ハリー・ポッターとアンブラの魔女   作:サーフ

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第2試合

  第2試合当日。

 

 代表選手達はホグワーツから多少離れた所に有る、湖へと集められた。

 

 しかし、その中にハリーの姿はなかった。寝坊でもしたのだろうか?

 

 

 湖には、大きな観客席が設けられており、すでに観客で超満員だ。

 

「やぁ! やぁ! みんな集まっておるかね? おや、ハリーの姿が見えないな」

 

 バグマンは不思議そうに周囲を見回している。

 開催の時間までは後、15分を切った所だ。

 

 他の代表選手に視線を移すと、クラムとセドリックは競泳用のパンツ1丁の状態で準備体操をしている。デラクールは凍えながらローブを羽織っているが、その下はレオタード状の競泳水着を着込んでいる。

 

 そんな中、私だけは、前回の試合同様に自らの髪で編みこんだ武闘装束に身を包んでいる。

 

 そのせいか、デラクールを始め、多くの人々が私に視線を送っている。

 

『まさか、その恰好で泳ぐつもりじゃないわよね』

 

『そのつもりよ、何か問題でもあるかしら?』

 

『別に、ただ水着を買えなかったって言うなら貸してあげても良いわよ』

 

 デラクールは挑発混じりに私に話しかけて来る。

 

『お生憎様、アンタの水着は胸がキツ過ぎて入らないわよ』

 

『なんですって!』

 

 皮肉には皮肉で返したが、デラクールがこちらを睨みつけて来る。

 

 その時、ハリーが息を切らせながら階段を駆け上がって来た。

 

 その恰好は普段の制服を着込んでいる。水着は来ていないようだが、大丈夫だろうか?

 

「ハァ…ハァ……ハァ…到着しました」

 

 時間ギリギリと言ったところか、だがこれで全員が集合した。

 

『さて! これで全員が揃いました! 第2課題の内容は至ってシンプル! 制限時間以内に大切なモノを取り返すことです! どれだけ鮮やかに! どれだけ手早くが勝負の分かれ目になりそうです! まさに選手達の知恵がモノを言うでしょう!』

 

 大声で、喧しい解説も終わった所で、私達はバグマンの指示で飛び込み台の様な所へ移動させられる。

 

 水面は綺麗に澄んでいるがそこまでは光が届いていない様で、仄暗かった。

 

「それでは私のホイッスルを合図にスタートだ! 行くぞ! 1…2…3!」

 

 

 けたたましいホイッスルの音が周囲に響くと同時に、代表選手が一斉に湖に飛び込む為に、自らに魔法をかけるなど準備を始めた。

 

 ハリーは急いで穿いていたズボンを脱ぎ始めている。まさか下着で飛び込むのだろうか?

 

 そんな彼らを尻目に、私は素早く湖に飛び込む。

 

 飛び込むと同時に、内なる獣を開放させる。

 

 すると、私の体は、一瞬のうちに変化し、巨大な黒い蛇へと姿を変えた。

 

 蛇へと姿を変えた私は、水の中を這う様に高速で移動していく。

 

  数分ほど泳いだ所で、水中人の歌声が聞こえてきた。

 

 私はその歌声のする方へと移動する。

 すると、そこには巨大な藻の塊のようなものが存在しており、そこには見覚えのある顔ぶれが、眠る様に絡め捕られている。

 

 

 どうやら、ダンスパーティーで代表選手のパートナーになった人物のようだ。

 

 左端の方に、ドラコが眠る様に藻に絡め捕られている。

 

 なるほど、人質という事か。

 

 私は、人の姿に戻り、捕らえられたドラコ達を助けるべく、藻の塊へと近付く。

 

 その時、周囲が神々しく、禍々しい光に包まれた。

 

 

 周囲を見渡すと、体の半分以上が巨大な顔で占められており、水中であるにも関わらず、背中の羽根を羽ばたかせながら、剣の切っ先の様な尾を唸らせるようにしながら、水中を舞う小型の天使達、カシェ&コンパッションズが姿を現した。

 

 カシェ&コンパッションズ

 天使の階級においては最下位に属する天使達。過去に偉業を成した英雄達が携えていた名剣、名刀がその役割を終えた後天界へと迎えられ姿を変えた物だと言われている。

 

「こんな所までくるなんて、アンタ達も相当暇なのね…それとも」

 

 後方で再び光が輝き、天使の一団が現れた。

 

 杖の様な物を持ち、人間の上半身を鏡合わせの様に繋げた歪な姿の天使、エンラプチャーが嘲笑うかの様に体を揺らしている。

 

 エンラプチャー

 天使のヒエラルキーにおいては第八位に属するが、その誕生は数ある天使たちの中でも最古参にあたる。

 

 その、エンラプチャーを中心に、周囲をまるでタコの様な…深海生物を思わせる軟体と多数の触手を持った天使、フィデリティが随伴している。

 

 フィデリティ

 その見た目から、母なる大海を離れ、陸で生活している人々に、原初の記憶を想起させる為に存在すると言われている。

 

 

 これらの天使は、私を取り囲むように、水中を悠々と移動している。

 

「また大勢来たわね、パーティーでも始めようっていうの?」

 

 

 水底に立ち、両手に銃を構えながら、周囲の天使達を見据える。

 

