ハリー・ポッターとアンブラの魔女   作:サーフ

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タイトルだけで、多くの人が想像つくでしょうね


知恵

 

 「何事だ!」

 

 誰かがそう叫ぶと、水面に巨大な影が浮かび上がり、巨大な機械の様な四本足の天使、サピエンチアが姿を現した。

 

 サピエンチア

 大海原の愛を具現化したとされる天使。海獣に例えられる事が多いのは津波などの畏怖によるものだろう。サピエンチアが人界に及ぼす影響は、津波や潮の満ち引きなどに例えられる。大いなる海の営みこそ、天の意思の働きに他ならないという雄大な考えは、サピエンチアが慈愛に満ちた天の意思を代表するものであることを表している。

 

 

 サピエンチアの背の装甲の蓋が開き、数十を超える飛翔体が射出された。

 

 射出された飛翔体は、一直線にこちらに迫ってくる。

 

 ようやく、飛翔体の全体図が確認できた。

 

 先端部に、天使の顔を象った。ミサイル群だ。

 

 

 このままでは、ミサイル群が直撃し、会場が火の海と化すだろう。

 

「面倒な事をしてくれるわね」

 

 私は溜息を吐きながら、指を鳴らす。

 

 すると、私の前面に7本の首を持つ大蛇の魔獣、ヒュドラが姿を現した。

 

 ヒュドラ

 かつては美しい娘だったが、妹の犯した罪によって姉妹共々魔界へと落ち、このような姿にされてしまった。

 

 7本ある首の内1本だけが本物で、それ以外はいくら切り落とされても死に至る事は無いと言う。

 

 

『キュエェエエエエエェエエエ』

 

 ヒュドラの7本の首総てが口を開き、奇声を上げた。

 

 その奇声が音の壁となり、ミサイル群の動きを真横へと軌道を変えた。

 

 軌道を変えたミサイル群は、会場周辺の森へと軌道を変えて着弾したようだ。おかげで会場内に大きな被害は見られない。

 

『やはりこの程度では死なぬか、流石はアンブラの生き残りだ」

 

 頭部にある口の様な機関を動かし、サピエンチアがエノク語で語り掛けて来る。

 

『我が来たのは他でも無い、貴様が…ンォ!』

 

 天使特有の長い語りを聞くのに飽きた私は、近くにあった細長いポールを手に取ると、サピエンチアの口目掛け投げつける。

 

 投げ出されたポールは縦に回転しながら飛んで行き、サピエンチアの口の中で縦に挟まり、その口上を停止させた。

 

「うぅん」

 

 私は思わず、ボーリングでストライクを決めた時の様にガッツポーズを決める。

 

「お喋りはもう良いわ、アンタ達に付き合っている暇はないの」

 

 サピエンチアは口に力を籠め、縦に挟まったポールを噛み砕き数回咀嚼している。

 

『まぁ良い、これも計画の内だ』

 

 するとサピエンチアの口が開き、奥から4本の触手が現れ、その先端に付いている目の様な器官から、熱線が照射される。

 

 ヒュドラは再び奇声を上げると、前進を開始し、その頭部に備えた角で、熱線を切り裂き、弾き飛ばしていく。

 

 四方へ散らばった熱線は、会場へ直撃する事は無かったが、周囲の森に着弾し、所どころ、火の手が上がっている。

 

 

  私は、その場で飛び上がり、ヒュドラの背を渡り、サピエンチアの頭部へと飛び乗った。

 

『何のつもりだ!』

 

 サピエンチアの声が響くが、私はそれを無視しながら、頭部で両足の銃を乱射しながら、タップダンスを踊る。

 

 足が、サピエンチアの頭部を踏みつける度、マダムの足も現れ、同様に、その背中を踏みつけていく。

 

『ぐおっぉおおぉお!』

 

 

 

 サピエンチアの苦痛の声が上がるが、マダムは容赦しない。

 背中にある羽根を両手で掴むと、まるでバイクを運転するかの様に捻る。

 すると、サピエンチアも前進を開始する。

 

 行く先には、ヒュドラが7本の首をもたげ、攻撃の体制を取っている。

 

 サピエンチアは何とか逃れようとするが、方向を変える度にマダムの鉄拳制裁が執行され、軌道修正される。

 

 眼前にサピエンチアを捉えたヒュドラは、7本の首を振り、その顔面を切り裂いた。

 

 

『グアアアァがあぁ!』

 

 顔の装甲を切り裂かれた、サピエンチアは苦しそうに声を上げている。

 

『いい気になるな!』

 

 サピエンチアは体を振り、私を振り落とそうとする。

 

「無駄よ!」

 

 その瞬間、マダムの両手が現れ、サピエンチアの口を無理やり開かせる。

 

『むごあおぉぉおお!』

 

 無理やり開かれた口目掛け、ヒュドラが突進し、7本すべての首を口の中に突っ込んだ。

 

「キュェェアアエエエア!!」

 

 ヒュドラが再び奇声を上げると、サピエンチアの体内で反響し、内部にダメージを与えていく。

 

『ぐ…ぐぉぉおぉおごおぉ!』

 ヒュドラの奇声が響く度に、サピエンチアの躰から、メキメキと金属の軋む音が響く。

 

『うごぉおぉ!』

 

 サピエンチアが絶叫を上げると同時に、胴体が砕け、その直後、黒煙を上げショートした後、力なく水面に着水する。

 私は、背から飛び退き、ヒュドラの背へと着地する。

 

