ハリー・ポッターとアンブラの魔女   作:サーフ

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ホグズミード村って行ってみたいですよね。


シリウス・ブラック

ボガートの一件以降、ルーピンの授業は人気の授業になった。

今までの闇の魔術に対する防衛術の教員の中では一番まともなのだから、それは当然だろう。

そして、座学だけではなく、実習が多いのも人気の理由だろう。

 

そんな中、ハグリッドが受け持つ、魔法生物飼育学の授業はとてもつまらない物になってしまった。

マルフォイがあれだけ大騒ぎしたせいか、父親であるルシウスにまで話が伝わり、面倒なことになっている様だ。

その為か、今となっては授業の殆どが、レタス食い虫の世話をするだけとなっている。

 

 

 

 しばらくすると、ハロウィーンの時期がやって来た。

多くの生徒が興奮したように、何か話し合っている。

理由はというと、今日はホグズミード村へと行く事が出来るからだろう。

 

私は、ジャンヌのサインが入った許可証をマクゴナガルに提出すると、保護者はエンツォではないかと聞かれたが、一応、設定上ではあるが、姉であるジャンヌの存在を明かすと、納得したようで許可を出した。

 

皆が騒いでいる中、ハリーだけは暗い顔をしている。どうやらホグズミード村へ行く事の許可が下りなかったのだろう。

 

そんなハリーを慰める様に私達は声をかけた。

 

「暗い顔しているわね、お土産は買ってくるから安心しなさい」

 

「うん…ありがとう、ベヨネッタ…」

 

ハーマイオニーとロンも続け様に声をかけるが、何処か不貞腐れる様な顔をし、「土産話をたくさん聞く」とだけ言い残すと、どこかへ消えて行ってしまった。

 

仕方なく、私達はホグズミード村へと向かう事にした。

 

 ホグズミード村へ向かう道中、ハーマイオニーとロンはずっと口論をしている。

 

理由は、ハーマイオニーのペットの猫が、ロンのペットである鼠を襲っただか、襲ってないだかと言ったくだらない物だった。

 

そんな会話を、ホグズミード村に着くまでずっと繰り返しているので、流石にバカバカしく思える。

 

 しばらくすると、目の前にホグズミード村らしき場所が現れた。思っていた以上に小さな場所だ。

 

村に入ると、各々が見たい場所へ移動していく。

 

「とりあえず、温かい物でも飲みに行きましょう。『三本の箒』なんてどうかしら?」

 

「いいね。ベヨネッタも行くよね?」

 

「そうね、軽くなら良いわよ」

 

行き先が決まったようで、私達は、ハーマイオニーの後に続き『三本の箒』へと入っていった。

 

 店内は案外きれいで、明るい雰囲気だった。

 

私達は適当な席に腰かけると、ウェイターらしき人物が注文を取りに来た。

 

「ご注文はお決まりですか?」

 

「私は、バタービールで」

 

「僕も同じものを」

 

2人の注文を取り終え、ウェイターが私の方へ顔を向けた。

 

「そうね…ギムレットを貰おうかしら、ローズのライムジュースで頼むわ」

 

そういうと、ウェイターは少し困った表情で

 

「お客様の年齢ではギムレットには早すぎるかと…」

 

「あら?マルティニなら良いのかしら?」

 

私が皮肉っぽく返すとウェイターは少し笑いながら

 

「マルティニなんかとてもかなわないかと思われます」

 

「フッ…まぁいいわ、じゃあ同じ物を貰おうかしら」

 

「バタービール3つですね」

 

少しチップを渡すと、ウェイターはお辞儀をして受け取り、颯爽と去っていった。

 

「………」

二人は驚いた表情をしているが、何か言ってくるわけではなかった。

 

しばらくすると、ジョッキに注がれ、ビールの様になった飲み物が運ばれてくる。

 

私はバタービールを手に持つと、ゆっくりと流し込んだ。

 

生暖かく、甘ったるい味が口の中に広がった。

バターの風味は良いが、見た目がビールな為か、少し違和感を覚える。正直あまり好みではない。

 

