テストや就職試験前なのでペースが遅くなっております…
「ヘイおまちっ!」
田中さんと上野さんはあっという間に料理を完成させる。一応僕も手伝ったけどほんのちょっとしか手伝わず後は二人の解説など聞きながら勉強させて貰っていた。
手際がいいし調理部に入れば二人みたいに僕も手際が良くなるのかな?
「これは?」
「他人丼!時間もあまりなかったしさっと作れるのがいいよねって思って」
ガヴは出された他人丼をまじまじと見つめている。どうやら僕のも作ってくれたらしくもう一つの丼ぶりを僕の前に置く、食欲を誘う匂いが僕の鼻を刺激し、今にもよだれが垂れてきそうだ。
「おっと!でも手抜きじゃないからねタレはしっかり出汁をとってあって・・・」
「はぐ、はむ」
「ってあれ!?天真さん聞いてないよね!?」
ガヴリールは田中さんの言葉は全く耳に入ってないのか他人丼をもうすでに夢中で食べている。まぁガヴの気持ちも分からなくもない、僕も一口食べてみたが美味しすぎて口に運ぶ手が早くなっていき、なかなか止まらない。
「一応食後にデザートもあるからね?」
「デザート!?」
デザートという単語には反応したガヴリールはさらに食事のスピードは加速する、そしてあっという間に完食してしまった。だがその顔はまだ物足りない顔をしていた、どんだけお腹が空いていたのガヴ。
「・・・僕も一応食べて味は分かったから、僕の分も食べていいよ」
「ありがとう!」
渡すのには少し未練があったが、運んでいた手を止め、丼をガヴに差し出した。
僕が差し出すと礼を言い再び物凄い勢いで食べ始める。僕の他人丼もあっという間に食べ終わった満足そうにお茶を飲んでいる。
「いんちょ、いやまち子!」
「委員長でいいわよ?」
「私をここに連れてきてくれた功績は大きい」
「功績?」
「うむ、よって将来は天国行きを約束しよう!」
「なんの話してるの!?」
そっかガヴリールが天使ってこと委員長は知らないんだ。ガヴリールはもうすでに意識はデザートに向かっており委員長に説明することはなく夢中で食べている。
するとガヴリールの背後に怪しい影が近寄る、その怪しい影である田中さんと上野さんは料理の時のようなすごい手際でガヴリールの髪型をいじり始めた。
「見て見て紅君!ツインテール天真さん」
「可愛いとは思うけどガヴリールは嫌がってるじゃないかな?」
確かにツインテールはガヴに似合ってる。
だけど女の子ってら髪を他の人にあんまり触られたくないって朝陽が言ってたし嫌がってないかな。
そう思い僕はガヴの正面に回り込みのぞいてみるも全く気にしたよう様子はなく、まだ夢中で他人丼を味わっている。ていうか、本当にお腹空いていたんだね。
なんかごめんね今度からご飯を作る前にガヴに食事がいるか聞くことにするよ。
「あーおいしかった、ごちそうさま」
「おそまつさまでした」
「余は満足じゃ!褒めてつかわそう」
「「ありがたき幸せ」」
「くるしゅうない」
あれがガヴリールが天使の仕事で振る舞ってる姿なのかな?田中さんと上野さんはそんなガヴリールに乗ってくれる。
「二人にも天国行きを約束しよう」
「「やったー」」
「僕には天国行き約束してくれないのに・・・」
「大丈夫だって紅君には既に天真さんの愛を受けてるから♪」
「ち、ちが」
ガヴリールは言葉が出てこなかったのか顔を紅くしながら田中さんの頭を叩いた。言葉が出ないからって手が出ちゃうなんてヤンキーのする事だよそれ。
でも天使からの愛か、何かいい事が起こるのかな。
もしかしてあの名前を知らない天使みたいな子と出会えたりして・・・
もし本当に出会えたら多分ガヴを崇め奉っちゃうね。
「いんちょー私この部活入部する!」
「えっ本当に?」
「部活入ってなかったし色んな料理も知ることが出来そうだし」
ガヴ・・・やっと学生らしくなったんだね僕は嬉しいよ、あれ・・・涙が出てきた。自分で作れるなら僕の手間も省けるし食料も安くで済むからいいもんね。僕は涙を持っていたハンカチで拭いながらガヴリールを見る、きっとやっえしかったと巣立つことを決めた子供をみる親の目ってこんなのなんだろうな。
「上野さんも田中さんも委員長も優しいし・・・最高だな!!“試食部”」
「ここそんな部活じゃないよ!?」
「なんてね、そもそも私部活とかむいてないし」
「えーそんな~入部しようよ~」
田中さんがちょっと寂しそうに食い下がる。
「まぁ、代わりに夕陽が入部するよ」
「いや勝手に決めないでよ!」
「いいじゃん、夕陽の腕が上がれば私も美味しいご飯が食べれて嬉しいし」
いやだから自分で作ろうよ。というか結局僕がこれからも作るんだね、成長したと思って流しちゃった涙を返してよ。
「まぁ田中さんと上野さんからもうちょっと色々教えて貰いたいし。あんまりアルバイトで来れないけどいいかな?」
「全然いいよ~♪」
「ここは女子部員ばっかりだから紅君ハーレムだね」
ハーレムか・・・そんなことが出来たらやっぱり僕も嬉しい、でも友達が天使と悪魔と委員長しかいない僕にははるかに遠いものだろう。
「ハーレムよりとりあえず友達が欲しいかな・・・」
「友達ならもう私達がいるから大丈夫だよ!」
「うんうん、よろしくね紅っち♪」
紅っち・・・僕がつけられた初めてのあだ名。実はあだ名をつけられるのが僕の夢でもあったので田中さんのつけてくれたあだ名がすごい嬉しかった。あまりの嬉しさに僕はあだ名をつけてくれた田中さんの手をギュッと両手で掴んだ。
「あ、ありがとう田中さん!ボクそのあだ名大事にするね?」
「う、うん。い、いいよ・・・」
「あっ京がデレた!紅っちなかなかの女性キラーだね。どうやら私達は、なかなかの怪物を引きこんでしまったようだねまち子・・・」
「私、恋の始まりを見てしまったの初めてだわ・・・」
委員長達は何を言ってるんだろう。なにか田中さんの事を話していたので僕は田中さんの目を見てると少し頬が紅くなってしまっている。風邪かなと思い僕は田中さんの額に手を当てるとさらに顔を紅くさせ今にも蒸気が出そうな勢いだし、目も何か合わせてくれない。
すると突然ガヴリールが僕と田中さんの間に入り田中さんの額に当てていた手を取り入口まで引っ張っていく。
「ちょ、ちょっとガヴリールっ!」
「・・・」
止めようとするが僕の言葉を無視して歩みを止めることはない。
あれ、なんか怒ってる?
悪いことしたなら謝るけど残念ながら心当たりがない。
僕は理由を聞こうと委員長と上野さんに視線を向けるが苦笑いをして教えてくれない。入口の扉に近づくとガヴリールは突然立ち止まった。
「それじゃあ今日はごちそうさま」
「うん京の事は気にしないでいいからね。こっちで何とかしとくからまた遊びに来てね!」
「必ずまた来るから!」
「ち、力強い!」
そんなに田中さんと上野さんの料理美味しかったんだ。こんど部活に行くときは食べさせて貰おう。
僕はそのままガヴリールに引きずられるように教室を出て行った。そのあと怒っている理由を聞いてみたが分からないで通されてしまった。
今日のガヴは特にどうしたんだろ・・・・