ハリー・ポッターとアンブラの魔女   作:サーフ

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ここから、原作と大きく世界線がズレ始めます。




悪魔の取引

 

 

 

 

   学校の全生徒が、ダンブルドアの亡骸を取り囲み、悲しみに暮れている。

 

 ハリーはダンブルドアの亡骸に泣きついているほどだ。

 

 1人が杖を掲げると、それに呼応するように、その場に居た全員が杖を掲げた。

 

 皆、ダンブルドアを悼んでいるのだろう。

 

 その後、マクゴナガルの立案により、数日中に葬儀が執り行われる事となり、現在は校長室に死体が安置される事になった。

 

「さて…と」

 

 私は誰も居ない、廊下を歩き、校長室のドアを遠慮なく蹴破るとダンブルドアの亡骸の前に立つ。

 

「アンタには、まだ働いてもらうわよ」

 

 

 私は、杖をダンブルドアの亡骸に突き立てると、杖に力を籠める。

 

 

  しばらくすると、聞き慣れたBGMが耳に響く。

 

 子供の姿でこの店に来るのはやはり違和感がある。

 

「ベヨネッタか、おいおい、この店は死体安置所じゃないんだぜ」

 

 ロダンは呆れながら、首を左右に振っている。

 

「そいつがダンブルドアか? フッ、今世紀最強の魔法使いと言えど、死んでしまっては意味が無いな」

 

 ジャンヌはカウンターで飲みながら、バーニャカウダを堪能している。

 

 後で私も頂こう、ニンジンスティックの残りはまだあるようだ。

 

「そうね。まぁ簡単に死なれたら困るけど」

 

 私は、店内の棚を開けると、ある物を取り出す。

 

「そいつを使うのか? 5000ヘイロウだぜ」

 

「えぇ」

 

 私は、ロダンに代金を払うと、紅い薬液が充填された注射器、『レッドホットショット』を取り出した。

 

 レッドホットショット

 魔女を死の淵から救うと言われている奇跡の秘薬だ。

 

「こんな奴に効果があるのか?」

 

「さぁ、どうかしら? とりあえずやってみるわ」

 

 私は、床に投げ捨てたダンブルドアの亡骸の胸に注射器を突き刺すと、中の秘薬を注入する。

 

「され、これでよし」

 

 数秒が経った後、床の上で、ダンブルドアの亡骸はバタバタと痙攣を始めると、急に眼を開いた。

 

「あぁぁっぁぁぁぁぁっぁあぁぁあああああ!!!」

 

 そして、ダンブルドアは咆哮を上げながら、息を吹き返した。

 

「うるさい老人だな、ボケでも始まったか?」

 

 ジャンヌは呆れた様に呟きながら、バーニャカウダソースにベジタブルスティックをディップしている。

 

「ここは…ここはどこじゃ! ワシは…」

 

 起き上がったダンブルドアは、周囲を見回し、頭を抱えている。

 

「お目覚めの様ね。気分はどうかしら?」

 

「なんとも…最悪な目覚めじゃよ…どうなっておるのじゃ…ワシは確か…」

 

「えぇ死んだわよ。殺されたって言うべきかしら?」

 

「その筈じゃ…じゃがどうして…」

 

 

 私は、ジャンヌの横に腰かけると、野菜スティックを手に取った。

 

「助けてあげたのよ。感謝しなさい」

 

「助けた…君が?」

 

「えぇ、そうよ」

 

 私は、軽くウィンクをすると、ダンブルドアは戸惑ったように周囲を見回した後。軽く咳払いをした。

 

「そうか…助かったぞ。ここが何処かは分からぬが…ワシはホグワーツへ戻らねばならぬのじゃ」

 

「そうかい。出口はあっちだぜ」

 

「そうかの。ではワシはこれで、失礼しようかの」

 

 ダンブルドアは、表面上落ち着いているが、内心焦っているのか、足早に店から出ていった。

 

「行かせて良かったのか?」

 

 ジャンヌがつまらなそうに聞いて来るが、私は手にした野菜スティックをバーニャカウダソースにディップしながら答える。

 

