ハリー・ポッターとアンブラの魔女   作:サーフ

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今回は、少し派手になったんじゃないかなと思います。


進路相談

  数日が過ぎた後、私はダンブルドアに校長室へと呼ばれた。

 

 校長室に入ると、そこには、嬉しそうな表情のアンブリッジと、無表情のダンブルドア、焦燥しきったハリー達の姿があった。

 

「おぉ、来たかセレッサ」

 

「で? 何の用? 私だって暇じゃないのよ」

 

 私が少し皮肉を言うと、ダンブルドアは笑ってそれを流した。

 

「何人もの生徒が集まって戦闘訓練をしていると聞いた。首謀者は彼等だろう」

 

 大臣がキツイ口調でそう言うと、ハリー達を指差した。

 

「誰がそんな事を言ったんですか?」

 

 ハーマイオニーが声を上げる。

 

「マリエッタ・エッジコムよ。ここに呼びますね」

 

 アンブリッジはニヤニヤと笑いながら、密告者の名前を口にした。

 

 少しすると、会合で目にした事のある女子生徒が涙を流しながら、校長室に姿を現した。

 

 少女の額は膿が出来ており、その出来物は大きく『密告者』という文字になっていた。

 これでは言い逃れが出来ないだろう。

 何の症状も無ければ、ただの出まかせと思われるだろうが、これでは、むしろ本当ですと言って居る様なものだ。

 

「悪趣味ね…」

 

 私がそう言うと、ハーマイオニーは息を呑んでいる。

 

 なるほど、これがハーマイオニーが言って居た呪いか。

 

「この少女がすべて話してくれました。彼等がDAと呼ばれる会合を開いた事や、構成メンバーをね。そのせいかは知りませんが、このような惨たらしい呪いを受けてしまったようです」

 

 アンブリッジは自慢げにそう言うと、一枚の羊皮紙をダンブルドアに突き付けた。

 

「ミス・セレッサの名前は無いようでしたが。参加していると言っておりましたわ」

 

 アンブリッジは私を睨み付けながらそう言っている。

 

 私は溜息を吐きながら首を左右に振る。

 

「なるほどのぉ…じゃがコーネリアス。このDAとは一体何の略はご存知かの?」

 

 ダンブルドアは落ち着いた口調でゆっくりと喋りながら席を立ち上がった。

 

「何の話だ…DAがなんだと言うんだ」

 

 ダンブルドアは微笑みながら、その場に居る全員に告げた。

 

「ダンブルドア軍の略じゃ。ダンブルドア・アーミーじゃよ」

 

 ダンブルドアがそう告げると、私以外の全員が息を飲んだ。

 

「あら、イカすじゃない」

 

「じゃろ」

 

 私の冗談にダンブルドアがにやりと笑った。

 

「じょ…冗談を…貴方が? これを組織した?」

 

「そうじゃ、総てワシがやった事じゃ」

 

 ダンブルドアはゆっくりと頷いた。

 

「ワシが生徒を集めて、私設軍隊を作ろうとしたのじゃ」

 

「嘘だ!」

 

 ダンブルドアの言葉を遮る様に、ハリーが大声を上げた。

 

「僕等です大臣! 僕らが勝手に!」

 

「コーネリアス。生徒の言葉と、ワシの言葉。どちらを信じるのじゃ…」

 

「そ…それはつまり…貴方は私を陥れようとしているのだな!」

 

 かなり思い込みが激しい様だ。だが、ダンブルドアはその言葉を聞くと、ニヤリと笑った。

 

「その通りじゃよ」

 

 大臣はアンブリッジの方を一瞥すると、恐怖の混じった歓声を上げた。

 

「聞いたな! 諸君! ダンブルドアの告白を! よし! この発言を至急、日刊予言者新聞に送れ! さぁて…ダンブルドア。お前はこれから魔法省へ送られるだろう。そこで貴様は有罪だろうな。そしたら正式にアズカバン行きだ!」

 

 そんな歓喜交じりの声を遮るかの様に、ダンブルドアは口を開いた。

 

「残念じゃが…ワシはまだやる事があるのじゃ。お主達の遊びに付き合っておる暇はないのじゃ。これで失礼するぞ」

 

 ダンブルドアはゆっくりと校長室の扉へと向かうが、それを遮るかの様に魔法省の人間が立ちはだかった。

 

「愚かな事はやめた方が良いぞ。お主のホグワーツでの成績は知っておるが…お主ではワシには勝てぬぞ?」

 

