ハリー・ポッターとアンブラの魔女   作:サーフ

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ついに、物語も終盤です。




アルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドア

  夜遅く、僕は同室の生徒を起さないようにゆっくりと寝室から抜け出し、暗雲立ち込める中、必要の部屋へと入り込んだ。

 

「まだだ…」

 

 僕の目の前には、8割程度まで修理が完了した『姿をくらますキャビネット』が鎮座していた。

 

 今の状態では、物質の移動は可能だが、命ある者の移動はまだ安定しない。現に何匹もの小鳥が犠牲になった。

 

「おやおや…こんな夜中に、こんな場所に居るとは、感心しないなドラコよ」

 

 ふいに背後から、声が響き、僕は驚きながら振り返る。

 

「スネイプ…先生…」

 

 そこには、普段と変わらない表情のスネイプ先生が、杖を構えながら立っていた。

 

「まだ修理はできておらぬのか? ん?」

 

「まだですよ…それより何の用です…」

 

「貴様が、夜遅くに出歩くのが見えてな。()()として、注意しに来たのだ」

 

「そうですか…」

 

 声のトーンに変化の無い、スネイプ先生に対して、僕は若干の苛立ちを覚えながら、反論する。

 

 その時、急に『姿をくらますキャビネット』が音を立て始めた。

 

「バカな…まだ修理は…」

 

 しばらくすると、扉が開き、中から、青白い光を放った男。ロプトが姿を現した。

 

「おやおや、お2人が揃ってお迎えとは、気が利きますね」

 

「まだ修理は完全ではない筈…」

 

「えぇ、普通の人間ならこちらに来る頃には、ただの肉塊になっていたでしょう。ですから、私が来たのですよ」

 

 ロプトは変化の無い表情で笑いながら、部屋の扉に手を掛けている。

 

「さて…それでは案内していただきましょうかね…ダンブルドアの所まで」

 

 ロプトは張り付いた笑みを浮かべながら、感情なく呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

  私達は、来た時と同じように、時計塔の最上階に姿を現した。

 

「ふぅ…」

 

 ダンブルドアは溜息をすると、ハリーにスリザリンのロケットを預けた。

 

「これを持って居てはくれぬか」

 

「……はい…」

 

 ハリーは、少し不安気に返事をすると、スリザリンのロケットをポケットに押し込んだ。

 

 その時、下の階の扉が開く音が聞こえた。

 

「あれは…」

 

 そこには、ロプトを引き連れた、ドラコとスネイプの姿があった。

 

「ハリー! 隠れるのじゃ!」

 

「ですが!」

 

 ハリーはダンブルドアに反論しようと、声を荒げている。

 

「すまぬの…ハリー…」

 

 ダンブルドアが軽く杖を振るうと、ハリーはその場で石のように固くなり、身動き取れない状況になった。

 

「あら? 何のつもり?」

 

「しばらく、大人しくして居てもらうのじゃよ」

 

 再びダンブルドアが杖を振るうと、どこからかマントの様な物が現れ、ハリーの上に覆いかぶさった。

 

「透明マントじゃよ。これで隠れていてもらうのじゃ…」

 

 ダンブルドアは何処か寂しそうな表情で、ハリーを見ていた。

 

 その時、階段を上り切ったドラコが杖を構えた。

 

「ダンブルドア…セレッサ…」

 

「おや、ドラコかの? 良い夜じゃの。何をしに来たのじゃ?」

 

「それは…」

 

「これがアンタの任務かしら?」

 

 私が、そう問いかけると、ドラコは数度頷いた。

 

「なるほどの…呪いのネックレスや、毒入りの蜂蜜酒…総てはワシの暗殺が目的かの?」

 

「そうだ!」

 

「奇遇ね、私も暗殺対象だったのよ」

 

「ほぉ…それはそれは…奇遇じゃの」

 

 私達を前にして、ドラコは震える手を押さえながら、必死に杖を構えている。

 

