ハンドレッド―とある転生者の奮闘記―   作:konvoi

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まずは自己紹介と短く挨拶をば。konvoiです。
この度初めて二次小説というものを書きました。原作はタイトルにある通りです。
いつの間にか転生を果たしたオリ主が原作知識で奮闘するお話です。
ところどころ誤字や脱字があるかもしれないし、原作にはないオリジナル展開があります。それから駄文です。ネタ多数です。
そういうのがダメな方がいるとしたらBackしてもらっても構いません。
何卒温かい目で物語の中の彼らを見守ってあげてください。
それでは、どうぞ。


プロローグ
転生と遭遇を果たしたら、美女達だった。


 世界には『異世界転生』なるものが存在する。

 

 それは神の悪戯か、はたまた何かの要因によるものか、答えは誰にもわからない。

 強いて言えば大抵の場合、神の気紛れによるところが大きい点くらいだ。実に人騒がせなことこの上ない。

 

 転生には大まかに分けて二種類ある。1つはある日突然目を覚ますと、転生前の肉体と記憶を保ったまま異世界に召喚されていたり。

 また1つは一糸纏わぬ赤子の状態で、転生先に一個の命として生まれ落ちていたりと、具体的な例を挙げるならば自ずとこの二種類が大半を占める。

 

 人はその人たちの事を《転生者》と呼ぶ。

 

 かくいう俺こと「四宮アキラ」もその後者に該当する。気が付けば前世の記憶を持ったまま、赤子の状態で生まれ落ちていたのだ。

 

 生まれた当時の記憶は十数年が過ぎた現在でも残っている。見知らぬ天井(決してネタ的な意味ではなく)、日本語らしき言語、日本人らしき特有の黒髪黒目。生まれ落ちた先がファンタジー感満載の異世界でなかったことに安堵していたのは内緒だ。

 まぁ色々と思うところはあるけど、俺は一個の命として新しい人生を謳歌していく事になったのだった。

 

 

 

 生後数年が経過したある日の事だ。四つん這いからのよちよち歩きを覚え、幼稚園に入る頃には自由に動く事ができるようになり、勉強等で言語を学習する内に違和感を感じていた俺はある事実に気が付いた。

 

 

(あ・・・これ俺の知ってる日本じゃない)

 

 

 生まれて初めて味わった驚愕の事実の瞬間だった(転生的な意味で)。

 文字や文化は日本に似ていても、異なる部分が多々あった。文化のわずかな違いだったり、俺の知る地球の歴史と異なっていたりと色々だ。そりゃ違和感感じるのも当たり前だわ。

 

 話しを戻そう。俺は子供らしく言語を学んでいくうち、『皇国ヤマト』なる日本の雰囲気漂う和の国に誕生した事を知る。むしろ何で日本じゃないことに今さら気づくんだろうね。馴れというやつだろうか。

 

 さて。

 もう『日本』じゃなくて、『ヤマト』なんて地名の時点で察してるあなた。正解です。この世界はとあるライトノベルの一つ、前世で割と愛読していた《ハンドレッド》の世界なのでした。

 俺自身としても最初こそ信じられなかったけれど、それが『今の』俺にとっての現実であることを確信したのは、ヤマト以外の国の名前を調べていったからだ。

 アメリカ合衆国を彷彿とさせる『リベリア合衆国』や『フランソワ王国』等。もうこれだけで俺は「本当にラノベの世界に転生したんだ・・・」と実感した。

 

 しかし・・・何故俺は知らないうちに転生できたのだろう。そこら辺の記憶がすっぽり抜け落ちていて、はっきりと思い出す事ができない。これが所謂異世界転生というものなのだとしたら俺は原作介入すべきなのか。それとも何もせずに生涯を全うすべきなのか。

 おそらくはこれも見知らぬ神か何かの仕業なのだろうが、如何せんこういう事態には遭った事が無いのでどうすべきか悩む。

 もういっそのこと原作主人公と絡みに行くか? それともヒロイン勢の誰かと繋がりを持つか? と、思ったけど原作キャラと接点を持たないのでどうする事も出来ない。まぁ、そんなのは後からどうとでもなるし別にいいか。とにもかくにも今は俺の今世を謳歌しようではないか。これこそ臨機応変にってね。