「良いのよ。どうせすぐ戻ってくるわ」

 

「そうか」

 

 数分後、勢い良く店の扉が開かれ、肩で息をしながら、焦った表情のダンブルドアが入って来た。

 

「ね。言ったでしょ」

 

「そのようだな」

 

 私達は焦燥しきったダンブルドアを見ながら、軽くグラスを傾けている。

 

「ここは! ここはどこなのじゃ!!」

 

「どこって、人間界よ」

 

「そんな事は分かっておる! ここは! ワシの知るマグルの世界ではない!」

 

 ダンブルドアは顔色を変えながら、怒声を上げつつ店の中へと入って来た。

 

「なんだ。説明してなかったのか?」

 

「聞かれてないもの」

 

「それもそうだな」

 

 私達は、顔を見合わせると、互いに笑いあう。

 

「どういう事なのじゃ!!」

 

「あまり大声を出すんじゃねぇぞ。少し落ち着いたらどうだ」

 

 カウンター越しにロダンがダンブルドアを見ながら呆れた様に口を開いた。

 

「落ち着けじゃと! これが落ち着いていられるものか!!」

 

 狂ったように大声を上げたダンブルドアは杖を引き抜くと、ロダンに突き付けた。

 

「待ちな。俺の店でこれ以上暴れるなら、容赦はしないぜ」

 

「黙るのじゃ!」

 

 ダンブルドアは舌打ちをすると、ロダンに向け魔法を放とうとした。

 

 だが、ダンブルドアから魔法が放たれる事は無かった。

 

 それよりも早く、ロダンがベジタブルスティックを右手に構え、ダンブルドアに魔法を放ったようだ。

 

「なんじゃと…」

 

 絶望した表情でダンブルドアは、右手にベジタブルスティック、左手に自身の杖を持っているロダンを眺めていた。

 

「少しは落ち着いたか?」

 

「あ…あぁ…すまぬ」

 

 ダンブルドアは、椅子にゆっくりと腰かけると、溜息を吐いた。

 

「すまぬが水を1杯…貰えぬか」

 

 ロダンはカウンターの上を滑らせるように、水の入ったグラスをダンブルドアの前に置く。

 ダンブルドアは水を受け取ると、一気に流し込んだ。

 

「ふぅ…すまぬの、取り乱してしまった」

 

 落ち着きを取り戻したダンブルドアは謝罪をしているが、ロダンはそんな事は気にせず、取り上げた杖を眺めていた。

 

「これは、ニワトコの杖だな」

 

「そうじゃ…お主…分かるのか?」

 

「まぁな。死の秘宝くらいは知っているぜ」

 

「死の秘宝?」

 

 私が疑問に思うと、ロダンが楽しげに語りだした。

 

「その昔、どこぞの馬鹿が3人の人間欲しさに、人間には過ぎた力を与えちまったのさ。まぁ、詳しくは『吟遊詩人ビードルの物語』でも読むんだな。それでそのうちの1つがこの、ニワトコの杖だ」

 

 ロダンはゆっくりと杖を掲げると。先程まで手に持っていたベジタブルスティックを齧っている。

 

「だがこの杖の忠誠心は、お前にも俺にも無いみたいだな」

 

「へぇ。忠誠心ね…今は誰にあるのかしら?」

 

「そうだな…今はお前にあるようだぜ、ベヨネッタ」

 

 ロダンはニワトコの杖を軽く振りながら、私を見ている。

 

「私に?」

 

「そうだ。で? どうするんだコイツは?」

 

「いらないわよそんな杖。私にはこれがあるもの」

 

 即答した私は、ポーチから杖を取り出して、指先で遊ばせる。

 

「俺の作品の方が上なのは保証するぜ。ならコイツは俺が貰っておこう」

 

 ロダンはそう言うと、ニワトコの杖をカウンターの下へと仕舞い込んだ。

 

「すまぬが…この世界に付いて説明してくれぬか」

 

 ダンブルドアは周囲を警戒しながら、重い口を開いた。

 

「この世が三位一体構造になってるのは知って居るか?」

 

 ロダンは嬉しそうに説明を始めた。

 

