クリスマス休暇も終わり、私はホグワーツへと戻って来た。
それと同時に、私は校長室へと呼び出された。新年早々人使いの荒い集団だ。
「おぉ、待って居ったぞセレッサ」
「いきなり呼びつけるなんて、どんな用かしら?」
「当面の予定を話しておこうかと思っての」
その時、校長室の扉が開かれ、嫌そうな顔をしているハリーが、スネイプに連れられてやって来た。
「連れてまいりました」
「ご苦労じゃった。ハリーにはしばらく、セブルスから閉心術を学んでもらうと思う」
「それはどうしてですか?」
ハリーは食いつく様な口調でダンブルドアに疑問を投げかける。
「いずれ必要になる事じゃ。セブルス後は頼んだぞ」
「承知しました」
「まだ話は――」
「来るのだ、ポッター」
食い下がるハリーだったが、スネイプに無理やり連れられ退室していった。
その間、ダンブルドアはハリーの顔を1度も見る事は無かった。
「なかなかいい態度ね、お気に入りじゃなかったのかしら?」
「はて…何の事じゃろうな?」
ダンブルドアははぐらかす様に笑いながら、こちらに視線を移した。
「さて、お主に一つ頼みがあるのじゃが」
「なにかしら? 愚痴を聞く相手なら他を探した方が良いわよ」
「愚痴っておる暇は無いのでな…数年前、ワシに、お主を紹介した男がおるじゃろ」
「エンツォの事かしら?」
「恐らくそうじゃ、その者が使っておった開心術を防ぐ魔導具を譲ってほしいのじゃ」
やはり最初にあった時、ダンブルドアは私達に開心術をかけていた様だ。
「何に使うつもりかしら?」
「ハリーは今ヴォルデモートの魂と繋がっておる可能性がある。つまり、奴に心を読まれる恐れがあるのじゃ」
「つまりは、それを防ぐために今、猛特訓中って訳ね」
ダンブルドアは数回頷いた後、険しい顔で続けた。
「じゃが、閉心術と言うのは相当難しい物じゃ…」
「だから、欲しいのね」
「そうじゃ、無論タダとは言わぬ」
「そう…でも意味無いと思うわ」
「それは何故じゃ」
私の回答に、睨みつく様な鋭い目線を向けて来る。
「だってあれは、魔眼対策の様な物よ、外部からの侵入は防げるわ。でも、魂が繋がっているなら、いくら外からの侵入を防いだ所で意味無いわ」
私がそう言うと、ダンブルドアは溜息を吐いた。
「やはり、ハリーには閉心術をマスターして貰う他無い訳じゃな」
校長室には、ダンブルドアの乾いた笑い声が響いた。
数日が経ち、会合の日がやって来た。
回を重ねるごとに、全体のレベルが上がって行くのが見て取れる。
そんな中、伸びしろが良いのは、意外にもネビルだった。
1つの事に成功すると、それが自信になったのか、ドンドンと上達していっている。
それに、魔法を避けることに関しては、DA内トップだろう。だが、まだまだ実践レベルとはいかないだろう。
と言うのも、魔法使い同士の対決では、魔法を避ける事があまりない。大半は反対呪文で打ち消したり、防御魔法で防いだりと言ったところだ。
まだまだ、改善の余地はありそうだ。
「ベヨネッタ、ちょっといいかな?」
杖を構えたハリーが近寄ってくる。
「なにかしら? 決闘でも申し込もうっての?」
「まぁ…そんな感じかな? みんなで話し合ったんだけど、もう1度、君にリベンジしたいんだ」
「リベンジ?」
「そう。最初の頃、全員で君に挑んで負けただろ。あの時のリベンジさ」
「自爆の間違いじゃないかしら? まぁ良いわよ」
「よし! そうと決まればさっそく」
ハリーが全員を集め始めた。
数分後、私の眼前で、メンバー全員が杖を構えている。
