ハリー・ポッターとアンブラの魔女   作:サーフ

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それでは第一課題です。


ドラゴン

 数日後

 いつもの様にバーで1杯やっていると、ジャンヌから日刊予言者新聞を手渡された。

 

 どうやら日刊予言者新聞にスキーターが書いた記事が載ったらしい。

 

 内容は、代表選手を囃し立てる内容や、逆に悪い印象を与えるなど、良くも悪くもゴシップ記事と大差なかった。

 

 しかし、私に関する記事はただ一言。

『期待の魔女、その素性は明らかではないが、最有力候補だろう』

 当たり障り無い内容が掛かれている。

 

「セレッサに関してはあまり書かれていないな、何をしたんだ?」

 

「別に、少し邪魔な虫を追い払っただけよ」

 

「程々にしておけよ」

 

 まぁ、下手に悪い記事を書かれるよりは幾分マシだろう。

 私とは正反対に、有る事無い事書かれているハリーが少し気の毒に思えた。

 

 

 第1課題が行われる前日。

 

 

 ハリーを始めとした他の代表選手達は何処か落ち着かない様子で過ごしている。

 

 それもそうだろう。明日には内容が明かされていない競技に参加するのだ。

 

 せめて内容でも分かっていれば多少対策も立てられるだろう…。

 

 

 そんな事を考えていると背後からドラコが声をかけてきた。

 

「やぁ、セレッサ。とうとう明日だね」

 

「そうね、まぁ退屈凌ぎにはなるんじゃないかしら?」

 

「どうかな? 明日の競技は相当手強いと思うよ」

 

 ドラコは少し意味深そうに言う。どうやら明日の競技の内容を知っている様だ。

 

「その口振りだと、明日何が行われるか知っているみたいね」

 

「父上から聞いてね。明日はドラゴンが出て来るみたいだ」

 

「ドラゴンねぇ…」

 

「驚かないんだね」

 

「それ位なら何の問題も無いわよ」

 

「フッ…君らしいね」

 

「それはどうも。明日ドラゴンが出る事、他の選手は知っているのかしら?」

 

「どうだろう? だがポッターは知っていると見て間違いないね。大方ダンブルドアがこっそり教えたんじゃないかな」

 

「ありそうね。まぁ、ダンブルドアからしたらハリーに死なれたくはない筈よ」

 

「だろうね」

 

 ドラコは嫌そうな顔をしながら首を横に振り、呆れた様に溜息を吐いている。

 

「それにしてもドラゴンね…」

 

「参考になったかい?」

 

「えぇ、十分に。借り1つね」

 

「ムーディの件で借りがあるからね。その時のだと思ってくれ」

 

「ならそうさせて貰うわ」

 

「あぁ……それと、ダンスパーティーだけど……」

 

 ドラコの声を遮る様に校内に就寝時間を告げる鐘が鳴り響いた。

 

「もうこんな時間ね。それで、ダンスパーティーがどうかしたのかしら?」

 

「い…いやぁ何でもないんだ。あ…あぁ、明日頑張ってくれ」

 

「そう? なら失礼するわよ」

 

 何処か不安そうな表情をしているドラコを残し、私は自室へと戻って行った。

 

 

 

 

 第1課題当日

 

 私は学校指定の制服ではなく、自らの髪で編んだ武闘装束に身を包んでいる。

 

 やはり、こっちの姿の方がしっくり来る。

 

 

 

 代表選手は設営されたテントに集められた。

 

 テントの中では私以外は落ち着きが無い様子だ。

 

 デラクールは冷や汗を掻き、貧乏ゆすりをしている。

 

 クラムは不安そうな表情で、壁に背を付けている。

 

 しばらくすると、ハリーが絶望しきった表情をし、おぼつかない足取りでテントに入って来た。

 

 

 

「良し! 全員揃っているな!」

 

 

 大声を上げ、バグマンがテントの中へと入って来た。

 

「観客が揃ったら、君ら一人一人に袋を渡す。その中に入っている模型が君たちの相手だ。そして課題の内容は、その相手を出し抜き、金の卵を手にする事だ」

 

 金の卵を手に入れる。

 

 その言葉を聞き、ハリー達は胸を撫で下ろしていた。

 

 少なくとも、ドラゴンの討伐が課題で無いと言う事が分かってホッとしているのだろう。

 

「もう一度言うが、持ち込んで良いのは自分の杖だけだ。他の物の持ち込みは禁止だ。よし、ではレディーファーストで………どちらから?」

 

『アンタからどうぞ』

 

『ならそうさせてもらうわ』

 

 デラクールはバグマンが手にしている袋に恐る恐る手を入れ、少し悲鳴を上げた後小さな模型を掴んだ手を袋から引き抜いた。

 

