ハリー・ポッターとアンブラの魔女   作:サーフ

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飛行訓練、そして

ホグワーツに入学してから数週間が経ち、ようやく魔法界について理解し始めた。

 

魔法界は今でこそ平和であるが数年前、闇の帝王と呼ばれた魔法使い、ヴォルデモートが魔法界を恐怖へと陥れていた。しかしハリー・ポッターに敗北し姿を消したという。

ここで疑問が残る、当時赤ん坊だったハリーはどのような手段でヴォルデモートに勝利したのだろう?

この事については、誰も知らないという話だ。

 

 

 

 本日の授業は箒を使った飛行訓練のようだ。

わざわざ箒を使うとは案外ビジュアルに凝っているのかもしれない。

もっとも、魔法界の人間は箒がなければ空を飛ぶ事もできないらしい。

 

校庭に出ると天気は快晴で空を飛ぶには打って付けの天気だった。

 

集合場所に行くとそこにはすでに険悪な空気が流れていた。

どうやらまたもスリザリンの生徒たちと合同なようだ。

犬猿の仲なのだから別々にすればいいものを…

そんな事を考えながら私も校庭の中へと入っていく。

 

「やぁ、セレッサ、君は空を飛んだことあるかい?」

 

マルフォイが私を見つけると手を振りながら歩いてくる。

 

「そうね、箒では空を飛んだことはないわね」

 

「そうなのかい、マグルの方じゃ鉄の塊で空を飛ぶって聞いたけど本当かい?」

 

「えぇ、飛行機の事ね」

 

「なんだかとても面倒なことをするんだね」

 

「あら、乗ってみると案外快適よ、機内食のクオリティも中々な物ね」

 

「そうなのかい?マグルの癖にやるものだな。そういえばクィディッチについては知っているかい?」

 

「名前だけならね」

 

「魔法界で一番のスポーツさ。実は僕クィディッチが好きで、子供の頃からやっていたから箒に乗るのは得意なんだ」

 

「そうなのね、なら今日は楽勝じゃないかしら?」

 

「もちろんだとも、期待してくれ」

 

そう言うと、マルフォイはスリザリンの集団へと歩いて行った。

 

振り返りグリフィンドールの方へ歩いて向かっていった。途中でロンが嫌そうな顔をいて悪態をついたが、手を振って軽く流した。

 

 しばらくすると講師であるマダム・フーチがやってきて箒の横に並ぶように指示を出した。

 

「いいですか、箒の上に右手を出して、【上がれ】という」

 

周囲からは【上がれ】という声がこだまするが出来ていない生徒が殆どだった。

そんな中、ハリーとマルフォイはすぐに成功させているようだった。

 

私も手を上に持って行くと若干だが箒から魔力を感じ取ることができた。

どうやら、箒自体に魔力が込められているようだ。

 

「上がれ」

 

私は魔力を込めずに言葉を発するが私の手に箒が納まった。

 

 

大半の生徒が箒を手に取ることに成功したのを見届けてからフーチが箒の柄の握り方や、跨り方などを実演していった。

 

「皆さん基本は分かりましたね!私が笛を吹いたら地面を強く蹴るんですよ!数メートルほど浮上したらその後すぐに下りて来てくださいね、1!2!の…」

 

「うわぁあああああぁぁあっ!!!」

 

フーチが笛を鳴らす前に物凄い速度で急上昇するネビルが見えた。

 

「こらっ!戻りなさい!」

 

フーチが怒声を上げるがネビルには聞こえておらず、まるで暴れ馬にでも乗っているかのように暴れながら上昇し、50mほど行ったあたりで手を放してしまったのか、真っ逆さまに落下し始めた。

この高さだとよほど運が良くなければ即死だろう。

フーチが杖を出そうとしているがおそらく間に合わない。

 

「はぁ…しょうがないわね」

 

手にしていた箒に杖を突き刺し魔力を無理やり注ぎ込むと箒がバキバキと音を立て地上30㎝ほどの高さで滞空した。

私はサーフボードに乗るように立ち乗りで箒に乗り魔力を解放する。

 

「うわぁ!」

 

その途端に爆発的な加速によって発生した風によりハリー達が声を上げた。

高速に風を切り裂き、一瞬でネビルに接近し彼の腕を掴むとゆっくりと地面に降下した。

 

「ミス・セレッサ!!何をやっているのですか!」

 

