ハリー・ポッターとアンブラの魔女   作:サーフ

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次回 最終話です


決着

  「うおぉおぉぉおぉ!!」

 

 勢い良く飛び出した僕は、天使の腹部に修羅刃を突き刺し、そのまま脳天に銃弾を放つ。

 

「ギャ!」

 

 脳天を撃ち抜かれた天使は、断末魔を上げると、その場で動かなくなった。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

 周囲に天使の死体と気を失い拘束されている死喰い人が散乱している中、僕達は荒い息を上げながら、周囲を警戒している。

 

「これで…終わりか?」

 

「そのようね」

 

 天使の増援が来る事は無く、どうやら、先程のが最後の1体だったようだ。

 

「ふぅ…」

 

 僕は、修羅刃を鞘に仕舞い込むと、残りが僅かとなった、ロリポップを口に咥える。

 

 その時、何者かが扉に手を掛けた音が聞こえた。

 

「誰だ!」

 

 ウィーズリーとグレンジャーは杖を、僕は銃を構え、扉に突き付ける。

 

「ワシじゃよ」

 

 扉の奥からは、悠々と歩くダンブルドアの姿があった。

 

「ダンブルドア先生!」

 

 ウィーズリーとグレンジャーは杖をしまうと、ダンブルドアの元へと駆け寄る。

 

「無事だったんだですね!」

 

「君達も無事で何よりじゃ…ところでこれは君達が?」

 

「えぇ、そうです」

 

「そうか…」

 

 

 グレンジャーの答えを聞いたダンブルドアは何やら警戒心を込めた表情で僕達を見ている。

 

 すると、再び扉が開き、奥からは退避した生徒達や、怪我を負い戦線を離脱した教師陣が姿を現した。

 

「あっ! マクゴナガル先生!!」

 

 グレンジャー駆け出すと、そこには腕を押さえたマクゴナガルの姿があった。

 

 どうやら、先程の戦闘で怪我をしたようだが、命に別条は無さそうだ。

 

「ミス・グレンジャー。無事でしたか」

 

「はい、それより、皆どこへ向かっているんですか?」

 

「クィディッチ会場ですよ。そこでダンブルドア校長から話があるそうです」

 

「クィディッチ会場?」

 

「そうですよ。さぁ行きますよウィーズリー」

 

 多くの生徒が大広間を抜けクィディッチ会場へと向かっていく。

 

 僕は両手の銃を仕舞い込み、彼等の後を追いかけた。

 

 

  大広間を抜け、クィディッチ会場へと出ると、予想外の光景が広がっていた。

 

「なんだあれは…」

 

 空中に切り取られたように地面が浮かんでおり、そこでは、セレッサ達が実態を得たロプトと激闘を繰り広げている。

 

「皆、聞こえておるか」

 

 ダンブルドアが魔法で拡声させながら、口を開いた。

 

「この戦いを終わらせるには、奴を消滅させなくてはならない」

 

 ダンブルドアは空中で暴れまわっているロプトを指差した。

 

「その為に『アーチ』と呼ばれる物を呼び寄せなくてならん。しかしそれはワシ一人の力では無理じゃ…そこで、皆の力を借りたい!」

 

 杖を天高らかに掲げると、ダンブルドアはさらに声を大きくさせる。

 

「呼び寄せ呪文を使う。アーチを知らぬものは、呼び寄せる事だけに集中するのじゃ。ワシに続くのじゃ! アクシオ! アーチ!」

 

 ダンブルドアが叫ぶと、その場に居た生徒達が、上級生下級生問わず次々と杖を取り、呼び寄せ呪文を唱える。

 

「アクシオ! アーチ!」

 

 僕も杖を取り出しアーチを呼び寄せる。

 

 しかし、普段の呼び寄せ呪文とは違い、成功した感覚が無い。

 

「アクシオ! アクシオ!!」

 

 何度となく、全員が同じ魔法を唱える。

 

 若干だが変わったかもしれない…

 

 その時、クィディッチ会場を包み込むように眩い光に包まれる。

 

「まさか!」

 

 

 光の向こうから、次々と天使達が舞い降りて来る。

 

 着地した天使達は武器を手にしてこちらを威嚇している。

 

「なんだよ!!」

 

 天使達を目にした生徒達から恐怖の色が現れ、魔法を唱える事が出来ずにいる。

 

「まずい!」

 

 僕は杖を仕舞い込み、その場から一気に飛び出す。

 

「どりゃあぁぁぁぁぁあああ!!」

 

 手始めに、先頭の天使に飛び乗ると、そのまま足の銃を放ちつつ、次に上空に居る天使へと飛び移る。

 

「はっ!」

 

