ハリー・ポッターとアンブラの魔女   作:サーフ

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腕が痛いので病院に行ったら腱鞘炎だと言われました。


尋問

 

   またしても、計画は失敗してしまった。

 

 スラグホーン経由で、ダンブルドアに毒の入った酒を飲ませるつもりだったのだが…どういう訳か、ウィーズリーが飲んでしまったようだ。まったくもって上手くはいかない…

 

「くそっ!」

 

 僕は、周囲にある瓦礫と化した家具に手当たり次第に魔法を放ち、それにより瓦礫を破壊して、ストレスを発散させる。

 

「ふぅ…ふぅ…こうなったら…」

 

 僕は修理が5割ほど完了した『姿をくらますキャビネット』に目を向ける。

 

 いつ見ても、不気味で不穏な空気を漂わせているキャビネットだ。

 

 これを完成させ、死喰い人をホグワーツに呼び込む。

 

 そうすれば、僕は例のあの人に殺されずに済むだろう。

 

「それしか…僕には…もう…」

 

 これ以外の道は無い。

 

 僕は震える手を必死に抑えながら、修理を再開した。

 

 

 

  数日が過ぎた後、ケイティ・ベルがホグワーツに戻って来たようだ。

 

 理由はどうあれ、彼女には悪い事をしてしまった。が…これも計画を遂行する上で仕方のない事だ…

 

 若干の心苦しさを感じながら、僕が大広間にやってくると、そこには、ポッターとケイティ・ベルが何やら話しているのが見て取れる。

 

「まさか…」

 

 全身に悪寒が走る。

 

 ポッターはこちらにゆっくりと振り向くと、目線が合う。

 

「くッ」

 

 今度は、全身から冷や汗が噴出し、心臓が弾けるほど早鐘を打つ。

 

 その場に居る事が出来なくなった僕は踵を返し、一刻も早く、この場から離れようとする。

 

「おい!」

 

 しかし、ポッターは早歩きで、僕を追いかけてきている。

 

 口が乾き、息の仕方すら忘れてしまう。

 

「チッ!」

 

 舌打ちをし、イラ立ちを込めながら、安全な場所を求めるように歩き続け、目に付いたトイレへと入り込む。

 

「はぁ…」

 

 溜息交じりに、蛇口を捻り、大量の水を出す。周囲に水音が響き、雑音がかき消される。

 

「ふぅ…」

 

 滝のように流れ出る水を手ですくい、何度か顔を洗う。

 

 水の冷たさが心地よく感じる。

 

 それに伴い、思考能力も回復し、頭がすっきりとした。

 

「君だろ! マルフォイ! 呪いをかけたのは!」

 

 トイレの入り口でポッターが大声を上げ、喚き散らしている。

 

「さぁ? 一体…何の事を言っているんだ? ポッター!」

 

 僕は冷静さを装い、洗面台に腰かけながらポッターと対峙する。

 

「僕にはわかる! 君が呪いのネックレスや、毒の入った酒を用意した事を!」

 

 揺るぎない確信を持っているのか、僕を犯人だと言い切るポッターの目がとても痛々しかった。

 

「なるほどなぁ…証拠でもあるのか?」

 

 ポッターを小馬鹿にするように疑問の声を上げる。

 

 とにかく今は、時間を稼ごう。それしかない。

 

「白を切るつもりか!」

 

「白を切るも何も、君の言っている事が理解できないのでね。もう少し考えてから発言してくれないか?」

 

 

 しばらくすればここにも人は来るはずだ、そうすれば…

 

「どうしても口を割らないっていうんだな…良いさ! なら!」

 

 ポッターは勢いよく杖を引き抜くと、魔法を放った。

 

「うわぁ!」

 放たれた閃光は、一瞬のうちに僕の眼前にまで迫って来た。

 

 僕はその場から飛び退き、ギリギリで魔法を回避する。

 

「何をするんだ!」

 

「良いから僕の質問に答えろ!」

 

 ポッターは再び杖を振るう。

 

「くぅ!」

 

 僕も杖を取り出し、反対魔法をかけ相殺する。

 

「何のつもりだ!」

 