前回の様な全員で取り囲むという事はしなくなったようだ。
私は杖を片手で遊ばせながら、腰に手をやる。
「何時でも良いわよ。かかってらっしゃい」
「行くぞ!」
ハリーが声を上げると同時に、全員が一斉に魔法を放つ。
放たれた閃光は、私の眼前まで迫っている。
「ふぅん」
私は体を捻りながら、閃光を避け、次に飛んできた閃光は杖で弾き飛ばす。
そして、ウィッチタイムを発動させ、ゆっくりになった閃光を、総て避けていく。
閃光の第1波が終わると、ウィッチタイムを解除させる。
無傷の私の姿を確認したハリー達は、唖然としてた。
「良い線いったじゃない」
私が軽く杖を振るうと、前方に陣取っていた5人ほどが吹き飛ばされる。
「クッ! 攻撃の手を緩めるな!」
ハリーの指示に従う様に、残りのメンバーが様々な魔法を放ち続ける。
迫り来る閃光を避けると同時に、地面に向け杖を振る。
すると、足元に爆発が起き、床が弾け飛び、大きめの破片が空中に飛び上がった。
「はぁ!」
空中に浮いている破片を蹴り飛ばすと、飛び交う閃光を一身に受けながら、ハリー達に突っ込んでいく。
「くそっ! 避けるんだ!」
ハリーの声が響き渡るが、時すでに遅く、破片は床に着弾し、土煙を上げている。
「くそっ! どこだ!」
土煙で私を見失って居るのか、ハリーは大声を上げながら、周囲を見回している。
「はぁい、ここに居るわよ」
ハリーの後方へ移動すると、そのまま後頭部に銃を突き付ける。
「私の勝ちね」
「あぁ」
私の勝利宣言に、ハリーはただ頷くだけしか出来なかった。
数日後、アンブリッジがまた事件を起こしたようだ。
談話室でくつろいで居ると、玄関ホールの方から喧しい声が聞こえてきた。
この声はトレローニーだろうか。
玄関ホールに向かうと、そこには既に大勢の生徒が集まっており、その中心でトレローニーが叫び声を上げていた。
「嫌よ! いや! こんなことが許されるはずありません!」
トレローニーの声が響く。
その視線の先にはアンブリッジが立っていた。
「貴女、こういう事態になると予見できなかったの? 明日の天気でさえ予見できない無能な貴女でも、解雇になるぐらいは予見できたでしょう?」
アンブリッジが言い放つと、トレローニーはその場でむせび泣いている。
「そんな…わたくしは16年も…16年間このホグワーツで過ごしてきました! ここを出ていくなんて考えられません!」
「考えられなくても、これが現実です」
アンブリッジはそう言い放つと、隣に居たフィルチに指示を出した。
頷いたフィルチは、大きめのトランクをトレローニーの前に置いた。
しかし、そこにダンブルドアとマクゴナガルが現れ、事態が一変した。
「さぁ…落ち着いて…貴女が考えているような事にはなりませんよ」
マクゴナガルは落ち着かせるような口調でトレローニーに話しかけている。
それを見たアンブリッジは不愉快そうに眉をひそめた。
「あら? マクゴナガル先生。貴女にそんな事を言う権限はありませんよ」
「ワシにはある」
ダンブルドアはゆっくりとアンブリッジに近寄る。
「貴方のですか? どうやらご自分の立場を理解していないようですね。私の手元には魔法省大臣が署名なさった解雇辞令がありましてよ。ホグワーツ高等尋問官は教育に不適切だと思われる教師を停職に処し、解雇する権利を有するのです。トレローニー先生は基準を満たさないと私が判断し、そして解雇しました」
アンブリッジは、自慢げに取り出した羊皮紙をダンブルドアに見せつけている。
「確かに貴方は教師を解雇する権限はお持ちじゃ。じゃがこの城から追い出す権限はお主ではなく、校長である、このワシにあるはずじゃ」