フーチは開口一番、怒声を浴びせかけてきた。

そんな彼女に私はネビルを預ける。

 

「どうやら気絶しているだけのようね」

 

「っ!そのようですね、私はこれより彼を医務室へ連れていきますから、その間に誰も箒に乗ってはいけませんよ!乗ったらクィディッチの『ク』を言う前にホグワーツから出て行ってもらいますからね。」

 

フーチがそう言うとネビルを担いで城の中へ消えていった。

2人の姿が見えなくなった途端周囲がどよめきだした。

 

「ベヨネッタ、さっきのはいったい何だい?すごい加速だよ!」

 

箒を手にしたままハリーとロンがやってきた。二人とも興奮冷めやらぬといった感じだ。

 

そんな二人を尻目にマルフォイがいつもの取り巻きを連れて近付いてきた。

 

「セレッサ!君はやっぱり優秀だな、殺人的な加速じゃないか!それにしても見たかあの間抜けな顔、君が助けてなかったら死んでいたぞ」

 

マルフォイはそういうと地面に転がっていたネビルの持っていたガラス球を拾い上げた。

 

「これは、ロングボトムの思い出し玉か?これで飛び方を思い出していれば。君に迷惑をかけずに済んだだろうに」

 

「マルフォイ、そいつを返せ!」

 

ハリーがそう言ってマルフォイを睨みつける。その場の殆どの生徒の目線が私から彼等へと移動した。

 

「嫌だね、これは奴自身に見つけさせる」

 

ハリーがマルフォイに殴りかかるが、当たる瞬間に箒に乗って空に回避されてしまう。

 

「取りに来いよ!ポッター!」

 

マルフォイが箒に乗りながら手にした球を何度か空中に投げてはキャッチするのを繰り返していた。

 

ハリーも箒を手に取る。

 

「ダメよ!先生が言っていたわ!そんなことしたらまた減点されちゃうわ!」

 

ハーマイオニーが制止するがハリーはそれを無視して箒で飛び上がる。

 

ハリーの箒は空中でフラフラとしていたがすぐにそれは修正されていった。

 

「返せよ!さもないとお前を叩き落とすぞ!」

 

「やってみろよ!」

 

ハリーがマルフォイを睨みながら正面から突撃していった。しかしマルフォイは難なく横へ避ける。

 

「そんなに返してほしいなら、取ってこい!」

 

そう叫ぶとガラス球を空中高く放り投げる。

ハリーは急旋回してガラス球のキャッチを試みている。

 

このままだとまた怪我人が出るかもしれない、そう思い私は再び箒に魔力を注ぎ込み先程と同じように乗るとハリーの元へ駆けつけた。

 

 ガラス球は塔の壁に激突するコースだったがハリーが一気に速度を上げ、寸での所でキャッチした。

しかし、急加速したことにより、このままではハリーが壁に激突してしまう。

私は更に魔力を流し込み、ハリーの腕を掴むとそのまま壁に沿って急上昇する。

 

ハリーの手から離れた箒は塔の壁にぶつかり木っ端微塵になってしまった。

 

「うわぁああああ!」

 

「少し黙ってなさい、舌噛むわよ」

 

塔の一番高いところよりも高い位置まで駆け上がったところで、体を水平に保ち、ハリーを両腕で抱きかかえる。

 

水平になったことでどうやらハリーは落ち着きを取り戻したようだった、そしてその手にはしっかりとガラス球が握られていた。

 

「はぁ…はぁ…助かったよ、ありがとうベヨネッタ」

 

「どういたしまして。それにしても、貴方もなかなかやるわね」

 

「へへ、箒はダメになっちゃったけど、これは無事さ。そろそろ降ろしてくれないか、さすがにこの格好は恥ずかしい」

 

「そう、でも残念ね。この箒、そろそろダメみたいよ」

 

「え?」

 

無理やり魔力を注ぎ込んだが故に箒が限界を迎えていたようでバキバキと音を立てている。

 

「ど、どうするんだよ!このままじゃ…」

 

「飛ぶわよ」

 

「え?」

 

私は両腕でハリーを抱きながら右手に杖をもって、両足に力を籠めると箒を力強く蹴る。その瞬間、箒は空中でバラバラになった。

 

「ああぁああああああ!」

 