 そう言われた役人は苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべているが、杖を引き抜いた大臣が声を荒げた。

 

「だがここには4人居るのだぞ! お前はたった1人で4人を相手取るつもりか!」

 

 校長室の端では、ハリーが杖を抜こうとしているが、ハーマイオニー達に止められているのが見て取れた。

 確かにこの状況で、杖を出すのは得策とは言えないだろう。

 

「そのまさかじゃと言ったらどうする?」

 

「なにぃ?」

 

 次の瞬間、ダンブルドアは素早く杖を引き抜くと、4人全員に失神魔法を放ったようだ。

 

 まぁまぁ早い速度だ。

 

「良い腕しているわね」

 

「ふぅ…あまり年寄りに無理をさせんで欲しいのぉ」

 

 ダンブルドアはワザとらしく溜息を吐くと、杖を仕舞い込んだ。

 

 次の瞬間。柱の陰に隠れていたもう1人の魔法省の役人が姿を現した。

 

 私はダンブルドアよりも素早く杖を引き抜くと、その役人に魔法を放った。

 

 魔法が直撃したのか、役人は吹き飛ばされ壁に激突している。

 

「詰めが甘いわね」

 

 私がそう言うと。杖に手を掛けていたダンブルドアは、苦笑いを浮かべていた。

 

「4人と言っておったからの…しかし、お主には敵わんのぉ…ところでセレッサ。いくつか頼みがあるのじゃ」

 

「あら? なにかしら」

 

 杖をポーチへと仕舞い込むと、私は校長の机に腰かけた。

 

「ワシはこれからしばらくこの学校を留守にしようと思う。その事をミネルバ…マクゴナガル先生に伝えて欲しいのじゃ」

 

「わかったわよ。ところでどこへ行こうっていうのかしら?」

 

「なぁに…ちょっとした一人旅じゃよ」

 

「そう…素敵な旅になると良いわね。ガイドブックは持ったのかしら?」

 

「ガイドブックがあれば、どれほど楽な事か…さて…それではそろそろ行くかの。フォークス」

 

 ダンブルドアは笑みを浮かべた後、ペットの不死鳥を呼び寄せると、その尾羽を掴んだ。

 

 その瞬間。炎が燃え上がり、ダンブルドアの姿が消えた。

 

「全く…ド派手な演出ね」

 

 両手を腰にやり、ダンブルドアを見送った後、私は周囲を見回した。

 

 部屋の隅では、状況が呑み込めていないのか。何度も瞬きをしているハリー達の姿があった。

 

「何事ですか!」

 

 次の瞬間、マクゴナガルが校長室に飛び込んで来た。

 

「この状況は一体…」

 

「色々あったのよ。それとダンブルドアからの伝言よ。しばらく留守にするみたいよ」

 

「え? それはどういう事です!」

 

「旅に出るみたいよ。詳しい事は、ハリー達から聞いて」

 

 私は、面倒な説明をハリー達に押し付け、その場を後にした。

 

 

 

  私が自室へ戻ろうとすると、廊下の端で壁を背にしているドラコが目に映った。

 

「やぁ、どうやら僕の忠告はあまり意味はなかったみたいだね」

 

 ドラコはどこか悲しそうだが、皮肉を孕んだ表情をしている。

 

「その様ね。まぁ私の知った事じゃないわ」

 

「君らしいね。で? どうなったんだい?」

 

「ダンブルドアが消えたわ。今頃マクゴナガルが後処理に追われてるでしょうね」

 

「そうか、そりゃ大変だ」

 

 乾いた笑いを上げながら、ドラコは呆れたような表情をしている。

 

 

  ダンブルドアが居なくなって数日が経つ頃には、アンブリッジが校長に就任した事で幅を利かせ始めている。

 

 だが、教師陣の大半はダンブルドアを信奉している様で、未だにアンブリッジを校長と認めていないようだ。

 むしろ、敵対していると言っても過言では無いだろう。

 

 

 

 アンブリッジが校長に就任してから、数日後、談話室の掲示板に進路指導に関する張り紙が掲示されていた。

 

 なるほど、就職先の事を考えたりしなければならないようだ。

 

 まぁ、進路については、私にとって全く関係ない事だ。

 

 

「ダンブルドアが居ない今こそ、大騒ぎするべきだろう」

 

「あぁ、そうだな」

 