「くそ!」

 

 ポッターは何の躊躇いも無く、三度杖を振るった。

 

「チッ!」

 

 初撃を反対呪文で防ぎ、僕はその場から走り出し、部屋の奥へと退避する。

 

「逃げるな!」

 

 怒り狂ったポッターは手当たり次第に魔法を乱射している。

 

 その魔法は、水道の配管に直撃し、周囲に雨の様に水が降り注ぐ。

 

「どこだ! どこに居る!」

 

 水飛沫によって視界が遮られたおかげか、ポッターは僕を見失ったようで、大声を上げている。

 

「ここか!」

 

 ポッターは怒声を撒き散らしながら、トイレの個室を乱雑に開けては、乱暴に閉めてを繰り返し、僕を探している様だ。

 その音に僕の心臓は再び早鐘を打ち、必死に声を押し殺し、息を潜める。

 

 

「くそ!」

 トイレの個室を半分程確認したところで、ポッターは悪態を付きながら、個室のドアを強く蹴っている。

 

 かなり音が近い、必死に息を潜め何とかやり過ごさなくては…

 

「素直に出てきたらどうだ! 早く出てきた方が身のためだぞ!」

 

 ポッターは水飛沫を受けながら、杖を振り、トイレの扉を爆破させ始めた。

 

 これは…不味い…

 

「ふぅ…ふぅ…」

 

 ある程度暴れたところで、息切れを起したようで、ポッターは肩を上下に動かしながら呼吸を整え始めた。

 

 今しかない!

 

 僕は、隙を見て入口へと走り出す。

 

「そこか!」

 

 走り出した瞬間、水浸しの床のせいで、周囲に水音が響き、ポッターはこちらに杖を向けた。

 

「ふざけるな!」

 

 逃げながら、ポッターを見据え魔法を放とうとする。

 

 しかし、数秒ほどポッターの方が早く杖を構えた。

 

「逃すか! セクタムセンプラ!」

 

「ぐぁ!!」

 

 ポッターが聞き覚えの無い魔法を放った瞬間、僕の右腕にまるで焼き鏝を押し付けられたかの様な感覚が走る。

 

「ぐぅ!!」

 

 その場に倒れ込んだ僕は咄嗟に左手で、右腕を押さえると、そこは鋭利な刃物で切り裂かれた様な傷が出来ており、傷口からは大量の血が流れて出て、僕の周囲を紅く染めている。

 

「さぁ…答えるんだ」

 

 僕の前に現れたポッターは、流れ出る血を見て、一瞬、驚いたような表情を浮かべたが、直ぐに厳しい顔になると、ドスの効いた声を出した。

 

「ハァ…ハァ…何度も言っているが…身に覚えが無いんでね…」

 

「とぼけるなよ」

 

「ハァ…そんな怖い声を出すなよ、傷口が痛むだろ…」

 

「もう一度だけ聞くぞ。お前が犯人だろ。マルフォイ…」

 

 ポッターの怒りや、憎しみ、殺意の困った声が響いた後、一瞬の静寂が訪れ。再び水音が周囲を満たす。

 

「ならもう一度言おう…いや…何度だって言ってやろう…身に覚えは無いとな…」

 

 僕がそう答えると、ポッターはまるで養豚場の豚を見る様な目で僕を見下すと、溜息交じりに口を開いた。

 

「つまりは…答える気はない…と」

 

 最早、何の表情のない顔で僕を見下ろすポッターは、淡々と口を開いている。

 

「もし仮に、そうだったとしても…誰が…お前なんかに言うものか!」

 

 痛む腕を押さえながら、精いっぱいの虚栄を張る。

 

「そうか…フフッ…そうか……なら…もういいよ…」

 

「理解してくれたかな…」

 

 ポッターは眼鏡のズレを軽く直すと、ゆっくりと口を開いた。

 

「なら、お前にはもう用はない」

 

 ポッターは、再び杖を振り、魔法を放った。

 

 その瞬間、静寂は崩壊し、破裂音が周囲を占拠した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  私がいつものように、朝食を取ろうと、大広間へ向かおうとすると、険しい表情のハリーが早足で何処かへ向かっている。

