救われた男と堕ちた天使   作:チムチムブッチャー

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少しずつ見てくれる人やお気に入りしてくれる人が増えていくのを見るとうれしくなりますね!


5話 勉強が大切と気づいた時には既に遅い

―――――勉強

 

この言葉を聞けばある人は耳をふさぎ、むしろ喜んで始める人もいるだろう。僕にとっては今まであまり縁のなかったものだったので、不思議と何も感じない。それよりも勉強がついて行けるか不安が大きい。

 

そして今日は担任の先生の教科の数学だった。

 

『―――ここは因数分解を使ってから解くのが早い』

 

インスウブンカイ?

 

『―――sin60°の求め方は」

 

sinってサインって読むのか。

 

 

 

先生の黒板をノートに書き写しながら、真剣に授業を受けていると終わりのチャイムがなり授業が終了した。

よし、何とか黒板の文字はノートに全部書き写せた。

 

「起立、礼」

「「「「ありがとうございました」」」」

 

委員長の挨拶の元クラスの人全員で挨拶すると、先生も一礼し教室を去っていく。先生が去ったことにより皆の緊張の糸が緩んだのか静かだった教室は一瞬にしてざわつき始める。

僕も一つため息をつきながら席に座ると勢いよく机に突っ伏す。その様子を見ていた隣の席の月乃瀬さんが話しかけてきた。

 

「どうしたのよ・・・」

「月乃瀬さん、べ、勉強をおしえて・・・」

「な、泣かないで!分かったから勉強教えるから!」

 

いつも月乃瀬さんに迷惑かけてる気がする。迷惑かけてるのは分ってても頼っちゃうな・・・

ほら月乃瀬さん優しいし、どことなく朝陽と似てる雰囲気持ってるし世話焼きだったりツッコミが上手だったり。

 

「でも以外ね、紅君は勉強できそうだけど・・・」

「ぼ、僕つい最近まで学校に来てなかったら」

「確かに学校始まって何日かは休んでいたものね」

 

う、ごめんなさい。

きっと月乃瀬さんは別に悪意を持って言ったわけではないが彼女の言葉は僕の心に深く突き刺さった。

それが分かったのか月乃瀬さんはごめんなさいと謝り始めた、いいんだよ月乃瀬さんは何も間違ってないから。

 

「でもちゃんと来るようになったなんて偉いわ。ガヴも見習って欲しいわね」

 

そう言いながら月乃瀬さんは僕の頭を撫で始めた、その様子を見ていたクラスの人達が僕たちに注目しだす。あ、あの月乃瀬さん恥ずかしいんで止めてほしいんだけど。

 

「親子か・・・」

 

そうツッコミが飛んできてやっと月乃瀬さんは自分がしていた恥ずかしい事に気づき顔を紅くしながらその手を引っ込めてくれる。

突っ込んだ本人である反対側の隣の席のガヴリールは呆れた様子でこちらを見ている。

 

「いいんだよ私は、家でゴロゴロゲームしてる方が楽しいし」

「いいわけないじゃない、あんた一応天使なのよ?それにちゃんと勉強しないとどんどん落ちぶれていくわよ」

 

お互い会話を聞いてる僕からしたら、お互い天使と悪魔にはふさわしくない会話なんだけど・・・

 

「とりあえず今日出た宿題家に帰ってやってみるよ。分からなかったところ明日聞くね」

「もうヴィーネに宿題移させてもらえばいいじゃん」

「駄目よ、これは自分でするから力になるのよ。ガヴも自分でがんばりなさい」

「はいはい分かったよ」

 

ガヴリール本当にやってくるのかな、何か結局月乃瀬さんに頼ってる光景が既に想像出来るんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして次の日―――――

 

 

 

 

朝、月乃瀬さんと一緒に宿題の解き方を聞いているとガヴリールが僕らの前に爽やかな笑顔でニコニコしながら立っていた。

 

「イ・ヤ・よ」

「えええええ!?まだ何も言ってないじゃん」

「どうせ宿題見せてって言いに来たんでしょ?」

「う・・・」

 

どうやら宿題を結局やってくるのを忘れていたらしく見せに来たらしい。それを見抜かれて先に断りを入れた月乃瀬さん。っていうか二人仲良すぎないかな・・・一応悪魔と天使なのに阿吽の呼吸なんて違和感しか覚えない。

 

「ガヴリール、自分でやらないとって昨日月乃瀬さんが言ってたよね」

「そんなこと忘れた。私は見せろって言ってる。」

「あんたどんだけ上から目線なのよ・・・」

 

ドンドンと月ノ瀬さんの机を指で叩きながら脅しのようにいう、もしこれが初対面だったら僕泣いてたかもしれない。仲良くなったから何とか平常心を保ってられるが、それぐらい彼女の顔は怖い。

でも月ノ瀬さんは気にした様子はなくもう一つ机を用意してガヴリールに座るように勧める。すると嫌そうな顔をするが素直に従いガヴリールは用意された席についた。

そして今度はガヴリールを混ぜてはじめようとした時また別の声が聞こえた。

 

「フフフ・・・無様ねガヴリール」

 

