でもあんまり長いと読んでる方が負担だろうからと分割しました。
ちなみにサブタイに深い意味はありません。あくまでオリ主視点での感想なので流してください。
「昨日の
「エミール・クロスフォード、わたくし達は如月ハヤトに付き人になれと言っている訳でも、生徒会の掃除をしろと言っている訳でもありません」
エミールの向ける鋭い視線に対し、その場に現れた生徒会会長のクレア・ハーヴェイは向かい合ってそう答える。
俺は近づいて如月に状況を訊ねてみる。
「如月、どうしたんだよ、一体。いつの間にか生徒会長達がいるみたいだけど」
「あぁ、四宮。俺達もたった今会ったばかりなんだけど・・・」
汲んできた飲み水を渡しつつ訊ねるも、如月もどうしてこうなったのか分かりかねてる様子だった。いや、そこは当事者なんだからわかってろよ。
「・・・だったら、ハヤトをどうしようって言うのさ」
「クレア様は正式に生徒会直属の選抜隊――セレクションズのメンバーとして、如月ハヤトをスカウトしたいと言ってるのです」
あー、なるほどね。ちょうどクレア会長達が偶然居合わせた如月を勧誘する所だったか。さっきの父さんと母さんとのやり取りですっかり忘れてた。
今だに敵意を滲ませたエミールの雰囲気に答えるのは、クレア会長の横で沈黙していたであろうエリカさんだった。眼鏡を持ち上げつつ、彼女の言葉に続くように会長が繋げる。
「どうです、興味はありまして?」
「いや、興味って言われても・・・・・・。そもそも、生徒会直属の選抜隊ってやつが何をするのかもわからないし・・・・・・」
まぁ、如月の言いたいことも尤もだな。如月本人もまさか自分が
「
選抜隊についての任鵜内容を知らない如月の言葉に応えるクレア会長は、続けてさも当然のように付け加える。
「もちろん、武芸科に入学した時点でワルスラーン社に所属する一人の
小さく息を吸い、クレア会長ははっきりとした声で言葉を紡ぐ。
「ノブレス・オブリージュ。力を持つ者は、力が無き人々の為にその力を振るう。それは、当然の事である――と」
それ故に、クレア会長はセレクションズ入りをした者にはそれ相応の待遇を用意していると言う。
彼女の言う事も一理はある。俺や如月だって、その『力』とやらを手にしてしまっているのだから、既にその責任やらが生じてしまっている筈だ。
俺は一月前のリベリアで、サベージの攻撃からエリカさんを身を挺して庇った際に。「誰かの笑顔を守りたい」という、特撮のヒーローに憧れる小学生レベルの『夢』を叶える為に。
如月は、イベントのハンドレッド適正体験で触れてしまった為に。車椅子生活で日常生活も満足に行えない妹の治療をしてもらう為に。
経緯や目的は違えど、俺も如月もこの学園に通う者は皆自分の意思でこのリトルガーデンに来た。確実性は無いけれど、少なくとも今の現状からわずかでも前に進められるからこの地に降り立ったのだ。
ならば、昨日の一件でその力を多大に示してしまった如月が入学序盤で勧誘されるのも当然と言える。
それに関していえば、俺にだって同じことは言えるのだろうけど、昨日の
「あら、そちらに居られるのは・・・・・・四宮アキラと、ご夫妻ではないですか」
「はい。一昨日ぶりです、クレア様」
「本日も見目麗しいですわ、クレア様」
ん? なんでかナチュラルに挨拶交わしてるみたいだけど。父さん母さん、もしかしなくても俺より先に会ってる感じですか?
「お前と空港で別れた後、シャーロット博士の研究室より先にクレア様達のいる生徒会室へ赴き、挨拶を済ませていたんだ」
「アキラは入学式の準備があったから、保護者の私達から先にご挨拶に伺ったのよ。ここに入学できたのも、全てはクレア様達やシャーロット博士が働きかけてくれたお陰でもあるし、お礼を述べにね」
父さんと母さん曰く、そう言うことらしい。確かにここに入れたのは、誘ってくれたクレア会長達の働きによるものが大きい。俺は試験と面接を受けただけで、特にこれと言って大きな事をしていなかったのを思い出す。
やべぇよ・・・これじゃ、まるで昨日の
「・・・生徒会長」
「何ですの、四宮アキ・・・・・・何故地面に膝を付いていますの?」
「いえ、誠心誠意の謝罪を込めた土下座の準備をと思いまして・・・」
「前触れもなくそのようなことをされると困惑するだけなのですが・・・」
まぁそうなりますよね。
一応、何故俺がそんな行動をしようとしたのかという説明をした上で会長には理解してもらった。
「ーーそれでしたら、特に気にする必要はありませんわ。土下座するのはお止めなさい」
エー( ̄Д ̄ )と、俺がそんな顔をしているとリディさんからの睨み付ける攻撃! アキラは真顔になった!
