学校に戻ってからダンブルドアは一芝居打つ事にしたようだ。
まったく、悪趣味な老人だ。
大広間で皆が悲しみに暮れ、日刊予言者新聞の記者が写真を取っている中。マクゴナガルがスピーチをしている。
「我々は…とても大きな存在をなくしました…それはとても…とても悲しい事です」
多くの生徒から嗚咽が漏れ、重い空気が流れている。
そんな時、ダンブルドアは大広間の扉の前に立っていた。
「ド派手に頼むぞ」
「アンタそんなキャラだったかしら?」
「さぁの?」
ダンブルドアは軽く微笑み、顔を逸らしている。
「まぁ良いわ…行くわよ」
私は大広間のドアを蹴破った。
「何事ですか!」
「いやのぉ。皆、誰の葬儀を行っているのかと思ってな。派手な登場をしようとしたのじゃよ」
「ダンブルドア…」
その場の全員がダンブルドアを見ては、本人かどうか疑っている。
「皆疑うのも無理も無かろう。じゃがワシは本人じゃよ。それにゴーストではない。ほれ」
そう言うと、ダンブルドアは自身の足を見せるという、誰の得にもならないサービスを行った。
その瞬間。大広間に歓声が木霊した。
「生きていたんですね!」
「それは少し違うの。一度死んで、蘇ったのじゃよ」
「え?」
ダンブルドアの前でマクゴナガルは首をかしげている。
「まぁ、ちょっとしたサプライズじゃよ」
ダンブルドアは私を見た後、マクゴナガルを見ている。
「さて、皆の衆。心配かけたの。これはワシからのせめてもの詫びじゃ」
ダンブルドアは予備の杖を振ると、周囲に花火が打ち上った。
それを見て、多くの生徒が歓声を上げている。
「さて…ミネルバよ。セブルスはどこじゃ?」
「あの男なら、医務室ですよ。ドラコ・マルフォイも一緒です」
マクゴナガルは不機嫌そうにそう答えた。
恐らくハリーからあの2人が裏切り者だとでも聞いたのだろう。
「そうか。誤解しているようじゃが。あの2人に罪は無いぞ」
ダンブルドアはそう言い残すと、1人医務室へと向かっていった。
学校内は、悲しみに包まれていた。
それもそうだ。校長であるダンブルドアが闇の帝王の部下、ロプトによって殺されたのだから。
僕とスネイプ先生は誰も居ない医務室で横になりながらその空気を味わっている。
それも仕方ないだろう。
僕等がロプトを手引きしたといっても過言ではないのだから。
皮肉にも、僕は与えられた任務を全うできたという事だ。
僕は左腕を上げると、袖を捲り、刺青の入っていない腕を見る。
本当は闇の印を彫るつもりだったのだが、半人前には彫る資格が無いと父上に反対され、未だに綺麗なままだ。
今に思えば、父上なりの配慮だったのかもしれない…
まぁ、皮肉にも任務を成功させ、一人前になったのだから、闇の印を彫ることになるのだろう…
「ドラコよ…」
「なんですか…」
掠れた声のスネイプ先生が顔を見ずに話しかけてきた。
「我々はこの後どうなると思う」
「さぁ…死喰い人が魔法省を乗っ取れば僕等は生きるでしょう。ですがその前に、ホグワーツで私刑を受けるかもしれませんね」
「そうだな…」
その時、医務室の扉が開かれた。
「ごきげんよう2人とも」
「ダンブルドア!」
「生きて…おられたのですか…」
僕達は目を疑った。
目の前には、殺されたはずのダンブルドアが満面の笑みで立っていたのだから。
「セブルス。汚れ仕事を押し付けてしまったの」
「別に…この程度は…」
「そうか…さて。ドラコよ」
ダンブルドアはゆっくりと僕に振り返った。
「現状、君の取れる選択は3つじゃ。一つはこのままアズカバンへ行くこと。一つは死喰い人の餌食になる事じゃ」
「う…」
思わず吐き気がこみあげて来る。
「そして…ワシら側に付く事じゃ」
「貴方側に…」
「そうじゃ。じゃがこれには大きな危険が伴うじゃろう。君とセブルスには引き続き死喰い人として潜入して貰いたいのじゃ」
「つまり…スパイをやれと…」
「その通りじゃ」
ダンブルドアはゆっくりと頷いている…
実質、僕に与えられた道は1つだ。
死喰い人を出し抜きつつ、ダンブルドアに情報を流さなければならない。
少しでもミスをし、バレれば命は無いだろう…
だが…最早それしか道は無い。
「わかった…だが1つ条件がある…」
「なんじゃ? 言ってみよ」
「両親も…もし、両親を説得してそちら側に付くと言ったら。受け入れる準備をして欲しい」
「わかった…そうしよう」
ダンブルドアは大きく頷くと、踵を返した。
「君がご両親を説得できることを祈っておるよ」
そう言い残すと、ダンブルドアは何の興味も無さそうに、医務室から出ていった。
翌日の日刊予言者新聞は過去最高の売り上げを叩きだしたようだ。
見出しには大きく。
『ダンブルドア復活!!』と書かれており。
多くの人間がそれを喜んでいる様だ。
数日後、僕はダンブルドア同行の元、両親に会う事にした。
僕を見た両親は驚いていたが、それと同時に喜んでいた。
「ドラコよ。よく無事だったな」
