「とられた・・・犬にメロンパン」
「うわぁ・・・」
痛々しそうな視線をヴィーネさんに向けられる僕とサターニャさん。
僕は鼻と頬に怪我をして絆創膏を貼っていた。これは決して犬に噛まれたとかではなく、サターニャさんをあっさりと倒してしまった犬が標的を僕に変え追いかけてきた。
それが怖くて逃げたら足を引っ掛けて顔面を強打した時の傷だ。
僕はそのまま気絶したがサターニャさん共々白い髪の女子高生に起こされた。そういえばその女子高生の制服僕たちと同じだった気がするんだけど
「夕陽も巻き込まれたのか・・・大変だなお前も」
「その大変の中にもガヴがいること忘れないでね」
この間も僕の部屋に来て、勝手に冷蔵庫開けて料理作らせたししかもそのまま僕の部屋で寝ちゃうし、なんで僕の部屋なのにベットを渡さないといけないの。
「いいじゃん、夕陽のベット気持ち良かったから眠くなったんだよ」
「そのまま朝まで寝てたでしょ・・・」
「ちょっとまって!?」
僕たちの会話を聞いていた月乃瀬さんが、びっくりしたような声を上げ僕とガヴリールの会話に割って入ってきた。
何で月乃瀬さんなんでそんなに驚いた顔してんだろう、もしかして勝手にガヴリールを甘やかしていたから怒ってるのかな?
「えっ?ごめんそれ詳しく聞かせて?」
「いや、ヴィーネ詳しくって言ってもさ」
「いいから!」
グイッとガヴリールに顔を近づける、その顔は横にいる僕でも分かるすごく怖い。やっぱり思ったとおりだ月乃瀬さん僕が甘やかしたことで怒ってるんだ。
「私お金がないとき夕陽にご飯を食べさせてもらうんだけど、こないだ食べた後少し夕陽のベットでゴロゴロしてたら朝まで寝ちゃってさ」
「ご、ごめんね月乃瀬さん。もう甘やかさないようにちゃんとご飯ぐらい自分で作らせるから」
「本題はそこじゃない!」
今度は月乃瀬さんはこちらにグイッと顔を近づけている。な、なんか月乃瀬さんの後ろに般若が移ってる気がするんだけど気のせい?
「いい?男女が朝まで一緒に部屋にいるなんて大問題よ!」
「ヴィーネは気にし過ぎなんだって、現に問題なかったわけだし」
「だからと言って次が大丈夫な保証はないのよ?」
僕ってそんなに信頼されてないのかな?僕は彼女が怖くて黙って聞くしか出来ないがガヴリールは全く怖がる様子もなくめんどくさそうに聞いている。
「夕陽がそんなことするわけないじゃん、それはヴィーネも分かってるでしょ?」
「う~そうなんだけど」
頭をくしゃくしゃと月乃瀬さんはかきむしりだす、そんなことってどんなことなんだろう。
そんな風に僕たち三人が話していると会話に全く入ってこれなかったサターニャさんが突然うがーと叫び始めた。
「ちょっと!私の話も聞きなさいよ!今回犬にしてやられたのには変な奴にはめられたからなのよ!」
確かにあの白い髪の子がいなければ僕もサターニャさんも怪我をすることはなかったもんね。
「私の事ですか?」
そうそうそんな感じの声で・・・えっ?
あまりに自然な流れで会話に入ってきたので全く気付かなかった。いつの間にかあの時あった女子高生がサターニャさんのすぐ後ろに立っていた。
「ちょっ何であんたがここにいるのよ!?」
「何でと言われましても同じ学校の生徒なので・・・」
確かに制服は僕たちと同じなので分かっていたがどうやらサターニャさんは気づいてなかったらしい。
「あれ?ラフィエルじゃん」
お久しぶりですガヴちゃんと笑顔で手を振るラフィエルさん。どうやらガヴリールとラフィエルさんはしりあいだったらしい。そのときサターニャさんはものすごく驚いた顔をしていた。
「知り合い!?」
「知り合いって言うか天使学校の同級生」
同級生ってことはラフィエルさんも天使なんだ。まぁガヴリールよりは見た目天使っぽい、見た目だけだけど。正直今日の朝で僕は彼女を警戒している。
それはサターニャさんもどうやら同じのようだ、でも唯一それを知らない月乃瀬さんは違った。
よかった月乃瀬さんももう落ち着いたみたいだ。
「優しそうな人じゃない」
「全然優しくない!こんなやつ野放しにしてるなんて天界どうかしてるっ!」
そこまで?と月乃瀬さんはいうがサターニャさんが言うこともあながち間違ってはいない、僕はそこまでは思はないけど。
ラフィエルさんはサターニャさんを無視してガヴリールの元にやってきた。
「ガヴちゃん少し会わない間に雰囲気変わりました?」
「天界ではずっと優等生演じてたから今が本当の私ってこと」
「優等生だったの?冗談じゃなくて?」
僕はラフィエルさんに尋ねるとはいと首を縦に振った。僕は今のガヴリールに慣れてるからなんか優等生のガヴリールが想像できない。
ラフィエルさんはギュっとガブリールを抱きしめた。
「でも可愛いですよ」
「胸押し付けんな」
「じゃあのせちゃいまーす」
「コロス・・・」
ラフィエルさんの胸がガブリールの頭にしっかりのっかっている、すごいこんなことってあるんだ。僕はその様子を見過ぎたのかガヴリールにものすごく睨まれている。
目を逸らした先のラフィエルさんと目が合うとラフィエルさんはフフッと笑うとガヴリールの耳元で何かささやき始めた。
「また会えたんですねあの人と、無事返せたんですか?」
「は?何言ってんのラフィ、会えたって誰の事?」
ラフィエルさんの声は聞こえなかったがそのささやきにたいしてガヴリールは訳のわからないという顔をしながら答えた。その様子を見てラフィエルさんは一瞬えっと驚いていたが、再び僕と目が合うと何かを察したような顔に変わった。
「あぁ~なるほど。やはりこちらも面白そうですね」
僕とガヴリールは同じタイミングで首を傾げた。本当にラフィエルさんの心の中は全く読めない、下手したら僕が今までで一番ラフィエルさんが苦手かもしれない。
僕がそう思っていると月乃瀬さんが僕に話しかけてきた。
「私にはサターニャが言うほど悪い人に見えないんだけど。良い子そうだし友達になりたいなぁ」
「う、うん。い、いいんじゃないかな・・・」
「なんでそんなに微妙な顔するの!?」
ま、また表情が顔に出てたかな?わ、悪い人ではないとは僕も思うんだけどどうしても素直にうんとも言えない僕がいた。
ラフィエルさんは何か思い出したかのような声を上げ、ガヴリールから離れポケットからあるものを取りだした。
「そういえば、来るときに犬がこんなものを持っていたのですが・・・」
「それ私のメロンパン!返しなさいよ!」
犬から取ってきたのなら本当にサターニャさんの取られたメロンパンだろう。でもわざわざ取りに行くなんて本当は優しいんだろう。
「そうですね。では跪いて犬のように足を舐めたらお返しします。」
そんなことは全くなかった。
「だって得意ではないですか、イ・ヌ・の・マ・ネ」
「得意じゃないっ!」
止めてくださいラフィエルさん、その言葉僕にも刺さっちゃうから!犬の真似でも何でもしますからやめてください死ぬほど恥ずかしいんです。
どうやらラフィエルさんの本性を今知った月乃瀬さんは微妙な顔をしていた。
「つ、月乃瀬さん。ラフィエルさんに声かけないの?」
「うん。今はやめとく」
ですよね~