 数体ほど繰り返し、最も高い所へと飛び上がると、修羅刃を構える。

 

 

「でりゃぁ!」

 

 そのまま修羅刃を突き出し、一気に急降下する。

 

「ギャ!!」

 

「ンギィ!」

 

「ギャぁ!!」

 

 修羅刃で数体の天使を串刺しにしながら、地面に修羅刃ごと突き刺す。

 

「フン!」

 

 修羅刃の柄に両手で掴み、柄を軸にして逆立ちをし、両足の銃を乱射し、周囲の天使を片付ける。

 

 体を逸らし、修羅刃を地面から引き抜くと、動きを止めているダンブルドア達を見る。

 

「何をしている! 急げ!」

 

 ぼさっとしていることに、苛立ちを覚え声を荒げてしまう。

 

「わ、分かった、皆続けるぞ!」

 

 生徒達は、ダンブルドアに続くように魔法を唱えだした。

 

「さて…」

 

 僕は両手に銃を構え、残り少なくなったロリポップを口に咥えて、正面に現れた天使達と対峙する。

 

「しつこい奴等だ。相手になってやる!」

 

 僕の啖呵に呼応するように、天使達が咆哮を上げた。

 

 

 

 

  死喰い人に制圧された魔法省は職員全員が追放され、まさに死喰い人の巣窟と化していた。

 

 ホグワーツ侵攻に参加していない死喰い人は魔法省を改装し、快適に過ごせるようにしていた。

 

 1階に集結した死喰い人が必死に改装工事を行っている中、魔法省の最深部、神秘部に保管されているアーチを支える土台に多少の亀裂が入り始める。

 

 亀裂は次第に大きくなり、土台が完全に崩壊した。

 

 しかし、それを目にした者はいない。

 

 死喰い人が最深部にまで気が回らなかったのが運の尽きだろう。

 

 土台から解き放たれたアーチは上昇を続け、神秘部の天井を突き抜け徐々に上昇していく。

 

「ん? 何の音だ?」

 

「少し揺れなかったか?」

 

「確かにな…」

 

 微弱な揺れを感じ、死喰い人は疑問に思い始める。

 

 その瞬間、さらに激しい揺れと、爆音が響き渡る。

 

「うわぁ!!」

 

「なんだ!!」

 

 激しい揺れに耐えきれず、バランスを崩した死喰い人は周囲を見回し、声を荒げている。

 

 そして、1階の床に大きな亀裂が入る。

 

 

「うわぁ!!」

 

「床が!」

 

 死喰い人が悲鳴を上げる中、床が崩壊しアーチが飛び上がる。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 気を抜いていた死喰い人は亀裂に飲まれ、地下へと飲まれていく。

 

 そんな中、上昇を続けるアーチは魔法省の天井を突き破った。

 

 その衝撃により、魔法省の建物は完全に崩壊した。

 

 

 

 

  天高く上昇したアーチは、そのまま急加速すると、魔法界の空を高速で飛び去る。

 

「「「「「アクシオ! アーチ!!」」」」」

 

 生徒達の声が揃い、呪文を唱えると、アーチがさらに加速する。

 

「来たぞ!!」

 

 ダンブルドアが声を上げると、ホグワーツにアーチが突っ込んだ。

 

 ホグワーツは瓦礫を撒き散らしながら、アーチを受け止める。

 

 アーチが突っ込んだ場所は、校長室があったあたりだろう。

 

「やっと来たか!」

 

 天使の群れを迎撃しきったドラコは肩で息をしながら、満身創痍の体を修羅刃に預けて支えている。

 

「後は…彼女達に任せよう…」

 

 ダンブルドアは疲れ切った表情で、激戦を繰り広げているベヨネッタ達を見ていた。

 

 

 「ぬあぁぁぁあぁあ!」

 

 マダムの一撃をくらい吹き飛んだロプトは見えない壁に激突すると、倒れ込んだ。

 

「はぁ…はぁ…」

 

「これで…どうだ…」

 

 私とジャンヌは互いに息を切らしながら倒れ込んだロプトを見ている。

 

「フッ…フフフッ…無駄ですよ…無駄、無駄」

 

 禍々しい瘴気を吸収したロプトは再び立ち上がると、こちらを嘲り笑う。

 

「まったく! しつこい奴だ!」

 

「面倒な男は嫌われるわよ」

 

「これからは私の時代。そんな事を気にする必要はありません」

 

 

 ロプトが天高く手を構えた瞬間、高速の物体がホグワーツに激突した。

 

「何事です?」

 

 ロプトはゆっくりと振り返り、突撃した物体に目を向ける。

 

 あれは何処かで見たことがある…確か…

 

