チートに不死身を要求したら、投獄された件について   作:泥炭地

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メイドインロードランの狼少年を書いてみようと思った。
初投稿です。


チートに不死身を要求したら、投獄された件について

 『お前さんは死んだ。くじに当たったので転生させてやることにする。

  何か欲しいものがあれば・・・今はチートと言うのか?

  一つだけ聞いてやるから、ほら、言ってみなさい』

 

トラックにはねられたと思ったら、次の瞬間に真っ暗な場所に立っていた。

頭の中に響いてきたのは誰のものかもわからない声。

でもその言葉を聞いて、この状況がいわゆる、神様転生、と呼ばれるものだと気づいた。

 

何でもいいから希望のチートスキルをくれるという。

こんなに都合のいい話が転がってきたんだ。

チャンスを逃さないようにすぐさま思いついた答えを口にしていた。

 

「あ、なら、不死身の体で」

 

 『なるほど、不死か。

  最近ではその望みも珍しくなったのだ・・・まあ良い』

 

体感では十数秒前に死んだばかりだ。

死の恐怖に突き動かされるまま、不死身を願ったのは当然だったと思う。

まあ、後から考えると、もう少しよく考えてから答えればよかったのに、と後悔の念もあるが。

 

 『あいや、承った。

  来世をしっかりと生きるがよい』

 

頭の中で響いていた声がすっと消えて、足元の感覚が消失する。

 

うたたねの最中に上下感覚を失ったときのような、強烈な浮遊感に襲われた。

思わず叫び声を上げようとしたが、うまく声が出せない。

もがくように手足を振っても、何かが邪魔になってうまく動かせない。

 

なぜか、すさまじく窮屈な場所に押し込められたような感覚だった。

 

もがくこと、数分。

唐突に世界が光に包まれる。

 

ぼやけた視界に写ったのは、古めかしい石の天井。

そして産婆と思わしき老婆と、ぐったりした様子の若い女性。

さらに少し離れたところには、若い男と神父のような身なりの老人。

 

それを見た瞬間に、自分が転生を果たしたのだと理解した。

ということは、若い二人が自分の両親か。

神父はおそらく、生まれた子供を祝福する役割とか、そんなところか?

 

転生した瞬間から記憶があることに、まずは戸惑った。

こういうのはある程度育ってから記憶が戻ってくるように調整されているものではないのか?

少なくとも生前に呼んだ創作小説の多くでは、そうなっていた。

 

「?」

 

気づくと、部屋の中の全員が俺の方を凝視していた。

両親、産婆、神父の全員が、目を丸くしてこちらを見ている。

 

俺を見ている。

まさか何かおかしな事を・・・普通の赤ん坊と違う行動をとっただろうか

だとしても何ら不思議ではない。俺は前世の記憶を持っている。

生まれたばかりの赤ん坊がとるべき行動など、全然わからん。

 

「・・・ぁぅぁー」

 

しかしだ、気味が悪いと捨てられたら堪らない。

あわてて自分の行動を振り返り、自分の間違いに気づいた。

 

簡単なことだった。

生まれたばかりの赤子なのだから、泣き叫んでいなければおかしい。

 

黙っているせいで死産と疑われていたんだろう。

そう一人で納得した俺は、両親を安心させるために元気よく泣き叫ぼうとした。

 

息を吸い込み、口を開いて、さあ---

 

 

「呪いの子じゃあああぁぁあぁ!!」

 

 

その叫び声は、この中で一番落ち着いた風貌をしていたはずの神父の喉から絞り出された。

 

『呪いの子』

どうして初めて聞く言語の意味が分かったのか。

それを疑問に思うよりも早く、不味いことになった、と焦りが生まれる。

 

まさかこんなに早く、普通の赤子でないと感づかれるとは。

 

妙に古風な部屋の内装を見る限り、前世よりも昔の世界に生まれたことは間違いない。

近世か、中世か、それともさらに古い時代なのか

 

ともかく、出産の場に神父を用意するような信仰心のある社会なんだろう。

呪いの子というレッテルを貼られるのは、あまりにも、不味い

 

今なら間に合うはず。

普通の赤ん坊であることをアピールしなくては。

焦りながら必死に泣き声を上げると、産婆はびくっと手を強張らせて、俺を取り落とした。

ぼすん、とベッドの上に落下する

 

ふざけんな!生まれたての赤子を落とすとか、死んでもおかしくねぇぞ!

 

生まれた瞬間死ぬ目に遭った俺は、怒りのこもった視線で産婆を睨もうと顔を動かす

 

 

「まさか、火の陰りはここまで・・・仕方なし。これも聖職の役目か」

 

 

いつの間にか、神父がベッドの近くまで近づいてきていた。

わけのわからない言葉を口にしながら、懐に手を突っ込んでいる。

何かを握って引き抜かれた手のひらには・・・布を束ねたような、謎の物体

 

「--------」

 

神父が何事かを唱えると、布の塊がもわっとした白いオーラに包まれる。

 

なんだこれは、魔法なのか?

 

転生先がどんな世界なのか、あの神様とやらに聞いておくべきだった。

一瞬、そんな後悔が頭をよぎる。

 

というか、これが魔法だったとして。

神父さんよ、なぜその手を振り上げているのかね。

まるで投球フォームに入ったピッチャーのように見えるのだが。

 

その白いオーラを投げつけるの?

どこに?まあ、俺にだよね。

 

まじっすか

俺殺されちゃうんですか

 

 

 

 

 

気が付くと、じめじめとした石の牢屋に放り込まれていた。

雑布にくるまれて、床にごろんと転がされている

 

壁には蟲が這っていた。

尋常ではなく不潔な場所である

少なくとも、生まれたばかりの赤ん坊を放置していい場所ではない。

 

転がっている場所から、鉄の格子越しに薄暗い廊下が見える。

見渡す限り、まともな人の姿はない

かわりに、人ではない何かが、石の壁をがつがつと叩いている。

 

そいつらは、一見すると人に見えた。

ただし、赤黒く焼けただれたような肌色で、眼窩はくぼみ、頭髪は抜け落ちている

 

・・・・・・。

 

俺は、まだ座っていない赤ん坊の首を無理やりひねって、自分の胸元を見た。

赤ん坊のもちもちした肌・・・は、すでに張りを失って乾き始めている。

一度も乳を吸ってないからな、栄養が足りないんだろう。仕方ない。

 

問題はそこじゃない。

目の前には、もっとヤバいものがある。

丁度、心臓の真上の位置だ。

渦を巻くような形をした、大きな痣が浮かんでいる。

痣の中央は炭化したように黒く染まり、まるでそこに穴が開いているように見えた。

 

なるほど。

 

なるほどなるほど。

 

俺が希望したのは、不死身のチート。

この痣を見た神父は、火の陰り、と口にしながら俺を殺しにかかった。

目を覚ませば、ゾンビだらけの牢屋に幽閉されている。

 

つまり、この世界は、あれだ。

 

 

 

(転生先がダークソウルとか、罰ゲームですか?)

 

 

 

俺は神を呪った。

 

 




神父が取り出したのはタリスマン。
投げつけてきたのは放つフォース。


たぶん続かない。
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