ジンは良いですね。
独特な香りが素敵だ。
アンブランアーマーを駆りながら、大橋の前にまでやって来た。
大橋の上には、天使達によって無残に破壊された石像で溢れかえっていた。
「ギャ?」
数体の天使が、こちらに気が付いたのか、石像を破壊する手を止めた。
「まったく、品の無い連中だ」
「そうね、一気に突き抜けるわよ!」
私達は魔力を開放し、アンブランアーマーのスラスターが最大出力で紫色の炎を撒き散らす。
「ヴォ」
その時、天使達の背後からディメンターが現れ、私達の前に立ちはだかった。
「ヴォ!」
しかし、目の前に現れたディメンターはアンブランアーマーの風圧によってかき消される。
急加速しているアンブランアーマーの前ではディメンターの存在など有って無い様なものだ。
「何かいたか?」
「さぁ?」
私達は、一陣の風と化したディメンターに気が付く事も無く、天使達を眼前に捕らえた。
「邪魔だ!」
「吹き飛べ!」
天使を射程圏内に納めた私達はアンブランアーマーの動きを止め、腕部のマニピュレーターを展開させ、搭載された2門のバルカンを正面に構え、弾丸を乱射させ、周囲に薬莢を撒き散らす。
「―――――!」
2体のアンブランアーマーの2門バルカン、すなわち4門のバルカンによる斉射を喰らい、正面に居た全ての天使が暴力の嵐によって音を立てる事も無く、かき消される。
「グラァあぁああ!!」
その時、私の背後から3体の天使が現れ、手にした武器を振りかざしている。
「消し飛べ!!」
振り返り様に、アンブランアーマーの右脚を振り抜き、先頭を走っていた天使を吹き飛ばす。
「ギャッ」
そのまま、脚部に搭載されている大口径のショットガン状のカノン砲を放ち、シリンダーが稼働し、不要になった薬莢を排出させる。
「――――ッ!」
残りの天使達は、ショットガン状の拡散カノン砲を至近距離で直撃し、血煙となり、その場から消失した。
「グラァあぁああ!!」
正面から、斧を上段に構えた、中型の天使『ビラブド』が現れ、私達の眼前に斧を振り下ろした。
「無駄だ!」
アンブランアーマーのスラスターを最大出力にまでさせ、脚部で地面を蹴り上げ、ビラブドの斧を回避すると、そのまま上空に飛び上がる。
「無事か!」
「えぇ! 派手に行きましょう!」
飛び上がった私達は、アンブランアーマーで橋の周囲を旋回するように飛び回りながら、雑魚の天使には両手のバルカンを撒き散らしながら、橋の上に陣取っているビラブドには脚部のカノン砲を浴びせかける。
「あ…がっ…」
数十秒後には、橋の上には天使の姿は無く、無残に散った石像と、無数の薬莢が転がっているだけだった。
「まったく…歯ごたえが無いわね」
「これでは、やりがいが無いな」
私達は、溜息交じりに歯ごたえの無さを嘆いていると、橋の対岸から爆破音が響き渡る。
そこには、天使を運び終えた2体のキンシップが背後の砲口から砲弾を放ちつつ、迫って来た。
「甘いぞ!」
砲弾が直撃する寸前、私達は飛び上がり、宙へと舞う。
しかし、それを狙っていたかの様に、キンシップの荷台が開くと、そこから大量のミサイルが私達目掛け、放たれる。
「ジャンヌ!」
「あぁ!」
私達は左右に分かれる様に飛ぶと、キンシップから放たれたミサイル群も半数に分かれ追尾を再開した。
アンブランアーマーの出力を最大にし、振り切ろうとするが、ミサイルの追尾性能はすさまじく、一向に離れる気配はない。
私は、横目でジャンヌの方を確認するが、向こうも同じ様にミサイルに追尾されている。
その時、一瞬だけジャンヌと目が合う。
どうやら考えている事は一緒のようだ。
私達は同時に、弧を描くように大きく旋回すると、ミサイルもその後を追う。
速度を緩めることなく旋回すると、少し離れた所にジャンヌの正面を捉え、互いに向き合う。
互いに向き合った私達は、最大出力で、互いにぶつかる様に速度を上げる。
「セレッサ!」
「えぇ!」
