ハリー・ポッターとアンブラの魔女   作:サーフ

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タイトルがネタバレですね。



勇気

  爆音が周囲に木霊する中、火球を寸での所で回避し、岩場に着地すると同時にロリポップを取り出し口へと咥える。

 

 そしてゆっくりと顔を上げ、火球が飛んできた方向に顔を向ける。

 そこには…

 

『よもやこの世界で再び貴様と相まみえるとは思いもしなかったぞ、ベヨネッタよ…』

 

 忌々しくも聞き慣れたエノク語が周囲に木霊する。

 

 その声の主は太陽の光を背に受けて、その巨大な体…いや、逆さまになっている顔が胴体になっており、貴金属や宝石をあしらった巨大な龍の頭2つを持ち、それを支えるほど巨大な翼を羽ばたかせながら悠然と宙に浮いていた。

 

 フォルティトゥードが光と羽根をまき散らしながら、会場を見据えている。

 

 四元徳(カーディナルバーチャズ)の1人『忍耐、勇気』と呼ばれた存在だ。

 

 

 その姿を目にした観客たちは、呆気に取られたのか全員その場で動かなくなっている。

 

 

 

「久しぶり、また会ったわね。この前は呆気なかったけど、今度は歓迎してくれるんでしょ?」

 

 

『減らず口を。前回は不覚を取ったが今回はそうはいかんぞ、天に楯突く魔女よ。貴様はいずれ魔に食われる不憫な女だ。ならば、今ここで…』

 

 フォルティトゥードの語りを遮る様に顔面に1発銃弾を放つ。

 

「相変わらず話が長いわね、アンタ達は。顔がムカつくだけで十分なのよ」

 

『フフフ、闇の力で再び歯向かうと? 何時の時代も魔女共は…」

 

 再び顔面に数発ぶち込む。

 

「消えなトリ頭!」

 

 フォルティトゥードはその2対の龍の頭をもたげ、その口から先程のドラゴンが吐き出した炎とは比べ物にならない炎…最早溶岩と変わりないそれを岩場に吐き出し、周囲を溶岩地帯へと変貌させた。

 

 私は辛うじて溶岩が達していない岩場に着地すると同時に、金の卵を背面の観客席に放り投げる。

 

 その卵を慌てた様子でドラコがキャッチした。

 

「アンタに預けるわよ」

 

 私がそう言うと、ドラコは数回瞬きをした後、大きく頷いた。

 

 

 そのまま魔力を解放し、フォルティトゥードに両手の銃を構える。

 

 フォルティトゥードは私の眼前を滞空するようにとどまりながら龍の口を開き、噛みつこうとした。

 

 その噛み付きを横に避けると、ウィッチタイムを発動させ、流れが緩やかな世界で銃身ごとその顔に叩きつける。

 魔力を最大まで解放しているので、私の打撃に合わせる様にウィケットウィーブ、マダムの拳も龍の頭部を殴りつけた。

 

『ぐぉぉお!』

 

 龍の頭部を殴られたダメージにより気を失ったのか、墜落するように地面へ墜ちていく。

 

 気を失ったことにより、周囲の溶岩も姿を消している様だ。

 

 私は気を失っている龍の頭の前に着地すると、その頭を小脇に抱え背負い投げの要領でその巨体を投げ飛ばす。

 

『あぐああ!』

 

 背面を地面に叩きつけられたフォルティトゥードは呻き声を上げた。

 

『ぐううぅううぅう!』

 

 先程の衝撃で目を覚ましたのか苦しそうな声を上げながら、その巨大な羽根を器用に使い立ち上がると、再び飛び上がり岩場に炎を吐き出した。

 

 すると、地響きと同時に再び溶岩が噴火するようにあふれ出す。

 

 私は噴火で飛び上がった岩場の一部に飛び乗ると、ウィッチタイムを発動させ、別の岩へと飛び移りながらフォルティトゥードの眼前へと迫る。

 

 ウィッチタイムを解除し、そのままフォルティトゥードの顔面を走りながら龍の顔へと移動し、その下顎を持つと振り子の要領で再びその体を溶岩の海へと叩きつけた。

 

 岩盤に着地し、そのまま首を持ち、先程と同じようにその巨体を背負い投げる。

 

 投げ終わった後、その口を無理やり開かせ、両手に力を込め、()じる。

 

 徐々に力が入って行くに連れ、筋肉の繊維や装甲が断裂する感触が体に響く。

 そして、最後に勢いを付け一気にその首をねじ切った。

 

『ギュアアあああ!』

 

 ねじ切られた龍の首は、血をドバドバと吐きながら跳ねまわり、断末魔を上げる。

 私が軽く指を鳴らすと地面に魔法陣が現れ、そこから、異様な手が現れ龍の頭を掴むと一気に地面へと引きずりこんだ。

 引きずり込まれるその直前まで、ねじ切られた龍の頭は悲鳴を上げていた。

 

『まだだ』

 

