「あぁ~今月も課金しすぎた・・・」
「まぁ目の前ですごい数ガチャ回してたらね」
「天界からの小遣いも減ってきてるしどうするかな」
「だからって僕にご飯をねだらないでよ・・・」
今現在、ガヴリールはいつものように僕が作った料理を二人で食べながら言葉を溢した。
「いいじゃん、減るもんじゃなし」
「僕の冷蔵庫の材料は減ってはいるけどね」
彼女はもう少し遠慮というものを知ってほしい。
お金がないのは僕にとっても良いことはない、そういえばお父さんからバイトの話が来てたんだっけ。
「そういえば僕のお父さんの知り合いがバイトしてくれる人を探しててさ、一応僕もするんだけどもう一人ぐらい欲しいらしくてどうかな?」
「え~あんまり人が多い所苦手なんだよ」
「カフェだし静かな所で僕気に入ってるんだ、ガヴリールも嫌いじゃないんじゃないかな」
「まぁ、それなら試しにやってみようかな。課金したいし」
「分かったよじゃあ連絡するね、今週の土曜日だからね」
~バイト当日~
「それじゃあよろしくね、天真くん夕陽くん」
ガヴリールと僕はウェイトレスの格好に着替え開店の準備に取り掛かった。
「私も年なのか一人で回すのがきつくなってしまってね二人が来てくれて助かったよ」
「まぁ私もお金に困ってましたので」
まぁ課金するお金に何だけどね。だがマスターは学校もあるのに大変だねと労いをかけてくれた。
いよいよ開店の準備が整いお客さんが入ってきだすその前に一通り接客のやり方は教わったが僕自身も自信はない。でも問題は僕よりもガヴリールだ、彼女は今もめんどくさそうな表情をしている。
「初めてだし間違えてもいいから気にしないでね」
すると丁度一人の男性が扉を開け中に入ってきたチリンチリンとベルが鳴ると僕とガヴはまず挨拶をした。
「いらっしゃいませ」
「へいらっしゃい」
いや八百屋か。ガヴさっき出来てたじゃんなんで急にできなくなるのさ。
見てよマスターが青くなって震えてるよ。一応ガヴは外国で過ごしてきたハーフってことにしてるけどさすがにこれはダメだよね・・・
「ナイスだよ天真くん!」
「はぁ」
マスター褒めちゃってるよ、もしかしてマスターが褒めてるってことはもしかしてホントはガヴの接客のやり方が正しいってこと?・・・いや違うか、さすがに僕だってそれそれぐらいの常識は持っているつもりだ。
ガヴはお客さんに注文を取りに行ってる大丈夫だろうか?
僕がガヴを見ていたのがばれたのかマスターもガヴリールを見ながら話しかけてきた。
「天真くんも親と離れ離れで心細いだろうにね。せめてここぐらいは気の休まる場所であげたいね」
「休まるというか、休んでるというか・・・」
「彼女の気が休んでくれてるなら私もうれしいよ」
いやそうじゃなくて・・・。マスターは僕の言葉を勘違いる気がするがマスターがいいならいいのかな。僕には月乃瀬さんみたいにツッコミは出来ないので諦めるしかなかった。
「夕陽くんは彼女を大切にしてあげるんだよ?彼女は可愛いから直ぐに取られちゃうからね」
「取られる?さすがにガヴは人の物は取りませんよ?」
お互い首を傾げるなぜか話がかみ合ってないような気がするけど、なんでだろう。
僕とマスターが話していると話の中心であるガヴリールが戻ってきていた。
「マスター、オーダーが入ります」
「なんだい?」
「多分カフェオレってやつです」
「あ、曖昧だね・・・カフェオレはホットとアイスがあるんだけどどっちかな?」
「私はホットが飲みたいです」
「ガヴの注文じゃなくて、お客様の注文だよ!?」
僕がツッコむとガヴは何を言ってるのか分からなかったのか首を傾げている、きっと漫画だったらガヴの頭にはハテナマークが浮かんでいるだろう。
「す、すまないけど天真くんもう一度注文を聞いてきてくれるかな?」
「えぇ・・・また私が行くんですか?」
「そ、そうだよね大変だよね!よ、よし今度は私が行ってこようかな!」
マスター既にガヴリールに怒れなくなってしまってる、マスターに取りにいかせてはアルバイトとして雇った意味がないので僕が代わりに行く事にした。
僕はお客さんの前に立つと注文を聞き直した。
