と言ってもほぼ日常回なので短めです。
11月に入り周囲が肌寒くなる。
「さぁ!クィディッチの季節がやってきたぞ!クィディッチだぁ!ハリー!今日は君の初陣だ!」
大広間の入り口でロンが先程から大声で喚き散らしている。
「そうだね…」
「どうしたんだい!もしかして緊張しているのか?大丈夫だよ!君1年生でシーカーに選ばれるほどの腕を持っているんだ!」
ハリーの肩をバンバンと叩きながらロンはさらに大声を出す。当の本人はとても迷惑そうだ。
「ハイテンションね、何かあったのかしら?」
「おぉ、ベヨネッタ!今日はハリーの初陣だからね、とても楽しみなんだ!」
「そうなのね、ハリーの方は顔色がよくないようだけど大丈夫かしら?」
「大丈夫だよ、ちょっと緊張しちゃって…それにやっぱり怖いってのがあるね…」
「大変ね、でも怖いのは最初だけよ。何事もね」
そう言って彼らと別れた後、朝食を取る為に大広間の中心へと向かう道中でハーマイオニーと会い軽く挨拶をする。
振り返るとハーマイオニーとロンが互いにハリーを気遣ってか言い争いをしていた。
そんな3人をほほえましく思ってから、その場を後にした。
午前11時を回ろうとした頃には学校中の生徒がクィディッチを観戦するために会場に集まっていた。
どうやら、クィディッチの試合というのは大イベントのようで、今日はすべての授業が休業扱いとなっている。
周囲を見渡すとロンを始めとする複数人の生徒が『ポッターを大統領に』と書かれた大きな旗を振っている。
今日の相手はどうやらスリザリンのようで両方の生徒とも一触即発といった感じだった。
『それでは!選手の入場です!』
会場内に実況者の声が響く、それと同時に大歓声が上がり、そんな中を選手たちは堂々と歩きながらコートにやってきた。
フーチが選手たちの間に立ちホイッスルを手に取る。
その直後ホイッスルが、けたたましい音を立て、試合の幕が上がった。
ゲームの進行は一進一退の攻防戦であった。
シーカーであるハリーはブラッジャーと呼ばれる襲い掛かってくる球を避けながら周囲を索敵していた。
次の瞬間、ハリーの箒が狂ったように暴れだした。
「ハリー!」
「ありゃ一体どうなってるんだ!」
いつの間にか後ろにいたハーマイオニーとハグリッドがハリーの異常に悲鳴を上げた。
「どうなっているんだよ!スリザリンの奴ら…何か細工をしたな!」
「ロン、それはありえんぞ。箒に呪いをかけるとなるとそれこそ一流の魔法使いじゃなきゃ無理だ、スリザリンの生徒ごときじゃ無理だろう」
「じゃあ一体だれが…」
するとハーマイオニーがロンの首にかかっていた双眼鏡をひったくる。
「おい!何するんだよ!」
「犯人を捜すのよ!呪いをかけているなら口の動きで分かるわ!」
しばらくするとハーマイオニーが「見つけたわ!」といってある人物を指さした。
「スネイプよ!スネイプがハリーの箒に呪いをかけているわ!」
「そんな馬鹿な!ありえん!」
「私が止めてくるわ!」
ハーマイオニーがそう言い残して姿を消した。
私も教員席の方を注意深く確認する。
確かにスネイプの口は動いているが発せられている魔力は呪いというよりも呪いの妨害に近い魔力であった。
「おかしいわね…」
私が呟くと教員席の方から急に煙が上がった。
どうやらハーマイオニーが何かをやったらしく軽いパニックを起こした教員席の方からそそくさと脱出してくる姿が見えた。
「スネイプに火をつけてやったわ」
「貴女やることが派手ね。嫌いじゃないわよ」
その後、動きを取り戻したハリーはその場で急降下を開始した。
ハリーの目の前に光る金色の球体、スニッチがありそれをキャッチしようと手を伸ばしている。
あと少しという所で体勢を崩し箒から落下してしまう。
周囲は悲鳴に包まれており、ハリーは何やら苦しそうな表情を浮かべていた。
その場で立ち上がると口の中からスニッチを吐き出し手に収めていた。
『スニッチを取ったぞ!』
スニッチを握りしめた手を天高く振り上げる。それに呼応するように会場全体が歓声に包まれた。
こうして、ハリーの初陣はシーカーとしての役目を果たして無事終了となった。
クィディッチも終わり帰ろうとすると後ろからやってきたハーマイオニーに引き留められた。
「ちょっと話があるの、これからハグリッドの小屋に行くわよ」
腕を取られ半ば強引にハグリッドの小屋へ引きずり込まれた。
小屋の中ではハリーとロンも居り、ハグリッドが淹れた紅茶を飲んでいた。
私も紅茶を出されたので少し口に含む、濃く出しすぎて苦くあまり美味しいものではなかったので、そのままテーブルの上に置き、それ以降その紅茶に口をつけることはなかった。
「無理やり連れて来られたのよ、一体何の用かしら?」
