出来れば、最後までお付き合いください。
ウォーシップを撃墜した後、急いでホグワーツへと戻ると、入り口付近は、すでに天使達によって包囲されていた。
「遅かったか」
丁度、私と合流するようにジャンヌが隣にやって来た。
「そうね。急ぐわよ!」
「あぁ!」
ジャンヌと共に入り口を包囲する天使達を撃ち墜としつつ、修羅刃で切り崩し一転集中突破を行う。
「やっぱり少し使いずらいわ。後でロダンに直させないと」
少し小さくなった修羅刃では思いのほか使いにくい。
私は手に持った修羅刃を鞘に納める様に、ポーチに仕舞い込む。
「邪魔だ!!」
入り口の門の前に立つ2体の天使を私達は1体ずつ蹴り飛ばすと、そのまま門をぶち破り、中へと入る。
「こっちだ!」
ジャンヌの後に続き、大広間の扉を開けると、そこには手持ちの銃を使い果たし、杖で天使達の迎撃を開始しているドラコ達の姿があった。
「ギャアア!!」
天使達が咆哮を上げると、ドラコ達に襲い掛かる。
私達は、背中合わせになり、ドラコ達に襲い掛かる天使達を撃ち落とす。
「オイタをしている悪い子は誰かしら?」
「さぞかし、キツイお仕置きが必要だな」
銃口から立ち上る煙を噴き消すと、ドラコ達は驚いた表情を浮かべている。
「セレッサ!」
「ジャンヌ先生!」
「何とか間に合ったようね」
「助かったぁ…」
ロンは緊張の糸が解けたのか、その場で腰を抜かす。
「フッ、よく耐えたな。偉いぞドラコ」
「ありがとうございます」
ドラコはジャンヌにお辞儀をすると、現状を説明し始めた。
「大広間を制圧し終わった闇の帝王とロプトは大広間に死喰い人を配置し見張りを任せて、校長室に移動したようだ」
「そうか、ならば急がなくては」
「そうね。でもその前に…」
私はポーチから小型版のスカボロウフェアと鞘に収まった修羅刃を取り出すと、ドラコに手渡す。
「使いなさい」
「え…でも…」
「その様子じゃまともに戦えないでしょ」
ドラコはゆっくりとスカボロウフェアを受け取ると、両手両足に装備し、修羅刃を背中に斜め掛けに背負う。
「ありがとう。使わせてもらうよ」
「上手く使いなさい」
「何をしている。行くぞ!」
ジャンヌが急かす様に声を上げている。
「えぇ、今行くわ」
私はその場から走り出し、ジャンヌの後を追い、校長室へと向かった。
ダンブルドアは校長室の椅子に深く腰掛けると、机に両肘を着き、頭を抱えている。
窓の外には、天使達が飛び交い、所々で爆破音が響いている。
「ダンブルドア先生! 僕達も戻りましょう!」
「ならぬっ…」
ダンブルドアは、ハリーの申し出を却下する。
この作戦の要、必要な
ハリーさえ居れば、ヴォルデモートを…
「先生!」
ハリーが大声を上げ、ダンブルドアの考査を妨害する。
「ハリーよ…辛いかもしれぬが、耐えるのじゃ。皆ワシ等を守る為にその身を犠牲にしておるのじゃよ」
「ですが!」
ハリーが異論の声を上げると同時に、校長室の扉が何者かによって爆発させられる。
「久しいなダンブルドア」
「ヴォルデモート…」
ハリーが恨めしそうな声を上げている中、扉を爆発させた時の土煙を掻き分けながら、ヴォルデモートが側近であるロプトを連れて悠然と歩いている。
「久しいのトム。今宵は何の用じゃ?」
「俺様がここにやって来た目的はただ一つ。ハリー・ポッターを抹殺する事だ」
「ワシの目の前でそのような事をさせると思っておるのか?」
ダンブルドアが、杖を構えると、それに対抗するように、ヴォルデモートも杖を構える。
「折角じゃ。決闘をしようではないか」
「ほぉ…老いぼれにしては良い趣味をしているな」
ダンブルドアの決闘の申し出に、ヴォルデモートはニヤついた笑みを浮かべると、2人は校長室の中心に陣取った。