「これは、2番手のウェールズ・グリーン種だな。大人しい種類だと聞いているが…どうかな? さて次はそちらのレディだ」

 

 バグマンは私に手を向けると、他の選手達の視線が集まる。

 

 私は特に躊躇う事無く、袋に手を突っ込み1つの模型を取り出した。

 

「これは………5番手、ウクライナ・アイアンベリー種だな…コイツは危険だ。ドラゴンの中では鈍重なタイプだが、気性はとても荒いからな…」

 

 どうやらハズレを引いたようだ。

 まぁ、ドラゴン程度ならどうという事も無いだろう。

 

 

 次に袋に手を突っ込んだのはセドリックだった。

 

「コイツは1番手、スウェーデン・ショート・スナウト種だな。動きは俊敏。綺麗な炎を吐くのが特徴。まぁ本人はそんな事、気に留めてる余裕は無いだろうがな」

 

 

 今度はクラムが手を突っ込んだ。

 

「コイツは3番手、チャイニーズ・ファイヤーボール種だ。一風変わった見た目だが、その動きは素早いぞ」

 

 そして、最後に手を突っ込んだのはハリーだ。

 

 最後なのだから意味など有るのだろうか?

 

「コイツは4番手、ハンガリー・ホーンテール種だ。コイツは獰猛で危険だ。さて…どう相手するかな?」

 

 ハリーも私と同じようにハズレを引いたようだ。

 その表情は、とても暗かった。

 

 

「さて、何はともあれ、全員が自分が相手をするドラゴンが決まった訳だ。ではセドリック君が最初だ。大砲が鳴ったら飛び出すんだ。では諸君の健闘を祈るよ」

 

 バグマンは楽しそうな表情を浮かべ、不敵な笑みを浮かべながらキャンプを後にした。

 

 

 しばらくすると、地響きのような巨大な大砲の音が周囲に響いた。

 

「じゃあ行ってくるよ」

 

 セドリックは覚悟を決めた様で、決意に満ちた瞳でテントから出ていった。

 

 その直後、周囲に歓声が響いた。

 

 そろそろ競技が始まる頃だろう。

 そんな時、ハリーがおもむろに口を開いた。

 

「ベヨネッタ、どうやってドラゴンを出し抜くんだ?」

 

 

「特に考えては無いわね。出たとこ勝負ってところかしら?」

 

「僕は真面目に相談しているんだ! ふざけないでくれ!」

 

「ふざけて無いわよ。まぁ、そうね…いい子なら殺さない程度には遊んであげるつもりよ。悪い子だったら…どうしようかしら?」

 

「はぁ…」

 

 ハリーは溜息を吐くと、それっきり何も言わなくなった。

 

 10分ほど経った頃だろうか、会場から耳を(つんざ)く様な歓声が上がった。

 

 どうやら、競技は無事終わったようだ。

 

 再び大砲の発砲音が空気を震わせ、次の選手の出番を告げた。

 

 その音を聞き、デラクールは少し不安そうに出口へと歩いて行った。

 

『頑張りなさい』

 

『そっちこそ』

 

 軽く挨拶を済ませると、デラクールは出口に向かって走り出した。

 

 まぁ、彼女の事だ。特に問題は無いだろう。

 

 私は野外に響く(やかま)しい解説に耳を傾けた。

 

『おぉおっと! これはどういう事だ! ドラゴンが眠り始めたぞ!』

 

 ドラゴンを眠らせる。

 よく考えたものだ。これなら余程の事が無い限り、楽勝だろう。

 

 

 数分後、先程同様に歓声が上がった。

 

 彼女も無事課題を攻略したのだろう。

 

 順番的には次はクラムだ。

 

 砲弾の音が鳴り響くと同時にクラムは走り出した。

 

 その表情に恐れは感じられなかった。

 

 競技が始まって数分後、ハリーが重い口を開いた。

 

「僕は、箒を使うつもりだ」

 

「杖以外は禁止じゃなかったかしら?」

 

「持ち込むのはね。外部から呼び寄せればいいんだ」

 

「なるほどね…よく考えたじゃない」

 

「皆に相談したからね…僕は手の内を明かしたんだ。君も教えてくれていいんじゃないか?」

 

 ハリーはまだ私が嘘を吐いていると思っている様だ。やはり思い込みが激しい。

 

「さっきも言ったけど、特に考えて無いわ。ドラゴン程度簡単よ」

 

 私は近くにあった椅子に腰を掛け、足を組む。

 

「そうかい…まぁ君ならそうなのかもしれないけど…」

 

 無駄だと思ったのか、ハリーはこれ以上聞いて来る事は無かった。

 