少し飛び上がった後に重力に引かれ自由落下をしていく。

周囲で見ていた人はもう駄目だと思ったのか、目を背ける者もいた。

入口の方ではフーチとなぜか駆け付けてきたマクゴナガルの2人が杖を片手に走っている。

二人が何かの呪文を私たちに向けて放ったがその呪文は私たちに当たる手前で砕け散ってしまい杖に吸収されていった。

どうやらこの杖は、あまり魔力のない魔法なら吸収してしまうようだ。

 

せめて吸収される魔法の選択権ぐらい欲しいものだ。

 

「どうなっているんだよ!このままじゃ僕たち!」

 

「うるさいわね、大丈夫よ」

 

目の前で魔法が、頼みの綱が消え去ってしまったので軽くパニックを起こしているようだ。

なおも二人は先程と同じ魔法を放ってくるが、その度に杖によって魔法が打ち消される。

 

私はそんな光景を客観的に見ながら着地体勢に入る。その途端に私の両足に魔力が宿る。

 

「避けなさい!」

マクゴナガルがそう叫ぶとほぼ同時に私たちは地面に激突した。

周囲は土煙が立ち込め、私を中心としたクレーターが形成されていた。

 

周囲では生徒たちのによって騒めき立っていた。

 

ハリーの方に目を向けると完全に気を失っていた。

 

「テルジオ ー 払え」

 

杖を横に振ると周囲の土煙が一瞬にして吹き飛ばされる。

 

 

「ミス・セレッサ!大丈夫ですか」

 

マクゴナガルが杖を片手に駆け寄ってくる。

 

「えぇ、大丈夫よ、ハリーも気絶しているだけのようだわ」

 

私は地面にハリーを横に寝かす。

 

「エネルベート - 活きよ」

 

「うわぁああ!」

 

マクゴナガルがハリーに魔法をかけると一瞬にしてハリーが目を覚ました。

 

「はぁ…はぁ…僕たちは…助かった?」

 

「えぇ、そうです、ミス・セレッサに感謝しなさい」

 

ハリーは私の方と着地点を何度か見比べる

 

「あ、ありがとう、助かったよ」

 

「さて、ポッター、一緒に来なさい」

 

「え…でも、ハリーが悪いわけじゃ…」

 

ハーマイオニーがマクゴナガルに進言するが却下されそのまま城へと向かって歩き出した。

その後ろをフラフラしたハリーが付いて行った。

 

私はその後フーチに箒を壊してしまった事について小言を言われたが軽く流してから談話室へと戻っていった。

 

 

 

 次の日になってもハリーは学校にいた。どうやら退学にはならなかったようだ。

それどころかクィディッチのシーカーと呼ばれるポジションに選ばれたという話だ。

1年生は選手にはなれないという話だったが、どうやらマクゴナガルが無理に通したのだろう。

そのせいか夕食の時間だと言うのにハリーの周りには様々な生徒が輪を作っていた。

中心にいたハリーは私に気が付くと輪を掻き分けて近寄ってきた。

 

「やぁ、ベヨネッタ。昨日は君のおかげで助かったよ。」

 

「それはどうも、あなたこそシーカーに選ばれたようね。箒、大したものね」

 

「そうなんだよ!もうびっくりさ、でも君が選ばれなかったのが不思議なんだよ」

 

「まぁ、2人もイレギュラーが発生すれば大問題なんでしょう」

 

「そうなのかな、君が入ればグリフィンドールの優勝は決まったも同然なのに」

 

ハリーが残念そうな顔をしていると後ろの方がざわつき始める、振り向くとそこにはロンとマルフォイが口論を始めていた。

 

「どけよ、マルフォイ、ここはお前の来るよう場所じゃない!」

 

「邪魔なのは貴様の方だウィーズリー!」

 

「あら、坊やじゃない、どうしたのかしら?」

 

「やぁセレッサ、君には迷惑をかけてしまったね、すまなかったよ。君が壊してしまった箒に関しては僕の方で弁償するよう父上に頼んでみるよ、だから気にしないでくれたまえ」

 

「助かるわ、これで一つ借りが出来たわね」

 

「そんなの気にしないでくれよ」

 

マルフォイが笑いながら話していると激怒したロンが乱入してきた。

 

「マルフォイ!ハリーにも謝れよ! お前のせいで死にかけたんだぞ!」

 

ロンは相変わらず悪意の限りをマルフォイにぶつける

 

「相変わらず威勢だけはいいなウィーズリー、そんなのポッターの自業自得だろ?セレッサが助けてなかったら壁に激突していたんじゃないか?」

 

