救われた男と堕ちた天使   作:チムチムブッチャー

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タイトルはある曲のパ、いえオマージュです!
私は夏は恋が燃え上がる季節なので好きです。まぁ恋人もいたことないし、これ書いてるのも冬なんですけど笑


12話 夏の日の20XX

僕たちはそれからもたくさん遊んだ、ビーチバレーをしたり水泳教室を開いたり僕にとって初めてがたくさんあった。怖くてずっと背を向けてきた世界は本当は明るくて温かいものなんだ、きっと昔はそれが眩しくて怖かったんだ。

 

僕のお腹は遊んだ反動で既に虫が鳴きはじめそろそろ限界が近くなってきた。僕が立ち上がり食べ物を買ってくると伝えようとすると月乃瀬さんがお腹をさすりながら呟いた。

 

「たくさん泳いだら何かおなかすいてきたわね」

「月乃瀬さんも?実は僕もお腹減ってて何か買ってこようと思ってたんだけどついでに何か買ってこようか?」

「いいわよ!買ってこさせるなんて何か悪い感じがするし・・・」

 

ちょっと悪魔らしくない言葉が聞こえた気がするがそこが彼女の良い所でもあるので僕は何もツッコまないことにした。

 

「大丈夫だよ?僕も何か食べたかったし」

「ではお二人で行ってきてはどうですか?」

 

僕と月乃瀬さんの会話を聞いていたラフィエルさんが僕と月乃瀬さんに提案をした。まぁ別にいいんだけどラフィエルさんの笑顔が先ほどのスイカ割の時サターニャさんに向けていた時と同じく物凄く良い顔をしていた。

 

「きっとその方が見て回れるのでお互い好きなのを食べれると思いますし」

「まぁ確かにラフィの言うとおりかもしれないわ、それでいい?」

「う、うん大丈夫」

 

こ、こわい・・・ラフィエルさん何か企んでたりするのかな?

 

「警戒しなくても大丈夫ですよ夕陽さん。私はこの状況を作っただけですので」

「う、うわぁっ!!」

「ぷふっ・・・やはり面白いですね。何か起こることを期待して待ってますね♪」

 

何か起こることを期待なんて不吉すぎる。僕の方は面白さよりラフィエルさんに恐怖を抱いています。

僕にだけそういったラフィエルさんはそのままガヴリールとサターニャさんと共にもう一度海の方に走っていき僕と月乃瀬さんは取り残せれてしまった。

 

ラフィエルさん、きっと二人よりみんなで言った方が良かったんじゃないのかな・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕と月乃瀬さんは二人で歩いて屋台へと向かってる。

 

「ガヴやサターニャにもかって行こうかしら」

「サターニャさんは買ってこないと怒りそうだしね、とりあえず焼きそばでいいかな?」

 

三人分もあるので手短に済ませようと僕は月乃瀬さんを待たせて屋台へと走って行った。

 

 

 

 

 

 

ヴィーネは夕陽が少し離れた所で彼の様子を見ている、まるで子供のお使いを見守る母のような光景だった。

 

実は今回夕陽を海に誘ったのもナンパ防止と言っていたが、本当は彼がもし他の友達と海に来る事があってもオドオドして楽しめないのではと思いまず慣れさせるためだった。

 

それに彼なら女の子を意識することが無いので少しでも意識させるというための作戦があった。

 

夕陽はそういう面ではまったくもって理解が出来ていない。

この間はガヴリールを家に泊めており、それにサターニャと人気のない所で二人きりで食事していたり、サターニャの勉強を見るために家に誘ったり。

そんな意識が薄い彼を意識させるのが今回の目的でもあった。

 

結果は微妙な感じだった、ヴィーネ達が水着を披露しても恥ずかしがることはなく褒めることもなかった。

だが一概にも失敗したとも言えなかった。一応ラフィエルの胸を見てしまう夕陽の姿も見たからだ、だが自分でないことにヴィーネはどこか納得いかない気持ちが隅の方にあった。

理由までは分からないがその気持ちはここ最近時々あった、例えばガヴリールを家に泊めてると聞いたとき、サターニャと夕陽の噂を他の生徒から聞いたときなど。

 

「最近、調子が悪いのかしら・・・」

「ごめんね、今大丈夫?」

 

