ハリー・ポッターとアンブラの魔女   作:サーフ

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個人的にロンにはエンツォに近いポジションになってもらおうかと考えています。

そのため今回は少しロンの扱いが雑になっていると思います。

ロンファンの方にはイメージと違うと思われる方が居ると思いますが、ご了承ください。


ホグワーツ特急

9月1日

今日はホグワーツの新学期が始まる日である。

多くの人々が行きかうキングス・クロス駅に私はやって来た。

白いシャツ、青い色のネクタイにベストを羽織り、ローブをマントのように肩にかけて、プリーツスカートからは白いニーソックスと黒いローファーを身に着けた細くて華奢な足が見えていた。

 

「着てはみてみたけど…」

 

あまり納得はいかなかった、悪くはないのだが…どこか納得がいかなかった。

 

「ふん…少しくらいはアレンジしたっていいでしょう」

 

そういうと杖を手に取り少し魔力を込める。

すると私を除く世界の動きがどんどんとゆっくりになっていって、最終的にはすべての動きが停止した。

 

【ウィッチタイム】

 

アンブラの魔女が使える技能の一つで周囲の時の流れを操ることができる。

私はこれを使い周囲の動きを完全停止させた。

 

 

「これでいいわね」

 

手に持ったポーチから紙袋を取り出し、その中からヒールの高い黒のブーツと黒いストッキングを取り出した。

まずはローファーと白いニーソックスを脱ぎ。ストッキングに履き替えて、ブーツに足を通して、普段つけているブローチをつけた。

その後目の前にある大きなガラスの前で自分の姿を確認した。

 

「まぁ、良しとしましょう、さて場所は…」

 

私はスカートのポケットからホグワーツから送られてきたチケットを取り出す。

チケットには『キングス・クロス駅、9と3/4番線』と書かれていた。

 

周囲を見渡してみるが、9番線と10番線はあるが、どこにも『9と3/4番線』なるものは見当たらなかった。

 

「これも魔法界なりのユーモアかしら?」

 

注意深く周囲を見回していると、似たような服装で大量の荷物をカートに乗せて柱に全速力で走っている人が数人おり、柱にぶつかった瞬間、柱の中に飲み込まれていった。

どうやら、あの柱が9と3/4番線の入り口なのだろう。

彼らの真似をするように私も一歩一歩確実に柱に歩み寄っていく。

 

柱を通り抜けたその先には紅色の蒸気機関車が停車しており、時々蒸気を吐きながら、発車する時を今か今かと待ちわびていた。

ホームの上には『ホグワーツ急行』と書かれていた。

 

駅のホームでは大量の猫が周囲を走り回り、柵にフクロウが止まっており、ホーホーと合唱のように鳴いていた。

あれは、生徒たちが連れていくペットなのだろう。

ホグワーツは、猫、カエル、フクロウがペットとして持ち込みが可能になっていたが、今回は別に必要ないと思い連れては来なかった。

 

周囲には制服に身を包んだ生徒とその保護者らしき人物が楽しそうに、または不安そうに語り合っていた。

これならジャンヌを連れてくればよかったと思いながら、車両に乗り込み、空いている席に深く座り込んだ。

車窓からは別れを惜しむように話している生徒や保護者がいたが、一人、また一人と電車に乗り込んでいき、保護者達は電車に向かい手を振っていた。

 

しばらくすると発車時間が来たようで、多少の振動を感じながら車窓の風景が流れ始めた。

すぐに駅は小さく見えなくなってしまい、あたり一面に緑が広がっていった。

 

しかしあまりにも代わり映えがしない風景にも飽きてきてしまい、ポーチの中から教科書を一つ取り出す。

暇潰し程度に読む分には丁度いいかもしれないと思い、ページを開こうと手をかけたその時、ノックが聞こえ、コンパートメントの扉が開かれた。

 

「あの…その…ここいいかな?その…どこも開いていないんだ…だから…」

 

おどおどとした丸顔で背が低い少年が入ってきた。

その視線は時々こちらを見てくるが決して私と視線を合わせようとはしなかった。

 

「別にいいわよ、私一人には広すぎるわ」

 

そういって空いている席を指さすと少年は小声で「ありがとう」といいながら腰を下ろした。

 