 これは、ロダンお得意の魔法大学が開校しそうだ。

 

「確か…天界・人間界・魔界から作られる事じゃろ」

 

「そうだ。そして、それらを繋ぐ通路のような場所が『プルガトリオ』つまり、お前達の世界だ」

 

「どういうことじゃ…」

 

 ダンブルドアは何かを察したようだが、それを認めようとはしなかった。

 

「お前達の居る世界は、プルガトリオの中にある、特異点の様な物だ」

 

「つまり…ワシ達の居る世界が異常で、お主達の居る世界が正常だと…」

 

「どちらが異常で、どちらが正常なんて言い切れないが。そう考えるならそうでも構わないぜ」

 

 ロダンは親指の炎で葉巻に火をつけると、口から煙を吐いている。

 

「そうか…そうか…」

 

 ダンブルドアは数回頷いた後、何かを決心した様に立ち上がった。

 

「ワシはホグワーツへ戻ろう…すまぬが、ワシ等の世界へ戻してはくれぬか?」

 

「いいぜ。だがタダでとはいかないぜ」

 

 ロダンはワザとらしくダンブルドアに煙を吐きかけている。

 

「分かっておるわ…じゃが、今のワシに多くは望まんでくれよ」

 

「大した物じゃ無い。お前が持っている『蘇りの石』で良いぜ」

 

「はて…なんのことじゃろうな…」

 

 ダンブルドアはとぼけた様に、首をかしげている。

 

「とぼけても無駄だぜ。その石と秘薬のおかげで蘇ったようなもんだぜ。ポケットに入っているだろ。さっさと出しな」

 

「これの事かの…」

 

 諦めたのか、ダンブルドアはテーブルの上に黒い石が嵌められた小汚い指輪を置いた。

 

「コイツだ…ん? どうやら余計なものまで憑いてやがるな」

 

 ロダンは一度葉巻を吸うと、先端の灰が落ちる。そして、そのまま葉巻を指輪に押し付けた。

 

「あぁぁっぁぁぁぁぁっぁあぁぁあああああ!!!」

 

 次の瞬間、叫び声の様な物が木霊し、黒い煙が周囲に立ち込めた。

 

「邪魔だ」

 

 ロダンが軽く手を振ると、その煙は何処かへと消えていった。

 

「なにを…したのじゃ…」

 

「邪魔なものを消しただけさ。どこぞの馬鹿が、これを分霊箱になんぞしたようだったからな」

 

 黒い石を掲げて、ロダンは微笑んでいる。

 

「方法を! 分霊箱を破壊する方法を教えてくれぬか!」

 

 カウンターに身を乗り出しながら、焦った表情のダンブルドアはロダンに迫っている。

 

「まぁ、待ちな。教えてやってもいいが、1つ条件がある」

 

「それは…なんじゃ」

 

「死の秘宝の2つ。『ニワトコの杖』・『蘇りの石』がここにある」

 

「そうじゃ」

 

「最後の1つ。透明マントを持ってきな。そうしたら教えてやるぜ」

 

「………それは…本当か?」

 

(悪魔)は嘘はつかないぜ」

 

 ロダンはニヤニヤと笑いながら、ダンブルドアを睨み付けている。

 

「死の秘宝ね…そんな悪趣味な物を集めて、アンタは何しようとしてるの?」

 

「なぁに、ただのコレクションさ」

 

 そう言うと。ロダンはニワトコの杖と同様に、蘇りの石を仕舞い込んだ。

 

「さて、用事が済んだらさっさと帰りな」

 

 軽く、指を鳴らすと。出口のドアを指差している。

 

「あっちが、魔法界への出口だ」

 

「わかった…では行こうかの」

 

「そうね。じゃあまたね」

 

 私は、先に出ていったダンブルドアの後を追う様に、店を出ていった。

 




と言う訳で、ダンブルドアは無事蘇りました。

一応、蘇りの石とレッドホットショットの相乗効果で蘇る事が出来たような感じです。


ロダンが扱えば、ベジタブルスティック>>>越えられない壁>>>ニワトコの杖という感じですね。
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