一瞬、ヴィーネは夕陽が帰って来たのかとも思ったが振り返ればそこには大学生ぐらいだろうか、背が夕陽よりも大きく髪も少し茶色がかっている男性が二人立っていた。

 

「君ひとり?俺たち暇しててさ良かったら遊ばない?」

「あ、あの・・・と、友達と来てますので!」

「いいよ!友達も一緒に遊ぼうよ、その方がきっと楽しいし」

 

何がいいのか分からない、ヴィーネは一度断ったはずだそれなのに彼らは気にした様子もなく話を進めようとする。

 

「あのだから・・・お断り―――」

「大丈夫だって俺たち何もしないしさ、それで友達はどこにいるの?友達も可愛かったよね」

 

どうやら彼らはヴィーネに話しかける前にヴィーネ達のことを知っておりそのうえで誘ってきている。だが彼らはきっと海でヴィーネ達と遊びたいから誘っているのではないとヴィーネは分かっていた。

 

「すみません、私用事があるので」

 

早くこの場を去らなくてはいけないとヴィーネは思い頭を下げて逃げようとするが男性の一人がヴィーネの腕をパシッと掴みいよいよ逃げられなくなった。

 

「そんなに嫌がらないでよ、俺達傷ついちゃうじゃん」

「そうそう、結構僕たち繊細なんだよ?」

 

ヴィーネは悪魔学校で人間界に行ったときのために怖い人に絡まれた時の対処法なども習ってはいた、だがいざその怖い人を目の前にすると習ったことが頭からすり落ちて何もすることができない。

何もできないと分かった瞬間体が勝手に震えだす。

 

(だれか助けて・・・)

 

「あの彼女の手離してくれませんか」

「お前もしかしてあの子たちと遊んでたやつじゃね?」

 

慌てるように男の一人はヴィーネの手を離し解放した、すると今度は夕陽がヴィーネの手をとり自分の方へ引きつける。その時にギュッとヴィーネは抱きしめられていた、夕陽の腕の中で

 

「えっ?えっ?」

「月乃瀬さん震え止まった?」

 

頭が混乱し自分の体温が急に何度も上昇したように顔が熱くなったが確かに夕陽が言ったように震えは止まっていた。

その様子を見ていた男二人が何かを察したようににやにやしだす。

 

「なんかごめんね、僕たち君の彼女の友達と遊びたかっただけなんだよ」

「えっ?あっ、そうです私達は―――」

「月乃瀬さんは僕の彼女じゃありません、彼女は彼女のものです!」

 

ヴィーネはある単語に一回大きく心臓が跳ねたがこのまま勘違いしてくれた方が都合がいいと思い肯定しようとした。だが夕陽は肯定する前に否定してしまった。ヴィーネは自然と溜息がこぼれた。

 

(ここで天然が出てる・・・彼女って言えばある程度は収まったのに)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぷ・・・ぷはぁ!はははっお前面白れぇわ!」

「ならこの子とも遊んで良いよな?俺達みんなで遊びたいだけなんだって、君だけ仲間外れに何かしないから!」

 

なぜこの人達は笑っているのだろう。

たしかに遊ぶのはたくさんの人で遊んだ方が楽しいって事は僕はここ最近で分かってきたことだった。

 

「嫌です、あなた達と遊びたくありません」

「え~何で、僕たち泣いちゃうよ?」

「たとえ泣かれても、月乃瀬さんを怖がらせて笑ってられる人と遊びたいなんて思いませんから。」

「は?」

「月乃瀬さんにあやまって貰えませんか?」

 

たとえ月乃瀬さんが悪魔だとしても女の子に変わりはない、女の子を泣かして平気な人を信じれるほど僕は出来ていない。

 

「・・・っちめんどくせぇ」

「お前、カッコつけてるの?」

 

先ほどまで爽やかなの笑顔をしていた彼らの表情が急に人を殺すような睨みをきかせる、その瞬間今度は僕の体が震えはじめる。

今すぐここから逃げ出したい、今までのもしここに僕しかいなかったら逃げていただろう。でも月乃瀬さんを置いて逃げるなんてしたらそれこそ目の前の彼らよりもひどい人になってしまう。

 

「僕はただ月乃瀬さんに謝まってほしいだけです」

「そういうのうざいんだよ」

 