私は別にやることがなく、手に取っていた教科書を開き目を落とした。

少年の方は相変わらず落ち着かない様子でこちらに度々目線を向けてくるが少年から話しかけようとしてくる様子は一切なかった。

 

そんな状態が30分ほど続いたあたりでコンパートメントが開かれ微笑んだ老婆がやってきた。

 

「車内販売です、何かほしいものは?」

 

 

持ってきた時計に目をやると12時を過ぎており、多少の空腹を感じていた。

ワゴンには様々なお菓子が並んでいた。

 

【カエルチョコ】【百味ビーンズ】【ワンダフルケーキ(テイクアウト)】と多種多様だ。

 

 

「そうね、じゃあワンダフルケーキをもらいましょうか」

 

「ぼ…僕はカエルチョコと百味ビーンズ…あと大なべケーキを…」

 

「毎度ありがとう」

 

ポケットから銀貨を取り出し、老婆に渡し、カプセルに包まれた小振りなケーキを受け取った。

 

 

「えっと…お金が…あれ?」

 

「どうしたんだい?まさか金がないのかい?」

 

「いや、確かに持ってきたはずなんだけど…あれ?」

 

目の前の少年が自分のポケットに手を突っ込んだり慌てている。

 

「どうしよう…ないよ…」

 

涙声で老婆の方を見ているが、老婆は不機嫌そうな顔になっていた。

 

「金がないんじゃ…売れないね、残念だけどしょうがないね」

 

「そんなぁ…」

 

老婆にはっきりと言われて少年は今にも泣きだしてしまいそうだった

流石にこのままでは空気が悪くなりそうなので、私はポケットから少し汚れた金貨を2枚取り出す。

 

「私が払うわ、これで足りるかしら?」

 

金貨を目にした老婆はニッコリと笑ったので、金貨を手渡した。

 

「十分ですよ、ありがとうございます」

 

そういうと少年が注文したものを手渡してそそくさとコンパートメントから出ていった。

 

「ありがとう、ごめんね、今度返すから」

 

「別にいいわよ、それより食べないのかしら?」

 

「そ…そうだね、ありがとう」

 

そういうと少年は大きなケーキにかぶりつき始めた。

 

私もワンダフルケーキのカプセルを開け口に入れた。

 

「ワンダフルね」

 

目の前にあったケーキがあと少しで食べ終わるであろうという時に再びノックの音が響いた。

 

「あの、相席大丈夫かしら?」

 

コンパートメントの扉を開けて入ってきたのは、茶髪でぼさぼさの長い髪で少し出っ歯の少女だった。

 

「えぇ、私は大丈夫よ」

 

「僕も大丈夫だよ」

 

「ありがとう、じゃあ失礼するわね、それにしても魔法の世界ってすごいわね、驚く事ばかりよ!」

 

そう言いながら彼女はコンパートメントの中に入ってから、荷台に荷物を置いてから私の隣に腰掛けた。

 

「私は、ハマイオニー・グレンジャー。ハーマイオニーでいいわよ」

 

「僕は、ネビル・ロングボトム…よろしくね」

 

「よろしく。私のことは、ベヨネッタ、セレッサ、好きな方で構わないわ」

 

「そうなの、じゃあベヨネッタって呼ぶわ、よろしくね。ところであなたさっきから何を読んでいるの?」

 

「別に、今期の教科書よ、通販のカタログの方が面白いけどね」

 

「私はアレ目移りしちゃって嫌いだわ。教科書なら私も全部読んだわ、どんどんと読み耽っちゃったわ」

 

「もう読んでるなんてすごいね、僕なんてページすら開いてないよ…」

 

ネビルがおどおどとしながら答えてから周囲を見渡し始めた。

 

「あれ?おかしいな」

 

「どうかしたの?」

 

ハーマイオニーがそういうとネビルが荷台の方を背を伸びをしてのぞき込んでからこちらに目線を向けた。

 

「居ないんだ!僕のトレバーが居ないんだよ!」

 

「トレバー?」

 

ネビルの話を聞くにどうやら、彼のペットであるカエルのトレバーが逃げ出したようだ。

 

「それって大変じゃない!とりあえず探しましょう!」

 

ハーマイオニーがそう言って席を立ちあがった。

どうやら彼女は、重度のお節介焼きなようだ。

 

「私とベヨネッタは車内を探すわ、ネビルはコンパートメントの中を探して!」

 