「ロプト。手出しは無用だぞ」
「承知しております」
ヴォルデモートが釘を刺すと、ロプトはワザとらしく頭を下げ、お辞儀をしている。
「では始めようか! ダンブルドア!」
「来るが良い!」
2人は同時に杖を振るうと、互いの放った魔法が空中で炸裂し、校長室の内装にヒビが入る。
「ぐぉ!」
「やるな!」
2人の更なる攻防は続く。
ダンブルドアが杖を振るい、周囲を爆発させ、瓦礫をヴォルデモートに吹き飛ばす。
「シャ!」
唸り声を上げたヴォルデモートが力強く杖を振るうと、飛び掛かる瓦礫がすべて、眼前で塵となり、周囲に降り注ぐ。
「ジャ!!」
再びヴォルデモートが杖を振るうと、強烈な炎が杖の先から放たれる。
「ぬぐぅ!」
ダンブルドアも対抗し、杖を振るうと、杖の先端から強力な水圧の水を放出し、炎と水がせめぎ合い、互いに均衡を保っている。
しかし、均衡は緩やかに崩壊を始めた。
徐々に炎の勢いが増し、ダンブルドアに迫り来る。
「ダラシャ!!」
ヴォルデモートが杖を振るうと、炎が爆発を起こし、ダンブルドアに襲い掛かる。
「ぐがぁ!」
ダンブルドアは自身の体が燃え上がる中、杖を振るい、自身に水を掛け、燃え上がる炎を鎮火させる。
「だぁ…はぁ…あぁ…はぁ…」
何とか炎を消したダンブルドアは肩を激しく上下させ、荒い呼吸をしている。
しかし、その手には杖は握られておらず、足元に転がっている。
「ハハッ! 俺様の勝ちだな!」
「おのれぇ…」
勝ち誇ったヴォルデモートは声高らかに大笑いしており、ダンブルドアはその場で崩れ落ち、ただその姿を恨めしそうに睨んでいる。
そんな中、ハリーはいつの間にかヴォルデモートの背後でバレない様に杖を構えていた。
ヴォルデモートとダンブルドアの戦闘中に移動を開始したハリーがヴォルデモートの背後を取ったのだ。
「エクスぺリア―ッ!」
ハリーが魔法をヴォルデモートに向け放とうとするが――
「邪魔をしてはいけませんよ」
「んなぁ!」
突如としてハリーの目の前にロプトが姿を現し、構えている杖を人差し指と中指で摘まみ取る。
「いい出来ですね。ですが…」
次の瞬間、指で挟まれた杖が蒼い炎に包まれる。
ロプトは表情一つ変える事無く、杖が燃えるのを見ている。
「邪魔をするなと言ったはずだぞ、ロプト」
「つい出過ぎた真似をしてしまいました」
杖を灰へと変化させたロプトは笑いながら一礼すると、何処かへと消えていった。
「さて…ダンブルドア」
ヴォルデモートは倒れ込んでいるダンブルドアに近寄ると、髪の毛を掴み、顔を覗き込む。
「今すぐ貴様を殺してやりたいが…少し嗜好を凝らそう」
ヴォルデモートは掴んでいたダンブルドアの髪の毛を勢い良く離すと、背を向ける。
「ハハハ…アハハハハハハハハ!!」
部屋の中には、ヴォルデモートの狂った笑い声だけが、響き渡る。
その時、校長室に杖を構えたスネイプが飛び込んで来た。
「おぉ、セブルス。遅かったなぁ。俺様は待ちくたびれたぞ」
「…………」
ヴォルデモートは嬉しそうな声を上げ、無言のまま杖を構えてた、スネイプの登場を歓迎している。
「くそぉ…」
倒れ込んだダンブルドアは呻き声を上げながら、手元に転がった杖に手を伸ばしている。
「お見通しだぞ」
冷ややかな声でヴォルデモートが呟き、杖を振るうと、ダンブルドアと杖の間の床で小さな爆発が起きる。
「フン、浅はかな考えだな」
ヴォルデモートは再び杖を振ると、ダンブルドアの体を石に変え、冷徹な笑みを浮かべ、見下している。
「セブルス」
「はい」
「俺様は少し疲れた、そのガキを痛め付けるのはお前に任せる。殺すなよ…殺すのは俺様だ」
ヴォルデモートは振り返る事なく、スネイプに指示を出した。
