ハリー・ポッターとアンブラの魔女   作:サーフ

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今回で、不死鳥の騎士団は終わりですね。

今回は少し短めです。


5年目の終わり

   暗闇を下りた先には、うつぶせに倒れたハリー達が呻き声を上げながら立ち上がろうとしている。

 

「まったく…災難だ」

 

「ここはどこだ?」

 

 

 周囲を見回すと、部屋の中心に石のような物質でできた巨大な門。いやアーチと呼ぶべきか。謎の物体が鎮座している。

 

 そのアーチには薄いベールの様な物が張られており、その向こうが良く見えない。

 

「まるでモノリスね」

 

「何か聞こえないか?」

 

 ハリーがそう言うとその場の全員が耳を澄ます。

 確かに何者かが囁く様な声がアーチの向こう側から聞こえている。

 

 ハリーはその声に惑わされるかの様にフラフラとアーチに歩み寄る。

 

「ハリー、行きましょう。そんな物は放っておいて」

 

「でも、向こうから誰かが呼んでいるんだ」

 

「そんな訳ないでしょ。行きましょう」

 

 ハーマイオニーがそう言った途端、黒い煙を纏った何者かが地面に着地した。

 

「追いつめたぞ。さぁ、予言を渡すんだ」

 

 着地した、ルシウスとベラトリックスは杖を構えながら、ハリーに予言を要求している。

 

「誰が! お前達なんかに!」

 

 ハリーが怒声を上げると、ルシウスはワザとらしく悲しい顔をする。

 

「まったく…仕方ないな」

 

 次の瞬間、私達を襲う様に、黒い煙を纏った死喰い人が空を飛びながら突っ込んで来た。

 

 

「うわぁ!」

 

 私はその場で飛び上がり、死喰い人の攻撃を避けたが、他のメンバーは回避が間に合わず、ハリーを除いて全員が拘束さて、喉元に杖を押し付けられている。

 

「どうするのよ」

 

 私は、ハリーの隣に着地すると、ハリーは悪態を付きながら、手に持ったガラス玉をルシウスの方へと投げ渡した。

 

 ルシウスがガラス玉に手を伸ばした瞬間、ハーマイオニー達を拘束していた死喰い人達が吹き飛ばされ、周囲に爆破音が響いた。

 

「残念だが、その子達に手出しはさせんよ!」

 

「うぉ!」

 

 ルシウスは驚きの声を上げながら、その場から吹き飛ばされる。

 

 その為か、投げ渡されたガラス玉は地面にぶつかり、粉々に砕け散った。

 

「無事か! ハリー!」

 

「シリウス!」

 

 いつの間にか現れたシリウスがハリーに駆け寄る。

 

「怪我はないな!」

 

「うん!」

 

 周囲を見回すと、ムーディやルーピンを始めとした、不死鳥の騎士団員の主要メンバーが死喰い人達と戦闘をしている。

 

「子供は隠れてろ!」

 

 ムーディがそう叫ぶが、ハリー達はそれを聞かず、立ち上がると死喰い人に杖を向けている。

 

「まったく…言う事を聞かないんだから」

 

 私は両手に銃を構えると、死喰い人の杖目掛け、周囲に銃弾をばら撒く。

 

「うがぁ!」

 

 弾丸は杖に直撃すると、一瞬で打ち砕き、魔法を打てない状態にさせた。

 

「これなら何の脅威も無いわね」

 

「やるな! 小娘!」

 

 ムーディはそう言いながら、魔法を放ち、周囲の死喰い人を気絶させていく。

 

「逃さんぞ!」

 

「ハリー!」

 

 シリウスが叫ぶとルシウスが放った魔法を打ち消した。

 

「はん! 相変わらずアンタは甘ちゃんだ!」

 

「ベラトリックス!」

 

 二人は何やら因縁があるのか睨みあって居る。

 

「はぁ!」

 

「くっ!」

 

 二人は同時に魔法を放ち、互いにけん制しあって居る。

 

「シリウス!!」

 

「退いてろ! ハリー!」

 