 

「なにかしら?」

 

 若干気になり、ハリーが消えた方向に歩みを進めると、そこには腕から血を流し、膝を付いているドラコに何の躊躇いも無く杖を突き付けているハリーの姿があった。

 

「なら、お前にはもう用はない」

 

 一切の感情が込められていない声で呟くと、ハリーはゆっくりと杖を掲げると、一気に振り下ろした。

 

 

 私は、ウィッチタイムを発動させ、周囲に飛び散る水飛沫の動きを確認しながら、ゆっくりと銃を構え、2人の間に向け、銃弾を放つ。

 

 放たれた銃弾は、ハリーの杖の先端から発生した魔法に直撃すると、そのまま、魔法をかき消し、奥の壁に弾痕を作った。

 

「なっ!」

 

 2人は同時にこちらに目を向けたので、私は軽くウィンクをする。

 

「朝から騒がしいわね。何事かしら?」

 

「セレッサ…」

 

「ベヨネッタ! こいつが! こいつが犯人なんだ!」

 

「へぇ…」

 

 私は2人の間に割り込むように入り込むと、背中越しにドラコに声を掛ける。

 

「これも、アンタの任務の一環かしら?」

 

「フッ…さぁ…どうだろうね」

 

 痛む腕を押さえながら、痛々しい声を上げたドラコは、必死に軽口を叩いている。

 

「おい…ちょっと待てよ…コイツの任務って…まさか君は知っていたのか!」

 

 ハリーは私に杖を突き付けながら、怒声を上げている。

 

「詳しくは知らないわ」

 

「じゃあ、任務ってなんだよ! 君もコイツの仲間か!」

 

 混乱しているのか、ハリーは杖を上下に振りながら、取り乱している。

 

「少し落ち着きなさい。そうね…ドラコが私を暗殺しようと計画していた事ぐらいなら知っているわよ」

 

「え?」

 

 それを聞いたハリーは間の抜けた声を上げている。

 

「まぁ…君に知られてしまった以上…その任務は失敗だけどね」

 

 ドラコは痛む腕を庇いながら立ち上がると、吹っ切れた様に笑って居る。

 

「どうなっているんだ…君達…良く分からないよ」

 

 混乱しているのか、ハリーは頭を抱えている。

 

「何事です!」

 

 そんな時、マクゴナガルの声が周囲に響いた。

 

「先生! これは…」

 

「怪我人がいる様ですね! とりあえず、怪我をしている生徒は医務室に行きなさい!」

 

 このままでは面倒に巻き込まれそうだ。私が目配せすると、ドラコは何かを察したように頷き、腕を押さえていた方の手を上げ、マクゴナガルに血が見える様にアピールしながら声を上げた。

 

「これじゃ、一人で行くのは難しい…誰か付けてくれませんか」

 

「そうですね…良いでしょう。セレッサ、付いて行ってあげなさい」

 

「わかったわ」

 

 私は、中指で眼鏡を直しながら、ドラコの肩を持つと、力を入れ立ち上がらせる。

 

「さて…行こうか」

 

「えぇ」

 

 私達は、ゆっくりと出口へと向かっていく。

 

「おい! ちょっと! どういう事だよ…」

 

 そんな私達の後姿を見送るハリーは、マクゴナガルに質問攻めを受けていた。

 

 

 

「また助けられてしまったね」

 

 

 腕を押さえながら、ドラコは申し訳なさそうに呟いている。

 

「アンタって毎年事故にあっているイメージがあるけど、呪われているんじゃないかしら?」

 

「ハハッ、確かにそうだね。そして、毎年君に助けられている…」

 

 ドラコはどこか悲しそうな表情で呟いている。

 

「さて…もうここまでで大丈夫さ」

 

 医務室の前まで着いた所で、ドラコが、ゆっくりと扉に手を掛ける。

 

「そう、お大事にね」

 

「あぁ…君も気を付けてくれ、闇の帝王はロプトと言う男を使って何か企んでいる様だ」

 

 ドラコは真剣な口調でそう言うと、扉を開けて奥へと消えていった。

 




これ、どっちが悪役か分かんねぇな。
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