僕たち三人は同時に声の聞こえた教室の入り口に目をやると、そこにはとてもカッコよくポーズを決めたサターニャさんがポーズを決め立っていた。

 

「宿題をやってるようじゃまだまだね、見損なったわ」

 

そういうとくるくると回転しながら僕たちの方に歩いてきた。そしてもう一度先ほどと似たようなポーズをとりなおす。

 

「アハハハハっ!私は大悪魔」

 

予定だけどね

 

「サタニキア!」

 

クラスの人多分みんなサターニャさんの名前知ってるよ

 

「地球を統べる者!」

 

だから予定だけどね

 

「サターニャさん、宿題ちゃんとやったの?」

 

僕はとりあえず話を進めるために質問する。すると腰に手をあて胸を張り自信満々の顔でこう答えた。

 

「もちろん宿題何てやらないわ!」

 

なにがもちろんなんだ。彼女の言葉のどこにそんな胸を張れるところがあったのか僕には分からない。

でも今まで彼女が行ってきた悪魔的行為の中で上位に入ることだろう。彼女は嬉しそうにしているので自分でも理解しているらしい。でも数学の先生は担任の先生だしすごく怖いから今回は宿題やっといた方がいいのに。

ガヴと月乃瀬は彼女の言葉に飽きれてしまったのか彼女を気にせず勉強を始めた。

 

「格の違いを思い知らせてやるわ!って聞きなさいよ!」

「もうそのセリフ聞き飽きたよ」

「なっ!?」

「私急いで宿題終らせないといけないから邪魔しないでくれる?」

 

ガヴリールのキツイ言葉によりサターニャさん撃沈。

今にも泣きそうな目をし始めた。さすがに可哀そうだと思い少しでも悲しさを紛らわせるために僕は諭すように言った

 

「サターニャさんもやった方がいいよ。先生に怒られちゃうし」

「フフフ・・・先生が怖くて悪魔がやってられる?人間なんて下等生物私の敵じゃないんだから!」

 

どうにか立て直してくれたけどめんどくさい事になってしまった。まぁサターニャさんが元気ないと変な感じするから気にはしないけど。

 

「あっ僕もまだ教えて貰いたいことがあったんだった」

「夕陽も無視するんじゃないわよ!」

 

ごめんね、そろそろ朝のHRが始まっちゃうから終わらせたいんだ。ただでさえ僕は引きこもっていたから小学校レベルで止まってるから・・・

サターニャさんはプルプル震えると今度は大きな声で笑いあげた。

 

「アハハハハ!いいわ、授業で私の大きさを肌で感じるがいい!」

 

そういうとそのまま高笑いしてどこかに去って行ってしまった。だからHR始まっちゃうって!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして数学の時間がやってきた。

サングラスの綺麗な頭をした強面の先生が教卓の前に立ち挨拶をした。すると早速先生は宿題を集めろと指示を出した。

 

「宿題のプリント集めるぞ、後ろから送ってこい」

 

隣の席のガヴリールは授業が始まるギリギリまで宿題をやっていた。なんとか終わらせられたらしく安堵のため息を吐いた。

するとおもむろに「はい!」と元気の良い声があがり綺麗に手が上がる。

先生は何となくサターニャさんが何を言いたいのか察しがついたがあえて聞いていた。

 

「・・・なんだ胡桃沢。」

「先生私、宿題やってないわ。わざとやらなかったの」

「ほう・・・で?」

 

先生の低い声がさらに低くなった。誰もが先生が起こっている事に気が付いたが唯一クラスの中で気づいていない人がいた。

その人は満面の笑みでこう答えた

 

「そして、それを詫びる気も全くないわ!!どう!?最高に悪魔的行為でしょ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、サターニャさんは先生にたくさん怒られ泣きながら廊下に立たされた。

 

 

 

 

 

 

 

授業が終わった現在も突っ伏して落ち込んでいる。

僕と月乃瀬さんとガヴリールでその様子を見ていた。

 

「私より先にあのバカを何とかした方が良いんじゃない?」

「何とかしようとは思ってるんだけど・・・」

「またすぐに元気になるよ」

「いや、すぐ元気になるから厄介なんだよ、反省しないから」

 

まぁそれが彼女の良い所でもあるんだけどね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サターニャさん元気だして、僕のメロンパンあげるから」

「う、うぐ・・・あ、ありがどう・・・」

 

昼休み僕はいつもの場所でサターニャさんにメロンパンを渡した。すると少し落ち着いたのか静かになった。

 

「泣き止んだ?」

「べ、別に怖かったわけじゃないわ!今回はあいつの顔を立ててあげたんだから!」

「うん、わかってるよ」

 

ホントに分かってるのと睨んでくるサターニャさんを笑顔で返す僕だった。

 

 

サターニャさんは昼休みが終わるとすっかりいつも通りで現在教室で高笑いをしていた。

 

「ほらな、言ったとおり」

「あはは・・・」

 

やっぱりサターニャさんはあれぐらい元気な方がいいよね

 




夕陽くんにとってサターニャはほっとけない存在ですね。
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