グイッっと男に水着の上に羽織っていたパーカーの襟元を掴まれマジかで睨まれる。僕も怖かったが目線を逸らすことはしなかった。

 

「あんまり調子に乗ってると殺すぞ」

「僕を殴って月乃瀬さんに謝ってくれるなら殴ってくれてかまわない」

 

僕のその言葉が引き金になったのかなんの躊躇もなく掴みかかってきた人は僕の頬を思いっきり殴った。僕は打たれそのまま叩きつけられた。

 

「紅君!」

「あ・・がぅ・・・」

「ははっ、だせぇ~かっこつけてたのに恥ずかしいでしょ?」

 

どんっと倒れている僕にもう一人の男が僕の腹部を思いっきり蹴りあげる、死ぬほど痛くて息がまともに出来ない。

 

「はっ・・・あ・・・」

「もう止めてください!」

 

月乃瀬さんは僕と彼らの間に入り僕をかばうように男二人の進行を遮っている。だが二人は顔を見合わせると月乃瀬さんの腕を掴む。

 

「ヒーロー気取ってんなら早くしないと連れて行っちゃうよ?」

 

僕は痛いと今にも泣きそうな自分の感情を押さえつけゆっくり立ち上がった。

 

「おぉ、かっこいいかっこいい」

 

今度は腹部を殴られまた立てなくなりそうなところで髪を掴まれ無理やり立たせた。

 

「あ、謝って・・・くださ・・・い」

「分かった分かった。ごめん・・・ねっ!」

 

もう一度殴れ再び熱い砂の上に倒れこむ、だがその砂の熱さが心地よく感じてきており意識が持って行かれそうだ。彼らも飽きはじめて来たのか月乃瀬さんを離し僕たちを背にして去っていこうとする。

 

「もう行こうぜ、やり過ぎるとめんどくさい事になりそうだし」

「あぁ」

「待って」

「あ?」

 

僕は残っている意識の中で精一杯の力で彼らの足を掴んだ

 

「僕じゃなくて・・・彼女に・・・」

「あぁ!うぜぇ!」

 

掴んでいた手を払われ、男の一人に頭を踏みつけられる。だが僕はもう一度彼の足を掴みなおす。

 

「コラッ!お前たち何をしているっ!」

「やっべ・・・」

 

誰かまた違う人の声が聞こえた瞬間頭部につよい衝撃が走り僕の意識はここで途切れてしまった―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目覚めた時には倒れた場所とは全く違った寝心地の良い場所であった。ぼやけていた視界も少しずつ綺麗に見えるようになり僕の隣に誰かがいたことに気づいた。

 

「よかった・・・起きたのね。ここは休憩室よ」

「・・・僕が足を掴んだ後どうなったの?」

「また彼らに蹴られちゃってそのまま気絶しちゃったの。でも安心してあの後監視員さんが彼らを指導してくれたたおかげでちゃんと反省してたから」

 

よかった。一応月乃瀬さんに謝ってくれたようだ、結局監視員さんに最初から頼んでいればもっと上手くやってくれたに違いないんだろうけど

 

「もしかしてここに運んでくれたのも?」

「そうね監視員さんが、一応私も手伝ったのよ?」

「そうなんだ・・・また月乃瀬さんに迷惑かけちゃったね、ごめんね」

「いいのよこっちこそ紅君に迷惑かけちゃったし。でも一応病院に行くこと外傷はなかったけどあちこち蹴られてたしちゃんとそのお金はあちらが出してくれるらしいから。ねっ!」

「・・・はい」

 

月乃瀬さんの顔がグッと僕に近づく、そんなに近づかれると照れてしまい素直にうなずく事しか出来なくなってしまう。ジッと僕と月乃瀬さんは見つめ合ってしまっている、さすがにこの状況に気づいた月乃瀬さんは慌てて顔を離し下を向いている。 

少し気まずいので話題をさがそうと辺りを見わたすと空は既にオレンジ色に染まっておりここから見える砂浜にはもう誰も残ってはいなかった。その様子を見て他のみんなのことが気になった。

 

「そういえばガヴリール達は?」

「ガ、ガヴ達は時間も時間だったし帰ったわ、紅君起きた時に騒ぐのも悪いって思って」

 

僕が時間を確認すると既に時計の短い針が5時を指していた。

そして僕が被っていた布団の上に飲み物、絆創膏、トランプが置いてあった。トランプって遊ばなかったけど絶対

サターニャさんのものだろ・・・

でも、みんな僕の事を心配してくれたって分かり少し頬の口角が吊り上る。

 

「あ、あのさ紅君!」

 

先ほどまでどうもなかった月乃瀬さんが急に顔を紅くしながらそういう。

大丈夫かな体調崩したのかな?

