ハリー・ポッターとアンブラの魔女   作:サーフ

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今年もよろしくお願いします。




侵入者

 

シリウスと別れ、杖を取り出すと、少し早いが、いつもの様にバーへと移動した。

 

「なんだ。今日はえらく早いな。まだ開店時間じゃねぇぞ」

 

薄暗い店内でロダンは、椅子に腰かけ、テーブルの上に足を置きながら、リラックスした状態で、日刊預言者新聞を読んでいる。

 

「硬い事言わないで頂戴。とりあえず1杯貰えるかしら」

 

「あぁ」

 

椅子から起き上がると、背中を伸ばしながら、バーカウンターの奥へと向かっていった。

 

「いつものでいいか?」

 

「そうね、今日はギムレットを貰おうかしら」

 

「珍しいな」

 

そう呟くと、ロダンはドライジンとローズのライムジュースを取り出す。

 

「量はどうする?」

 

「半分ずつね」

 

私が注文すると、ロダンはシェイカーに酒を入れ、慣れた手付きでシェイクすると、カクテルグラスに注いだ。

 

「待たせたな」

 

ギムレットを受け取り、さっそく口にする。

 

ジンの風味とライムの酸味がちょうどいい。

 

「それにしても、こんな時間に来るとは、何かあったのか?」

 

「ホグズミードに行ってたのよ」

 

私は詰まらなそうに呟き、もう一口飲み込む。

 

「ホグズミードか、また辺鄙なところへ行ったもんだな」

 

鼻で笑いながら、テーブルの上の酒を仕舞い込んだ。

 

「そこで、シリウス・ブラックに会ったわ」

 

「ほぉ」

 

「どうやら、冤罪らしいわ」

 

「そりゃ災難だな」

 

ロダンは先程まで座っていた場所に腰かけると、日刊預言者新聞を手に取り読みだした。

一面は相変わらず、脱獄囚シリウスの事が書かれている。

 

私はグラスに残っている、僅かなギムレットを飲み干すと、杖を手に取った。

 

「邪魔したわね」

 

「あぁ」

 

素っ気無さそうに手を振るロダンを尻目に、ホグワーツへの自室へと戻っていく。

 

姿が完全に消える直前、壁に磔にされている、天使の脳天を打ち抜くのも忘れなかった。

 

 

 

 自室に戻り、外へ出ようとするが、その扉に大きな切り傷が付けられている。一体何がったのだろう。

外へ出ようと試みるが、扉はびくともしない。

 

「仕方ないわね」

 

私は、右足に力を籠めると、固く閉ざされていた扉を蹴破った。

 

「なっ…」

 

扉を蹴破ると、そこに人だかりが出来ており、その場に居た全員の視線が私に集まっている。

 

「セレッサよ…ここで何をしておるんじゃ」

 

静まり返った空気の中、驚愕しているダンブルドアが口を開いた。

 

「蹴破っただけよ、何か問題でも?」

 

「蹴破ったって…なんてことを!」

 

マクゴナガルのヒステリックな声が響き、周囲の生徒に緊張が走った。

 

「まぁ良い…お主はしばらく、中に居ったという事じゃな…その間に侵入者など見てはおらぬか?」

 

「見てないわね」

 

「そうか…他に見た者はおらぬか?」

 

ダンブルドアの通る声が、周囲に響いた。

その時1匹のゴーストが甲高い声を上げた。

 

「見つかったらお慰み!何と言っても絵から逃げ出した後、醜く走り回ってましたからな」

 

「どうしたのじゃ…ピーブズ…」

 

「こんなことをする奴は相当残忍な奴ですなぁ!えぇ、まったく、あの悪名高きシリウス・ブラックは」

 

ゴーストはその場に居る全員に声高らかに言い放った。

 

シリウス・ブラックがこの学園に侵入したと…

 

 

 結局その夜は、シリウスが侵入している可能性を考慮して、全員が大広間に集まって眠るという事態になってしまった。

まったくあの男は余計な事をしてくれる。

 

そんな事を考えていると、派手なパジャマに身を包んだ、マルフォイが枕を小脇に抱えながら声をかけて来た。

 