 

 

―――数年後。

 

 

 俺が転生してさらに数年が経過――俺も今や中学三年。卒業式を控えた中学三学期目の季節。

 卒業が近い中、転生先で俺を生んでくれた両親と共に、俺はヤマト国外へ旅行に出ていた。

 俺の中学卒業を記念しての旅行だと両親は言っていたが、少し性急過ぎではないだろうかと思わなくもない。それを2人に問いただすと、

 

 父さん曰く「家族水入らずと言うやつだ。ここは黙ってついてこい」。

 母さん曰く「中々会う事が無いんだもの。これを機会に家族三人で思い出を作りましょ」とのことだ。

 

 そもそもこの両親が共働き且つ職業柄忙しいせいで中々顔を合わせる事も出来ていなかったから、俺もその提案には賛成なのだが・・・まぁ、特に部活に入っていることもなく、予定というものもなくて暇だったから、特に文句はないんだけどね。

 ・・・いや、でもやっぱり卒業前の学生を連れて旅行に行くってどうなんだ? 土日をフルに使った旅行だから特に問題もないけど。

 

 で。肝心の旅行先はリベリア合衆国領内の南端。海と面した浜辺を横切る道路を、俺達家族が乗る車両が走る。

 浜辺は遠めから見ても綺麗な白色に輝いていて、夜になれば月明かりに照らされて昼間よりも美しい光景になるともっぱらの噂で知られる。

 後部座席から覗いてみても、確かに白く輝いていて綺麗だなと思わなくもない。が、そんな浜辺周辺を手を繋ぎ合って歩くカップルの姿がちらほらと見える。チィッ! 彼女いない歴半還暦(前世含む)の俺に対する当てつけかっ! おのれっ、呪ってやる・・・!

 

「あ、そうだわ。アキラ、ちょっと手を出して」

「ノロワレロノロワレロノロワレロ・・・え、なに?」

 

 実に幸せそうなカップルたちに怨念めいたことを呟いていた俺に、前の助手席に座る母さんが手を出すよう促してきた。ちなみに運転は父さんがやっている。ちょっと今カップル共を呪うのに忙しいから後にしてほしいんだけど。ちなみに適当に言ってるだけだから効果なんて勿論ない。

 

「ちょっとだけ早い卒業祝いよ。ほら早く」

「そんなに急かさないでよ」

 

 母さんが急かすので俺は仕方なく手を出す。すると、掌に何かが置かれた。

 それは紅い布地に包まれた物体だった。布地の表面には「方位除守」とヤマト由来の言葉で刺繍され、肝心の中身は丸みを帯びているのか、ピンポン玉サイズの物が収まっているようだ。

 

「なにこれ?」

「お守りよ。『これから先アキラが事故とかに遭わないように』っていう願いを込めた、ね。」

「お前は色々と問題に巻き込まれる体質だからな。そんなお前が心配だから、母さんが作ったんだ」

 

 

 父さんが言った通り、俺は何かと面倒事に巻き込まれやすい体質だ。転生してから初めての面倒事は小学校の時だ。クラス内で二つに分かれた5~6人程度のグループ(両方とも男子のみ)が何かで言い合いになって大喧嘩に発展した時、俺は両グループのどこにも属してなかったはずなのに、それでいて無関心を決め込んでいた俺に矛先が向いて「お前はどっちの味方だ!?」と理不尽な怒られ方をしたことがある。おまけにその喧嘩に巻き込まれたのだ。無論、仕掛けてきた奴は一人残らず俺が物理的に黙らせてやった。その後俺だけが担任の先生に怒られた。解せぬ。

 喧嘩の原因は何なのか? 知らん、そんな事は俺の管轄外だ。

 それ以来、俺には関係ない面倒事に巻き込まれることが多くなった。例えば野良犬に追っかけられるクラスメイトと一緒に追いかけられたり。大雨の日に通りかかった車によって水溜りのシャワーを浴びたり。炭酸飲料の入った缶を開けようとして手から滑らせ落とした拍子に中身が飛び出たり・・・etc。数えるのも面倒なくらいに。これってある意味巻き込まれ系転生者の枠に入りません?

