ハリー・ポッターとアンブラの魔女   作:サーフ

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装甲車と言えば、やっぱりこのタイトルでしょう。




ルート666

 

 

 

   装甲車が車道を爆走し、ハイウェイに入った頃、ルカが口を開いた。

 

「で? 目的地はどこなんだ?」

 

「アンタ場所も知らずにかっ飛ばしてたわけ?」

 

「仕方ねぇだろ! で? この先はどこへ行けばいいんだ?」

 

「とりあえずハイウェイを抜けた先に……」

 

 その瞬間、背後の方から爆破音が響いた。

 

「どうやら、お客さんの様だぜ! ベヨネッタ!」

 

 振り返るとそこには、箒に乗った死喰い人が杖を構えて周囲を飛び回っており、さらにその背後から、爆走する数台の乗用車が現れた。

 

 一見普通の乗用車に見えるが、その正体は、『アイレニック』という、車によく似た見た目の天使だ。

 

 アイレニック

 もしも人がこの天使を見たならば、きっとその姿を車と重ね合わせるに違いない。しかし言うまでもない事だが、この天使は有史以前の遥か昔より存在している。アイレニックは、天の意思をあまねく天界に伝令する役目を持つとされ、箱型の体に4つの車輪を付け、猛スピードで走る姿で表されることが多い。その速度は風よりも速く、人間界の数千倍とも言われる広大な天界を、僅か一日で走り抜ける。この天使が人間の前に姿を現すようになったのは18世紀の中頃、ちょうど産業革命に湧き始めた時代のことであり、人類初の蒸気機関で走る自動車が現れた頃と符号する。

 余談だが、人間界に現れる際は、法定速度を厳守している様だ。

 

「ルカ、もっと飛ばして。お客様は私が相手するわ」

 

 私は両手に銃を構え、周囲を飛び回る死喰い人に狙いを定め引き金を引く。

 

「うぉお! あぶっ!」

 

 放たれた弾丸は死喰い人の箒に命中し、バラバラに砕け散る。

 

「あぁああああー!!」

 

 乗っていた死喰い人は空中で吹き飛び、そのまま海へと落下した。

 

「さて、次の相手はアンタかしら?」

 

 アイレニックが爆音を鳴らしながら、こちらに近寄ってくる。

 

「邪魔よ!」

 

 装甲車の上で仁王立ちになり、両手の銃を一斉に発射する。

 

 その瞬間、アイレニックがエンジン音をならし、左右に蛇行運転を行い、銃弾を回避する。

 

「ちょこまかと、鬱陶しいわね」

 

 私は、銃に魔力を籠め、銃弾を放つ。

 

 魔力を込めた銃弾をアイレニックが蛇行運転で避けるが、その瞬間、私は目を軽く横へ動かす。

 

 その動きに合わせて、銃弾も移動し、アイレニックのガソリンタンクに酷似した部分を貫いた。

 

 その瞬間、アイレニックの胴体が火を噴き、爆発四散した。

 

「汚い花火だぜ」

 

 ルカは装甲車の運転席で首を振りながら呟いている。

 

「前! 前見てよ!」

 

 ハリーが大声を上げると、そこには、ハイウェイを封鎖しようと、隔壁が下がり始めている。

 

「俺の…バカッ!」

 

 ルカは悔しそうに呟いている。

 

「まったく…しょうがないわね」

 

 私は装甲車から飛び降りると、ビーストウィズインで姿を黒豹に変え、閉まり始めた隔壁の向こう側へと走り出す。

 

「これでもくらいな!」

 

 隔壁を超えた先で、人型に戻ると同時に、前方を走っていたトラックの荷台に両足で着地する。

 

 そのまま、両手の銃を乱射し、ハート形の弾痕を穿つ。

 

「「うわっぁあっぁ!」」

 

 スピーカーから悲鳴を上げながら、ルカ達が乗った装甲車がハート形の弾痕を突き破り、隔壁を突破した。

 

「ハァ…ハァ…助かった…」

 

「あぁ…はぁ…だから言っただろ! 大船に乗ったつもりで居ろって!」

 

「その大船が泥で出来ていたなら何の意味も無いよ…」

 

 私はその場で飛び上がり、再び装甲車の上に着地し、上部ハッチを開ける。

 

「はぁい、二人とも無事なようね」

 

「うぉ! だから急にハッチを開けるなって!」

 

「良いじゃない。アンタ達は車の中で、のんびりとドライブを楽しんでいるんだから」

 