「も、もももももももも・・・・」
「もも?」
僕はなにしようとしてたんだっけ?お客さん目の前にたった途端今まで大人しかった心臓がバクバクと激しく動き出した。接客接客どうだったかな・・・
僕はふと出てきた言葉を大きな声で叫んだ
「し・・・失礼しましたっ!」
僕は急いでマスターとガヴリールの元へと駆け足で向かった。すると呆れ顔のガヴと苦笑いのマスターが立っていた。
「お前どんだけ緊張してんだよ・・・」
「ま、まぁ初めてだしね。落ち着いて頑張って!」
「無理です、無理です!もう絶対行きたくありません!」
「子供かよ・・・」
嫌がったんだからガヴリールも人の事言えないじゃん。
結局マスターが注文を取りに行く、どうやらお客さんが頼んだのはアイスキャラメルマキアートだった。ガヴの注文全然違うじゃん、一文字も当たってないし。
どうやったらこんな聞き間違いするんだよ・・・
「ニホンゴムズカシイヨユウヤサン」
「急に日本語出来なくなってるんだけど!?」
突然外国人のふりして・・・いつもは日本語ペラペラのくせに
だがマスターは信じてしまったみたいで優しい顔でポンと僕たちの肩に手を置いた
「いいんだよ天真くん、夕陽くんもね。最初から出来る人なんていないんだ少しずつ覚えていこうね」
マスターの優しさに涙が出てくる、ホントにマスターはいい人だ僕がお客で来ていた時もいつも悩みを聞いてくれた。引きこもりだった時もここだけは悩みがあったらいつも来ていた、ここお店のために頑張りたいと僕は思った。
それから、少しずつ僕もガヴリールも接客が上手くできるようになっていった。ここに来るお客さんも優しい人ばかりで色々学べることも沢山あったし、また違った面でもこのお店を好きになれた気がする。
もしかしてお父さんが勧めてきたのもこれが狙いだったのかな。
あっという間に時間が過ぎて夕方になりお客さんもいなくなり落ち着いた空間になる。
「よしお客さんもいないし今日はあがろうか」
「お疲れ様でした」
「どうだった二人とも初めて働いてみた感想は」
「お父さんがバイトをすることを勧めてきた理由が分かった気がします」
敬語とか挨拶とかたくさん今まで引きこもってたら分からなかったことがあった。
僕が感想を言った後顎に手をしばし考える、十秒ほど考えた後ガヴはゆっくり顔を上げた。
「だるかったです」
「正直すぎるよ・・・」
しかも結構考えた後なのに一言って小学生の感想だよそれ。いや今の小学生でもこれほどひどくないかもしれない。
マスターはそれでも怒らずガヴリールにフォローを入れる。
「いや、もちろん正直な事はいいことだからそのままでいいんだよ!?」
「・・・でもここでのバイトは続けられそうです」
ガヴリールがそういうとマスターは嬉しそうに微笑んだ、僕も不思議と嬉しくなった多分ガヴをここに連れてきたのは間違いじゃなかったと思えたからかな。
「人が来ないのがいいですよね」
「そ、そうだねっ落ち着いた雰囲気が自慢だからね!」
台無しだ・・・せっかくいい雰囲気だったのに。
ガヴリールはそのまま更衣室に向かい着替え帰る準備を整え始めた、僕も慌てて着替え準備を整えだす。するとマスターが僕たちを呼び止めた。
「二人とも次のシフトどうしようか今週のどこかで入れそうなところがあれば・・・」
「無理です」
ガヴリールはマスターの声を遮るように強めの口調で答えた。
マスターは固まってしまった、ガヴリールは今のマスターの状態気づいてるんだろうか。
「週二以上で働くとか体力的にキツいんで無理ですっ!!」
「そうだねっ!週一にしようか!体を休めることは大切だからね」
先ほどよりさらに強い口調で答え断りマスターもそれに押され了承してしまう。そのままガヴリールは挨拶をしてお店を出て行ってしまう。
ガヴが居なくなった後再び固まったマスターは復活すると今度は僕の方に弱々しい笑顔を向けてた。
「ゆ、夕陽くんも週一にする?」
「ぼ、僕は週4ぐらいで入れてもらえればいいので大丈夫ですよ!」
その時のマスターは少しホッとしたのか胸を撫で下ろしいつものような笑顔に戻り僕にコーヒーを勧めてきた。