出来る限りみんなの魅力をうまく書いていきたいです
きゅっと白いシャツにネクタイを巻きキュッとしめる。
そうして手洗い場で鏡を見ながらしっかりと歯が白く輝いて見えるぐらいまでしっかり磨き、入学式の時の長い髪もバッサリ切り前髪で隠れていた髪も今ではしっかり表情が見える。
「よし、準備は大丈夫。いってきます」
そういうと一人暮らし用の小さなアパートの扉の鍵を閉めた。
紅 夕陽今日から本当の新生活始まります。
この小さなアパートは、入学式の時にお父さんにこれからは頑張ると伝えると。
『そうか、夕陽がそういうならお父さんはあえて突き放そうと思う。がんばりなさい』
そういって学校の近くにあるアパートを借りてくれた。一応アパート代と食費は出してくれるのだが、料理や掃除は自分でしっかりするとお父さんと約束した。
少しでも金髪のあの子に胸を張って会えるように。
もしかしたら引っ越しや色々でまた一週間ほど学校にいけずやっと今日学校に行ける。やっぱり緊張はするけどアパートが学校に近いので入学式の日より気持ちがいくら分かましだ。
早速行こうと一歩を踏み出した途端異臭を感じた。
そう、お隣さんだ。引っ越した当初からずっと異臭がする、噂で聞こえただけだがどうやら引きこもりらしい。
僕も引きこもりだったがさすがにここまでの異臭がするほどではないはず・・・多分
関わると何か恐ろしい事になりそうな気がして僕は絶対に関わらないと心の中で固く誓い急ぎ足でその場を去った。
「教室はここかな・・・」
教室の扉の前で大きく深呼吸をした後ガラガラっと勢いよく扉を開けた。
扉を開けてきたのが見たことのない生徒で驚いているのか何人かが僕を見ている、自分の席はどこかまず近くの人に聞かないと。
僕は近くに座っていた赤い髪のツインテールの生徒に声をかけることにした。
「すみません。僕紅夕陽って言うんだけど僕の席し、知らないですか」
「紅・・・いい名前ね!」
いや、紅は苗字なんですが・・・
「あの、ぼ僕の席・・・」
「知らないわ!」
彼女は腰に手を当て胸を逸らしながら満足げに笑っている。マンガとかなら後ろにババーンッ!と書いてありそうなほどポーズが決まっている。
なんで分からないのに自慢げなんだろ・・・
「あ、あの・・・」
「そんなの適当に座ればいいわ!」
そんなわけないだろ
とツッコミたかったが、そんな度胸はなく。彼女の自信が少し羨ましくも思えてしまった。
彼女の言葉に戸惑っていると、別の女子生徒が呼びかけてくれた。
「おーい、こっちよ」
彼女の声に僕が振り向くとそうあなたと言わんばかりに頷き手招きしてくる。
「紅君よね、君の席は私の隣よ。」
「あ、ありがとう」
僕はお礼をいうと本来の自分の席に座る
藍色の髪を後ろで結んでいる女子生徒、僕はどこか彼女に見覚えがあった。
確か―――
「あの、ありがとうございます。今もこの前も」
「この前?」
「この前の入学式の時も保健室に連れて行ってくれて・・・」
そう間違えていないはずだ、この子にはいつも迷惑かけていて申し訳ないな。
「あっ!あの時の!?髪型変わってて分らなかったわごめんなさい」
「い、いいんです。僕の方こそあの時お礼言えなかったから」
何となくぎこちない空気が流れだす、どうにか話を広げようと考えるがやっぱり何も出で来ず口だけがパクパク動く。
すると突然女子生徒が噴き出すように笑い始めた。
「ふふふっ、ごめんなさい。紅君の顔が面白くて」
失礼だぞとも思ったが、彼女は悪意なんて感じなくて可愛い顔で笑っていたのでむしろ嬉しく思えた。
「そういえば、名前がまだだったわね。私は月乃瀬=ヴィネット=エイプリルよろしくね」
「僕は紅夕陽。よ、よろしく月乃瀬さん」
こ、これって友達ってことだよね?