 

「さっきの事なんだけど、ナンパされた時があったじゃない?」

「うん」

 

あれナンパだったんだ・・・

月乃瀬さんが泣きそうな顔をしていたのでいじめられているのかもって思ってた。

 

「なんで私を・・・その・・・何ていうか」

「あぁ!あれわねお父さんにしてもらってた事なんだ」

「おとうさん?」

「うん、僕ってよく泣いてたからお父さんにしてもらってたんだ。そしたら不思議と安心できるから妹とかににもしてたんだけど・・・」

「あぁ・・・そう」

 

なんだろう急に月乃瀬さんの顔が見事にがっかり顔になってる。僕の説明そんなに下手だった?

 

「ガヴ達にはしたことあるの?」

「ううん、僕よりガヴリール達の方がしっかりしてるしする必要なかったかな」

「絶対にもうしちゃダメ、いい?」

「は、はい・・・」

 

先ほどの男二人より今の月乃瀬さんの方がよっぽど怖い気がする。

 

「それとさ紅君、そろそろ呼び方変えましょう」

「えっ?」

「何か私だけ苗字のような気がするし・・・」

「そんなことはないはずだけど」

 

月乃瀬さんを名前で呼ぶなんてなかなかハードルが高い気が・・・大体名前で呼んでる人いるかな?

 

「ガヴの事はなんて呼んでる?」

「が、ガヴリール」

「サターニャのことは?」

「サターニャさん」

「ラフィ」

「ラフィエルさん」

 

あれホントだ、確かによく考えたら名前で呼んでないの月乃瀬さんだけだった。まぁ友達と呼べる人は4人だけなのだが。

 

「なんか私だけ仲間外れされてる気がするし・・・」

「わ、分かったよ。()()()()()()

「・・・っ!」

 

再びお互い沈黙が起きた、月乃瀬さんいやヴィーネさんは顔は顔を紅く染めて恥ずかしそうにする。その様子を目の前でみていた僕もなんだか恥ずかしくなっていく。

 

「元気になったのならそろそろ帰ってもらえるかね?」

「「は、はい!」」

 

僕たちの気まずい雰囲気を壊してくれたのは海の監視委員のおじさんだった。海に来ていた人たちも既に帰っており残るは僕たちだけになっていた。

 

「そろそろ帰りましょうか」

「う、うん楽しかったけど疲れたから早く寝ないと」

 

そして僕たちは慌てて帰る支度を済ませ帰る事となった。電車の中でヴィーネさんから僕が気絶した後の話を聞いた、どうやらあの後男二人は監視員にこっぴどく怒られ大事にならずに済んだようだ。僕はヴィーネさんがそれで良いなら文句はもう言わないことにした。

そんな話をしてると二人でしていたらあっという間に僕は別れ帰宅した。

 

僕は何気なくスマートフォンの電源を入れると何件ものL○NEの通知がきていた、ガヴリールはお腹空いたから早く帰って来てと、サターニャさんはあげたトランプで遊んだのか確認、ラフィエルさんは二人で行かせてしまったことで謝罪の言葉が。

そんなに気にしなくていいのにと思いながら何だかんだ心配してくれてる皆が居ることに嬉しく思っていた。

 

 

 

 

 

その中で一人僕のスマートフォンに物凄い不在着信を入れている者がいた。その名前はとても聞き覚えがあり折り返しの電話をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『もしもしお兄ちゃん!?大丈夫なの!全然繋がらないから心配したんだよ!」

「ご、ごめん色々あってさ。それでどうかしたの―――――朝陽」

『そ、そんな急ぎの用事でもないんだけどさ、私の中学校も夏休みに入ったから夏休みの終わりあたりに様子を見に行こうと思って連絡したの』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・え?」




次回、最後の方にチョロっと出てきた名前だけはずっと前から出てきていたオリジナルキャラが出てきます。

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