救われた男と堕ちた天使   作:チムチムブッチャー

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投稿が遅くなってすみません。
色々忙しい時期になって来たので…これから投稿スピードは落ちると思いますがご了承ください…


14話 変わっていくこと、変わらないこと

「この中にお兄ちゃんの彼女がいるんですか?」

 

僕が帰ってきた瞬間、朝陽がとんでもない事を聞いていた。

ほら見てよ、朝陽のせいでみんなどう答えればいいのか困ってるよ。まぁラフィエルさんは笑いを堪えるようにサターニャさんは何か難しい顔をしている。

 

「あっお兄ちゃんお帰り」

「「っ!」」

 

ババッと勢いよくガヴリールとヴィーネさんが僕の方をみてくる。きっとどうにかしろって事なんだろう。

 

「こら、朝陽みんなを困らせちゃだめだよ。そりゃ皆女の子なんだから【彼】っていったらおかしいでしょ」

「えっ?お兄ちゃんなんて?」

 

朝陽は何を言ってるのかよく分からなかったのか聞き返していくる。

 

「だからどう見てもみんな可愛い女の子でしょ?そんな子に女の子か確認するのは失礼だよ」

「いや、私はお兄ちゃんの無知さがかなり失礼な気がするんだけど」

 

ため息を吐きながら朝陽は強い口調で僕にそういった。

怖すぎる朝陽に僕は目をそらす、今日も僕は朝陽には勝てそうもなかった。

 

「すみません、兄は今まで引きこもったせいもあって鈍感というか知らないというか」

「大丈夫ですよ朝陽ちゃん。私はそんな面白い夕陽君が好きですよ」

 

僕に片手の親指を立てながら見せてくるラフィエルさんは笑いを堪えきれずにいる。

 

「ほらお兄ちゃんも謝って!」

「・・・ごめんなさい」

「夕陽、ホントは朝陽の方が姉何じゃないの?」

 

頭が小学生みたいなサターニャさんに言われたくないよ。

でも自分でもあんまり朝陽にお兄ちゃんらしいことしてないな、むしろ朝陽に世話になっちゃってるし。料理や掃除が出来るようになったのも朝陽に引っ越すギリギリまで教えてもらったからだし。

 

「私もヴィーネも夕陽の彼女とかじゃないよ。なんて言うか遊び相手?」

「あぁ、だからお兄ちゃんのベットで寝てたんですね。」

「いや遊んでいても男の部屋で寝たらだめだろ」

「やっぱり朝陽ちゃんは夕陽君の妹ですね」

 

今まで妹か疑っていたんだねラフィエルさん・・・

 

「いい?朝陽ちゃんあなたは夕陽君とそんな所は似なくていいから」

 

ヴィーネさんは朝陽に言い聞かせるように言う。ちょっとヴィーネさんそこまで言わなくても・・・そんなに頼りないですか?っていうか朝陽、そこで力強く頷かないでよ。

 

「そういえば、夕陽って昔はどんな感じだったの?」

「昔は「ちょっと朝陽っ!」

 

サターニャさんの振った話題に僕はしれっと話そうとする朝陽の言葉を遮るように叫んだ。すると朝陽はせっかく盛り上がりそうなのにとかいいながら睨んでくる。さ、さすがにそれは恥ずかしいから譲りたくはない。

 

「睨んでもダメだよ!いくら朝陽でもお、怒るよ!」

「・・・わかったよ」

「良かった・・・そうだ!代わりと言ってはなんだけど何か作るからさ。朝陽のおかげで料理上手くなったから見せたいんだ」

 

僕がそういった瞬間朝陽の瞳が何か怪しく光った気がした。だがいつものように笑顔に戻ったのできっと気のせいなのだろう。

 

「じゃあじゃあ、お兄ちゃんが作ったカレー食べたいっ!」

「結構時間のかかるな、来る前に聞いとけばよかったね」

「え~カレー食べたい食べたい!」

 

駄々を捏ねるようにいう朝陽、なんだかんだ言っても朝陽はまだ子供で僕の妹なんだ、久しぶりに会った妹のお願いを聞くのが正しい兄の仕事だ。

そう思った僕は腰を持ち上げ台所に立ち冷蔵庫に入れてある材料を取り出し早速取り掛かることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、何が聞きたいですか?」

「おい、こいつさっそく約束破ってるぞ」

「さすが妹ね、兄の扱いが上手いわ」

「良いから朝陽っ!早く聞かせなさいよ」

 

ガヴリールはツッコミを入れ、ヴィーネは少し感心している。

サターニャは早く聞きたいのか朝陽を急かす。

 