ついに出来たよ友達。父さん、母さん、朝陽。
朝のホームルームも終わり、各自一時間目の授業の準備を始める。
隣の席の月乃瀬さんはおそらくお手洗いか何かだろう。だが反対側の隣の席の人は朝のホームルームから来ておらず、空席のままだ。
担任の先生もまたかと呆れていたし、きっと休むのは今日だけではないのだろう。もしかしたら、僕みたいに引きこもりなのかもしれない。
クラスのみんなもあまり気にしてなさそうな雰囲気なので僕も気にせず次の準備しようとした途端まるで天使が舞い降りてきたように降ってきた―――
――――パンツが
僕は考えた。
もしこのパンツは女の子のものだ、もしこのパンツの所有者が見つけてしまったらきっと一生の笑いものになってしまう。
ヒーローなら困っている女の子は必ず助けるものなんだ。ならもしヒーローならきっとこうしているはずだ。
僕は降ってきているパンツがまだ誰にも見られてないか確認した後、目にも止まらない速さでそのパンツをポケットに押し込んだ。
「ふう・・・」
僕は満足そうにため息をつくと自然と頭を抱えた。
ってか何してるんだ僕。犯罪だよこれ!?せっかく仲良くなった月乃瀬さんにも嫌われるレベルだ。
よくよく冷静に考えればさすがのヒーローでもこんな事するはずがないってわかるのに。
ヴィーネが教室に帰ってくるとガヴリールの席はまだ空席であった。
「あれだけ言ってまだ来ないなんて」
学校に登校ついでにガヴリールの様子を見にアパートによったのだが相変わらずの駄目な天使、通称駄天使その
ものだった。
つい何週間か前までは天使そのものだったが、入学式にとある男子生徒の落とし物のゲームを拾ってから徐々に
現在の状態になってしまった。
前に一度拾ったゲームは返さなくていいのかガヴリールに聞いてみたこともあったが、
『え~めんどくさいな、もう落としたこと何て忘れてるよ。第一もう顔を忘れてるから誰に返せばいいのか分からないしいいんじゃない?まぁ私を堕天させてくれた人として感謝の証として大事に保管しとくよ』
などと天使では考えられないような発言が飛び出してきた。別にガヴリールを堕天させるためにおとしたものではないの勝手に感謝されても相手は困るというもんだ。
ヴィーネはガヴリールのいつも通りさにため息を吐きながら自分の席に座ると、隣の席で先ほど仲良くなった夕陽がなぜか今にも泣きそうな顔になっていた。
「つ、月乃瀬さん・・・」
「ど、どうしたの?紅君」
そう尋ねると夕陽は怒らないでねと言い恐る恐るポケットから白い布きれをとりだした。
その布きれの正体をヴィーネは知っていたが現実から目を背けたいのか夕陽に尋ねた。
「これって・・・なに・・・」
「パ、パンツです・・・」
ヴィーネは頭を抱えた、その様子を見て僕が取ったんじゃないと夕陽は弁解する。詳しく話を聞くとどうやら夕陽の隣の席ガヴリールの席にそのパンツは降って来たと話した。
ヴィーネは一応本物の悪魔だ、人間が嘘を言っているかどうかある程度はわかる。そして彼は感情が表情に出てしまうタイプなので嘘じゃないことは直ぐに分かった。
そして夕陽の反対側の席であるガヴリールは天使なら、そういう事も出来るとヴィーネは判断した。
「わかったわ、とりあえずガヴに返しとくから」
「うん、それと僕も彼女のパンツをポケットに入れたのも事実だから一緒に謝りに行くよ」
「そ、それはやめとけ!」
慌ててヴィーネは夕陽行動を止めとそっかと悲しそうな顔で夕陽は落ち込む。
そんな顔をされてしまったら、罪悪感を覚えてしまいヴィーネは怯んでしまった。
「謝るとややこしくなるからダメだけど、ついて来るだけならいいと思う」
「ほんとっ!」
ついついお世話をしてしまう悪魔は、子供のような目の前の男の子を置いてけぼりに出来ないのであった。