 駆け寄ろうとするハリーを制しながら、ベラトリックスと魔法を打ちあって居る。

 

「くぉ!」

 

 どうやら、シリウスが劣勢の様だ。

 

「くそ!」

 

 シリウスの制止を振り切り、ハリーがベラトリックスに魔法を放つ。

 

「ぐぁ!」

 

 ハリーの放った魔法を(すんで)の所で防いだベラトリックスが苦痛の声を上げている。

 

「くそがぁ! 邪魔するな!」

 

 ベラトリックスは標的をハリーに変えたのか、赤い閃光をその杖から放った。

 

「ハリー! 危ない!!」

 

 ハリーを庇う様に飛び出したシリウスは、赤い閃光を胸に受け吹き飛ばされる。

 

「ハーハハッ! 消えてなくなりな! シリウス・ブラック!」

 

「シリウス!!」

 

「ぐぉおぉおぉぉ!」

 

 吹き飛ばされたシリウスは、まるで何者かに誘われるかのように、アーチの向こう側へと飲み込まれそうになっている。

 

「退くぞ!」

 

 ルシウスとベラトリックスは吹き飛ばされていくシリウスを一瞥した後、扉の向こうへと消えていった。

 

「シリウスーー!」

 

「は…ハリー…」

 

 ハリーが手を伸ばすが、シリウスの体は、もはや半分以上がアーチの向こう側に半身が入り込んでいる。

 

「まったく…世話が焼けるわね」

 

 私は、足に装備したアルーナを、シリウスは目掛けて伸ばすと、シリウスの足をアルーナで絡め捕る。

 

「ベヨネッタ!」

 

 叫ぶハリーを尻目に、私はシリウスを絡め捕ったアルーナを勢いよく引き戻す。

 

「おおぉおおぉぐおおぉおお!」

 

 引き戻されたシリウスは背中を何度か地面居打ち付けながら、こちらに戻って来た。

 

「ぐぅ! がはぁ!  もうちょっと優しくはできないのか?」

 

「助けてあげたのに随分な言い方ね」

 

「シリウス!」

 

 嬉しそうな表情のハリーはシリウスに抱き着いている。

 

「ハリー…無事でよかった…それより奴らは?」

 

「向こうの扉へ行ったわよ」

 

 私は、背後にある、死喰い人が逃げていった扉を指差した。

 

「追いかけなくてはっ! ぐぅ!」

 

 立ち上がろうとしたシリウスは、苦痛にその顔を歪めながら、片膝を地面に付けた。

 

「僕が行くよ!」

 

 ハリーは駆け出す様に、扉に手を掛けた。

 

「待つんだ! ハリー!」

 

 

 シリウスがハリーを制止させようとするが、すでに遅く、ハリーは扉を開けその奥へと消えていった。

 

「ハリー…ぐぅ…」

 

 シリウスは苦しそうな呻き声を上げている。

 

「その様子じゃ追うのは無理そうね」

 

「くそっ!」

 

 シリウスは悪態を付きながら、舌打ちをしている。

 

 周囲を見回すと、他の面々も若干の怪我はおってはいるが、皆そこまで酷い怪我がという事ではなさそうだ。

 

 ルーピンがシリウスに治癒魔法をかけ、ある程度動けるようになった所で、私達はハリーの後を追うと、大広間のような場所に出た。

 

 そこには、倒れ込んだハリーを抱きかかえるダンブルドアと、高笑いをしながら、消えていくヴォルデモート。

 そして、それをただ見つめる魔法省の面々の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

  数日後、魔法省は今まで認めたくなかった事実である、ヴォルデモート復活を認め、その事は日刊予言者新聞でも大々的に取り上げられたようだ。

 

『名前を呼んではいけないあの人、復活する!!』

 

 なんともありきたりな見出しだ。もうちょっと捻ったほうがインパクトあるだろうに。

 

 他の記事には、ダンブルドアの校長への復職に関する記事が載っていた。

 なお、吹き飛ばされたアンブリッジは、ケンタウロスにリンチにあった後、磔の呪文と服従の呪文を使用した事をある役人がリークしたのか、アズカバン送りとなったらしい。

 

