ハリー・ポッターとアンブラの魔女   作:サーフ

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今回、あるキャラのイメージが崩壊します。
まぁ…結構序盤から崩壊していますが…




死刑執行人

 

 クリスマス休暇も終わり、またいつもの様に授業が始まる。

 

私が大広間に向かっていると、後ろからマルフォイが声をかけてきた。

 

「やぁ、セレッサ。クリスマスは楽しめたかい?」

 

「えぇ、それなりにね、その様子だと腕はもう良いみたいね」

 

「あぁ、もう完璧さ。そうだ、父上にその話をしたら、理事に訴えてくれたみたいでね。近いうちにヒッポグリフは裁判に掛けられるだろう。多分それなりの罰は受けるはずさ。君が助けてくれなかったら、今頃僕は死んでいたからね」

 

「もぉ、大袈裟ね」

 

「ハハッ、大袈裟かも知れないけど、事実さ、感謝しているよ」

 

マルフォイが傷を受けたであろう場所を感慨深い表情でなぞっていく。

 

私はそんな、マルフォイの手に触れ、同じように傷を受けた場所をなぞってやる。

すると、マルフォイは一気に頬を紅く染め、狼狽し始める。

 

「んっ!セレッサ、なにを」

 

「傷の様子を見ているだけよ。問題無さそうね」

 

私が手を離すと、頬を赤らめ、少し名残惜しそうな表情で私を見上げている。

 

 

 クリスマスが終わったころから、ハリーとハーマイオニーの仲が険悪な関係になっている。

 

 理由は恐らく、ハリーがクリスマスプレゼントに新しい箒を貰ったのだが、その送り主が不明で、その事を不審に思ったハーマイオニーがマクゴナガルに申告し、箒を取り上げられてしまったのが原因だ。

まぁ、あのマクゴナガルの事だ、しばらくすれば箒を返すだろう。

 

 私は久しぶりに、シリウスの元を訪ねると、部屋の中心で1匹の黒い犬がブルブルと震えている。

 

「毛皮があっても寒いのね」

 

シリウスは少し考えた後、人へと姿を変えた。

 

「毛皮が有ろうが無かろうが、寒いのに違いはない」

 

「その様ね」

 

「それより、ハリーは箒を貰って喜んでいたか?」

 

「なんですって?」

 

シリウスの思いもよらぬ発言に私の思考が一瞬停止してしまった。

 

「だから、ハリーは私が送った箒を喜んでくれているかと聞いて居るのだ。まぁ匿名で送ったから私だとは、思われないが」

 

「はぁ…」

 

私は思わず溜息を吐いてしまった。

 

ハーマイオニー達の不仲の原因が、まさか目の前に居るとは…予想外だ。

 

「ハリーなら箒を受け取って喜んでいたわよ」

 

「おぉ、それは良かった」

 

その言葉にシリウスはとても嬉しそうな表情を浮かべている、

 

「でも最初だけよ」

 

「どういう事だ…」

 

そして今度は、どん底へと突き落とされたかのような表情をしている。

 

「匿名のプレゼント…アンタからかもしれない物を不審に思った生徒が、マクゴナガルに告げ口して、没収されたのよ」

 

「そんな…どうして…」

 

シリウスは信じられないといった表情で首を左右に振っている。

 

「アンタ…自分が指名手配されている自覚あるのかしら?」

 

「あー……それは…」

 

どうやら完全に失念していたようだ。

 

「はぁ、これ以上問題は起こさないでほしい物ね」

 

「わかった…気を付けよう」

 

シリウスは少し悲し気に呟き、犬へと戻っていった。

 

 

 その後、ハリーの元へと無事、箒が戻り、そのおかげか2人の仲も元に戻った。

 

 それから時間が経ち、学年末テストが始まった。

 

今回のテストはあそこまで難しくなく、拍子抜けなものだった。

その中でも、魔法生物飼育学のテストに至っては、レタス食い虫を1時間観察するだけといった、くだらない物だった。

 

そして、テストが終わった頃、談話室に入ると、ハーマイオニー達がどこか神妙な表情で話し合いをしている。

 

「あっ、ベヨネッタ。君ならなんとかできるんじゃないかな…」

 

ハリーから手渡された手紙には、ヒッポグリフの処刑執行に関することが書かれていた。マルフォイが言って居たのはこの事か。しかし、処刑とは大袈裟かも知れない。

 

「決定事項よ、本人たちが考えを変えない限り無理ね」

 

「そんな、何とかならないのか!」

 

ロンは大声を上げながら、頭を抱えている。

 

「とりあえず、ハグリッドの所へ行くよ。ここでじっとしている訳にもいかないよ」

 

ハリーは意を決したようで、ハグリッドの元へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 ハグリッドの小屋の近くには、鎖に繋がれたヒッポグリフが悲痛な声で鳴いている。

小屋の扉をノックすると、ハグリッドが扉を半分程開き、私達を見据えた。

 

「お前さん達だったか。早く入れ」

 

何故か石弓を構えているハグリッドの許可を得て、私達は小屋の中へと入り込んでいく。

 

「はぁ…執行人かと思った…」

 

「まだ来てないんだね」

 

ハリーは少し安心したようで、安堵の表情を浮かべている。

 

「あぁ、だが…もうじき来るはずだ…」

 

 ハグリッドが紅茶の準備をしていると、無表情のダンブルドアを先頭に、仏頂面の役人と顔を布で覆った執行人と思われる人物、そして腕にギプスを巻き、何処か浮かない表情のマルフォイと満面の笑みを浮かべているルシウスがやって来た。