「こんばんは、セレッサ。それにしても酷い騒ぎになったものだね」

 

「まったくね。会ったらお仕置きしてあげなきゃいけないわね」

 

「ハハ…そいつはうら…いや、恐ろしい事を考えるね」

 

「女の子を床で寝させるなんて、とんでもない事よ」

 

「確かにそうだな…それにしても物騒だよね……………その…よかったら………」

 

マルフォイが何かを口にしようとしたところに、不機嫌そうなロンが食い掛かって来た。

 

「何しに来たんだ!マルフォイ!」

 

「チッ!ウィーズリー!君には関係ないだろ!」

 

「なんだよ。僕はてっきり、シリウスが怖くなってベヨネッタに泣き付きに来たのかと思ったよ!」

 

「なっ!」

 

「死んじゃうよぉ!だって!笑えるよな」

 

ロンは明らかに誇張したマルフォイのモノマネをする。

それに釣られ、多くのグリフィンドール生が声を上げ笑っている。

 

「黙れ…」

 

マルフォイは怒りを込めた声を上げるが、ロンはそれを無視している。

 

「たすけてよぉ!ハハッ!惨めなもんだ!」

 

「黙れ!黙れと言っている!ロナルド!ウィーズリーィ!!」

 

マルフォイは怒声を上げると同時に杖を構る。

 

「やるのか!」

 

負けじとロンも杖を構える。

そんな状況に、周囲の生徒は熱狂し、まるで見世物の様に盛り上がっている。

 

しかし、お互いの間には、一触即発の空気が流れており、いつ魔法が放たれても、おかしくない状況だった。

 

「はぁ…」

 

あまりにも馬鹿馬鹿しい状況に、溜息を吐き、2人の杖の間に割り込んだ。

 

「どけ、ベヨネッタ!君はこんな奴を庇うのか!」

 

「どいてくれ、セレッサ。頼む…」

 

「二人とも落ち着きなさい」

 

私がそういうが、2人は一向に杖を下す気配がない。

 

「仕方ないわね」

 

その場で両手を振り上げ、2人の杖を上空へと弾き飛ばす。

 

「なっ」

 

「えっ」

 

突然の事に驚きを隠しきれない2人は、間抜けな声を上げる。

 

弾き飛ばされた杖は、ある程度の高さまで上昇すると、その後、重力に従い落下を始める。

 

私は頭上で腕を交差させ、落下してくる2本の杖を掴む。

 

そして、ロンにはマルフォイの、マルフォイにはロンの杖を喉元へと突きつける。

 

「「………」」

 

先程まで熱狂していたのが、嘘の様に周囲の生徒は大人しくなり、2人は冷や汗をかいている。

 

「これで少しは落ち着いたかしら?」

 

 

「あ…あぁ」

 

「うん…」

 

互いに間の抜けた返事をする。

 

「フッ」

 

私はその場で半回転し、2人の杖を胸ポケットへと滑り込ませる。

 

「なら早く寝なさい。わかったわね」

 

それだけ言い残すと、私はその場を離れた。

 

後に残された2人は、ただ茫然と、私の後ろ姿を見ているだけだった。

 

 

 

 

 次の日は、学校全体が、シリウスの噂で持ちきりだった。

どのように侵入したのか、何が目的なのか、やはり、ハリーを狙っているといった噂が独り歩きをしている。

 

私は、ウィッチタイムのなか、学校を抜け出すと、暴れ柳の中へと入っていった。

しばらく進むと、部屋の中央で黒い犬が、呑気にも大欠伸をしている。

 

「まったく…呑気なものね、アンタのおかげで学校中パニックよ」

 

私がそういうと、犬は驚いた表情をこちらに向け、一瞬で人型へと戻った。

 

「すまなかったな、だがどうしても、自分を抑えきれなかったんだ」

 

「なるほどね、でも絵を切り裂くのはやりすぎじゃないかしら?」

 

「それについても反省はしているよ、まぁ学生時代の付けを返してやっただけさ」

 

シリウスは少し自嘲気味に笑うと、近くにあったソファーに腰を掛けた。

 