「まぁ、そうだな。ドリンクまであるぜ。どころで後どれくらいだ?」

 

「あと少しで、ハイウェイを抜けれるから、もう少しだと思う」

 

 ハリーがそう言うと同時に、周囲に格子状のビームが現れ、私に襲い掛かる。

 

「邪魔ね」

 

 私は飛び上がり、格子状のビームを縫うように回避し、アスファルトの上に着地する。

 

「次はアンタ達ね」

 

 私は、背後で走り去る装甲車を見送りつつ、格子状のビームを放った張本人たちと向き合う。

 

 そこには3体のジョイが両手に様々な武器を構えながら、悠然と佇んでいる。

 

 ジョイ

 天使のヒエラルキーの最上位に君臨する「熾天使」の一人。このクラスの天使は、物質的な概念を超えた霊的な存在である。彼らがとる姿も川の流れのように不定形で、一時的なものでしかない。時に人間の女性形に似た姿を見せる熾天使ジョイは、姿を変えるどころか、その身を分離させて複数の意識を持つことすら自在だという。

 

ちなみに以前、私の姿をまねされ、ダンスバトルに発展した事がある。

 

「さて、ご用件は何かしら?」

 

「フンッ!」

 

 ジョイ達は、武器を構えると、臨戦態勢を取った。

 

「そう、私と遊びたいのね。良いわ、かかってらっしゃい!」

 

「ェイヤ!」

 

 刀を構えたジョイが切っ先を突き付けながら、突進してきた。

 

「甘いわね」

 

 体の軸を横に動かし、ポーチから修羅刃を取り出し、ジョイに切りかかる。

 

「アァ!」

 

 ジョイは瞬時に、体を動かし、修羅刃の攻撃を、刀で受け止め鍔迫り合いになる。

 

「やるじゃない。でもこれでどお?」

 

 私は修羅刃に魔力を送り、一気に押し込む。

 

 すると、ジョイの刀がビキビキと音を立て、砕け散った。

 

「フォ!」

 

 

 刀が砕かれたジョイはその場で鳥の羽のような物を空中に浮かせ、こちらに向けて乱射しながら後退を始めた。

 

「逃さないわよ!」

 

 羽根を回避すると同時にウィッチタイムを発動させ、一気にジョイに詰め寄り、修羅刃を突き立てる。

 

「ァア!」

 

 修羅刃で切り付けられた、ジョイはその場に倒れ込むと、苦しそうな声を上げている。

 

「さて、お仕置きの時間よ」

 

 倒れ込んだ、ジョイを右足で踏み付けると、その背中に修羅刃を突き立て、滅多刺しにする。

 

「ァアァ!!」

 

 最後に、胴体を蹴り上げると、ジョイは苦悶の表情を浮かべながら、その場で力尽きた。

 

「さて、次はだれかしら?」

 

「ァァア!!」

 

 次は鞭を片手に構えた、ジョイがこちらに突進してきた。

 

「次はアンタね」

 

 突進を避けると同時に、胴体を蹴り上げ、吹き飛ばす。

 

「シャァ!」

 

 壁に激突したジョイは瓦礫を吹き飛ばすと、鞭を振り抜いた。

 

「危ないわね」

 

 迫り来る鞭に対して、アルーナをぶつけ、鞭同士を絡める。

 

「ァァアア!」

 

「力比べね。頑張りなさい」

 

 ジョイは必死に抵抗し、鞭を引っ張っているが、私は一気にアルーナを引っ張り、勢いそのままジョイを地面に叩きつける。

 

「ぁ…アガァ!」

 

「さて…お仕置きの時間よ」

 

 上半身をアスファルトに埋め、下半身だけど見せているジョイの尻を右足で踏み付ける。

 

「アァアァ!」

 

 その瞬間、ジョイが艶かしい声を上げる。

 

「今日のはキツイわよ耐えなさい」

 

 手にしたアルーナをしならせると、ジョイの尻を打つ。

 

「アァッアガァァァ!!」

 

「良い声で鳴くわね。続けるわよ」

 

 そのまま何度となくアルーナを振り、尻を何度も鞭打ちする。

 

「あ…アァァアァ!」

 

「終わりよ!」

 

 最後に、アルーナを最大にまで引き絞り、勢い良く尻を叩き上げる。

 

「アッアッアアアァァァアァァア!」

 

 尻を叩き上げた瞬間、ジョイは悲鳴を上げ、尻を震わせながら、上半身が見えないまま力尽きた。

 

