ハリー・ポッターとアンブラの魔女   作:サーフ

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今年から新しい先生がやってきます。

一体誰でしょうね?


新任教師

   ドラコと会話しながら、しばらくすると、ホグワーツ特急は襲撃などを受ける事無く、無事に駅へと到着し、私達は最高学年として、駅に降り立った。

 

「こうして降りるのも、今年が最後か…」

 

「そうね…」

 

 ドラコの感傷的なつぶやきに私は簡単に返す。

 

「それにしても…闇の帝王が復活したというのに…ダンブルドアは何を考えているのやら…生徒全員を自宅待機にでもさせればいいものを」

 

「そうね、でも案外一か所に集めておいた方が守る分には丁度良いんじゃないかしら?」

 

「つまりは、ホグワーツで生徒を匿うって言うのかい?そして、死喰い人が攻めて来た場合は籠城戦でも行おうって言うのか?」

 

「さぁね? でもあの男なら案外そう考えるかもしれないわよ」

 

「ハハッ、確かにな。あの老害は自分の正義を守る為なら、どんな手段でも使うだろうな」

 

「それが今のスパイ活動って事?」

 

「まぁそんなところ」

 

 ドラコは苦笑いを浮かべると、ゆっくりと息を吐いた。

 

「はぁ…まぁ…ホグワーツに居る間は闇の帝王と直接関わる訳じゃないから、気楽でいいけどね」

 

「あら? そうなの?」

 

「そうさ。それに闇の帝王は魔法省勤めの『ラグナ信仰者』を死喰い人に引き込んでいるらしい」

 

「へぇ…」

 

「詳しくは分からないけど、捕らえられたマグルや半純血者は服従の呪文を掛けられ、強制的に『ラグナ信仰者』にさせられているんだ」

 

「悪趣味な事ね」

 

 ドラコは一瞬表情を暗くすると、落ち着いた口調で続ける。

 

「それだけじゃない。僕は見てしまったんだよ」

 

「見たって何を?」

 

「ロプト…あの男が服従の呪文を掛けられた『ラグナ信仰者』にも短剣を渡しているところを」

 

「え?」

 

 私は思いがけず、声を上げてしまう。

 

「その後…どうなったと思う?」

 

 まさか…

 

「あの男が手を振り下ろすと、服従の呪文にかかった人たちが、何の躊躇いも無く自分の胸にナイフを突き立てたんだ…」

 

 そう言うドラコの表情はとても暗い物だった。

 

「すると…死体が光を放って…」

 

「天使が生まれた…そうでしょ?」

 

 私がそう言うと、ドラコはゆっくりと頷いた。

 

「その通りさ…天使の誕生を見届けたアイツは、別の人達にも…同じように…むごい状況だったよ…」

 

 ドラコは悲しそうな表情をした後、懐から1本の短剣を取り出した。

 

「それは?」

 

「死喰い人全員に配られたんだ。いざという時使えって…つまり、最悪死ぬなら天使になって死ねって事さ…まったく…ふざけてるよ」

 

 ドラコは短剣を数回眺めると、森の中へと投げ捨てた。

 

「はぁ…まぁ実際問題、死喰い人にも『ラグナ信仰者』は多い。きっと闇の帝王が魔法界を制圧したら、ラグナ信仰を布教させ、殉教者(自殺志願者)でも募るんだろうな」

 

「そうなったら最悪ね」

 

「まったくだ」

 

 私達は、表面上だけの笑みを浮かべた。

 

 それにしても、ロプトがここまで力を付け、ラグナ信仰を布教させ、天使を大量に作り上げようとして居るとは…

 

 下手すれば、魔法界だけではなく、『天界』『人間界』『魔界』を巻き込んだ大戦争を起こすとも考えられる。

 

 それこそ、ヨハネの黙示録がチャチな絵本に思えるほどの…

 

 それだけは…何としても避けなくては…

 

 私は、若干の不安を覚えながらも、ホグワーツの正門をくぐり、中へと入って行った。

 

 

