ハリー・ポッターとアンブラの魔女   作:サーフ

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今回は第一課題開始直前までです。




杖調べ

 

 私達も退出し、グリフィンドールの談話室が近くなって来た時、ハリーは何か思い詰めた様に話しかけてきた。

 

「ベヨネッタ…僕は名前入れてないんだ。それなのにどうして選手に選ばれたのか…分からないんだ」

 

「そうなの? 少し意外ね」

 

「何か心当たりない? 誰か入れているところを見たとか…」

 

「残念ね、私が入れる所ならドラコが見ていたくらいよ」

 

「あいつが? なんでまた…」

 

「偶然会っただけよ」

 

「そうなんだ…」

 

 私達は肖像画を通り談話室に入ると、次の瞬間には爆音の様な拍手が談話室に木霊した。

 

「すごいぞ! ベヨネッタ! ハリー! 君達ならやると思ったよ!」

 

「グリフィンドールから2人もだぜ、すごいぞ本当に!」

 

 入り口に入るなり、多くの生徒が声を上げた。

 

 その中、ウィーズリーの双子が大声を上げた。

 

「全員注目だ! さて、これから代表選手に選ばれた2人にインタビューをしたいと思います!」

 

 杖をマイクに見立て私達に感想を聞き始めた。

 

「まずはハリーからだ、今の気持ちはどうだい?」

 

「えっと…僕…何が何だか…よくわからないんだ」

 

「なるほど、理解が追い付かない程嬉しいと…次はベヨネッタだ」

 

 ハリーと同じような質問をした後、私に杖を向けてきた。

 

「別にどうって事無いわ、良い退屈凌ぎにはなりそうね」

 

「流石は言う事が違うね! とってもクールだ!」

 

 双子のインタビューに会場のボルテージも上がっていく。

 

 

「さて、次の質問だ。これは多分皆が気にしている事だろうけど、どうやって立候補したんだ? 年齢線は? 俺達なんか髭を生やされた上に吹き飛ばされたんだぜ」

 

 2人のやり取りに談話室は笑いの渦に飲まれた。

 

「じゃあまずベヨネッタ、君に聞いてみよう」

 

 

 そんな中、再び杖を私に向けてきた。

 

「別に大した事なんてしていないわ。ダンブルドアがなんか小細工していたようだけど、意味なんて無かったわよ」

 

 談話室からは歓声が上がる。

 

「じゃあ、あれかい? 君はあの、僕等を吹き飛ばしたダンブルドアの年齢線を何の苦労も無く越えたって言うのかい? そして正々堂々ゴブレットに名前を入れたと?」

 

「そうなるわね」

 

 再び会場内に『おぉー』と言う歓声が上がる。

 

「すごいな! 流石だ!」

 

「セドリックには悪いけど、グリフィンドールが優勝だな!」

 

「ビューティフル!!!」

 

 談話室は再び歓喜の渦に包まれる。

 

「さあさあ! 皆様静粛に! 今度はハリーに聞いてみよう! ハリー、どうやって投票したんだい? 君が年齢線を突破した方法を教えてくれるかい?」

 

「僕は…僕は入れてないんだ」

 

「え?」

 

 ハリーの回答に談話室内がざわつき始める。

 

「えーっと…ハリー? 俺の頭おかしくなっちゃったのかな? 今『入れてない』って言ったか?」

 

「僕、ゴブレットに名前を入れてないんだ」

 

「ちょ…ちょっと待ってくれよ…それだとなんで君の名前が出て来るんだ?」

 

「それは…僕に言われても…」

 

「おいおいおい、流石にその冗談はつまらないぜ」

 

「本当のことを言えよ! 嘘吐き!」

 

「どうせダンブルドアに頼んだんだろ! お前はお気に入りだからな!」

 

 ハリーの答えに会場内は歓声から怒声に変わった。

 

「でも本当なんだ! 本当に僕は名前を入れてないし! 年齢線を越えてもないし、越え方だってわからない!」

 

 

 ハリーのまさかの回答に、ウィーズリーの双子が肩を竦め、状況を収拾できないでいる。

 

 

「僕もう寝るよ! もうわからないし! 疲れた!」

 

 ハリーはそう叫ぶと、男子寮の方へと走り出した。

 談話室の多くの生徒は、ハリーをまるで犯罪者を見るかのような視線を送っている。

 

「あんな奴ほっとけよ!」

 

「嘘吐きめ! 素直に認めろよ!」

 

「その点ベヨネッタは正直だよな」

 