 大広間の端では、ウィーズリー家の双子が何やら話し合っている。

 

「あら? 何か楽しそうな話してるわね」

 

「おぉ、ベヨネッタか。俺達は今日の放課後にこの学校を自主退学しようかと思っているんだ」

 

「新たな旅立ちさ。自分たちで店をやるつもりだ」

 

「あら? そうなの?」

 

「あぁ、あんなのが校長じゃ…学校に居る意味も無いしな」

 

 双子は、揃って頷いている。

 

「だから俺達は、最後に、ド派手な事をして、この学校を去るつもりさ」

 

「この事は他言無用だぞ」

 

「こんな楽しそうな事、バラす訳ないじゃない」

 

 私の言葉を聞き安心したのか、二人は安堵の表情を浮かべている。

 

「そこでだ…君に少し頼みたいことがあるんだ」

 

「なにかしら?」

 

 私が疑問を投げかけると、ポケットから一つの花火を取り出した。

 

「俺達は、空を飛びながらコイツを投げまくる。そこでだ、君にはコイツをその…良く使っている道具、名前なんて言ったけ?」

 

「この子の事かしら?」

 

 私は銃を取りだすと指先で回しながら、彼等に見せつける。

 

「そうだ、そいつだ。それで、この花火を撃ち抜いてほしいんだ」

 

「きっとド派手になるぜ!」

 

 二人は楽しそうに、顔を見つめあうと、大笑いしている。

 

「そうね、楽しそうじゃない」

 

「そう来なくっちゃ! じゃあ後でな!」

 

「えぇ、それじゃあ」

 

 私は二人に手を振ると、その場を後にした。

 

 

 数時間後、私達は進路指導という事で、マクゴナガルの部屋の前に集められている。

 

 様々な生徒が、部屋に入っては、少し対談し、退室すると言うのを繰り返している。

 

 私の番が来たようなので、扉を開けて中に入ると、そこにはマクゴナガルが羊皮紙を片手に座っていた。

 

「あぁ、ミス・セレッサですね。お掛けなさい」

 

「えぇ」

 

 私は椅子を引き、ゆっくりと座る。

 

 マクゴナガルはいくつかの資料に目を通したのち、ゆっくりと口を開いた。

 

「さてセレッサ。この面接では貴女の進路について話し合います。これからの学校生活で、どうするかについてもです…ではまず進路から」

 

 マクゴナガルはそう言うと、羽ペンを手に取った。

 

「そうね…修道女(シスター)にでもなろうかしら?」

 

「真剣に答えなさい」

 

「これでも本気よ、後はポールダンサーとか」

 

 エンツォから仕事を受けているので、実際進路について考える必要はないのだが。まぁ仕方ないだろう。

 

「まぁ…そう言う事でいいでしょう。貴女には、別件で働いてもらう可能性もありますからね」

 

 恐らく、不死鳥の騎士団の事を言って居るのだろう。

 

 マクゴナガルは深い溜息を吐いている。

 

「アンタも大変ね。ダンブルドアが居なくなって」

 

「仕方ありません。これも仕事です」

 

 マクゴナガルは疲れた笑みを浮かべると、羊皮紙に何かを書き込んでいる。

 

「さて…貴女の進路は修道女(シスター)という事にしておきましょう。流石にポールダンサーは認められません。戻っていいですよ」

 

「そう、これでも本気なのよ」

 

 私はそう言うが、マクゴナガルは冗談そうに笑うだけだった。

 

 

 

  放課後になると、私の背後から双子が話しかけてきた。

 

 

「こっちは準備万端だ。最後に確認だけど、君はコイツを撃ち抜いてくれればいい」

 

 再び、ポケットから花火を取り出すと、私に確認させた。

 

「分かっているわよ、やるならド派手に行きましょう」

 

「良し! なら君は先に大広間で待機していてくれ。俺達は後で大広間に突っ込む」

 

「そしたら、パーティータイムだ!」

 

 私はハイテンションな双子に背を向けると、大広間へと移動した。

 

 

 大広間の扉を開けて、中へと入ると、アンブリッジが校長席に座り、間抜けな表情で何かを話している。

 

「ミス・セレッサではないですか、久しぶりですね、早く席に着きなさい、減点にしますよ」

 

 ここ最近、この女は私を見る度に減点をしようと口にしている。

 まぁ、アンブリッジの授業は最初以外ずっと出ていないのだから仕方も無いだろうが。

 