 1つの頭をねじ切られたフォルティトゥードだが、力強く叫ぶと、再びその巨体を宙へと浮かべる。

 そして、私目掛け1本の龍が火球を放つ。

 

 

「無駄よ!」

 

 火球が当たる直前、私は腕を前に突き出し、マハーカーラの月で火球を弾き返す。

 

 弾き返された火球は、時間を巻き戻すように吐き出した龍へと吸い込まれた。

 

『グぉ!』

 

 鈍い声を上げ、フォルティトゥードは龍の頭を下にしながら再び墜落する。

 

 墜落と同時に、周囲に地響きが鳴り、土煙が上がる。

 

 しばらくすると土煙は風と共に晴れた。そこには地面に顔が嵌ってしまったのか動けないでいる、間抜けなフォルティトゥードの姿があった。

 

 私は龍の首の付け根に近寄ると、ポーチから修羅刃を取り出し両手に構え、魔力を最大まで溜める。

 

 円を描くように刀を動かすと、それに沿って魔法陣が形成される。

 刀が眼前で一周回ると、眼前に魔法陣も完成した。

 

「はぁあ!」

 

 眼前の魔法陣ごと龍の首を刎ねる様に刀を上段に構え一気に振り下ろす。

 

 

 それと同時にウィケットウィーブを使い、一気に龍の首を刎ね飛ばす。

 

『ぎゅうあううう!』

 

 刎ね飛ばされた首は、捩じ切られた首同様、魔法陣に吸い込まれていった。

 

「これで残りはアンタだけね」

 

『ふざけるなよ! 魔女が!』

 

 激怒したフォルティトゥードはその巨体を無理やり宙に浮かせ、勢いを付け私に突進してくる。

 

「甘いわよ!」

 

 迫り来るフォルティトゥードを眼前に構えながら、その顔面を殴り飛ばすように、右手を振りぬく。

 

 それに呼応するようにマダムの拳も突き出され、フォルティトゥードの顔面とマダムの拳が激突した。

 

『ぐぅ!』

 

 フォルティトゥードは苦しそうな声を上げ、その動きを止めてしまった。

 

 その隙を逃さず、私とマダムは両手で何度も殴り、突きのラッシュを顔面にお見舞いする。

 

『ぐぉおぉお!』

 

 最後にマダムの鋭いストレートが入り、フォルティトゥードの顔面に大きなヒビが入る。その巨体は吹き飛び、岩場の端へと落下した。

 

 周囲を見回すと、ちょうどいい所に先程気絶させたドラゴンが慌てた様子で飛び立とうとしている。

 ここまで騒ぎを大きくすれば、目も覚ますだろう。

 私はそんなドラゴンの尻尾を右手で掴む。

 

「ぎゃ!」

 

 尻尾を掴まれたドラゴンは間の抜けた声を上げ、逃げようともがいている。

 

「これはプレゼントよ!」

 

 尻尾を掴んでいたドラゴンを倒れているフォルティトゥードの顔面目掛け投げつける。

 

「ぎゃああ!」

 

 投げ飛ばされたドラゴンは綺麗にフォルティトゥードの顔面のど真ん中に命中した。

 

「これもサービスよ」

 

 私は近くに転がっていた小便小僧の像の頭部を掴むと、そのまま足の部分をドラゴンの腹に突き刺した。

 

「ぎゅああ!!!!」

 

 腹を突き破られた衝撃でドラゴンは悲鳴を上げている。

 

 そして突き刺さった小便小僧の像からは、その名の通り、ドラゴンの体液が綺麗な放物線を描きフォルティトゥードの顔面に垂れ流されていた。

 

「うーん、やっぱりアンタの顔まだムカつくわね。少しメイクしてあげるわ」

 

 ドラゴンの体液はフォルティトゥードの顔面を伝い、流れる小川の様に私の足元まで続いて来ている。

 

 足をタップさせると同時に足の銃を放ち、その火花がドラゴンの体液に引火し、まるで川を駆け上るかの様に炎が遡っていく。

 

「ふぅ」

 

 炎が遡るのも半分ほど行った辺りだろうか、なぜか炎はその存在を呆気なく消滅させてしまった。

 

「はぁ…」

 

 私は少し溜息を吐きながら、銃口を背中越しに向け、1発放つ。

 

 その1発の銃弾は、吸い込まれる様に、ドラゴンの体液が放物線の様に流れている場所へとクリティカルヒットする。

 

「うわ…」

 

 その瞬間、会場に居る男性陣が、苦悶の表情を浮かべた。

 その中でただ1人、ドラコだけは恍惚な笑みを浮かべていた。

 

 銃弾が直撃した小便小僧の像はその炎が逆流したのか、目から涙の様に炎をまき散らし、その胴体とドラゴンを爆破しながら頭部だけが天高く吹き飛んで行った。

 

 

 ドラゴンの爆発により、爆心地だったフォルティトゥードの顔面は吹き飛び、大穴が開いている。

 