 そんな時、後方から顔にエラの様な器官を生やしたハリーが声を上げながら近付いて来た。

 

「ベヨネッタ! これって…」

 

「そのようね、簡単には通してくれないみたいよ」

 

「くっ!」

 

 ハリーは苦虫を噛み潰したような表情をしながら悪態を付いている。

 

 そうしている間に、他の代表選手達も人質を目の前にして、その歩みを止めた。

 

「これヴぁ、どうなっているんだ!」

 

「あいつ等は一体…」

 

「これーは、まずいでーす」

 

 ハリーを始めとした、代表選手の面々は、杖を取り出し天使を追い払おうと、呪文を唱える準備を始めた。

 

「どいてくださーい!」

 

 デラクールが呪文を放とうとした瞬間、エンラプチャーが手にしている、杖を構えた。

 

 すると、エンラプチャーの杖に、私達の魔力が吸われていく。

 

「ぐぅ!」

 

「ぐあ!」

 

「くっ!」

 

「うぅ…」

 

 

 急激に魔力を吸われ、私を除くその場の全員が、海底に膝を付けた。

 

 このままでは、生命の危機にも関わってくる。

 

 私はその場で飛び出し、体を蛇に変え、エンラプチャーとの距離を一気に詰める。

 

 そして、擦れ違い様に、一瞬で人に戻り、その胴体を蹴り飛ばす。

 

 蹴られた衝撃により、エンラプチャーは杖を手放したようで、魔力を吸われる感覚が収まる。

 

「良い杖ね、でも私の趣味じゃないわ」

 

 エンラプチャーが手放した杖を両手で掴むと、真上からエンラプチャーに突き刺し、串刺しにする。

 

「ギュアアア!」

 

 串刺しにされたエンラプチャーは絶叫を上げ、絶命した。

 

 

 その直後、後方からフィデリティが触手の先から、剣の様な物を出し、私を突き刺そうとしてくる。

 

「無駄よ!」

 

 触手の攻撃を、マハーカーラの月で受け止め、カウンター気味に鉄山靠をお見舞いする。

 

 鉄山靠の直撃により、吹き飛ばされたフィデリティに駆け寄り、距離を詰めると、軽く指を鳴らす。

 

 その音に呼応するように、フィデリティを取り囲むように、巨大な檻が現れ、その下には水中であるにも関わらず、轟轟と炎が燃え上がっている。

 

 手元のハンドルを回すと、炎に焼かれているフィデリティが回転を始め、全身くまなく火が入って行く。

 

 更にハンドルを力強く回すと、それに比例するようにフィデリティの回転速度も上昇していく。

 

「はぁ!」

 

 最後に、勢いよくハンドルを回すと、フィデリティが完全に炎に飲まれた。上手に焼けたようだ。

 

 

 

  ハリー達の方に視線をずらすと、回復したようで、人質を助け出そうと、行動を開始している。

 だが、それを嘲笑うかのように、カシェ&コンパッションズが自身の躰である刀を振るい、襲い掛かっている。

 

 

「くそっ! どけよ!」

 

 ハリーが、魔法を放つが、天使達には、今一効果はないようだ。

 

『いやぁ! 助けて!』

 

 突如、水中にデラクールの悲鳴が木霊する。

 

 そこには、カシェが、その剣をデラクールに振りかざそうとしている。

 恐らくこのままでは、真っ二つに切断されるだろう。

 

「はぁ!」

 

 私はデラクールの前に飛び出すと、修羅刃を構え、カシェの一撃を受け止める。

 

『これは貸しにしておくわ』

 

『た…助かったわ…』

 

 修羅刃でカシェを吹き飛ばし、そのまま顔面に乗り、サーフボードの様に水中を移動し、その切っ先で、コンパッションズを切り払って行く。

 

 周辺のコンパッションズを全て片付けた後、カシェを藻の塊の方へと蹴り飛ばす。

 

 蹴り飛ばされたカシェは、回転しながら、藻を切り払っていき、海底へと姿を消していった。

 

 カシェにより、藻が切り払われたおかけで、人質達の拘束が解かれた。

 

「先に行くわよ」

 

 私は体を再び蛇へと変え、ドラコをその口に咥えると、一気に浮上を開始する。

 

 

 水面から蛇の姿のまま一気に飛び上がると、会場から歓声が上がる。

 

 それもそうだろう、グリフィンドールの生徒が蛇に姿を変え、スリザリンの生徒を救出したのだから。

 

 私は、蛇の姿を解除し、両手にドラコを抱きかかえながら、ゆっくりと着地し、床へとドラコを寝かせる。

 

「あれ…ここは…」

 

 目を覚ましたドラコは、周囲を見回している。

 

「目が覚めた様ね」

 

「あぁ…助かったよ」

 

 ドラコはそれだけ言うと、疲れているのか、天を仰ぐ様に横になっている。

 

 その後も、続々と代表選手が課題を攻略し、帰還してくる。

 

『代表選手が全員無事に帰還しました! 大切なものも無事です! イヤー良かった!』

 

 

 競技も終わり、解説役が大声を上げている。

 

 後は採点を残すのみだ。

 

 そんな時、湖から爆音と共に水面に巨大な水柱が上がった。

 

 

 




さて、次回何が起こるんでしょうね。
お楽しみ。
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