 私は、両手を腰にやると、ゆっくりと首を左右に振る。

 

「何ですかその態度は? いいでしょう、減点で――」

 

 次の瞬間、轟音と共に歓声が上がる。

 

「何事ですか!」

 

 アンブリッジは大声を上げ、周囲を見回している。

 

 すると、双子が箒に乗りながら、それぞれ大胆な飛行で大広間の中へとやって来た。

 

「ヒャッハー!!」

 

「行くぜ! ベヨネッタ!」

 

 二人は同時に上空に花火の束を投げ放った。

 

「OKよ!」

 

 

 私は、腕を胸の前で交差させると、花火の束目掛け左右に銃から銃弾を放つ。

 

 放たれた銃弾は寸分の違いなく、花火の束に直撃すると、轟音と共に空中に大輪の花を咲かせた。

 

「おぉ…」

 

「すげぇ!」

 

 アンブリッジの圧制により鬱憤が溜まっていたのか、花火を見た生徒達は大声を上げはしゃいでいる。

 

「まだまだ行くぜ!」

 

 再び大量の花火が周囲にばらまかれる。

 

「行くわよ」

 

 上空に散らばった花火に狙いを定め、周囲の生徒達に被害が出ない様に、その場でブレイクダンスを踊りながら、両手両足の銃から弾丸をばら撒く。

 

 ばら撒かれた銃弾は総ての花火に直撃すると、ネズミ花火や、ロケット花火、爆竹等、様々な花を咲かせた。

 

 

「ヒュー! やるじゃないか!」

 

「じゃあ、コイツはどうだ!」

 

 双子は、同時にアンブリッジ目掛け花火の束を投げつける。

 

「やめなさい彼方たち!」

 

 アンブリッジは叫ぶと同時に、杖を取り出そうとするが、花火の束はもはや眼前にまで迫っている。

 

「プレゼントよ」

 

 花火の束、すなわちアンブリッジの顔面に目掛け銃弾を放つ。

 

 放たれた銃弾は吸い込まれる様に花火の束に直撃すると、アンブリッジの眼前で大爆発を起こした。

 

「うぎゃああ!」

 

 気色の悪い悲鳴を上げると、アンブリッジは爆発の勢いで大広間の外へと吹き飛ばされた。

 

「何ですかこれは!」

 

 声を上げる辺り、どうやらまだ生きている様だ、アンブリッジがしぶといのか、この花火が安全なのか…

 

「よし! 仕上げだ!」

 

「ド派手に行くぜ!」

 

 フィナーレという事か、双子は、巨大な花火をアンブリッジに投げつけた。

 

 その瞬間、花火で出来た巨大なドラゴンが現れ、アンブリッジに襲い掛かった。

 

「いやぁああぁああぁ! 親衛隊! 何とかしなさい!」

 

「呼んでいるわよ」

 

「爆音でよく聞こえないんだ。仕方ないさ」

 

 アンブリッジは親衛隊に助けを求めているが、ドラコは見て見ぬフリを決め込んでいる様だ。

 

「いやぁあぁ!」

 

 ついに、ドラゴンの牙がアンブリッジに襲い掛かる。

 

 そこには、ピンク一色の服の所々に焦げを作ったアンブリッジが気を失っている。

 

「やったぜ」

 

「良し! 行こうぜ!」

 

 双子は、私の真横を通り過ぎる。

 

「「じゃあ! 後は任せたぜ!」」

 

 2人はそう言い残すと、正面の扉を開け、ホグワーツの空へと消えていった。

 

 2人を見送る様に、大勢の生徒が扉から飛び出していった。

 

「随分とド派手だったね、流石はウィーズリー家と言ったところか」

 

 私の隣にやって来たドラコは二人が飛び去った空を見ながら呟いた。

 

「意外ね、アンタがあの2人を褒めるなんて」

 

「フッ、褒めた訳じゃないさ、どちらかと言えば皮肉さ」

 

 照れ隠しなのか知らないが、ドラコは多少笑うと、踵を返した。

 

「さて…そろそろ、アンブリッジ先生が目を覚ますはずだ。起こす振りでもしてくるよ」

 

「アンタも大変ね」

 

 私がそう言うと、ドラコは乾いた笑いをこぼしながら、大広間へと戻って行った。

 

 

 




双子に暴れさせても良かったのですが、どうせならベヨネッタにブレイクダンスを踊って欲しいと思いました。

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