 

 

 関話休題。

 それにしてもそうか。母さんが。・・・・・・父さんからは何もないんだ。

 

「あら。確かに包みは私が作ったものだけど、お守りの"中身"はあなたが作ったものじゃない」

「"有り合わせの物"から錬成して形にしただけだ。それにこの程度でこいつの体質が改善されるとは思わないけどな」

 

 バックミラーに映る俺の顔を見ながら父さんが貶してくる。しかし父さんや。俺は別に好き好んで巻き込まれている訳ではないのでそこんところ理解してね。というか中身は父さんが用意してくれていたのか。・・・・・・両親からの贈り物って、気恥ずかしさとか嬉しい感が半端じゃないな。転生してからの親だけど。

 

「でも本当にアキラってば、何かに憑かれてるんじゃないかってくらいに運がないわよね。この間なんか猫に引っ掻かれてたし」

「柵から飛び降りてきておいて、偶々近くを通りかかった俺がなんで引っ掻かれなきゃならんのか」

 

 ちなみにその出来事は1週間前の出来事だ。おかげで未だに残る引っ掻き傷が目立つのなんの。まぁ別に気にしてないけども。

 しっかしまぁ。今生での俺の運も大概なんだよなぁ。前世は割と平均の人並みの運だったのに、転生してからは目に見えて運が悪くなったっていうか。巻き込まれ回数も年々上昇し続けているっていうか。

 

「ま、それは一応"保険"としての意味合いも兼ねている。何かあれば遠慮なく使え」

「そうよ。だってそれは――」

 

 母さんが何か言おうとした――その時だった。

 

 

 

 俺達の乗る車の前に、突如として一隻のクルーザーが"落下"してきた。

 

 

 

 進路方向上を走る車の目の前に突然落下してきた海上を進む為のクルーザーに驚いたのだろう。父さんはハンドルを左に切り、左側の反対車線を突っ切って電柱に激突。その強い衝撃でエアクッションが作動して、シートベルトを締めながらも強い衝撃で体が前方に突き出した両親は作動したそれに守られる。が、俺はその衝撃で眼前の座席シートの背面と熱いディープキスを交わす事になってしまう。

 

「きゃぁっ!!」

「ぐぅっ!?」

「ぶぽっ!?」

 

 突然の事態で両親が悲鳴を上げ、俺は間抜けな声を上げてしまう。何で俺だけ。

 

「くっ・・・大丈夫か?」

「え、ええ。私は大丈夫よ。アキラは?」

「唇の裏側切った・・・」

「大丈夫そうだな」

「みたいね」

 

 クッションに守られて奇跡的に無傷だった両親が言う。ちょっと。何で俺だけそんな軽いのよ。泣くよ? 15の中坊が泣きわめいちゃうよ?

 

「しかし、いったい何が・・・ッ!!」

「? どうかしたの」

 

 状況を把握しようと父さんが車外の様子を見渡した。そしてクルーザーのほうへ目を向けた時だ。父さんが目を見開いて何かに驚いている。何か"化物"を見たような、そんな信じられないといった表情だった。

 

「父さん? ・・・・・・!!」

 

 俺も続いて後ろに振り返る。父さんが驚いたのはクルーザー――ではなく、その『向こう側に』だった。俺自身も目を疑う。そのはずだ。何せ目に映ったモノは、世界中の誰もが出遭いたくもないモノだったのだから。

 

 路上に突き刺さった艦橋部がひしゃげ、逆立ちしたような体勢で路上にたたずむクルーザーの先――そこに居たのは、まさしく"怪物"だった。

 

 全身を覆い尽くす、陽の光に照らされて艶を映す黒い皮膚。

 その皮膚の表面から光る黄色い模様。

 無数の脚で立ち、鋏らしき形状をした両腕。

 そして顔らしき部位に浮かぶ、大きく開いた口に並ぶ無数の歯。その中央に、砲口を思わせる筒状の物体。

 『異形の怪物』――そう形容するに相応しいモノが海岸側から、その全容を現していた。

 

 人は、人類はその存在を総称してこう呼んだ。

 

 

 

「サベージッ・・・!」

 

 

 

 

―――グォォォォォォォォッ!!!