「おいしいわね、飲みやすいし」

 

「そうだね」

 

どうやら、2人にはちょうどいい味の様だ。

 

「それにしても、ベヨネッタ、貴女なんでお酒なんか頼んだのよ」

 

ハーマイオニーがどこか怒ったような口調で話しかけてきた。

 

「まぁ、気持ちは分かるよ、僕だってお酒飲んでみたいと思うし」

 

何を勘違いしたのか、ロンからは同情を掛けられる。

 

とんだ災難だ。

私は深いため息をつき、残っていたバタービールを流し込んだ。

 

 三本の箒から出た後は、ハーマイオニー達と別れ、別行動する事にした。

 

適当に雑貨を見て回り、ある程度楽しめたので、ホグワーツへと戻る事にした。

 

その道中、1匹の不細工な猫を見かけた。

あれは確か、ハーマイオニーのペットの猫だ。

その猫は、私と目を合わせると、『にゃー』とないた後、まっすぐ進み、再び振り返ると、また『にゃー』と鳴いた。まるでついて来いと言っているかのようだった。

 

「へぇ、何か楽しいことでもあるのかしら?」

 

私は、その猫の後についていく、猫は時折振り返ると、私が付いて来ているのか確認している。案外賢いようだ。

 

しばらく歩くと、目の前に暴れ柳が姿を現した。

去年車で突っ込んで以来だ。

 

 

猫は、何の躊躇いも無く、暴れ柳に歩み寄って行く。

 

暴れ柳は、その枝を震わせ、猫を殴り飛ばそうとする。

しかし、猫はバク宙で枝を避けると、何食わぬ顔で、暴れ柳の一部を押さえた。

すると、先程まで暴れまわっていたのが嘘の様に、大人しくなった。

 

「なるほど、ここを押さえればいいのね」

 

猫に近付くと、暴れ柳の根元には人一人がようやく通れるくらいの小さな穴が開いていた。

 

猫は一鳴きすると、穴の中を滑って降りた。どうやらついて来いと言っている様だ。

 

穴の中を抜けると、周囲には暗闇が広がっている。

 

しかし、この程度の暗闇、大した問題ではない。

 

暴れ柳の下は、天井が低い小さな部屋になっている。案外アンティーク感があっていいセンスをしている。

それにしても、かなり歩いたようだが、一体ここはどこなのだろう?

 

猫の後に続き、こんな所までやって来てしまったが、一体何が待ち構えているのだろうか。

私は少し警戒し、両手に銃を構える。

 

一番奥の部屋の扉を開けると、中には大きな黒い犬が座っていた。しかし、犬から発せられる魔力の流れから、この犬が動物もどきであるという事が分かる。

 

 

「あら?ここはあなたの部屋かしら?」

 

犬に話しかけるが、ワンと鳴くだけで、その場を動こうとはしない。

しかし、その表情は、警戒しているといった感じだった。

 

「アンタが動物もどきだって事は分かっているわ、姿を現したらどうかしら?」

 

 

「ウガァ!!」

 

次の瞬間、黒い犬が牙を剥き、私に飛び掛かってくる。

 

「甘いわね」

 

体の軸をずらし、口先を回避し、犬の柔らかい腹部に回し蹴りを食らわす。

 

「ギャァイ!」

 

犬が悲鳴を上げ、壁に激突し、周囲が埃と土煙で覆われる。

 

数秒間、動きが全くない。気絶でもしたのだろうか?