 

「呆気ないわね…さてアンタで最後ね」

 

「ガァ!」

 

 銃のような武器を構えたジョイが、その場で弾を乱射し始めた。

 

「無駄よ!」

 

 せまり来る弾をマハーカーラの月で弾き返す。

 

「アァ!」

 

 弾き返された、全ての弾が全身に直撃し、ジョイが吹き飛び、瓦礫に埋もれる。

 

「ハァ!」

 

 瓦礫を振り払ったジョイは、銃を構えて突進してくる。

 

「しつこいのよ」

 

 迫り来る銃を避け、ジョイの顎に銃を突き付ける。

 

「さようなら」

 

 引き金を引き、銃弾を放つ。

 

 放たれた銃弾は、ジョイの下顎を貫通し、その体が上空に吹き飛んだ。

 

「ァァァア!」

 

 吹き飛ばされたジョイは、上空で光り輝くと、2体に分裂し、1体はアスファルトの上に倒れ、分裂した1体が華麗に着地した。

 

「ジャァ!!」

 

「いい加減しつこいのよ」

 

 私は躊躇い無く引き金を引き、銃弾を放つと、ポーズを決め始めたジョイの脳天に直撃し、呆気無く絶命した。

 

 

「ふぅ…随分時間を取られたわね」

 

 装甲車が走り去った方を見るが、すでにかなり先まで走って行ってしまったようだ。

 

「このハイウェイを歩いて渡れって言うの? このヒールじゃ無理だわ。タクシーでも通らないかしら?」

 

 その時、後方からエンジン音が聞こえてきた。

 

「お~い! セレッサ!」

 

 振り返ると、サイドカーの付いたバイクに乗ったハグリッドが手を振っている。

 

「あら? どうしたのよ」

 

「ちと心配になってな。ところでハリー達は?」

 

「置いて行かれちゃったわ。まったく失礼しちゃうわ」

 

 私は腰に手をやり、装甲車の行った先を眺める。

 

 

「ハハッ、そうだな。さぁ乗りな。追いかけるぞ」

 

 ハグリッドはそう言うと、サイドカーを指差した。

 

「そうね。でもアンタはここで待ってなさい」

 

 私はハグリッドの首元を掴むと、その巨体を持ち上げ、引きずり下ろした。

 

「うぉお! おい! 何するんだ!」

 

「このバイク少し借りるわよ」

 

「え?」

 

 ハグリッドが間抜けな声を上げている中、私はサイドカーとの接合部を銃で撃ち抜く。

 

「おいおい! ちょっと待て!」

 

「じゃあ、気を付けて帰りなさい」

 

 私は中指に魔力を集め、鍵穴に突っ込み、勢い良く回す。

 

 その瞬間、バイクから規格外の爆音が響き、マフラーから炎が噴き出る。

 

「派手にブッ飛ばすわよ!!」

 

 アクセルを最大にまで捻り、ギアを一気にトップまで回し、急発進させる。

 

「どうなってやがるんだ…」

 

 残されたハグリッドは私の後姿を見ながら、サイドカーにもたれ掛かっていた。

 

 

 魔力を込めたバイクが爆音を撒き散らしながら、ハイウェイを爆走していると、爆走を続けている装甲車の後姿が目に入った。

 

 装甲車の周囲には、アフィニティを始めとした、雑魚が周囲を飛んでいた。

 

「うわぁ! どうなってるんだよ!」

 

「知るかよ! まったくしつこい奴等だ!」

 

「何か武器は無いの?」

 

「そんなもんねぇよ!」

 

 装甲車のスピーカーがONになっているのか、周囲には内部のやり取りが筒抜けだ。

 

「さて、行くわよ!」

 

 私は最大にまでアクセルを捻り、車体をウィリーさせ、1体の天使を轢き倒す。

 

 そのまま、アクセルを全開にし、両手の銃で周囲の天使に銃弾を放つ。

 

「「ベヨネッタ!」」

 

 装甲車のスピーカーから2人の声が響く。

 

「まったく…世話が焼けるわね」

 

 私はそのまま装甲車と並走しつつ、残りの天使を撃ち落として行く。

 

「ここを抜けた先が、目的地だよ!」

 

「良し! じゃあ飛ばすぜ!」

 

 そのまま、私達は最高速度で、目的地へと駆け抜けた。




無事にハリーの護送が終わりました。

これによって、被害を受ける予定だった人物は無傷ですね。
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