「とりあえず夕陽さんって昔はどんな子だったんですか?」

「そうですね、あんまり変わってないですよ。頼りなかったり、頑張って入るんですけど空回りしてる感じです」

 

ガヴリールは最近の夕陽がどうだったか思い出してみる。

勉強を分からずヴィーネに抱き着いていたり、犬を怖がって電柱から一歩も動けなくなっていたりと確かに頼りない。

 

「お兄ちゃん、迷子になってる子のお母さんを探してくるって言いながら走って行って、自分が迷子になって迷子センターで泣いていた事もありました。」

「あいつはサターニャかよ・・・」

「ちょっガヴリール!なんでそこで私の名前が出てくるのよ!?」

「何となくほっとけないのよね、夕陽君って」

「ヴィネットさんその気持ち分かります!」

 

ヴィーネの呟きに食い入るように反応した朝陽、ヴィーネに顔を近づけジッと見つめる。二人は見つめ合う状態となってしまい変な空気が出来る。すると朝陽はヴィーネの手を取りギュッと手を握った。

 

「ヴィネットさん、いえヴィーネさんあなたにならお兄ちゃんをよろしくお願いします」

「えっ?えっ?」

 

ボンっと音が鳴るかのように急激にヴィーネの顔の温度が上昇する。だがその様子を全く気づいていないのか戸惑うヴィーネを気にせず勝手に話を進める。

 

「いや、でもお兄ちゃんガヴリールさんやサターニャさんのようにダメな子の方が好みだしな・・・」

「ちょっと朝陽までそんな扱いなのよ!」

「ラフィ朝陽を止めて・・・」

 

ガヴリールはどうにか止めるようラフィエルに頼んだが、ラフィエルはこの状況を楽しんでおり腹を抱えて笑っている。

 

「私としては皆さん可愛いですしぜひお兄ちゃんを貰って欲しいんですが。でもお兄ちゃん好きな人いるって聞いた事あるんですけど皆さん何か知らないですか?」

「「「はっ?」」」

「・・・ぷふっ」

 

ガヴリール、ヴィーネ、サターニャは朝陽の爆弾発言に固まる、唯一夕陽の好きな人を知っていてこの空気の中笑っていたラフィエルが口を開いた。

 

「ち・・・ちなみにどんな人なんですか?・・・ふふっ」

「う~ん確か天使みたいな人とは聞いたことはあります。その子がきっかけで学校に来るようになったらしいですよ」

 

(天使って言ったらラフィかガヴよね・・・夕陽君が学校に来るようになった時まだガヴに会ってなかったからラフィ?)

(天使みたいってよくヴィーネを見ながら言ってたな。ってか何か最近この変な感じがよくあるな・・・)

 

ヴィーネはガヴリールとラフィエルを交互に見て、ガヴリールは胸を押さえつけるようにしている。サターニャはというと二人とは対照的に焦っているというよりむしろ喜んでいた。

 

「まぁ私の部下なら当たり前の事よね!」

「おそらくサターニャさんではないと思いますよ?」

「なんですって!?」

「お前がもしそうなら天使って言われてんだぞ・・・」

 

ため息を吐くようにガヴリールはサターニャの肩を叩く。

 

「う~んやっぱり皆さんも知らないですか・・・もし分かったら今度会った時にでも教えてもらっていいですか?」

「そうですね・・・私も面白いので探ってみようと思います」

 

一番乗り気のラフィエルは朝陽と固い握手をする。

 

「朝陽ちゃんは夕陽君が好きなんですね」

 

ふいにヴィーネの言葉に顔を真っ赤にしながら焦りだし朝陽はブンブンと顔を横に勢いよく振る。先ほどから朝陽の言葉に振り回されていたヴィーネは朝陽をにやにやした顔で見ている。

 

「ち、ちがうんです!何というかもうほんとに頼りなくて、泣き虫な兄なんです!」

「へぇ~」

「な、なんでそんな顔するんですかヴィーネさん!ホントなんです、私がいないと何も出来ないような兄なんです!」

「でも今はしっかりしてきてると思うわよ?」

 

ヴィーネがそういうと先ほどまで焦っていた朝陽が今度はしゅんとなった顔に変わる。

 

「そうなんです、今まで頼りなくて私がいないと何も出来なかったのにいつの間にか私がいなくても大丈夫なくらいで・・・」

「つまり、寂しいんだな朝陽は」

「・・・そうかもしれないですね。ほんとは私がお世話することで構って欲しかったのかもしれないですね」

 