「イケメンになったじゃない。アンタにはその方がお似合いよ」

 

『よもや…ここまで凄まじいとは…やはりな…』

 

 爆発により顔の大半を失った、フォルティトゥードは辛そうな声を上げている。

 

「やはり? 何のこと?」

 

『貴様が知る必要はない…このフォルティトゥード喜んで、再び礎となろう!』

 

 フォルティトゥードの叫び声と同時に、大量の異様な手が現れ、その巨体は引きずり込まれて行く。

 

 私は舐め終わったロリポップの柄を岩場に投げ捨てながら、審査員達の方を見据えた。

 

「終わったわよ。採点しないのかしら?」

 

 私の言葉に、審査員、および観客全員が解放されたように動き出し、拍手が沸き上がった。

 

『さ…さぁ! 多少のアクシデントはありましたが、それで採点の方に…』

 

「待った!!」

 

 実況件進行役を遮る様に審査員の1人が声を上げた。

 あれは、カルカロフだな。

 

「さっきのアレはなんだ? あんなもの見た事は無い! 不可解な言葉のようなものを発していた! それに、この選手は受け答えもしていた! それだけじゃない! この惨状を見ろ! 観客席に被害は無いが、会場はもはや跡形もないぞ!」

 

 カルカロフが大声を上げる中、ダンブルドアがゆっくりと口を開いた。

 

「確かにのぉ…じゃがこの競技の真の目的を忘れてはおらぬか?」

 

「なに?」

 

「この競技は『未知のものに遭遇したときの勇気』を図るものじゃ。先程のアレは我々にとっても『未知のもの』に違いなかろう?」

 

 ダンブルドアがそう言うと、カルカロフは少し唸り、黙り込んでしまう。

 こんな事で黙り込むとは、案外情けないものだ。

 

「あれについてはワシから説明しよう」

 

 審査員席に突如現れたムーディにその場に居た全員が目線を向けた。

 

「あれは…その…近年発見された新種のドラゴンだ。今回の競技では使う予定では無かったのだが、手違いで出てしまったようだ」

 

「あれが新種だと? 人の顔のような模様まであったぞ!」

 

「そういう種類なのだろう」

 

 猜疑心を隠し切れないカルカロフに対しムーディはただその一言だけを返した。

 

「そうか…」

 

 何処か納得いかないようだが、カルカロフは再び席へと戻った。

 

 先程の説明で納得してしまうとは思えないが、これ以上は現状どうする事も出来ないと判断したのだろう。

 

「さて、それじゃ採点に移ろうかの」

 

 ダンブルドアがそう言うと、審査員は集まり何やら話し合いを行っている。

 

『えーどうやら、今採点が終了したようです」

 

 マクシームが杖を振ると、得点が発表された。

 

『これは…これは凄いぞ! 全員が10点を出している!』

 

 カルカロフは不服そうな表情を浮かべながら、それ以外の者は満面の笑みでこちらへ拍手を送っている。

 

 私は拍手が響く中、私はドラコから金の卵を受け取った。

 

「セレッサ…あれって…君が前言ってた天使か?」

 

「そうよ」

 

「まさか天使が…それにあんなに恐ろしいなんて…」

 

「天使を可愛いものだなんて思わない方が良いわよ」

 

「あ…あぁ…」

 

 ドラコは何かに詰まる様に答えると、ゆっくりと頷いた。

 

 卵を受け取った私はそのまま、テントへと戻った。

 

 

 

 テントに戻ると、他の代表選手達が驚いた表情でこちらを見て来る。

 

「ベヨネッタ、あれって…」

 

「えぇ、そうよ」

 

 天使と遭遇した事のあるハリーは何かを察したように、黙り込んでしまった。

 

『さっきのは何? どうしてあんなの相手に平気で立ち向かえるのよ!』

 

『あの程度なら問題無いわよ』

 

 私は平然とそう言うと、デラクールは呆れた様に部屋の隅へと歩いて行った。

 

 その時、バグマンがテントの中へと入って来た。

 

「全員よく頑張った!」

 

 バグマンは大声を上げながら、こちらを警戒した表情を向けている。

 

「さて、いろいろ聞きたい事はあるだろうが、手短に話そう。第2課題までは十分な休みがある。だが時間があるとは言え、君らにはやってもらう事を用意してある」

 

 すると、バグマンは金の卵を指差した。

 

「この卵に蝶番が有るのが分かるか? この卵は開くようになっているんだ。その中に第2課題のヒントが入っている。では解散だ!」

 

 バグマンは手短に話したのち、テントを出ていった。

 

 それを見送った後、代表選手は自分の金の卵を手に取り、自室へと戻っていくのだった。

 

 




勇気を試す課題だったので、勇気さんに出てもらいました。

やりすぎた感はありますが、まぁそこは大目に見てください。

戦闘シーンですが、私の文章力ではこれ以上は難しいですね…
多分、同じ事を数回繰り返しそうですね。


明日は諸事情により、更新はお休みさせていただきます。
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