

 

凍りの呪縛から起き放たれたディメンター達は、目の前に居るルーピンに一斉に襲い掛かった。

 

「エクスペクト・パトローナム」

 

 

ブツブツと呟くように呪文を唱えると、杖の先から銀白色で半透明な狼が現れ、襲い掛かるディメンターに攻撃を加え、追い払った。

 

「これでいいだろう」

 

「えぇ、そうみたいね」

 

先程までの不気味な雰囲気はすでに消え去り、列車内にも光が戻った。

 

私はルーピンの横を通り抜け、先程まで居たコンパートメントへと向かう。

そんな私の背中を、ルーピンは何処か警戒したような視線を向けている。

まぁ、気にしないでおこう。

 

 

 コンパートメントの扉を開けると、中は悲惨な状況だった。

 

ハーマイオニーとロンは青白い顔をして、震えている。

ハリーも同様に青白い顔をしているが、気を失っているのか、床に倒れ込んで居る。

 

ハリーの腰ベルトを片手で掴み、椅子の上へと移動させ、数回頬を叩き、目を覚まさせる。

 

「お目覚めね、気分はどう」

 

「ふぅ…最悪な気分だよ…」

 

青白い顔のハリーは、蚊の鳴くような声で呟いた。

 

「目を覚ましたようだね」

 

何処か疲れたような表情ルーピンがコンパートメントの扉を開け入ってくる。

 

「チョコレートだ。食べると良い、気分が良くなる」

 

カバンからチョコレートを取り出し、ハリー達に配り始めた。

 

「君も食べるかい?」

 

「遠慮するわ」

 

「そうかい」

 

チョコレートを半分程食べきったのか、ハリーの顔色も元に戻り、気力も出てきたようだ。

 

「さっきのはなんだったですか?」

 

まだ頭が痛むのか、頭を押さえながらハリーが聞いた。

 

「ディメンター、吸魂鬼だ。あれはアズカバンの看守のものだろう」

 

その後、ディメンターについてルーピンが簡単に説明した。

 

要約すると、ディメンターとは、アズカバンの看守で、人の幸福感や生命力を吸い取る事もある、非常に恐ろしい存在らしい。

 

「それにしても、君には驚かされたよ。まさかあのディメンターをあそこまで簡単に…君はいったい何者なんだ?」

 

「普通のホグワーツ生よ。それ以上でもそれ以下でも何でもないわ」

 

「生徒がディメンターを退けるとは…大したものだよ」

 

まぁ、天使共に比べれば、まだ可愛らしい物だ。

 

 

「貴方も見事だったわ」

 

「あぁ、ありがとう」

 

互いに簡単な社交辞令を交わした。

 

「それでは、私は少し運転手と話してくるよ」

 

そう言い残すと、ルーピンはコンパートメントの扉を開け、ゆっくりと外へと出ていった。

 

 

 

 ルーピンが走り去った後、しばらくすると、汽車は動き出し、無事駅へと到着した。

 

その後、ホグワーツへと移動すると、マクゴナガルが駆け足で私達に駆けより、ハリー達を医務室へと連れて行くという事だ。

 

私も医務室で検査を受ける様に言われたが、撃退した事を伝えると、マクゴナガルは少し引き攣ったような顔で納得したようだ。

 

 

マクゴナガルから解放された私は、とりあえず大広間に入ると、入学式が始まった。

 

そこでは、いつものように組み分けが行われる。

 

組み分け帽子の歌は去年とも一昨年とも少しずつ違っていたが、おおむね最初に私が聞いたような内容であった。

 

毎年、多少なりともアレンジを入れているのは芸が細かいものだ。

 

組み分けが終わるとダンブルドアが前に出た。

 

 

 「新学期おめでとう! 皆にいくつかお知らせがある。1つはとても深刻な問題じゃから、皆がご馳走でぼぅっとなる前に片付けてしまうほうがよかろう…」

 

 ダンブルドアは、わざとらしく大きく咳ばらいをした。

 

「ホグワーツ特急での捜査があったから、皆も知っての通りだとはおもうが…我が校は今、アズカバンの吸魂鬼を受け入れておる。魔法省のご用でここに来ておるのじゃ」

 

 

魔法省の指示とは言え、あのような危険な存在を徘徊させるとは…物騒な事だな。

 

それを聞いた生徒たちからは、不安の声が上がり、会場は騒然となっている。

 

「皆が不安がる気持ちはよくわかる…じゃが吸魂鬼たちは学校への入り口という入り口を固めておる。あの者たちがここにいる限り、はっきり言っておくが誰も許可なしに学校を離れてはならんぞ。吸魂鬼は悪戯や変装に引っかかるような代物ではない。透明マントでさえ無駄じゃ。姿現しでもしたら外に出ることは可能じゃろう。だが、ホグワーツでは姿現しは出来んように、このワシが呪文をかけておる」

 

まぁ、いざとなれば蹴散らせば良いだけなので問題はないだろう。

そう思っていると、ダンブルドアの視線がこちらを捉えているような感じがした。

 

「言い訳やお願いを聞いてもらおうとしても、吸魂鬼は聞く耳を持たん。それじゃから一人ひとりに注意しておくのじゃ。あの者たちが皆に危害を加える口実を与えるでないぞ。絶対に自分から近づいて行ってはいかん。対抗や、封じる術を持っていたとしてもじゃ」

 

ダンブルドアは私をはっきりと見ながらそう言った。

どうやら、あのルーピンという男が、ホグワーツ特急での事を話したのだろう。

ルーピンの方に視線をやると、私と目線があった。

 

何やら警戒されている様だ。

 

 

「さて…暗い話は以上にして、楽しい話に移ろうかの」

 

ダンブルドアが、ルーピンを見ながら話し続けた。

 

 

「今学期から新任の先生を2人もお迎えすることとなった。まず、ルーピン先生。有り難いことに空席になっている闇の魔術に対する防衛術の担当を引き受けてくださった」

 

生徒からは疎らな拍手が起こる。

 

近年の闇の魔術に対する防衛術の教師にまともな奴は居なかったから仕方ないだろう。

 

拍手を受けているルーピンは、少し恥ずかしそうに頭を掻いている。

 

そんな様をスネイプが怒りを通り越し、殺意を孕んだ視線で睨みつけている。

 

もう一人の教師が紹介されたが、何とそれはハグリッドだった。

 

前任の魔法生物飼育学の担当が引退したので、後を引き継いだという話だ。

 

ハグリッドが担当と聞き、とてつもなく不安感を覚えた。

何といっても、教科書として怪物の本を選ぶぐらいだ。不安しかないだろう。

 

しかし、グリフィンドール生からは、盛大な拍手が送られた。

 

ハリーに至っては、拍手が止むまで延々と手を叩き続けていた。

 

「さて…これで話は終わりじゃな、それでは食事を始めよう」

 

その合図を皮切りに、目の前に料理が現れる。

 

多くの生徒が待ち侘びていたのか、料理に齧り付いている。

 

私は、ゆっくりと食事を楽しむことにした。




ディメンターさん達には今後もいろいろ出番は用意してあるますよ(意味深)

凍りの槍の元ネタはマイナーすぎましたかね…
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