  ホグワーツの中へと入り、例年通り、大広間の席に座っていた。

 

 そして例年通り『平和』な始業式が始まった。

 

 しばらくすると、様々な不安を背負いこんだ新入生が列を作り入ってくる。

 

 不安があるのも無理はない、新入生程の年齢では、現状を理解するのは難しいが、この魔法界を取り巻く空気が最悪なのは、嫌でも感じるはずだ。

 

 その為、一様にその表情は暗い物だった。

 

「さて! 新入生諸君! 入学おめでとう!」

 ダンブルドアは新入生の表情を少しでも明るい物へと変えようと、必死に歓迎の言葉を述べている。

 そして、例年通り組み分けが行われ、帽子たちが歌い始める。

 

 だが、その歌の歌詞は今まで以上に暗く、お世辞にもいい歌とは言えなかった。

 

「さて…皆腹もすいている事じゃろう…今宵は盛大に食べ! 飲むのじゃ!」

 

 ダンブルドアがやけくそに手を叩くと、盛大な料理が現れ、新入生歓迎パーティーが始まる。

 

 料理のおかげもあってか、在校生と新入生の表情にも笑みがこぼれ始める。

 

「皆、この老いぼれの話に耳を傾けてくれんかの?」

 

 パーティーが中盤に差し掛かった頃、ダンブルドアが数回ゴブレットをスプーンで叩き、生徒達の注目を集めた後、立ち上がり、声を上げた。

 

 それに伴い、周囲の喧騒が一斉に静まり返った。

 

「改めてじゃが、新入生の諸君、歓迎するぞ。そして在校生の諸君はおかえりなさいじゃ。さて毎年の事じゃが、禁じられた森には生徒立ち入り禁止じゃ。そしてホグズミード村には3年生から行くことが許可される。それと、管理人のフィルチさんから皆に伝えるようにと言われたのじゃが、ウィーズリー・ウィザード・ウィーズとかいう店で購入した悪戯用具は全て校内持ち込み禁止じゃ。去年は校則を破り、大量に悪戯用具を持ち込んだ者が居た様じゃが、今年はいかんぞ…はて…毎年同じような事を言っている気が…まぁ…気にするほどの事でもないじゃろう…」

 

 ダンブルドアは冗談っぽく笑うと、在校生から若干の笑みがこぼれた。

 

「それでは、皆を教えてくれる先生方に付いて少し説明しよう。まずは去年まで、闇の魔術に対する防衛術の担当だったスネイプ先生は再び、魔法薬学の担当にお戻りになられた」

 

 ダンブルドアがそう言い切ると、スネイプは不機嫌そうな顔で鼻を鳴らしている。

 

「やっぱりアイツには無理だったな」

 

「魔法薬学の方がお似合いさ」

 

「いっその事辞めちまえばいいのに」

 

「それ賛成」

 

「あと1年くらい我慢なさい」

 

「あと1年もだろ! 耐えられないぜ…」

 

「右に同じ」

 

 ロンとハリーは互いに見合うと、こっそりと笑って居る。

 

「はぁ…」

 

 呆れた私は、ふと、教員席に目をやると、そこには1つだけ空席がある。恐らくあの場所が闇の魔術に対する防衛術の担当が座る席なのだろう。

 

「さて、次に闇の魔術に対する防衛術の担当の先生なのじゃが…まだ来ておらぬようじゃの…」

 

 ダンブルドアが顎に手をやり、呟くと周囲がざわつき始めた。

 

「まったく…担当教師は何をしているのでしょう。初日から遅刻とは…」

 

 マクゴナガルは呆れた様に呟いている。

 

 それにしても、入学式初日に遅刻とは、なかなか面白味のある教師だ。

 

「おい…何か聞こえないか」

 

 ロンが声を上げると同時に、聞き慣れた重低音が遠くに聞こえてきた。

 

「本当だ…何処かで聞いたことある音だけど…なんだろう…」

 

「そうなんだよね…僕も何処かで…」

 

 ハリーは考えこんでいるが、音は次第に大きくなっている。いや…近付いてきているというのが正しいだろう。

 