「付けねぇ…アンタもグリフィンドール生だったそうね」

 

「誰から聞いた?」

 

「学校中、アンタの話題で持ちきりよ」

 

「そうか…」

 

シリウスは何処か物悲し気な様相で外を見ながら、溜息を吐いた。

 

 

 しばらくすると、シリウスの噂もあまり聞かなくなった。

しかし、学校側はまだ警戒しているようだ。

 

そんなある日、いつもの様に、闇の魔術に対する防衛術の授業を受けるべく、教室で待機していると、ルーピンではなく、不機嫌そうな表情のスネイプが入室してきた。

 

「先生、今は魔法薬学の時間じゃありません」

 

ハーマイオニーが言うと、スネイプは相変わらず不機嫌な表情で面倒くさそうに答える。

 

「そんな事は分かっておる、流石に吾輩も…教室を間違えるバカではない、だが君はそうは思わないようだな、ミス・グレンジャー?」

 

スネイプの嫌味に、流石のハーマイオニーも耐えられなかったのか、目を逸らした。

 

「ルーピン先生は体調が優れない様でな、故に今回は吾輩が仕方なく代理をする事になった」

 

スネイプは少し自慢げに言うと、さっそく本を取り出した。

 

その時だった、教室の扉が勢い良く開かれると、ハリーが転がり込んできた。

 

「ルーピン先生、すいません…おくれ…」

 

ハリーは教室に居るのが、スネイプだという事を知り、驚愕した表情で、スネイプの顔を見ている。

 

 

「大層なご身分だなポッター、授業は既に始まっている。グリフィンドールから10点減点だ。早く座れ」

 

「ルーピン先生はどうされたんですか?」

 

「体調不良だそうだ、分かったらさっさと座れ」

 

「何があったんですか!」

 

「心配はいらないと聞いている。それより早く座らぬか…グリフィンドール10点減点だ。これ以上、吾輩に減点させるつもりか?」

 

スネイプの言葉に、ハリーは少し項垂れながら、席に着いた。

 

ハリーの表情は、不満そのものだった。

今までルーピンがやっていたのを、いきなりスネイプに変われば無理もないだろう。

 

「さて…それでは本日の授業を始める。今回やるのは人狼についてだ」

 

スネイプは少し笑みを浮かべながらページをめくると、ハーマイオニーが再び口を挟んだ。

 

「先生、人狼をやるのはまだ早すぎます。まだそこまで教わっていません」

 

「この授業は、君の授業ではないのだぞ、グレンジャー…それでは諸君、教科書を開け」

 

その後は、人狼についての授業が進んでいった。

ルーピン程の盛り上がりは無かったが、非常に分かり易い授業だった。

 

授業が終わると、スネイプが人狼についてのレポートを課題として出し、多くの生徒が不満に満ちた声を上げた。

 

「スネイプの授業なんてもう受けたくないよ、早くルーピン先生に戻らないかな」

 

「そうね、私もルーピン先生には早く元気になってほしいわ」

 

「それにしてもどうして、人狼なんてやったんだろう、もっと他にもやることなんて沢山あるのに」

 

ロンは、呑気そうに呟くと、ハリーとハーマイオニーも頷いた。

 

どうやら、スネイプがなぜ人狼の授業を行ったのか理解していないようだ。

 

「今日が満月だからよ」

 

少しヒントを出してやると、3人は食いついてきた。

 

「満月だから?それだけかい?確かに人狼は満月の時におかしくなるって言っていたけど…」

 

「だからって今までの授業のペースを乱さないで欲しいよな」

 

ロンとハリーは呑気そうに笑いあっているが、ハーマイオニーだけは何かを理解したように小声で話しかけてきた。

 

「ベヨネッタ…もしかして貴女、ルーピン先生が…」

 

「可能性はあるんじゃないかしら」

 

その言葉にハーマイオニーは少し俯いてしまった。

どうやら、理解したのはハーマイオニーだけのようだ。

 




シリウスのせいでおかしな事になってしまいましたね。

しばらくは正月という事で、更新が不定期になるかもしれません。

ご了承ください。
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