 次の砲弾の音が響き、ハリーの番がやって来た。

 

「行ってらっしゃい」

 

「あぁ…行ってくるよ!」

 

 気合を入れた様で、ハリーは声高らかに会場に走り出した。

 

 誰も居なくなったテントの中、私の順番が回ってくるのを待っている。

 

 今までの選手より数分早く、歓声が響いた。

 

 外から聞こえる実況は、『やりました! ハリー・ポッターが最短時間で金の卵を手に入れました!」

 

 なるほど、どうやら上手く出し抜いたようだ。

 

 しばらくすると、再び砲弾の音が響いた。

 

 これは私の番を告げる音だ。

 

 椅子からゆっくりと立ち上がると、歓声が響く会場に足を踏み入れた。

 

 

 

 

 私が会場に入ると、割れんばかりの歓声と拍手が響いた。

 イレギュラーの2人目が出てきたのだから当たり前だろう。

 

『皆様お待たせいたしました! 今大会のイレギュラー! ミス・セレッサの登場です! 本日はいつもの服ではなく、黒を基調とした、セクシーな衣装で登場です!』

 

 実況が声高らかに叫ぶと、周囲のボルテージも上昇する。

 

 周囲を見回すと、競技場は岩場の様になっている。

 

 岩場には、不死鳥を象った石像や小便小僧の石像、そのほか様々なオブジェクトが散らばっている。

 

 中央にはドラゴンの卵が置かれており、その中心に金の卵が混ざっており、それを守る様にドラゴンが周囲を見回している。

 

 私が1歩近付くと、白く美しいドラゴンはこちらに気が付いたのか、その場で飛び上がると卵を守る様に私の目の前に着地した。

 

 着地の衝撃で周囲の岩にヒビが入る。かなりの衝撃があるようだ。

 

『凄まじい衝撃です! 会場の周囲には何重にも防御魔法が施されていますが、それでも衝撃を感じる程です! このドラゴンは今大会でも最大級の大きさですからね!』

 

 実況兼解説なのか、現状を事細かく説明している。

 

 

 私はドラゴンを見据えながら、1歩、また1歩と歩み寄る。

 

『全く動じることなくドラゴンに歩み寄っています! 彼女には恐怖心が無いのでしょうか!』

 

 ある程度近付くと、ドラゴンが首をもたげる。

 

 そして次の瞬間、ドラゴンの口から高温の炎が吐き出される。

 

 この炎に当たれば、間違いなく一瞬で焼き殺されるだろう。

 

 私はそんな炎を寸での所で(かわ)すと、ウィッチタイムを発動させ、流れを遅らせた世界でドラゴンの背に飛び乗る。

 

 その瞬間ウィッチタイムを解除する。

 

『これは! 逃げ出す姿が見えませんでした! まさか炎に…』

 

 

 周囲には一瞬の事で、私が炎に飲まれたと思っている様だ。

 

 そんな中、私はドラゴンの背に乗り頭を数回撫でてやる。

 

 その瞬間、ドラゴンが咆哮にも似た怒声を上げる。

 

『何という事だ! 炎に飲まれたと思っていたら、ドラゴンの背に乗っています! 一体どんな方法を使ったのでしょう!』

 

 暴れそうになるドラゴンから、飛び降りると卵が置いてある手前に着地し、金の卵を手に取る。

 

『早い! セレッサ選手! 最短で卵を手にしました!』

 

 これで課題はクリアだ。後はドラゴンを黙らせるだけだ。

 

 ドラゴンは卵を取られ激怒したのか、私に向かって炎を吐こうと首をもたげる。

 

「遅いわよ」

 

 私は首をもたげた瞬間に一気にドラゴンに詰め寄り、炎を吐こうとしている顔面に膝蹴りを喰らわせ、岩場に吹き飛ばす。

 

 突然の衝撃に対処しきれなかったのか、岩場に叩きつけられたドラゴンはその場で気を失ってしまった。

 

『何という事でしょう! セレッサ選手! 杖を使わず、体術のみでドラゴンを無力化した! これは凄い! 高得点が期待できるぞ!』

 

 うるさい解説を背後に聞きながら、私は金の卵を片手に会場を後にしようとすると、観客席に居るドラコと目が合った。

 その表情は安心しているような感じだ。

 

 しかし、その表情は次の瞬間驚きへと変わった。

 

「セレッサ! 後ろだ!」

 

 ドラコが叫び声を上げると同時に、私の居た場所に超高温の火球が着弾した。

 




迫り来る火球…ベヨネッタはどうなってしまうのでしょうか?


既プレイの方は次回、何が起こるか、なんとなく分かった人は多いはずですね。
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