「まぁ、ハリーの件は少し置いて…さてそれでは質問を続けよう! 代表選手になろうと思った訳は?」

 

 再び私に杖が向けられ、先程までの怒声がピタリと止んだ。

 

「そうね…しいて言うならダンブルドアの期待に応えてあげただけよ」

 

「ん? それは一体どういう事だい? ダンブルドアが君に出場して欲しいならわざわざ年齢線なんて用意しないと思うけど」

 

「逆よ、ダンブルドアは私に出場して欲しく無かったのよ。そこまでするなら私も期待に応えて、参加してあげなきゃつまらないじゃない」

 

 私は1本のロリポップを取り出し、ゆっくりと口に咥える。

 その動作だけで、会場内に歓声が上がった。

 

「つまり、ダンブルドアは自分の策に溺れたという事か! コイツは驚きだ!」

 

「やっぱりクールだな!」

 

「いいぞ!」

 

「今日はマクゴナガルに怒られるまでパーティーだ!!」

 

 その後、ある者は料理を持ち込み、またある者は大量のお菓子を、そしてある者は大量の飲み物を持ち寄り、談話室のボルテージは最高潮となり、マクゴナガルが怒鳴り込んで来るまで楽しいパーティータイムとなった。

 

 

 

 

 

 代表選手の発表から数日が経った頃、学校内は私達の話題で持ちきりだった。

 

 しかし、称賛されているのは私とセドリックだけで、ハリーは陰口を言われている様だ。

 

 ドラコに至っては『汚いぞポッター』と書かれたピンバッジを配っている様らしい。

 

 そしてなぜか私は、ドラコが手を回したのか、スリザリンの生徒からも応援されている。

 まぁ、悪い気はしない。

 

「やぁ、セレッサ。調子はどうだい?」

 

 振り返るとそこには、胸にピンバッジを付けたドラコが少し嬉しそうな表情で立っていた。

 

「いつもと変わらないわよ。ハリーはだいぶ参っている様だけどね」

 

「ハハッ、自業自得さ。アイツの事だ、きっとダンブルドアに手を回してもらったんだろう。君と違ってアイツは姑息だからな」

 

「あら、ならスリザリンに入ればよかったわね」

 

「僕はあんな奴より、優秀な君の方が欲しいくらいさ」

 

「褒めても何も出ないわよ」

 

「素直な感想さ」

 

「へぇ…まぁ良いわ、アンタがハリーを嫌っているのはそのバッジを見ればよく分かるわ」

 

「これかい? 良いだろこれ、ちょっと仕掛けがあるんだ」

 

 ドラコはバッジを軽く叩くと、バッジの文字が変わり『優秀な魔女、セレッサを応援しよう』と出てきた。

 

「君の応援もできる様になっているのさ」

 

 ドラコはドヤ顔で言っているが、正直そこまで嬉しいものでは無い。

 

 私が回答に困っていると、ドラコは不安そうな表情を浮かべた。

 

「まさか…気に入らなかったかい?」

 

「さぁ?」

 

 少しとぼけると、後ろからセドリックが現れた。

 

「やぁ、これから代表選手は写真撮影があるんだ。集合だってさ」

 

「そうなの、なら向かうわ」

 

 ドラコに軽く手を振り、その場を後にした。

 

 

 会場である教室のドアを開け中に入ると、そこはかなり狭い部屋で机などが橋の隅に追いやられていた。

 

 部屋の中には代表選手全員が揃っており、バグマンと赤紫色のローブを着込んだ女と話し込んでいる。

 

「おぉ! 来たな! これで全員! 5人が揃った訳だ! なぁに、これから杖調べをするだけだ! 気を楽にしてくれ!」

 

 

「杖調べ?」

 

 ハリーが疑問を投げかけると、バグマンは自信満々に答えた。

 

「君達、代表選手の杖が万全な状態なのか調べる必要があるからな。その道のプロが今、ダンブルドアと話し込んでいる。そうだ、こちらに居るのがリータ・スキーターさんだ」

 

「ご紹介に預かった、リータ・スキーターざんす。よろしくざんす。さっそくざんすが、そちらのお嬢さん、お話を聞かせて欲しいざんすなぁ」

 

 スキーターは私を見ながら、まるでいいネタを見つけたと言わんばかりの表情をしている。

 

「良いわよ。せっかくだしインタビュー位受けてあげるわ」

 

「感謝感激ざんす! ここではあれですから…」

 