 

 

 

 

 俺がその存在の名を口にすると、異形の怪物――サベージは声高らかに咆哮した。

 

 サベージ――十数年前、南極に飛来した隕石から現れた、地球外異種生命体。当時から人間を襲う危険な存在として世界中が認知し、以来度々地球に訪れる謎の怪物たち。

 政府から『サベージ』と呼称されるようになった奴らは当時から現存するどの兵器でも傷をつける事が難しく、最初に飛来した時はありとあらゆる術を用いて撃退するに至った《第一次遭遇(ファースト・アタック)》、そして"ある兵器"の開発によって初めてサベージを撃破する事ができた《第二次遭遇(セカンド・アタック)》によってやっと人類が対抗できるようになった今もなお、人類に牙をむく存在だ。

 

 そんな存在が今、俺達の前に立っている。

 サベージの数は3体。先頭に立つ1体の後ろから、2体のサベージが海中から海岸に上陸してくる。

 

「まずい! すぐに車から降りろ、2人とも!」

「え、ええ!」

 

 父さんが慌てた様子で促す。電柱に突っ込んだせいで車はボンネットの隙間から煙を吹きだしていた。どうやら壊れたようだ。実を言うと俺達が乗ったこの車、先月買い換えたばかりの新車なのだが、状況的に捨て去るしかない。

 俺達家族は慌てて車を乗り捨て、海岸沿いの車道を走り始める。ここから少しでも遠のくために選んだのだろう。俺達以外にもサベージに怯えて同じ方向へ逃げ惑う人々が数多くみられる。海岸側も同じ状況で逃げる人々がいたが、元から人は少なかったのであれならすぐに逃げ切れるだろう。

 しかし、サベージがそれを見逃すはずもない。視界(?)の隅に映った人々に狙いを定め、鋏を彷彿とさせる腕を伸ばして1人を捕らえる。

 

「うわぁぁぁあぁぁっ!! は、離せぇっ!!」

 

 捕まったのはどうやら男性のようだ。男性の叫びすら碌に聞かず、サベージは男性を口元に持っていき、そして――

 

「ッ・・・!!」

 

 俺は慌てて目を逸らした。サベージに捕らわれた男性の声が聞こえなくなった。恐らくは・・・止そう。あんなの見たらトラウマどころか一種の恐怖症に陥る。俺は逃げる事に意識を集中させた。

 

「こ、こっちにもいるぞぉっ!!」

 

 逃げる方向から人の叫びが聞こえてくる。その通りに、進路方向上にもう一体のサベージが姿を現す。どうやら別の地点から上陸してきた個体が道路上に身を乗り出してきたようだ。よく見たら、先ほどの3体よりも一回り巨体で、明らかに別個体である事が解る。

 

「くそっ! こっちだ!」

「アキラ、行くわよ!」

 

 悪態を付きながら父さんが向かって左方向――無数の建物が建ち並ぶ路地裏へと走り、母さんが俺の手を引いて精一杯走り出す。俺自身も慌ててるのだろう、母さんに並ぶくらいの速さで走り出していた。路地裏に入ると、父さんが先導しながら抜け道を探っていた。

 

 

 

「・・・・・・っ、止まれ」

 

 100m以上は進んだ路地裏の分かれ道。先頭を往く父さんが静止を促す。左右に分かれた一本道を壁沿いから覗いて抜け道の先を見渡す。

 

「・・・・・・・・・よし、行くぞ」

 