どうやら私も一緒に探す羽目になったようだ。

私は面倒に思いながらも立ち上がり、ハーマイオニーと一緒に車内へ出ていった。

 

 

車内通路は狭く人2人がやっと通れるくらいでしかなかった。

 

「さぁ、行きましょうか」

 

ハーマイオニーがそう言ってどんどんと歩いていくので、私はため息を吐きながらその後をついていくことにした。

 

しばらく歩くとハーマイオニーが一つのコンパートメントの扉を開いた。

 

「ねぇ、ネビルのカエルを見てないかしら?どこかへ逃げちゃったみたいなの」

 

突然の訪問者に中にいた2人の少年は互いに目を合わせてから、赤毛の少年がこちらを見て少し戸惑いながら答えた。

 

「え?カエル?いや見てないけど…ところで君はだれ?」

 

「そうだったのね、急に失礼したわ、私はハマイオニー・グレンジャー、ハーマイオニーでいいわよ。こっちにいるのがベヨネッタよ」

 

急に私の方まで紹介されたので、少し面食らったが少年たちの視線がこちらに向いていたので軽く手を振った。

 

「そうなんだ、僕はロン・ウィーズリー」

 

「僕はハリー・ポッター、よろしく」

 

「ハリー・ポッター!あなたがあの有名なハリー・ポッターなのね!」

 

「ハリー・ポッター?」

 

「なに、ベヨネッタあなた知らないの?」

 

「えぇ、知らないわね」

 

「そんな、ハリー・ポッターを知らないなんて…君ひょっとしてマグル出身?」

 

「そうね、あまりこっちの世界にはいなかったからそうなるわね」

 

「やっぱりそうなんだ、道理でハリーを知らないわけだ」

 

そう言うと赤毛の少年、ロンが何度か頷いていた。

話題になっているハリーは少し気まずそうに苦笑いをしていた。

 

「ハリーは例のあの人から生き残った唯一の生き残りだよ」

 

「例のあの人って誰の事かしら?」

 

「やっぱり、それも知らないんだ!名前を呼んじゃいけないあの人だよ」

 

「だから誰よそれ」

 

「ヴォルデモートだよ」

 

ハリーが静かにその名前を呼ぶと、ロンは酷く嫌そうな顔をして耳を塞いだ。

 

「やめてくれよ!その名前は聞くだけでもダメなんだ!」

 

「そうなのね、まぁ、私には関係ないわね」

 

「そうよ、それに例のあの人はハリーに負けて姿を消したって言うじゃない」

 

「ハーマイオニー、確かに君の言うとおりだけどね、それは君たちマグルの方で生活していたからだよ。魔法界じゃ名前を聞いただけで弱い人じゃ呪われちゃうくらいなんだ」

 

ロンは相変わらず怯えたように声を荒げる。

 

 

その時、私達の背後にある一団がやってきた。

 

振り返るとそこには、金髪の少年…確か服の採寸の時にいたドラコ・マルフォイだった。

 

「やぁ、ウィーズリー。ここにあのハリー・ポッターがいるっての本当かい?おや、ミス・セレッサ、君もいたのか」

 

「あら、あの時の坊やね」

 

「何の用だよ!」

 

あからさまにいやそうな態度を表に出してロンが叫ぶように立ち上がった。

 

「貴様に用なんてない、用があるのはハリー・ポッターだけさ」

 

「出て行けよ!ハリーは君に用なんてないさ!」

 

「これだからウィーズリー家は…ポッター君、こんな奴と付き合うより僕たちと付き合った方がいいと思うよ」

 

そう言うとマルフォイはハリーに向かって握手をしようと手を出した。

少し考えた後ハリーはマルフォイが出した手を拒んだ。

 

「悪いけど、付き合う相手は自分で決めるよ」

 

周囲の空気が一瞬だけ凍り付く。マルフォイはプライドを傷つけられたのか、「もういい!行くぞ!」と捨て台詞を吐き、取り巻きの数名と共に奥へ消えていった。

 

「よく言ったぜハリー!見たかアイツの悔しそうな顔!」

 

ロンは先程のことが嬉しかったのかニヤニヤと笑いながらハリーの肩を叩いていた。

 

「それにしても嫌な奴だよな、それにあいつは質の悪い純血主義者なんだぜ」

 