「君には人は殺せぬよ…」

 

「こうするしか…こうするしかないんだ! でなければ僕が殺される!!」

 

 ドラコは涙交じりの嗚咽を上げながら叫んでいる。

 

「そうか…では、やるが良い」

 

 ダンブルドアは杖をしまうと、両手を上にあげている。

 

「どうしたのじゃ? 早くやらぬか?」

 

 ダンブルドアはゆっくりとドラコを挑発している。

 

「吾輩の生徒を煽るのはその辺にされてはどうですかな? ダンブルドア校長」

 

 ドラコの背後から、スネイプ、そして…

 

「初めましてというべきですね、アルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドア。そして…お久しぶりですね。ベヨネッタ」

 

「アンタまで来ているなんてね。どうやって連れ込んだのかしら?」

 

「姿をくらますキャビネットだ…僕があれを修理した」

 

「そうか…なるほどのぉ、よく考えたの」

 

 ダンブルドアは数回頷いている。

 

「さて…ドラコ…何を躊躇っているのです。早く殺しなさい」

 

 ロプトは囁く様な声で、ドラコに命令を出している。

 

「くそ…」

 

 私はその場で銃を構え、引き金を引いた。

 

 放たれた弾丸は、悲し気な表情を浮かべているドラコを掠めるように左頬の付近を通過した。

 

「おや」

 

 放たれた銃弾は、ロプトの脳天に命中するが、何食わぬ顔で立っている。

 

「私を忘れないで貰えるかしら?」

 

「そうでしたね…良いでしょう。ではドラコ。先にベヨネッタを始末しなさい」

 

「え?」

 

 ドラコは間の抜けた声で、ロプトを見ている。

 

「ヴォルデモート卿のご命令ですよ。まぁ、ダンブルドアさえ殺せれば、あのお方は満足でしょうけどね」

 

「口を慎め、ロプト」

 

「おやおや…怖い顔をなさらないでくださいよ。セブルス」

 

 ロプトは煽る様に、スネイプを小馬鹿にしている。

 

「退くのだドラコよ…ここは吾輩が変わろう」

 

「いいえ、セブルス。その必要はありませんよ」

 

 スネイプの具申をロプトが遮った。

 

「フッ…やはり、貴方には無理でしたか。まぁ良いでしょう」

 

 ロプトが指を鳴らすと、4体の天使が現れ、ドラコの四肢を掴むと、宙に飛び上がった。

 

「うわぁ! 離せ! この! 助けて!」

 

 天地達は、宙に浮かんだドラコの四肢を引っ張り、そのまま引き裂こうとしている。

 

「ドラコ!」

 

「早く助けないと、バラバラになりますよ」

 

「クッ!」

 

 私は両手に銃を構えると、左右の銃を2発ずつ放ち、総ての天使の脳天を撃ち抜く。

 

「う…あ…」

 

 落下を始めたドラコに駆け寄り、その体を受け止める。

 

「あ…あっ…セレッサ…」

 

 ドラコは私の腕の中で、眠る様に気を失った。

 

「アバダケダブラ」

 

 その時、ロプトの声が響き渡る。

 

 振り返ると、そこには、ロプトが放った緑色の閃光がダンブルドアの胸を突き抜ける光景が広がっていた。

 

 

「あ…ぐ…」

 

 緑色の閃光に胸を貫かれたダンブルドアは断末魔すらあげずに、そのまま後ろに倒れ込むと、時計塔の最上階から、その身が重力に従い落ちて行く。

 

 数秒後、鈍い音が周囲に響き渡る。

 

「何とも呆気の無い…これが今世紀最強の魔法使いですか」

 

 ロプトは興味なさげに呟くと、その場から立ち去ろうとする。

 

「待ちなさい」

 

 私は銃を構えると、後ろを向くロプトに突き付ける。

 

「この私がこのまま逃すと思っているの?」

 