 安全が解ったのだろうか、向かって左側の道を歩き出す。右方向へ行けば、恐らく路地裏に入る直前に遭遇したサベージが見えてくるのだろう。反対に先の海岸沿いにいた3体のサベージとは距離もある。となれば必然的に走ってきた道の逆方向へ戻る様に進めば安全性も僅かにだが高い。

 こんな状況でも冷静に分析している父さんは流石としか言いようがなかった。前世の父親では、こうはいかなかっただろう。

 

 ・・・・・・こんな時にこう考えるのは不謹慎なのだが、前世の両親は元気にしているだろうか。月日を重ね、今となっては薄れつつあるこの感情。自分たちよりも先立ったであろう親不孝者に怒り狂っている前世の両親に対して残った、唯一の心残りと後悔。

 自力で記憶し続けているだけの俺に何ができるでもないが・・・それでも、この今生での両親にだけは親孝行は絶対にしたい。いや・・・してやるんだ。絶対に。だからこんなところでくたばってたまるか! 絶対に家族全員で生き延びてやる!

 

 

「・・・っ、待て!」

 

 俺がそんな場違いな決意を固めていると、父さんが急な静止を呼びかける。抜け道の目の前で停止した父さんが顔を外の路上に覗かせる。俺も続き向こう側の様子を疑う。

 向こう側にサベージがいた。そうだよな。よく考えたら3体もいるんだよな。分散して行動するのはサベージにはよくある動きと聞く。ソースは父さん。

 

「分散してきたか・・・何とか見つからないように行きたいものだが」

 

 それは難しいな。サベージには頭部に触覚らしき器官がある。それで空気と振動を読んでいるのか、少しでも動いたらすぐに居場所がバレる可能性が高い。勿論父さんもそれには気付いているはずなので、ここは慎重に慎重を重ねて移動したいものだ。

 

「・・・! いや、待て。あれは・・・」

 

 と、そこで父さんが何気なしにサベージの頭上に目を向けた時、何かに気付いたようだ。角度からしてどうやら遥か上空からのようだが。俺と母さんも続いてサベージの頭上より高い位置にある方向へ目を向ける。

 

「あれは・・・人?」

 

 そう、遥か上空に人間らしき影が落下してきているのだ。その数は見た限りでは三人。更に目を凝らしてよく見てみると、影よりもさらに高い位置にヘリらしき物体が飛行をしていた。恐らくはあのヘリから飛び降りてきたのだろう。

 そして何故、影らしき人物はヘリから飛び降りたのか――その謎は、この世で生きとし生きる者全てが知る答えなのですぐに解けた。答えは簡単――それは彼らが"武芸者(スレイヤー)"と呼ばれる、唯一サベージと戦える存在だからだ。

 

 武芸者(スレイヤー)――彼らは専用のスーツを身に纏い、人が触れる事であらゆる形に姿を変える鉱石、《ヴァリアブルストーン》を用いて百武装とも呼ばれる《ハンドレッド》で武装してサベージと戦う唯一の存在。

 そしてヴァリアブルストーンが開発されて初めて運用された時期に当たるのが《第二次遭遇(セカンド・アタック)》。先に供述した"ある兵器"というのがヴァリアブルストーンという事だ。

 この時期を境に武芸者(スレイヤー)の名が瞬く間に全世界に轟いたと同時に、怪物によって脅かされていた地球侵略の危機に希望が見出されたのだった。そんな存在が人類にとってどれほどの光明だったのか、想像には難くない。現に俺が通う中学の中でも、何十人かは武芸者(スレイヤー)を志している生徒がいるくらいだ。それくらいに彼らの存在は大きいものだと言える。

 

「ん?」

 

 と、頭上から降りてくる(恐らくは)武芸者(スレイヤー)であろう人物たちに意識が向いていたせいで、"俺達の存在に気付いたサベージ"が口を開けて中の砲口を向けている――って!