「僕もハーマイオニーも見たんだよ、君の箒に呪いをかけていたのはスネイプだったんだよ」
「そんなわけないだろ!スネイプ先生は教師だぞ!第一何でそんなことをせにゃならんのだ!」
確かにそうだ、教員であるのならば生徒を手にかけるなんてこと普通に考えればあり得ない。
しかし、スネイプの日頃のハリーに対する態度を目にしている3人は疑いの目を向けたままだった。
そんな中、意を決したように、ハリーが口を開いた。
「僕、見たんだ。アイツの足がケガしているのを。多分、ハロウィーンの夜3頭の犬を出し抜こうとして反撃を受けたんだよ。きっとあいつは犬が守っている何かを盗もうとしているんだよ」
ハリーの話を聞いてハグリッドが驚いたようにティーポットを落としてしまった。
「ハリー、お前さんどうしてフラッフィーを知っているんだ?」
「「「フラッフィー?」」」
3人がほぼ同時に声を上げた。
「そうだ、俺のペットだ、今はダンブルドア校長に貸しているんだ」
「それは何で?」
「これ以上は、答えられんよ、重大な秘密なんだ」
「でもスネイプが、何かを狙っているんだよ!ダンブルドア先生は一体何を守ろうとしているの?」
「これ以上変なことを言わんでくれ!お前さん達もこれ以上この件に首を突っ込むな!これ以上は危険だ、あの犬のこともダンブルドア校長とニコラス・フラメルの事もな!」
「ニコラス・フラメル?それはいったい誰!」
ハリーはハグリッドが漏らした名前を聞き逃さなかった。
ハグリッドはさっきから自分の頭を壁に打ち付けている。口を滑らした自分に腹を立てて、自分でお仕置きをしているのだろう。
「ダメだよハグリッド、血が出ちゃうよ」
「放っておいてくれ、今日はもう帰ってくれ」
これ以上ここにいるのは得策ではないだろう。そう思い私達は小屋を後にした。
その日の夜、部屋に全員が寝静まったのを確認してから、いつもの日課をするべく「The Gates of Hell」に移動した。
「よぉ、いつものはあそこだぜ」
ロダンが指差した先には磔にされている天使が必死にもがいている姿があった。
「後で楽しませてもらうわ」
バーカウンターでいつものを飲んでいると、ふと今日出てきた名前を思い出す。
「ねぇ、ニコラス・フラメルって知ってるかしら?」
「ニコラス・フラメルか?確か賢者の石の製作者だったか」
「賢者の石?」
「あぁ、コイツのことだ」
ロダンは追加の酒と一緒に紅い結晶のようなものを私に差し渡した。
「へぇ、これが賢者の石ね…」
「あぁ、それにしても、何でお前がそんなものを知っているんだ?」
「どうやらダンブルドアが城に隠している物が、賢者の石らしいのよ」
「ほぉ…賢者の石をか…」
「えぇ、ところで賢者の石って何なのかしら?」
「賢者の石ってのは、錬金術の頂点と言われていて、金を生み出したり、命の水、永遠の命を得る事が出来る物だ」
「へぇ、便利な物ね、でも欲しいとは思わないわ」
私は手に持っていた石をロダンに投げ返す。
「それがいい、それと、コイツが完成したから渡しておくぜ」
ロダンが持ってきたトレイの上には「パセリ」「セイジ」「ローズマリー」「タイム」の4丁一組の愛銃スカボロウフェアの小型版が用意されていた。思わず舌なめずりをしてしまう。
「向こうで使える武器が杖だけというのも不便だろう」
「気が利くじゃない、杖もいい子だけど、やっぱりこの子がいないとつまらないわ」
「気に入ってもらえるぜ、それとラブイズブルーの方は元の姿に戻った時のために取っておいてあるぜ」
「至れり尽くせりね」
「そりゃ、俺の作品だからな。ちなみに武器自体に認識妨害の効果を付与してあるぜ、普段から身に着けておいても問題はないだろうよ。ただ使っている間は消えないからその点は注意してくれ」
「流石ね…」
私は子供の姿になり、2丁の銃を空中に放り投げる。それと同時にバーカウンターのロダンも瓶を放り投げた。
残りの2丁を両手で回りながら手に馴染ませ。ロダンはシェイカーを上下を振る。
落下してくる銃を左右の足のヒール部分で受け止める。ロダンはさらにシェイクの速度を上げていく。
両手の銃をもう一度手に馴染ませ右の銃に口付けをする。ロダンはグラスにシェイカーの中身を淹れオリーブの実が刺さったピックを浮かべる。
私がロダンに銃を向けると同時に、ロダンは私にオリーブの浮いたマティーニを差し出した。
「気に入ったわ」
「そいつはよかった」
マティーニを受け取り一気に流し込む。
「それじゃあ失礼するわね」
「あぁ」
片手に銃を構え天使の脳天を打ち抜いてから、銃をポーチにしまい込み、杖を手にして元の部屋へと戻る。
今回からようやく4丁拳銃スタイルになります。
まぁメインで使うのはもう少し後の話ですが。