「アーチですか、あんなものを用意して、どうしようというのですかねぇ」

 

『そいつを向こうへと吹き飛ばすんだ!!』

 

 ハリーの拡声した声が周囲に響き渡る。

 

「私をですか? 何を考えているのやら」

 

 ロプトは呆れた様に、腕を上げる。

 

「んぐぅ!」

 

 その瞬間、胸を押さえ、ロプトが苦しそうな声を上げる。

 

「あが! あがががががが!!」

 

 ロプトはさらに苦しみもがき、その体からどんどんと禍々しい瘴気があふれ出し、その体がどんどんと人間の物へと変化していく。

 

「どうなっているのです! どうして力が!」

 

『誰もお前を恐れていないからだ!』

 

 ハリーの声が周囲に響き渡る。

 

『僕達が恐れていたのは、ヴォルデモートであってお前じゃない! お前なんか怖くないんだ!』

 

「ふざけるな!!」

 

 ロプトは再び手を振り上げるが、すぐに力無く倒れ込む。

 

「こんな事…こんな事! 認められるものか!」

 

「フッ、どういう訳か知らないが」

 

「さっさと決めましょう」

 

 私とジャンヌは同時に魔力を開放する。

 

 

「「|TELOCVOVIM AGRAM ORS ADNA OVOF AVAVAGO《暗黒の月の堕落せし者よ、彼の女をして、雷に打たらしめよ》」」

 

 魔力の籠った私達の髪は、巨大な召喚用のゲートを形成し、縺れ合う様に吸い込まれる。

 

 そして、白と黒が合わさった巨大な魔女。

 

『クィーン・シバ』が姿を現した。

 

 クィーン・シバ

 宇宙が「光」「闇」「混沌」の三つに分かれた時、闇を司る魔界と共に誕生した超存在。魔界に住むことから悪魔に分類されているが、詳しい事は分かっていない。魔界の宇宙の理を司るとされ、畏怖の念から誰ともなく「女王」の名を冠して呼ぶようになった。その姿を見たものはなく、定まった姿を持たないとも、無限の闇が広がる魔界そのものがこの悪魔だとも言われる。かつて何人もの魔女がこの悪魔の召喚を試みたが、逆に魔界へと引きずり込まれ、命を落としたという。もし仮にクイーン・シバの召喚に成功したとしても、それはこの悪魔の力のほんの一部なのかもしれない。

 

 クィーン・シバは体を仰け反らせると、自らの髪を束ねて、身の丈程ある1本の杖を作り上げた。

 

「なっ! なんですかこれは!!」

 

「今回は魔女仕様なのだな」

 

「魔法界ですもの、当然でしょ」

 

 クィーン・シバは杖を右手に持つと軽く回転させ中腰になり、左手で輪を作り、その中に杖を通し、右手を軽く引き、杖の先端をロプトに突き付ける。

 

 まるでビリヤードのようなポーズだ。

 

「フン!!」

 

 クィーン・シバは勢い良く右手を突き出すと杖の先端でロプトを弾き飛ばす。

 

「あひぃ!! またこのパターンですかぁぁああぁあぁぁあぁぁっぁぁぁあ!!」

 

 吹き飛ばされたロプトは、見えない壁を突き破り、アーチの方へと吹き飛ばされる。

 

「アァぁ! おのれ! おのれ! おのれ!!」

 

 アーチの中に半分ほど入ったロプトは最後の悪足搔きで霊体状の手を伸ばし、アーチの端を掴み、体を引き出そうとしている。

 

「まったく。往生際が悪い」

 

「本当ね。しつこい男は嫌いよ」

 

「まぁいい、そろそろ終わりにしよう」

 

 私達は互いに背中合わせとなり、私は右手の銃を横向きに構え、その下にジャンヌが左手の銃を正面に構える。

 

「合言葉でも言うか?」

 

「冗談。私達はそんな柄じゃないでしょ」

 

「フッ…それもそうだな」

 

 私達は互いにウィンクすると、指先に力を籠めた。

 

「砕け散れ!」

 

「消え失せろ!」

 

 同時に引き金を引き、放たれた弾丸は、真っ直ぐにロプトの脳天を貫いた。

 

「あぁぁあぁあぁあ!!」

 

 脳天を貫かれたロプトは、力無く仰け反り、アーチの向こう側へと吸い込まれていった。

 

 




合言葉はデビルハンターの特権ですからね。最後の最後まで悩みました。


クイーン・シバ登場、これで、総ての大魔獣召喚が出来ましたね。

OMNE「………」

マダム・ケ゚プリ「………」

このお二方に関しては、ルーメンの賢者とローサが必要ですからね。
仕方ないです。
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