 

 

 

「ステュービファイ!!」

 

 

煙の奥から、痩せ細った男が、魔法を放ち、煙を吹き飛ばしながら、私に襲い掛かる。

 

「残念ね」

 

襲い掛かる魔法を、杖で受け流し無効化させる。

その光景に、痩せ細った男は信じられないと言った表情をしている。

 

「これで終わり?なら次は私の番ね」

 

両足に力を籠め、男との間合いを一気に詰める。

 

「なっ!」

 

男は、杖を構え直し、再び魔法を放とうとする。

しかし、それより早く、眼前に迫り、右足で杖ごと、腕を蹴り上げる。

 

「グッ!」

 

腕の痛みに耐えかねたのか、苦痛に歪んだ声を上げる。

 

「さて、これでゆっくり話ができるわね」

 

上空に吹き飛ばされた杖は、空中で数回転した後、私の手に綺麗に収まった。

 

そんな状況を見て、観念したのか、男は床に両膝を付けた。

 

「何が目的だ…ホグワーツの生徒のようだが…」

 

「この子が案内してくれたのよ。アンタのお友達かしら?」

 

部屋の奥に居た猫が、間抜けな鳴き声を上げた。

 

「私の事を知らないのか?」

 

「アンタみたいなパッとしない男に興味は無いわ」

 

少しショックを受けたのか、その男は少し項垂れた後、声を発した。

 

「私はシリウス・ブラックだ…」

 

シリウス・ブラック…確かアズカバンを脱獄したという囚人だったか?

 

「ハリーが狙われているって言っていたけど、わざわざ脱獄して、こんなところに潜伏してまでとは、執念深いのね」

 

「待ってくれ!それは違う!私は犯人じゃない!」

 

目の前の男、シリウスは必死の形相で、自己弁護を行っている。

 

「別に、アンタが犯人であろうと、無かろうと私には関係ないわ」

 

「そうだな…ディメンターに引き渡すのか…」

 

「さっきも言ったけど、そんな事に興味は無いわ」

 

「え?ではなぜ…」

 

「アンタが先に仕掛けてきたんじゃない、正当防衛よ」

 

私がそういうと、シリウスは申し訳なさそうに、項垂れた。

 

「すまなかった…私はてっきり…」

 

「まぁ、過ぎた事はしょうがないわ。それより確認よ、アンタはハリーを殺すつもりはないのね」

 

「当たり前だ!それに私はハリーの両親を裏切っていない!アズカバンに投獄されたのも、冤罪なんだ!」

 

「そうなの、それはお気の毒ね、それで?なんでこんな所に隠れていたのかしら」

 

「それは…裏切り者を…奴に借りを返すためだ!」

 

シリウスは力強く叫ぶと、憎悪に満ちた声で、その裏切りの名を口にした。

 

「ピーター・ペティグリューだ!奴は世間では私に殺されたことになっているが、総て奴の自作自演だ!あいつは鼠の動物もどきで、下水管を通って逃げたんだ…小指を1本だけ切り落として…」

 

 

「なるほどね…それで濡れ衣を着せられた訳ね。とんだ災難ね」

 

「だがその屈辱も…あと少しで終わる…ホグワーツにその鼠が紛れ込んでいる…この子が教えてくれたんだ」

 

シリウスはそういうと、ハーマイオニーのペットの猫の喉を撫でている。

撫でられている猫の表情はとても気持ちよさそうだ。

 

「なるほどね…この子があの汚い鼠を襲ったのはそれが理由ね、食事に困って居る様には見えなかったし」

 

「あぁ、どうにかここまで連れて来てもらおうとしたのだが…」

 

そこまで言って、シリウスは項垂れてしまう。そして、首だけを上げ、私を少し睨んだ後、ゆっくりと口を開く。

 

「奴を捕まえるのを手伝ってくれないか…」

 

「私の事を信用するのかしら?」

 

私は、杖の先で眼鏡を整えると、少し皮肉を込めた口調で言い放つ。

 

「今はそれが最良の選択肢だからだ…無論、決定権は君にある」

 

シリウスはそこまで言った後、深々と頭を下げお辞儀をした。

 

「ふぅ…仕方ないわね、良いわ、協力してあげる」

 

「本当か!」

 

「仕方ないじゃない、そこまで話を聞かせておきながらよく言うわね」

 

「すまないな」

 

少し複雑そうな表情のシリウスは再び、深々とお辞儀をした。

 

 




やっぱり、まともに戦う場面が無いと、比較的平和ですね。

今年の更新はこれで最後となります。

来年もよろしくお願いいたします。
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