「本来ならば、俺様が直々に手を下してやるべきだが…まぁこの際良いだろう」
スネイプはゆっくりとハリーの方を向くと杖を突き付けた。
「ポッターよ………」
「…………」
スネイプはただ名を呟き、ハリーは恨めしそうに睨みつけている。
「どうしたのだ、セブルス。早くしないか。そのガキは貴様の仇の筈だぞ」
「なんだと…」
ハリーは戸惑うように呟いた。
「あぁ、ハリー…貴様を守ろうなどと考えなければ、貴様の母親を、あの
ヴォルデモートは楽しそうに笑いながら呟いている。
「さぁ、セブルス。貴様の仇は目の前に居る! 好きにするが良い、磔の呪文を掛け、痛め付け、心を壊してやれ!」
スネイプは一度深呼吸をすると、杖を強く握りしめた。
「セクタムセンプラ!!」
スネイプは力強く呪文を叫ぶと、魔法を放った。
「シャァ!!」
放たれた魔法は、ヴォルデモートに襲い掛かるが、難なく無効化された。
「スネイプ…先生…」
「どうしたのだセブルス? 好きにしろと言ったはずだぞ。貴様の恨みはその程度なのか?」
杖を構えたヴォルデモートは不気味な表情で笑って居る。
「まぁ良い…退け」
ヴォルデモートはスネイプに杖を突き付け脅している。
「その要求は飲めぬ」
スネイプは杖を構えると、ハリーの前に立ち、ヴォルデモートと向かい合う。
「どういうつもりだ、セブルス…」
「吾輩はリリーとの約束を護るだけだッ!」
立ちはだかったスネイプは魔法を放つが、ヴォルデモートはそれを難なく防ぐ。
「貴様…死にたいようだな」
ヴォルデモートは冷ややかな声で呟くと、スネイプに魔法を放つ。
「プロテゴ・マキシマ!」
スネイプは防御魔法を張り、ヴォルデモートの攻撃を防ぐ。
「どれだけ防げるか見ものだな。俺様を裏切ったのだ。楽に死ねると思うなよ! 磔にし、肉を焼き、骨を砕き、自ら死を懇願するようになるまで痛め付けてやる!」
ヴォルデモートは絶え間なく魔法を放ち、スネイプを追い詰める。
まさに防戦一方だ。
「ぐぅ! ごぉ!」
スネイプは苦しそうな声を上げ、展開している防御魔法にはヒビが入る。
「くらえ!!」
「ぐごぉお!」
ヴォルデモートが渾身の力を籠め魔法を放つと、防御魔法が音を立て砕け散り、スネイプが手にしていた杖も粉々に砕け散り、手から血が流れている。
「さて…そろそろ止めと行くか」
「ハァ…ハァ…吾輩を殺すか…それも良いだろう…だがこの状況、見覚えがあるのでは?」
「なに……まさか!」
スネイプは不敵な笑みを浮かべ、ヴォルデモートを見据えている。
「そう…貴様がその身を滅ぼした時…そして、リリーが自らの命を投げ出しハリー・ポッターを護った時と似た状況ではないか?」
血塗れのスネイプは苦しそうな笑みを浮かべながらそう言うと、ハリーを守る様に両手を広げる。
「えぇい! 小癪な真似を! 退け!」
「退かぬ!!」
「ダァ!!」
ヴォルデモートが杖を振るうと、スネイプの体中に切り傷が出来、血を流す。
「ぐぅ…吾輩は…僕は…リリーを
スネイプは血塗れの状態でヴォルデモートの魔法を一身に受けている。
「なぜだ! なぜ死んだ者の為にそこまでする! あの女は貴様を裏切り、あまつさえ、貴様が憎んでいる男と一緒になったのだぞ!」
「それがどうしたと言うのだ! 僕の愛は変わらない! 今も! そしてこれからも! そう
スネイプは血塗れの左手で首から下げた口紅を握りしめる。
「えぇい! アバダケダブラ!!」
怒り狂ったヴォルデモートは渾身の力を籠め、杖を振り下ろした。
「リリー…」
迫り来る緑の閃光を前にスネイプはゆっくりと瞳を閉じた。
スネイプの一人称は最後まで悩みましたが、やはり『僕』の方が良いかなっと思いました。
今作スリザリン贔屓がひどい気がするけど、今更か…