 

 

 

「誰か来たよ!」

 

「こりゃ不味い!早く出ていくんだ!」

 

私達は、何とかダンブルドア達にバレる事無く、ハグリッドの小屋から脱出する事が出来た。

 

「とりあえず、もどろう…風邪引くよ」

 

ロンの提案に、ハーマイオニーとハリーが付いていく。

 

「ベヨネッタ…君も戻ろう」

 

「私はちょっとやる事があるわ」

 

「何をするつもりだ?いくら君でも…僕等に出来る事はもう何もないんだ…早く戻ろう…見たくないんだ…」

 

 

3人は悲痛な声を上げるが、それらを聞き流しながら、私は再びハグリッドの小屋へと歩みを進めた。

 

扉を勢い良く開け、中へと入ると、小さな部屋の中に詰め込まれている全員が、私に視線を向けた。

 

「セレッサ。お主、このような時間に出歩くとは感心せぬのぉ」

 

「たまには夜の散歩も乙なものよ」

 

「ホホホ…確かにそうかもしれんのぉ、しかし、このように冷え込んでは風邪を引くかもしれぬ。良ければ、同室せぬか」

 

「えぇ、そうさせてもらうわ」

 

「セレッサ…僕は…」

 

「アンタまで来てたのね、腕は大丈夫かしら」

 

私がワザとらしく聞くと、マルフォイはローブの中へと腕を仕舞い込んだ。

 

「これはこれは、久しぶりですな」

 

ルシウスが息子を庇う様に、私に話しかけて来る。

 

「息子から話は聞いて居る。君が助けてくれたようだね」

 

「親子揃って大袈裟ね」

 

「そうでも無いさ、君が助けてくれなければ、息子は今頃あの忌々しい獣に殺されていただろう。未だに傷が癒えないのだ。それほど凶暴なのだろう」

 

ルシウスは憎悪を込めた声でハグリッドを睨み付けている。

 

「さて、それでは話を始めようではないか」

 

 ルシウスの声を皮切りに、ヒッポグリフの処刑理由が述べられていく。

 

私は、部屋の一角に背中を付け、足を交差させ、会話を聞いていく。

 

「以上の事から、このヒッポグリフは処刑に価するという判決が下された。異論はありませんか」

 

役人が、長い処刑理由を述べた後、項垂れているハグリッドが苦しそうな声を上げる。

 

「理由は分かっちょります…でも…そこを何とか…いくら何でも処刑は…それ以外の方法で何とか…」

 

ハグリッドは立ち上がると、深々とお辞儀をした。

 

隣に居るダンブルドアはただその姿を、何の感情も込められていない様な表情で見ている。

相変わらず何を考えているかわからないタヌキおやじだ。

 

「何を言っているのだ!現に息子は大怪我を負ったのだ!」

 

「しかし…それは…」

 

「息子が悪いというのか!何に変えても生徒を守るのが教員の役目だろう!本来なら貴様もクビになってもおかしくない案件なのだぞ!それを、獣の処刑だけで許してやろうと言っているのだ!私の寛大さに感謝して欲しいくらいだ!」

 

ルシウスが長い口上を述べると、ハグリッドは威圧されてしまったのか、力なく椅子に座り込んだ。

 

「それでは…処刑は確定です」

 

役人がそういうと、ダンブルドアを先頭に役員、ルシウス、ハグリッドの順で、小屋から出ていく。

 

私もそれに続き、出ようとすると、震える声でマルフォイが声をかけてきた。

 

「僕は…処刑なんて望んでいる訳じゃなかったんだ…ただ、少し罰を与えたかっただけなんだ…」

 

「ここまで大事になるとは思わなかった訳ね」

 

マルフォイはその場で俯き、動かなくなった。

 

「行くわよ」

 

「え?」

 

「せめて見届けなさい、それがアンタの役目よ」

 

私が扉を開け、外へ出ると、私の後をゆっくりと付いてきた。

 

外に出ると、処刑人に拘束されているヒッポグリフの姿が目に入った。

 

「そんな…こんなことに…」

 

マルフォイが目を逸らそうとするが、私がそれを制した。

 

「逸らしては駄目よ」

 

「僕は…こんな事…望んでなんかいない…」

 

「なら、アンタが止めなさい」

 

「え?」

 

「自分の思いに従いなさい………私は、そうしたわ」

 

マルフォイは自分の腕に巻かれているギプスとヒッポグリフを交互に見据える。

 

処刑人は斧を構え、首を撥ねようと、斧を振り上げた。

 

「僕は…」

 

意を決した様にマルフォイが走り出した。

 

「待ってくれ!」

 

マルフォイの声が響くと同時に、斧が振り下ろされる。

 

 

 振り下ろされた斧は、ヒッポグリフの眼前を掠める様に振り落とされた。

 

「ドラコ!どうしたんだ?」

 

マルフォイは近くの木に勢い良く、自分の腕を叩きつけた。

 

「な!何をしているのだ!やめるんだ!」

 

険しい表情のマルフォイは、ギプスを数回ほど叩きつけ、ギプスを破壊し、包帯を取り、腕を捲った。

 

捲られた腕は、多少の傷跡を残しているものの、完治している。そんな腕を高らかに掲げる。

 

「フッ…よくやったわね…ドラコ」

 

私の方を見ているドラコの表情は、どことなく満足気だった。

 

 




いかがだったでしょうか?
タグにある通り、キレイなマルフォイの登場です。

もっと泥臭いマルフォイにしても良かったのですが、ベヨネッタの調教によりここまでキレイになりました。
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