『まさか我が再び敗れるとは』

 

 まともに動くパーツが首だけとなったサピエンチアが苦しそうにそう笑った。

 

『まぁ良い…これもすべて…』

 

 首の下にいつもの様に異形の手が現れ、サピエンチアを引きずり込んでいく。

 

『ファアハハハハ!!』

 

 引きずり込まれていく最中も、サピエンチアは苦しそうな笑い声を上げていた。

 

 

 

 

 

  ヒュドラの背から、会場へと飛び移りると、全員の視線が私に集まった。

 

「採点は終わったかしら?」

 

 私の問いに、審査員席の面々は首を横に振り、ダンブルドアが口を開いた。

 

「今回は、予想外の出来事が多すぎた…よって採点結果は後日…最終課題の時に発表する、それでは皆、城へと戻るのじゃ」

 

 ダンブルドアの言葉を聞き、会場全体が不穏な空気に包まれつつ、皆一様に城の中へと戻って行った。

 

 

 

 城に着くなり、ハーマイオニー達が口を開いた。

 

「ベヨネッタ!あれは一体何なの?第一試合の時もそうだったけど…あんなの異常よ!」

 

「そうだよ、僕あんなの見た事無いよ…ホント怖かった」

 

 ハーマイオニーとロンは身震いしながら、詰め寄ってくる。

 そんな中ハリーが意を決した様に口を開こうとした。

 

 その時、背後からマクゴナガルが現れた。

 

「ポッター、セレッサ、二人とも来なさい」

 

「え?」

 

「何の用かしら?」

 

「ダンブルドア校長がお呼びです」

 

 マクゴナガルは一言そう言うと、踵を返し校長室へと向かっていった。

 

 その背中を私達も追いかける様に付いて行った。

 

 校長室に入ると、ダンブルドアが椅子に深く座り、両手を組みながら私達を迎え入れた。

 

「良く来たのぉ…早速じゃが第2課題での出来事を教えてくれんか」

 

「はい…」

 

 ハリーは水中での出来事を事細かに説明していった。

 その説明を聞いている最中に、ダンブルドアは3回ほど溜息を吐いていた。

 

「話を要約しようかの…つまり人質が捕らわれておる周辺に、天使の一団が現れたという事かの?」

 

「その通りです。しかも天使達には魔法があまり効いていないようだったんです!」

 

「なんじゃと…」

 

 ダンブルドアは驚きの声を上げその場で立ち上がり、ハリーと二人でこちらに目線を送って来た。

 

「セレッサよ…それは本当かの?天使達にはワシら魔法では太刀打ちできないと…」

 

「さぁ?少なくとも、あいつ等に生半可な魔法は無意味ね、やるなら徹底的に潰すしかないわね」

 

「何という事じゃ…第1試合の時に現れた奴も…そして今回のあの巨大な奴も…」

 

「そこそこ位の高い天使よ」

 

「じゃが、アラスターは新種のドラゴンじゃと言っておったが?」

 

「あれは天使よ、なんでそんな出まかせを言ったのか、そして、なんでそれを信じたのかは知らないけど」

 

 恐らく、その方が事を荒立てずに済むと考えたのだろう。

 

「弱ったのぉ…」

 

 腰を抜かしたようにダンブルドアは再び椅子に座り込んだ。

 

 

「ねぇ、ベヨネッタ、前々から思っていたんだけど…」

 

 ハリーが深刻そうな表情で、疑問を投げかける。

 

「どうして君は、天使を倒しているんだい?それに、どうして天使は僕達に攻撃してくるんだ?だって天使って言えば…」

 

「優しいイメージでもあるのかしら?」

 

 私が遮る様にそう言うと、ハリーがゆっくりと頷いた。

 

「左様…天使と言えば光の象徴じゃ、なぜそのような天使がワシ達に危害を加えて来るのじゃ?」

 

 

「良いわ、教えてあげる」

 

 私は近くにあった椅子に腰かけ、ゆっくりと脚を組む。

 

「私が天使共を狩る理由は簡単よ。ただアイツらがムカつくからよ、前にも話さなかったかしら?」

 

「どうだったかのぉ?年を取ると物忘れがのぉ」

 

 ダンブルドアはワザとらしく頭を杖で掻きとぼけている。

 

「まぁ、お主が天使を狩る理由は分かった。じゃがどうして天使達はワシ達にまで危害を加えるんじゃ?」

 

「そうね、ただ近くに居ただけじゃないかしら?アイツ等の考える事なんてわかりたくないわ」

 

 私は、足を組み直し、ロリポップを取り出し、口に咥える。

 

「ただ一つ言えるのは、天使なんてアンタ達が思っている様な優しいものじゃないわ。アイツ等も悪魔も大して変わらないもの」

 

 私がそう言い切ると、ダンブルドアは唖然とした表情を浮かべている。

 

 自分が今まで信じてきた天使のイメージが崩れたのだから、それもそうだろう。

 

「さて、聞きたい事は以上?」

 

 ダンブルドアとハリーはタイミングを合わせたかのように、同時に首を縦に振った。

 

「そぉ、なら戻らせてもらうわ」

 

 そう言い残し、私は校長室から退出する。

 

 それにしても嫌な予感がする。

 ここまで大型の天使が2匹連続で現れるとは…

 この次も、恐らく簡単にはいかないだろう。

 




呆気無い感じでやられてしまいましたが、下手に長引かせるとグダりそうな気がして…
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