 そう言うと、スキーターは扉を開け外へ出るように促した。

 

 スキーターの後に付いて行くと、なぜか外にある小さな箒小屋の前まで連れてこられた。

 

「それでは、さっそくざんすが、いくつか質問を………」

 

「待ちなお嬢ちゃん。そいつのインタビューは俺の仕事だ」

 

 スキーターが楽しげな声を上げた時、聞き覚えのある声がその声を遮った。

 

 話を遮られたスキーターは嫌そうな分かり易い表情で声の主を睨みつけた。

 

 そこには帽子をかぶり、レザーのジャケットを羽織り、首にはマフラーを巻いている男が立っていた。

 

「ルカ、アンタなんでこんな所に居るのよ」

 

「ロダンの奴に上等なジンを渡してな、そしたらあっという間さ」

 

 ルカは、眼鏡をワザとらしく直しながら近付いて来た。

 

「なんざんすかアンタ? なんでマグルがこんな所に居るんざんしょ?」

 

「マグル? あぁ、魔法が使えない奴の事か。なぜってそりゃ、俺もインタビューしに来たからさ。ベヨネッタ、お前にな」

 

「フッ…こんな所まで追いかけて来るなんて。アンタも相当しつこいわね」

 

「このルカ様を舐めるんじゃないぜ」

 

 ルカは魔法界が楽しいのか、嬉しそうな表情を浮かべている。

 

 対するスキーターは怒りに歪んだ表情をしている。

 

「そういう訳だ。アンタは別の奴でも取材してな」

 

「それはこちらのセリフざんすよ。マグルごときが仕事を邪魔するんじゃないざんすよ」

 

 2人は互いに睨みあっている。

 まぁ、このままでは埒が明かない。

 

「ルカ、せっかくだしアンタのインタビューを受けようかしら」

 

「そう来なくっちゃ!」

 

「ちょ…ちょっと待つざんすよ! なしてこんなマグルの取材を…それにさっきは…」

 

「気が変わったのよ。それに私の知り合いだからよ。アンタはハリーの話でも聞いてきたらどうかしら?」

 

「ううぅうぅ…仕方ないざんすね…」

 

 スキーターは肩を落としながら、その場を後にした。

 

「さて、それじゃあ早速取材だ」

 

 ルカはそう言うと自前の年季の入った手帳を取り出した。

 

「まさかアンタから取材を受ける日が来るとはね」

 

「世の中、何があるか分からないって事だ」

 

 確かにそうだ。さて…そろそろ取材を受けるか。

 

 

 だがその前に、邪魔な『虫』を取り除かなくては。

 

「ルカ、アンタついてるわね」

 

「ん? 何がだよ」

 

 私は、ゆっくりとルカに近寄り、顔を近づける。

 

「お…おい! なんだよ」

 

「動くんじゃないわよ」

 

 そっと首元に手を回す。

 

「お…おい! いったい…」

 

 首に回した手を、ゆっくりとうなじに添わせ、そこに付いている虫を掴み取る。

 

「取れたわよ、うるさくて、小汚い虫が1匹ね」

 

「あ? なんだこりゃ? コガネムシか?」

 

 そこそこの大きさはあるコガネムシを摘まみ、その顔を覗き込む。

 

 コガネムシは私の指の間で、必死にもがき逃げ出そうとしている。

 

 まぁ、このコガネムシが、さっきまでいたあの女。スキーター本人である。

 

 それにしても、虫の動物もどきとは…何でもありだ。

 

 

「おいおい、ベヨネッタ。そんなにコガネムシなんて珍しいもんじゃ無いだろ。いつまで見てるんだよ」

 

 ルカは少し呆れた様に、首を横に振っている

 

「結構珍しいのよ、これ」

 

「さっさとどっかに飛ばせよ」

 

「良い子ならそうするわ。悪い虫なら………」

 

 コガネムシを挟む指に少し力を籠める。

 

 すると、コガネムシの躰が『ピシッ』っと音を立てヒビが入る。

 

 その瞬間、コガネムシとは思えない様な断末魔の叫びが上がり、さらに激しくもがき苦しんでいる。

 

「アンタはどっちかしらね?」

 

 更に指に力を込めると、コガネムシの躰から、汚らしい体液が漏れ出す。

 

 すると、先程までもがいていたコガネムシは次第に大人しくなっていく。

 

 顔を覗き込む。虫の表情は良くわからないが、どこと無く助けを懇願しているように見て取れた。

 