 息子が服従の呪文を喰らったのが腹に据えかねたのか、それとも私に対してある程度の取引のつもりなのか分からないが、まぁその役人の働きには感謝しよう。おかげであの女の顔を見ずに済むのだから。

 

 それに、近いうちにあの大臣(無能)はクビにでもなるだろう。

 

 私は、新聞をテーブルの上に置くと、ホグワーツ特急に乗る為に、駅へと歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

  今年もまた1年が過ぎた。

 

 そして、今年はヴォルデモートが完全に復活し、それが世間に知られてしまった。

 

 しかし、運の良い事に、まだワシが把握する限り、死傷者は出ては居ない。

 

 話に聞くと、シリウスが『アーチの向こう側』に消えそうになった所を、セレッサが引き戻したと聞く。

 

 そのおかげでシリウスは無事だったようじゃ。

 

 今年もまた、彼女に助けられたことになる…

 

「ふぅ…」

 

 ワシは、もはや癖となった溜息を吐きながら、校長室の椅子に腰かける。

 

 やはり、彼女を不死鳥の騎士団員にスカウトしたのは正解だったようだ。

 

「じゃがなぁ…」

 

 ワシは杖を取り出し、目を落とす。

 

 この杖はどうやら、ワシに対する忠誠心は失われている様だ。恐らく去年彼女をスカウトする際、ワシの魔法は、彼女に魔法をはじき返された…どうやらその時に忠誠心が彼女に移ってしまったようだ。

 

 だが、それはある意味ラッキーな事かも知れない。

 

 少なくとも、彼女がトムに倒される姿が想像できない。

 それはつまり、この杖の忠誠心は彼女に移行したままという事だ。

 

「はぁ…」

 

 今日に入って何度目かになる溜息を吐きながら、ワシはポケットから黒い石が嵌められた指輪を取り出した。

 

 マールヴォロの指輪

 トムの祖父である、マールヴォロ・ゴードンが所有していたという指輪だ。

 

 これが、ヴォルデモートの分霊箱の1つだ。

 

 これを探すためにワシはホグワーツを離れたと言っても過言ではない。

 

 そして、この指輪に嵌められている石が、『蘇りの石』だ。

 

 これがあれば…

 

 しかし、この指輪を付ければとてつもない呪いを受けるだろう。

 

 下手すれば死んでしまうかもしれない…

 

 しかし…

 

 どうやらワシは、『蘇りの石』に魅入られた様だ。

 

 ワシは指輪を嵌めようと震える手で取った。

 

 その時、ワシの中で、数年前のセレッサの行動が脳裏を駆け巡った。

 

 彼女はワシが破壊するのを躊躇った賢者の石を、何の躊躇いも無く、破壊したのだ。

 

 あの時、彼女の目に迷いはなかった。

 

 そして彼女は、永遠の命を『くだらない物』だと言い捨てた。

 

 形は違えど、ワシが今からやろうとしていたことは。彼女にとってきっと『くだらない事』なのだろう。

 

「フッ…」

 

 少し馬鹿馬鹿しく思えてきて、はめようとした指輪をテーブルの上に投げ捨てた。

 

 これは破壊しなければならない物なのだ。

 

「そうじゃ…破壊するのじゃ…」

 

 ワシは、自分に言い聞かせるように、口に出す。

 

 しかし、ここにきてある問題が発生した。

 

 分霊箱の破壊方法が未だに掴めていないのだ。

 

 グリフィンドールの剣は、セレッサによって破壊されてしまった。

 

 かといって、バシリスクの毒を使おうにも、牙を含め、バシリスクの本体はセレッサのペットが食べてしまった。

 

「はぁ…」

 

 ワシは、もはや数える気すら起きない溜息を吐きながら、いずれ破壊するであろう指輪をポケットへと仕舞い込んだ。

 

 

 

 

 

 




シリウスは死ぬ事は無く、引きずり戻されました。

次回作の、謎のプリンスは書き上げた結果、かなり短い感じですが、よろしくお願いいたします。
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