「えぇ…父上。早速ですがお話があります」
「なんだ? 言ってみろ」
僕は大きく息を吸い、気持ちを落ち着ける。
「闇の帝王を裏切り、ダンブルドア側に付く気はありませんか」
「なにを…言っているんだ」
父上だけではなく、母上までも驚愕の表情を浮かべている。
「言いたい事は分かります。ですが、ダンブルドアは蘇り、闇の帝王は内心焦っている筈です。このままでは死喰い人が確実に勝利できるとは言い切れません」
「だがな、もしダンブルドア側に付いたからといって。勝利できるという確証も無いだろう」
「えぇ…ですが彼女が居ます」
「彼女?」
「えぇ。セレッサです。父上も神秘部で彼女の強さを目の当たりにしたのでは?」
「そ…それは…そうだが…」
父上は苦しい表情を浮かべている。
「ドラコは…どうしたいの?」
母上が重い口を開いた。
「僕は…僕はダンブルドア側に付こうと考えています」
「本気か…」
「はい。もしダンブルドア側に付くなら、家族を受け入れる準備が有るという話です」
「そうか…だが。どうしてダンブルドアはそこまでするんだ?」
「それは…僕がスパイとして死喰い人の情報を提供するというのが条件です」
「危険すぎる!」
先程まで温厚そうな表情だった父上が怒声を上げた。
「じゃがの。それが条件じゃよ」
奥の扉からダンブルドアがゆっくりと出てきた。
「貴様…どういうつもりだ」
「どうもこうも無かろう。ドラコがスパイとして活動すれば。ワシらの勝率も上がるじゃろう」
「確かにそうだな。だが息子に危険な真似はさせられない!」
「ならばこうするのはどうじゃ? お主等、家族全員がスパイとなればよいのじゃよ」
「なんだと…」
ダンブルドアの発言に家族全員が息を呑んだ。
「そうすれば、我々は最大限の協力を約束しよう」
「だが…」
「無理強いする訳ではないが。それ以外に道はあるのかの?」
「くっ…」
「お主は神秘部ではヴォルデモートがご所望の予言を回収し損ね。息子はワシを1度は殺せたが、蘇ってしまった」
「何が言いたい…」
「ヴォルデモートがこの先。お主らを今までの待遇で扱うかどうかよく考えるのじゃな。最悪の場合トカゲのしっぽの様に扱われるかもしれぬの」
ダンブルドアはワザとらしくあくびをしている。まるで僕等がどうなろうと関係ないと言いたそうに。
「………本当に…協力してくれるんだな…」
「もちろんじゃよ」
「わかった…そちら側に…付こう」
父上は息を切らせながら言い切ると、その場に崩れ落ちた。それを支える様に母上は駆け寄っている。
「では頼むぞ。作戦会議などがある場合は、ドラコに場所と時間を知らせよう」
ダンブルドアはそう言い残すと、何処かへと消えていった。
今年も終わりを告げた。
魔法界は今、混沌に満ちている。
魔法省の役人の内、数名は死喰い人で構成されており。マグルの排除や、マグル出身者、混血者の排除をしようと声を上げているものもいる様だ。
今のところ、新しく就任した大臣が圧力をかけているおかげで、そこまで表面的には出てはいないが、持ってあと1年といったところか…それまでには決着を付けなければ…
ワシは重い体を引きずりながら、椅子に腰かける。
1度死んだ身とは言え、疲れは出るようだ。
しかし、彼女。セレッサには驚かされてばかりだ。
まさか、このワシ自身が蘇らせられるとは思いもしなかった。
それに、彼女のおかげで分霊箱の1つ。
スリザリンのロケットが手に入った。
ハリーから回収した後、早速調べてみたが…これは分霊箱では無い事が分かった。
スリザリンのロケットの中には手紙が入っていた。そこには…
『闇の帝王へ。あなたがこれを読むころには、私はとうに死んでいるでしょう。しかし、私があなたの秘密を発見したことを知ってほしいのです。本当の分霊箱は私が盗みました。できるだけ早く破壊するつもりです。死に直面する私が望むのは、あなたが手ごわい相手に見(まみ)えたそのときに、もう一度死ぬべき存在となることです。R.A.B』
どうやら、ワシの行動は取り越し苦労だったようだ。
しかし、R.A.Bとは…一体誰の事だろう…
「はぁ…」
ワシは蘇ってから初めての溜息を吐いた。
しかし、今年は進展もあった。
あのロダンという男は、分霊箱の破壊方法を知っていた。
透明マントを持ってくれば教えると言って居たが…透明マントはハリーの持ち物だ。なんとか説得するしかあるまい…
そして、魔法薬学を担当していた、ホラスだが、自身のやったことを悔いたのか、引退すると言い出した。
仕方なく来年の魔法薬学の担当はセブルスに任せるとして、闇の魔術に対する防衛術の担当を誰にするべきか…
ワシは疲れたように背中を伸ばし、次の年の事に頭を巡らせる事にした。
いかがでしたでしょうか?
さて、次が最終章です。
最終章は、
次回作どうしようかな…
また、ハリーポッターのクロスで行こうかと。
どうせなら、絶対にありえない組み合わせでやりたいですね。