「そうね、今回は許してあげるわ。ただ、変な事をしようものなら次は容赦しないわよ」

 

 そう言って指から解放してやると、傷付いたコガネムシは覚束ない羽ばたきで何処かへ飛んで行った。

 

「相変わらず容赦ねぇな」

 

「分かってるでしょ、私は血も涙もないのよ」

 

 眼鏡を直しながら答えると、ルカはいつもの様に笑いながら、マフラーを巻き直している。

 

 

 その後、しばらくルカと話していると私の順番が回ってきたようだ。

 

「そういう事だから、私は行ってくるわよ」

 

「あぁ、俺はしばらく魔法界(こっち)を見てみようと思っている。お前が参加する三大魔法学校対抗試合も見学させてもらうぜ」

 

「そう」

 

 ルカに別れを告げ、私は会場へと戻った。

 

 会場に戻ると、他の代表選手達は椅子に座っている。

 

 そんな中、ハリーはスキーターの取材を受けている様だ。

 しかし私が入室した事に気が付いたのか、スキーターは顔色を変え、そそくさと会場を後にした。

 

 ハリーを始めとする代表選手達は、少し不思議そうな顔をしている。

 

 スキーターが去った会場では、5人の審査員と見覚えの在る一人の男が座っている。あれは確か…。

 

「それでは、オリバンダーさんを紹介しようかの。試合に当たって、皆の杖を見てくださる」

 

 紹介を受け、見覚えのある男…そうだ、オリバンダーだ。

 オリバンダーは軽く会釈をし、会場の真ん中へと歩を進めた。

 

「御紹介に預かりましたオリバンダーです。それではさっそく、マドモアゼル・デラクール。貴女からよろしいですか?」

 

「どーぞどーぞー」

 

 

 デラクールは、オリバンダーにやさしく杖を渡した。

 

 杖を受け取ったオリバンダーは、手の上でペンを回すように杖を遊ばせながら、まじまじと杖を見ている。

 まぁ、それにしても、細部まで装飾が施された杖だ。どちらかと言うと観賞用に近いのではないだろうか?

 

「見事な杖です。とてもお美しい」

 

 オリバンダーは丁寧にお世辞を述べ立た後、デラクールへと杖を返した。

 

「さて、それでは次にミスター・クラム。よろしいですな?」

 

 クラムはデラクールとは対照的に、堅苦しく、まるで軍隊で扱うように少し荒々しく、杖を差し出した。

 

 杖を受け取ったオリバンダーは、先程と同じように杖を回し何かを確認している。

 

 こちらの杖はどちらかと言うと、武骨で実用性重視といったところか。

 

「よく手入れが行き届いた、素晴らしい杖ですね」

 

 

 オリバンダーから杖を受け取たクラムは軽く一礼し、杖をローブの内側に仕舞い込んだ。

 

 その後、セドリックとハリーの杖調べも滞りなく終わり、ついに私の番がやって来た。

 

「あぁ…貴女でしたか………」

 

 私の顔を見るなり、オリバンダーは何処か嫌そうな顔をした。

 まぁこの杖を選んだ時、彼の店を半壊させてしまったのだから仕方ないだろう。

 

「久しぶりね」

 

「えぇ…本当に…あの後は大変でしたよ…」

 

 オリバンダーは何処か懐かしむ様な表情で虚空を眺めている。

 

「あの後1ヵ月は営業できませんでしたよ…ハハ…」

 

 

「それはお気の毒様、それより杖を見るんでしょ?」

 

 ポーチからいつもの様に杖を取り出す。

 

 ライズブルーの様な碧色を基調に金細工を施した杖に、その場に居た全員が息を呑んでいる。流石はロダンの逸品だ。

 

「その杖は…私が見るには荷が重すぎます…」

 

「それはどういう事じゃ?」

 

 早速ダンブルドアがオリバンダーに聞き直した。

 

「この杖はとても強力な力を持っているとしか言えませぬ…恐らく私が知る中で最も強力かと…」

 

「なんじゃと…それはもしや…」

 

 ダンブルドアは何やら意味深な事を口にするも、オリバンダーはただ首を縦に振っただけだった。

 

「そうか…ま…まぁ良いじゃろう…それでは皆の者、これで解散じゃ」

 

 

 ダンブルドアの声でようやく私達は解放された。

 

 

 

 




次回から第一課題です。

正直、課題についてはやりすぎた感はあるのですが、まぁそこが二次創作の醍醐味でしょうね。

どれだけの被害が起こるかお楽しみに。

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