「あっ! そうだ! バイクだよ! バイクのエンジンの音だよ!」

 

「バイクって、ハグリッドが乗っているあれ?」

 

「そうだよ!」

 

「あー…道理で何処かで聞いたことある訳だ…でもどんどんデカくなってきているぜ」

 

 ロンの言う通り、次第にエンジン音が大きくなる。

 

「おい…あれ…」

 

 ロンが職員席の後ろを指差した。

 

 その瞬間。職員席の真上のステンドグラスに月明かりによって照らし出されたシルエットが浮かび上がる。

 

「なんだ!!」

 

「人だ!」

 

 誰かが叫ぶと同時に、ステンドグラスを突き破り、けたたましい破裂音と共にバイクと紅いライダースーツに身を纏った人物が大広間に侵入してきた。

 

「「「「うわぁぁあああああっぁぁ!」」」」

 

 私を除く全員の生徒が悲鳴を上げ立ち上がると、バイクはグリフィンドールのテーブルに着地して、卓上のグラスや料理などを巨大なタイヤで薙ぎ倒しながら、私の目の前まで迫り来る。

 

「はぁい」

 

 私が軽く手を上げると、バイクは目の前で急ブレーキを掛け、逆ウィリーの様になり、停止した。

 

「ふぅ…ここがホグワーツか。それにしても、なんとも古臭い」

 

「じきに慣れるわよ。ジャンヌ…それにしてもアンタ登場が派手すぎるわよ」

 

「何事も最初が肝心だ。派手な方が良いだろう」

 

「派手なのも良いけど、せっかくの料理が台無しよ」

 

「なぁに、後で屋敷しもべ(スタッフ)が美味しくいただくだろうから問題あるまい」

 

「確かにそうね」

 

 ジャンヌはバイクから降りると、紅い杖を取り出し、軽く振る。

 

 すると、バイクがエンジンを唸らせ、その場で半回転させ無人の状態で外へと出ていった。

 

「さて…私の紹介がまだの様だな。早くしてくれないか。ダンブルドア」

 

「あ…あぁ…そうじゃな」

 

「ちょっと待ちなさい!」

 

 ダンブルドアを遮る様に、マクゴナガルが叫び声を上げた。

 

「これはどういう事です! 遅刻したうえ、ステンドグラスを突き破ってくるなど! 教師としてあるまじき行為です!」

 

「あぁ、道が混んでいてな。近道をしたらこの様だ」

 

 ジャンヌは若干微笑みながら、杖を振るうと、バラバラになり大広間全体に散らばったステンドグラスが、時間を巻き戻すかのように元通りになった。

 

「これで文句は無いだろう」

 

「やるわね。アンタも」

 

「これでも教師だぞ」

 

「そう言う問題では…」

 

 現状を見てマクゴナガルは困惑している。

 

「まぁ…良いではないか…では改めて紹介しよう。ジャンヌ先生じゃ。ミス・セレッサとは一応、姉妹じゃったな」

 

「その通りだ」

 

 ジャンヌはそう言うと、ダンブルドアが差し出した握手を無視し、教員席に腰かけた。

 

「私には構わず進めてくれ」

 

「あ…あぁ、そうじゃな。そうしよう」

 

 ハリー達はジャンヌの姿を見て緊張と不安と期待が混じった表情をしている。

 

「すごい先生が入って来たね…」

 

「相当怖そうだね。実際のところどうなの?」

 

「さぁ? どうかしらね」

 

「さぁって…君のお姉さんだろ?」

 

「一応ね。複雑なのよ。色々ね」

 

「女って…よくわかんないよ…」

 

 はぐらかされたロンは、ただ一言そう呟いた。

 

 そして、ハリー達は、再びジャンヌに視線を戻すと、自分達がどんな授業を受けるのか想像し、震えていた。

 

 当のジャンヌはそんな事などお構いなしに、化粧ポーチを取り出すと、メイクを直し始めている。




やっとジャンヌが本格的に魔法界にやってきました。

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