 

「父さん!!」

「!! アキラ、母さん、逃げろ!!」

 

 俺の呼びかけでサベージがこちらに口を向けている事を知った父さんが叫ぶ。が、時すでに遅しと言うやつで、俺達の目にはサベージが口から黄色に輝くエネルギーの渦が迫っているのが映った。

 黄色の渦の奔流が迫る中、俺を庇うように両親が覆い被さる。しかし、それでも微かに空いた隙間から見える渦に目を離せず、俺達は黄色の渦に飲み込まれる――

 

 

 

 

 

「――――え?」

 

 

 

 

 

 ――筈だった。

 

 放たれた筈のエネルギーの奔流は俺達を吹き飛ばす事もなく、俺達家族の前に現れた"五つの赤い巨大な盾"によって遮られる。

 突如として現れた巨大な盾によってエネルギーはあらゆる方向へ弾かれ、俺達に代わって周りの建物が吹き飛ばされていく。

 やがて濁流の如く放たれていたエネルギーは収まりだし、放射が終わるとサベージはその口を閉じた。次いで、目の前にあった盾が五つに分散し、素早く頭上に舞い上がっていく。

 周りの風景も変わっていて、弾かれたエネルギーが建物を薙ぎ払い、クレーターや大きな穴が俺達の周りに出来上がっている。おまけに本格的にサベージの前に俺達家族の姿が晒されている状態。

 このままではサベージに襲われる――そう思った矢先だった。

 

 

「お怪我はございませんか?」

 

 

 そんな確認らしき言葉を掛けられ、俺と両親は声のした方へ顔を向ける。そこに居たのは、美女達だった――。

 

 一人は黒を基調としたスーツを纏い、右手にスピアのような黒く長い得物を、左手に上半身を覆い隠せるようなサイズの盾を持ち、腰まで届く髪を後頭部で一纏めに結った褐色肌の美女。

 もう一人は紫のスーツを着用し、右腕に巨大なガントレットのような防具を備えた、栗色のセミロングで赤い縁の眼鏡をかけた知的な印象を与える女性。こちらも褐色肌の人物と負けないくらいの美女だ。

 

 そんな人目を引くような彼女らよりも一際輝く存在が、目の前にゆっくりと降り立った。

 

 長い金髪を両サイドにツーテイルで纏め、赤いスーツを着用した女性。その表情は凛としていて、何処か厳しくもツンとした印象が見受けられる。その女性の周りには、先ほどサベージの砲撃を防いでくれた赤い盾が浮遊している。どうやらあの盾が彼女の得物らしい。

 

「その様子から鑑みるに、どうやら無事であることは確かなようですわね」

 

 こちらに向いた金髪の美女が微かに笑みを浮かべながらそう言う。俺はそんな彼女に見惚れていた。両親は何が起きたのか理解が追いついていないのか、呆気に取られている様子だ。

 ・・・というか、俺はやっと気が付いた。その美女達がどういった存在かを。具体的には生前からの知識で。

 

「まぁ怪我が無くて何よりですわ。そしてご安心を。ここからは私たちにお任せを」

 

 "彼女"がサベージに向き直る。次いで傍の2人もサベージに振り返る。

 

 

 

 

 

「私、"クレア・ハーヴェイ"とリトルガーデンが誇る選抜隊(セレクションズ)が、サベージを完膚なきまでに葬ってくれますわ」

 

 

 

 

 

 原作ヒロインの一人、"クレア・ハーヴェイ"と、武芸者(スレイヤー)育成機関であるリトルガーデンの生徒会副会長である"リディ・スタインバーグ"と"エリカ・キャンドル"。

 

 リトルガーデン最精鋭の三人が、眼前のサベージと相対した。

 




という訳で記念すべき序章1話目はこれで終了です。
2話目以降は完成次第上げていきたいと思います。
よろしければ感想や誤字脱字報告など、指摘して頂くと幸いです。
何分執筆初心者なので抜けているところも多いと思います。それと今後、本文中で視点切り替えがあるところも予定しております。読みにくいとは思いますが、仕様ですのでご注意を。
それではまた次回にて。
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