彼女、白羽=ラフィエル=エインズワースは退屈だった。普通の日常に、朝起きて学校に来て勉強し、クラスメイトと話をして学校が終わったら、宿題をしお風呂に入り食事をする。
そんな日常に
彼女は面白い事に飢えていた、だがそんな面白そうなことはなく彼女はため息を吐きながら朝学校を登校していた。
すると曲がり角の先で女子生徒と男子生徒と犬が立っていた。
ラフィエルはそこの男子生徒に見覚えがあった。
「たしかガヴちゃんと入学式の日にぶつかって真っ赤になっていた生徒」
あの時は長い髪だったので一瞬分からなかったがあのオドオドした態度で人物を一致することが出来た。
ラフィエルはしばらくこの状況を観察してみようと思い電柱に隠れた。
な、なんでこんな事になってるの!?朝登校していたらサターニャさんとあったので自然と一緒に登校することになったら、サターニャさんが僕にメロンパンを自慢してきた。するとその瞬間目の前に突然犬が現れた。
一歩犬が近づくとサターニャさんは一歩後退する。僕は何をしてるかと言えばサターニャさんの後ろに隠れている。
自分でも情けないとは思う、でも昔犬に襲われたことがあってその日から犬を飼っている家の前を通るときは朝陽と一緒に通らないと通れなくなってしまった。
犬は飛びかかるとサターニャさんが持っているメロンパンを加えた、サターニャさんも渡すまいと必死に抵抗して引っ張っている。
サターニャさんが困ってる、僕がどうにか助けないといつまでも女の子の後ろで隠れてるだけじゃだめだ!
「ま、まってサターニャさん!い、今助けるから!」
「頼んだわ!」
僕は辺りを見わたすと空き缶を見つけた。これを蹴って当てれば犬もメロンパンから離れるかも・・・
僕は助走をつけて足を振りかぶると空き缶めがけて勢いよく足を下ろしていくと空き缶を蹴った感触はなくそのまま空を切った。
僕はバランスを崩し後ろに倒れた、背中を勢いよく地面にぶつけた。
「がはっ!」
「ちょっと夕陽!」
ラフィエルは思った。
何だこの茶番はと女子生徒は犬とケンカを始め、それを手伝おうとした男子生徒は空き缶を蹴ろうとして自爆した。
だが同時にラフィエルは同時にこんなことも思った。
面白そうと
彼女は体に電撃が走ったような感じになり久しぶりの感覚に襲われる。
(私の本能が言ってます、お二人は素晴らしい玩具になると!)
とても痛かったが僕が大きく転んだおかげで犬はサターニャさんのメロンパンから離れた。何とかサターニャさんの役に立てたのは素直にうれしい。痛かったけど
サターニャさんと犬はにらみ合うものすごく緊迫感溢れた状況だ、僕にあんな猛獣相手に出来ない。おそらくサターニャさんも怖いだろうに一歩も引かない彼女を僕は少し尊敬した。
「さぁ!命が欲しくなかったらかかってきなさい!」
「まっ待ってサターニャさんそんなことしたら危ないよ!」
サターニャさんはいつでも戦えるように構えをとる。だがおそらくサターニャさんではかないっこない、犬は恐ろしく強い生き物なんだから。
僕の必死な制止が届いたのか構えを止め二歩ほど犬から遠ざかる。
「やっぱり話し合いにしましょう。あなたが命を落とすにはまだ早いわ!」
サターニャさん、犬に話し合いなんて通じるはずがない。犬はサターニャさんが二歩下がれば二歩近づく、やはり犬と僕らに和解は無いらしい。
「キャー!!ちょっ来ないでって言ってるでしょ!」
「あ、危ないサターニャさん!」
僕は彼女と犬の間に立ちふさがった。
「サターニャさん逃げて」
「逃げてってこの私が逃げるわけないじゃない」
「この子に僕たちの言葉は通じないよ、だから二人ともやられる前に!」
犬は今度のターゲットを僕に変更した、僕の方をじっと見つめ少しずつ少しずつ近づいて来る。きっと視線を外した瞬間僕の命はない。