「そうですねぇ…確かに…簡単には逃げれないでしょう…ですが…」

 

 ロプトは不敵に振り返ると、スネイプを見据えた。

 

「ぐぅ!」

 

 ロプトが軽く手を振ると、スネイプが腹部から血を流しながら、その場に倒れ込む。

 

「このまま放っておけば、この男は確実に死にますよ」

 

「アンタって…本当にゲス野郎ね」

 

「フフッ…」

 

 ロプトが意味深な笑みを浮かべると、その場から消え去った。

 

「はぁ…まったく。世話が焼けるわね」

 

 私は銃を仕舞い込むと、スネイプの元に駆け寄る。

 

「薬を…ポケットにある…薬を…」

 

 スネイプは苦しそうに、呻き声を上げている。

 

 私は、スネイプの言う通り、ポケットから、小瓶を取り出し、手渡す。

 

 その時、小瓶と一緒に何かが、ポケットから、零れ落ちた。

 

 

「この! ふざけるな! くそ!」

 

 起き上がったハリーは怒声を上げながら、スネイプに駆け寄ると、殴ろうと拳を振り上げている。

 

「やめなさい」

 

 ハリーのストレートを私は手の平で受け止めると、そのまま、軽く捻る。

 

「ぐぅう!」

 

 手首を捻られた痛みからか、ハリーは苦痛に歪んだ表情を浮かべている。

 

「落ち着きなさい。とりあえず誰でも良いわ。教員を呼んできなさい。急いだ方が良いわよ」

 

「くそ! 分かっているよ!」

 

 ハリーは腕を振りながら、階段を走り降りていく。

 

「これは…」

 

 私は、スネイプのポケットから零れ落ちた、物を拾い上げる。

 

「口紅?」

 

 スネイプの持ち物だろうか? それにしては女物だ。

 

 口紅をしない女の子は居ても、女の子の居ない口紅は不自然だ。

 

 銀色のカバーに入った口紅の裏には、『親愛なるリリーへ、半純血のプリンスより、愛を込めて』と彫られている。

 

「それをっ! 返せ…!!」

 

 苦しそうな声を上げながら、スネイプはこちらを睨み付けている。

 

「これはアンタの物ね」

 

 スネイプの前に口紅をかざすと、引っ手繰る様にその手に納める。

 

「あぁあ…」

 

 スネイプは口紅を口元に押し付けると、悲しそうな声を上げている。

 

「不思議ね。女物の口紅をアンタが持っているなんてね」

 

「これは…吾輩が…リリーに送るはずだった物だ」

 

「リリー?」

 

「………ポッターの…母親だ…」

 

 スネイプは今にも消えそうな、小声で呟く。

 

 なるほど…思い出の品の様だ。

 

「そう…大切な物なのね。それなら、失くさないようにしなさい」

 

「あぁ…私の…愛の…あか…し…だ」

 

 スネイプはその場で気を失ったようで、眠りについた。

 

「何事です!」

 

 その時、ハリーがマクゴナガルを連れてやって来た。

 

 マクゴナガルはこの惨状を見て混乱している。

 

「この男が! スネイプとマルフォイが裏切ったんだ!」

 

「何ですって!」

 

 混乱しきっているのか、マクゴナガルはハリーの言葉を真に受けている。

 

「そんな事は後にしなさい。急がないと死ぬわよ」

 

 私は、スネイプを指差すと、マクゴナガルは憎しみを込めた表情で杖を振ると、その体を持ち上げた。

 

「医務室へ運びます…ここで死なれては困るので…」

 

 マクゴナガルは冷静さを取り戻したわけではないが、2人を医務室に運ぶのが最優先と判断したのか、魔法で2人を移動させ始めた。

 

 宙に浮いているスネイプの手には、しっかりと口紅が握られていた。

 




なんてこったダンブルドアが殺されちゃったよ! この人でなし!


はてさて、どうなることやら(すっとぼけ)
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