互いのアンブランアーマーがぶつかる寸前、私は右に、ジャンヌは左に少しだけ避け、正面衝突を回避する。
しかし、私達の背後を追っていたミサイルは繊細な動きをする事はかなわず、互いに正面からぶつかり合い、対消滅を起した。
背後に爆発を感じながら、勢いそのまま、私達はミサイルを放ったキンシップの上にアンブランアーマーで着地すると、その腕を突き立て、装甲を貫通させ、内部にバルカンをばら撒く。
「ヴォオオヴォ!」
キンシップは音を立てながら、無駄な武装を爆発させ、ただの船と化した。
2体のキンシップを撃退した私達は橋の対岸に着地すると、空を見上げた。
そこには、悠々と空に浮かぶ、ウォーシップの姿があった。
「やはり、大本を叩く以外に、方法は無いな」
「そうね。あんなところで呑気に浮いているわ」
私達はウォーシップを撃墜させるべく、飛び上がろうとした。
その時、巨大な茨が鞭のようにしなり、私達に襲い掛かった。
目の前で起きている光景をベラトリックスは受け入れる事が出来なかった。
いや、受け入れる事が出来る者など、死喰い人には居ないだろう。
こちらに加勢した天使達が、突如現れた
それを見た、死喰い人は一時的な撤退を開始し、現状残るのは、ベラトリックスただ一人だ。
「これはこれは…困った事になりましたねぇ」
ベラトリックスの背後に突如として現れたロプトは、まるで他人事のように呟いてる。
「これは、最前線で指揮をしていた、貴女の責任ですよ」
「何だと…」
「ヴォルデモート卿は貴女に失望されたようですよ。もはや、現状を変える以外、貴女が認められる方法はないかと」
「ふざけた事を!! 第一こんな状況どうしろって言うんだ!!」
ベラトリックスは目の前の惨状を指差している。
次々に天使が消し飛ばされるという、なんとも不気味な惨状だ。
「まだ手はありますよ」
「なに…」
ロプトはベラトリックスを指差すと、声のトーンを変えずに呟く。
「先程しようとした事を今するのです。貴女程の魂です。相当なものが呼び出せるでしょう」
「くそぉ…」
ベラトリックスの震える手が、ナイフを掴むと、さらに震えている。
「さぁ! どうしたのです? 貴女のヴォルデモート卿に対する忠誠とはその程度ですか!」
ベラトリックスは鋭い視線で、ロプトを睨み付けると、数回深呼吸を行う。
「舐めるなよ…舐めるんじゃない!!」
覚悟を決めたベラトリックスはナイフを天高く振りかざすと、そのまま自らの胸に振り下ろし、心臓に突き刺した。
「が…あっ…が…」
苦しそうな声を上げるベラトリックスの体を、どす黒い雲が包む。
「おや…これは…魂が悪過ぎて、下の世界の方を呼び寄せましたか…まぁ良いでしょう」
雲が晴れるとそこには、赤を基調とした服の様な物を着込んだ、悪魔…
アルラウネがそこには居た。
アルラウネ
己を捨てた夫に当てつけるため魔草のマンドレイクの毒を煽り、自らの命を絶った女性。
魔草の毒が死後も魂を蝕んだため、膨らみ続ける妄想と幻覚が極まって魔界への転生を果たしたと言われている。
かつては高貴な家柄の1人娘であったが、魔人として伝えられる姿に当時の面影は見当たらない。
地獄の底で男女問わず見目麗しい魂を見つけては神経毒を注入し、自らの宮殿で『永遠の愛』を強いるだろう。
果てしない欲望と執念に彩られた彼女の心に、潤いが訪れる事は永遠に無い。それが何万何億の魂を引きずり込もうとも…
『この世界は…どこだ?』
「そんな事は気にしなくても良いのですよ、それよりあそこに貴女の仇が居ますよぉ」
ロプトは今にもキンシップに襲い掛かろうとしている、アンブランアーマーを指差した。
『マダム・バタフライ!!』
アルラウネはベヨネッタの姿を目にした途端、怒り狂い、駆け出し、手にした鞭を振るい襲い掛かった。
キンシップ…貴様ミサイル攻撃だけは許さんぞ。(∞CLIMAX攻略中)
ここから先、冷静に考えればあり得ないだろうってところが増えますが、カッコ良さや、熱い展開重視にしました。