頼られ仕方ないとやっていた事がいつの間にか自分の役目となっていた、それも頼られなくなり自分の居場所がなくなってしまったような感覚だった朝陽はガヴリールの少ない言葉で理解できた気がした。

するとガヴリールが立ち上がり朝陽の元に近づく、そして朝陽の頭を優しく撫でた。

 

「あっ・・・」

「夕陽はお前を大切にしてるよ、昨日も朝陽が来るって嬉しそうだったし。それにあいつ料理を作ってる時いつもノートを見ながらしてるし、あれお前が作ったんでしょ?」

 

そのノートは夕陽が引っ越す直前に渡したノートの事だった、作れる料理が少ないと栄養が偏ってしまうと思った朝陽は自分が作れる範囲の料理をノートに作り方をつづったものだ。

 

「私が料理を褒めると夕陽はいつも言うんだよ『朝陽の方がもっとおいしいよって』どんだけシスコンか分かるでしょ?」

「・・・お、お兄ちゃんって時々すごい恥ずかしい事言えちゃうんですよね」

 

気づけば朝陽の瞳から一粒涙がこぼれていた。慌てて涙を拭こうとするとヴィーネがハンカチを渡してくれる。ラフィエルは優しく微笑み、サターニャは良くわかってはいないが泣いている朝陽を心配そうに見つめている。

すると夕陽が部屋の扉を開け顔を覗かせる。

 

「カレーそろそろ出来るけどせっかくだからみんなも食べて言ってよ」

「じゃあ頂くことにしますね」

「私はもちろん大盛りよ!」

「私も何か手伝うわよ?」

「ありがとうヴィーネさん、それじゃあご飯つぐの手伝って貰っていいかな?」

 

夕陽はふと朝陽とガヴリールの様子に視線が止まった。涙をハンカチで拭いたせいか目が少し紅くなりガヴリールは気にせず朝陽の頭を優しく撫でている。

夕陽はこの状況には何も触れず優しく二人に微笑む。

 

「朝陽もガヴも大盛りでいい?」

「・・・うん」

「あっ私は普通でいいよ」

「うんわかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなで台を囲って楽しく食事をし、そのままみんなでゲームしたりおしゃべりをしたりするとあっという間にあたりは暗くなっていた。

ヴィーネさんとサターニャさん、ラフィエルさんは先に家に帰り隣に住んでいるガヴリールも帰えすと朝陽も帰ると言い出し駅まで見送ることにした。

道中朝陽は口を開いた。

 

「そうだった、お兄ちゃん私ねお兄ちゃんの高校に行く事にしたの!」

「うん、いいと思うよ。うちの学校はいい人が多いし朝陽の頭なら問題ないと思うし」

「そうなったら、ヴィーネさんやガヴリールさんの後輩になるんだね」

 

なんて皆のこと呼ぼうかなと朝陽は嬉しそうに呟いている。なるほど、だから見学もかねて朝陽は今日来たんだ。

 

「その時はお兄ちゃんもよろしくね」

「僕が何もしなくても朝陽なら上手くやれるから大丈夫だよ」

「それもそっか!」

 

朝陽は否定せず僕の言葉に笑顔で頷く、そして「そうだっ!」と呟くと突然僕の前に回り込み後ろで手を組みながら僕をジッと見てくる。

 

「わたしね、お兄ちゃんの好きな人分かっちゃったかも」

「えっ?それって誰なの?っていうか見たことのない朝陽が何で分かったの!?」

「教えなーい♪私が言っちゃたらフェアじゃなくなるし、やっぱり私的にはお兄ちゃんのお世話してくれそうなひとが良いし」

 

朝陽の言ってる意味が分からないんだけど、朝陽は一度決めたことは譲らないからはなしてはくれないんだろう。

 

「私は皆可愛くて優しいからきっとお兄ちゃんと上手くと思うから頑張ってほしいな」

「だから皆って何!?朝陽教えてよ~」

 

しがみ付くようにお願いしてもダメと一蹴されてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駅に着く前に何とかヒントを貰おうとする僕だったが結局何も得られず駅についてしまった。もう諦めることにし別の会話に移っていた。そして朝陽が乗る電車が駅に着いた。

 

「じゃあね、お兄ちゃんまた遊びにくるから!」

「うん、その時はまたみんなで遊ぼうね」

 

朝陽は僕に手を振ると振り返らず電車に乗っていった。僕はその電車が駅を出発し見えなくなるまで朝陽の乗る電車を見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

電車に揺れながら私はふと兄の事を思う

 

「いつの間にかモテモテになってたんだけど・・・」

 

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