ダンブルドアはキメ顔でアンブリッジに言い放つ。
アンブリッジは引き攣ったような笑みを浮かべ、ダンブルドアに微笑み返している。
「確かに私にその権限はありませんね」
アンブリッジは微笑みながらダンブルドアにそう呟いた。
「えぇ、今はまだね」
捨て台詞を吐いたアンブリッジはそのまま城の中へと消えていった。
数日後、アンブリッジはまた良からぬことを思いついたようだ。
スリザリンから数名の生徒を集め、『高等尋問官親衛隊』を作ったという。
大広間ではドラコが胸に銀色のバッジを付けて胸を張りながら歩いている。
「おや、セレッサじゃないか」
「どうも、アンタ達ってホントにバッジが好きね」
「あぁ、これかい? アンブリッジ先生が『高等尋問官親衛隊』の全員にくれたんだ」
ドラコが自慢げに言いながら、バッジを見せつけて来る。
「そう、あの女がね…あまりいい趣味とは言えないわね」
「まぁ…あの先生は正直良いとは言えないがね…これでも監督生だからね」
ドラコが笑いながらバッジを整えている。
「ところでセレッサ…」
ドラコが真剣な顔でこちらを見て来る。
「アンブリッジ先生が言ってたのだが、君達が何か良からぬ会合を開いているとか?」
「だとしたらどうするの? あの女に密告するのかしら?」
私が少し皮肉を込めで言うと、ドラコは少し慌てながら、それを否定した。
「君相手にそんな事はしないさ。だが…アンブリッジ先生は何か情報を得たらしい。どうやら密告者がいるみたいだ」
「密告者?」
「あぁ。誰とまでは分からないがね」
ドラコは少しふざけた様に、首を左右に振りながら両手を上げている。
「用心した方が良いかもしれないぞ」
「もしそうなら、気を付けるわ」
「まぁポッター達の事だ…情報提供者が僕だと知ったら疑うだろうね」
ドラコは自称気味に笑いながら横目でこちらを見て来る。
「今の、カマでもかけたつもりかしら?」
「やっぱり君は引っかからないか。まぁ忠告は本当さ。ポッターが絡んでいようが無かろうがね」
ドラコは少し笑うと、再び胸を張りながら大広間から出ていった。
「え?密告者?」
ドラコの話を聞いた事をハリー達に話すと、予想通りの反応が返って来た。
「密告者って…一体誰なんだ?」
「でも、その情報ってマルフォイの奴から聞いたんだろ? 信じられないな」
ロンとハリーは疑いの表情を向けながら笑いあって居る。
「大丈夫よ。そんな事もあろうかと、対策はしてあるわ」
話を聞いていたハーマイオニーは無い胸を張りながら、名簿を取り出した。
「この名簿には少し工夫がしてあるの。もし誰かが裏切ったりした時はすぐに分かるわ」
「流石はハーマイオニーだ!!」
ロンはテンションが上がったようにハーマイオニーを褒めている。
「ちなみにどんなことが起こるんだい?」
ハリーが聞くと、ハーマイオニーがさらに自慢げに答えた。
「ちょっとした呪いね。見た目ですぐに分かるからすっごく便利なのよ!」
ハーマイオニーがそう答えると、ハリー達の表情が曇って行く。
「それって…」
「結構ヤバいんじゃ…」
2人は事の重大さに気付いた様だが、時すでに遅いだろう。
「そう言えば、ベヨネッタ、貴女の名前だけ書かれてないみたいなんだけど、後で書いてくれない?」
「お断りよ、私のサインが欲しいなら、事務所を通して頂戴」
「事務所って…なんでよ?」
「今の話聞いて誰が書くのかしら?」
私の皮肉に対して、ハリー達は何回も頷いていた。
そろそろ、暴れてもいいんじゃないかな?