「貴様が余計なことしなければ良かっただけの話じゃないか!」

 

「くどいぞ!そこまで言うなら決闘でもするか?それとも品のないウィーズリー家では決闘のやり方すら学んでいないのか?」

 

「良いだろう!やってやるさ!」

 

「おぉ、威勢がいいな、では介添人はだれがするんだ?」

 

「僕がやるよ!お前はだれを連れてくるんだ!」

 

ハリーがロンの隣に歩み寄り共にロンを睨みつける。

 

「クラッブ、お前に任せる。それでは今日の深夜、場所はトロフィー室にしよう。あそこはいつも鍵が開いてたからな」

 

マルフォイはそう言い残すと扉から出ていった。

 

 

「ところで、ロン、介添人って何をすればいいんだ?」

 

「簡単に言えば、僕が死んだ後は君が戦うという事さ」

 

死ぬと聞いてハリーの顔が青ざめていく、そんなハリーを見たのかロンが急いで言葉を継ぎ足した。

 

「でも、死人が出るような決闘なんて大人の魔法使いが本気でやらない限りあり得ないことだよ」

 

「もし、決着が付かなかったらどうするんだ?」

 

「そうなったら、殴り合いでもするさ」

 

ロンが胸を張ってそう答える。そんな後ろからハーマイオニーがやってくる

 

「ダメよ!夜に談話室の外へ出ることは減点対象よ」

 

「バレなきゃ大丈夫な事じゃないか、それに相手だって抜け出すんだ、条件は一緒じゃないか」

 

「どう考えたって罠よ!」

 

「罠かもしれないけど、行かなかったらそれこそ次の日、奴から負け犬呼ばわりされるだろ!それにあいつらが来なければアイツらの負けって事さ」

 

どうやらロンはとてつもなく単純で思い込みが激しいようだ、ここまで思い込んでいるようなら何を言っても無駄だろう。

 

 

 

 

 夜になり同室のメンバーが寝静まるのを確認してから、バーへ日課をやりに行き、そこで1杯やってから部屋に戻る。

ふと横を見ると同室であるハーマイオニーの姿が見えなかった。

どうやら、あの2人の決闘について行ったのかもしれない。

 

私は寝室を出から、もうじき戻ってくるであろう彼等のことを考えて、暖炉に薪を足し火を付けソファーに深く腰掛ける。

 

その直後、大慌ての3人が扉を大げさに開けて入ってきた。

安堵したような表情で肩で息をしながら3人とも椅子に座りこんだ。

 

「あら、遅かったじゃない」

 

その瞬間ロンが大声を上げる。

 

「あんな怪物を学校に閉じ込めておくなんておかしいよ!」

 

「あんなバケモノ見たことないよ!」

 

「あなた達、他に見るところはなかったの!あれは番犬よ!」

 

「なんで、校長が行くなって言っていた部屋にあんなものがいるんだよ!」

 

「足元に隠し扉があったの見てなかったの!」

 

私の存在に気が付いていない様でさっきまであった事を大声で話している3人には私は少し咳払いをする。

すると3人はこちらに気が付いたようで少し固まってしまった。

 

「こんな遅くにどこへ行っていたのかしら?」

 

「ベヨネッタ、君の方こそ何でこんな時間に談話室に?」

 

「目を覚ましたらハーマイオニーの姿がなかったからよ」

 

「それで、談話室で待っていたって事かい?」

 

「まぁそんなところね。さぁそろそろ寝たほうがいいんじゃないから?」

 

私がそう言うと各々が自室に戻っていった。

暖炉の火を消して、自室に戻るとハーマイオニーがベッドの上で震えながら必死に目を閉じて眠ろうとしていた。

 

「どうかしたのかしら?」

 

「さっきのことを思い出して…それで…」

 

涙声が部屋の中に響く、そっと近付き彼女の頭を撫でる。

 

「え?」

 

「怖い思いをしたのね…でも大丈夫よ。安心して眠りなさい」

 

そう言うと、私がよく聞いていた子守唄を口遊む。

しばらくすると安定した寝息が聞こえてきた。

安心しきったような寝顔を確認したあと、私もベッドに入り眠りについた。

 

 




箒の上に手をやって
『上がれ』っていうのを子供の時やってたことを思い出しました。

ベヨネッタが口遊んでいた子守歌は作中でも流れているあの歌です。

さて、次回はチュートリアルさんが登場します。
よろしくお願いします。
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