怖いけど、友達が困ってるなら助けるのがヒーローだから。
「あの~ちょっとよろしいですか?」
突然サターニャさんではない女子生徒の声が聞こえた。僕は犬の視線から目をそむくことが出来ず、その声の方に振り向くことが出来ない。
「なに?あなた・・・」
「犬が苦手でお困りのようなのかと思いまして」
「苦手じゃないわ!今からビシッと言うところだったのよ」
何か後ろで話しているが目の前の敵に集中しており目を何を言っているのか分からない。
「さぁ、夕陽そこの犬にビシッと言ってやりなさい!」
「む、無理だよサターニャさん!犬に言葉なんて分からないよ」
今までサターニャさんがやっていて通じていないのに僕が出来るはずがないよ・・・
「人の言葉だからではないでしょうか、犬の言葉なら通じるのでは・・・」
サターニャさんではないもう一人の女の子の声がそう提案するとサターニャさんはハッと閃いたような声を上げ僕に大声で伝えた。
「夕陽、犬語よ!犬語を喋れば通じるかもしれないわ!」
「夕陽さーん怖いと思うから怖く感じてしまうのかもしれません、その子はホントは心優しい子なのかもしれませんよ」
彼女の言う通りなのかもしれない、いつも僕は勝手に怖いと思ってびくびくしてしまっていた。だから動物にも伝わって逆に怖がらせていたのかもしれない。昔朝陽に言われたことがある。
『動物はホントはいい子だけど、相手が怖がると自分も不安に思っちゃうからお兄ちゃんの不安も伝わっちゃうよ』
そうだ、今はこの犬も僕がびくびくしてるから怖がってるのかも・・・
この子は怖くないこの子は怖くない、だから話せば通じる。
僕は覚悟を決めて息を大きく吸った。
「わんっわんっわんわんわん。わぉーーーんっ!」
プフッと何か噴き出したような音が聞こえるともう一人の少女が今度はサターニャさんの肩に手を置き言った。
「さぁ、あなたも!」
「じゃあ・・・わんっ!」
サターニャさんも加わり二人で犬の鳴きまねを始める。通る人の変なものを見たような視線が僕たちに刺さってくる。最初は怖くて覚悟を決めて始めたが冷静になってみれば伝わるはずがないと気づき始め恐怖よりも恥ずかしさが勝り始めてきた。
「あ、あの・・・サターニャさん・・・」
「・・・そうね言いたいことは分かるわ、全然伝わってる気がしないわ」
「面白さは伝わってきましたよ」
「面白さを伝えたかった訳じゃないわよっ!」
振り向くと白く長い髪の女子生徒が笑いをこらえるようにしており、その時初めて先ほどのもう一人の声の正体を知った。
なんでそんな楽しそうなんだろう・・・
サターニャさんはため息をつき僕の手を取った。
「もういいわ!別の道から行きましょ!」
「あっちょっと・・・サターニャさん」
犬と少女に背を向け先へ進んでいく、僕は引っ張られながら倒れないように何とかついて行こうとする。
すると白い髪の少女はサターニャさんに聞こえるかどうかの声で言った。
「逃げていいのですか?」
その瞬間ピタッとサターニャさんは足を止めた。そしてサターニャさんの雰囲気が変わった、何か言ってはいけない言葉を白い髪の少女は言ってしまったのかな。
「今・・・なんて?」
「お気に障ったのなら申し訳ありません。やられっぱなしのままで良かったのかなと思いまして」
サターニャさんは僕の手を離し突然笑い始めた。そして彼女はいつものようなポーズを決めて言い放った。
「私はサタニキアっ!すべての頂点に立つ者。私の辞書に逃げるなんて文字はない!」
「危険だよサターニャさん!」
「いいから見てなさい夕陽、こんな犬畜生なんか一瞬で片づけてやるわ!」
そう言って彼女は再び犬の元に駆けていった。
ついにラフィエル登場です!
ラフィエルとサターニャのコンビは面白くて好きです笑笑