「純血主義者?」

 

私がそう聞くと、ロンがカエルチョコを口に含んでから話し始めた。

 

「純血者が魔法界で一番だって思っている連中のことさ」

 

「そんなのただの差別主義じゃない!なんでそんな思考になるのかしら」

 

「さぁね、でも純血にしがみ付いている哀れな奴だって僕のパパは言っていたよ。ところでベヨネッタ、アイツは君のことを知っているようだったけど知り合いかい?」

 

「えぇ、ダイアゴン横丁で少しね」

 

「そうなんだ、ところであいつは何で君のことをセレッサって呼んでいたんだ?」

 

「別にどちらでも構わないのよ、好きな方で呼んでもらって」

 

「そうなのかい?それにしても、名前が2つもあるなんて君も相当変わったやつだな」

 

「ロン!あなた失礼よ!」

 

ハーマイオニーが声上げて注意した。

やはり彼女はお節介なところがあるようだ。

別に私自身そんなことで怒るほどのことでもないと感じた。

 

「でもさ、考えてもみろよ、自分の名前だぜ。しかもミドルネームや愛称って訳じゃないだろ?」

 

「えぇそうよ、無駄に長いよりはいいと思うけど」

 

意外とロンという少年はどうでもいいような事にこだわる様だ。

 

「でもさ、やっぱり変じゃないか!これもマグルの風習みたいなものなのかい?」

 

「別にそういうことじゃないわ、少し複雑なのよ」

 

「複雑って言われても、やっぱり変なものは変だよ」

 

「ロン、いくらなんでも失礼だよ…謝ったほうが良いんじゃないかな?」

 

「そうよ、ハリーの言うとおりだわ」

 

「うん…そうだね、ごめんよ」

 

流石に気まずいのか、私とは目を合わせずに謝罪しお辞儀をした。

 

別にそこまでしなくてもいいのに、むしろそこまでされると少し意地悪したくなるじゃない。

 

「別にいいわよ、どう思うなんて他人の勝手だわ。それよりカエルを探すんじゃなかったかしら?」

 

あえて私は少しつれない風を装い口調を強めに言った。

 

それを聞いてハーマイオニーが少し気まずそうにコンパートメントの扉を開けて外へ出ていった。

 

「さて、それじゃあこれで失礼するわね、邪魔したわね」

 

コンパートメントの扉を開けて一歩出た後すこし振り返る。

 

「それと、さっきの質問だけどあの坊や、マルフォイも同じことを聞いてきたわ。でも坊やの方はそんなしつこくは聞いてこなかったわ、あまりしつこい男は嫌われるわよ」

 

それを聞いたロンはひどく驚いた顔をして固まってしまった。

 

「冗談よ、気にしないでいいわよ。私も慣れてるから」

 

さらに困惑したようで何度も瞬きを繰り返していた。

そんな彼を尻目に私達はコンパートメントを後にした。

 

 

しばらく車内を探し回って行くと最後尾の車両の陰に1匹のヒキガエルが隠れるように鎮座していた。

 

「きっとあれね」

 

「よかった、それじゃあ捕まえるわね!」

 

そう言うとカエルの背後にゆっくりと近づき、両手でそっと抱きかかえこちらに見せてきた。

 

「やったわ!無事捕まえられたわ」

 

「そうね、じゃあ早く戻りましょう」

 

「えぇ」

 

カエルを抱えて私たちのコンパートメントへ向かう途中で、ハーマイオニーは私の方を見ないでそっと呟いた。

 

「さっきは、ごめんなさい」

 

「別に気にしてはいないわ、それにしてもあなたって相当お節介な性格なのね」

 

「お節介で悪かったわね!」

 

彼女は微笑みながらそういうとコンパートメントに向かって小走りで駆け寄り扉を開けて中に入っていった。

 

カエルを見たネビルは喜びと感謝を込めて何度も私たちにお礼を言ってから、カエルを大事そうに膝の上に抱えた。

 

そんな事をしているうちに終点に着いたようで電車の動きがゆっくりと停止した。

 

 

 

 




いかがでしょうか。

次回からは学生生活をエンジョイしてもらう予定です。


ロンには今後も少し不憫な思いをさせてしまうかもしれませんが、私はロンが嫌いじゃないです。
むしろマルフォイの次位に好きなキャラです。
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