そんなやりとりを知ってか知らずか、俺が真顔になると会長は言葉を続けた。
「昨日の決闘は本来日程を取り付けてから行うつもりでした。ですが、ノア・シェルダンと劉雪梅の遅刻を利用して、わたくしはあなた方を釣ったのです。お二人の力量を測るために、ですわ。あのような経緯でそうなりましたが、結果的に、わたくしとしては概ね満足したものと言えます。反応数値は歴代トップクラスの如月ハヤト。ハンドレッドを手にして一月余りでリディにあそこまで食らいついた実力を示した四宮アキラ。改めて、わたくしはあなた方の入学を歓迎致しますわ」
「は、はぁ・・・どうも」
「さいですか・・・」
俺としてはあんまり満足してないんですけどね。結局負けたし。こんなんじゃ・・・・・・満足できねぇぜ。(輝いてた頃の満足先生感)
微妙な表情を浮かべる俺と如月に対して、会長は「ですので」と続く言葉を口にする。
「如月ハヤト。加えて四宮アキラ。わたくしは、あなた方を選抜隊──通称、セレクションズにスカウトしたいと思っておりますの。先程は如月ハヤトのみでしたが、わたくしは四宮アキラもスカウトすべきだと考えております」
「俺にも、ですか・・・・・・それは何故ですか?」
「わたくしの私見もありますが、敢えて言うならリディがそう進言したからですわ」
は? マジで? あの副会長が? なんで?
俺が疑問符を浮かべる中、一歩前に出たリディ副会長は真剣な表情で俺に言葉を掛けてくる。
「四宮アキラ。昨日の試合は見事だった。最初こそは実戦経験もない素人がと思っていたが、蓋を開けてみれば貴様の戦いぶりは中々のものだ。結果こそ残念なものではあったが、処分対象だったノア・シェルダンと劉雪梅に対する貴様の心遣いは本物だ。故に、わたしは貴様のその『思いやり』に報いるべきだと判断し、不躾ながらもクレア様に進言したのだ」
「それがスカウトの話に繋がると?」
「その通りですわ」会長が引き継ぐように前に出て、リディ副会長は一歩後ろに下がる。「あなたも如月ハヤトもまだまだ武芸者の卵になったばかり──武芸科に入った者なら誰にでも言えることですが、これから次第であなた方は更なる飛躍が望めますわ。まだ発展途上ですが、わたくしとしてはその力を是非とも世界の為、守るべき人々の為に振るってほしいと願っております」
それこそが、『力ある者の使命』です──そう締めた会長が、今度は手を差し伸べてくる。その気があるのならこの手を取れ、と。
言外にそう物語る表情と行動を読み取れない俺と如月ではなかった。互いに顔を見合せつつも、"力を持ったが故に入学を決意した"俺が、如月よりも先にその手を取ろうとした──その時だ。
「ちょっと待った!!」
後ろからストップの声が掛かった。その高い声帯と前世から聞き覚えのある、大久○留美な声の主のいる方向に振り向いた。
「君達がハヤトやアキラを誘う理由はよくわかったよ。だったら僕もそのセレクションズとやらに入れてもらおうじゃないか!」
言わずもがな、先程から蚊帳の外状態だったエミール・クロスフォードが、無いようである筈の胸に手を当てて「自分も隊に加えろ」と強要してくる。ん? 待てよ。この場合『ある筈の無い胸に』と言った方が正しいのか? それとも『あった筈の無い胸に』と言えばいいのか? あれ、どうすればいいんだ?
「突然何かと思えば・・・・・・残念ですが、それは出来ない相談ですわ。エミール・クロスフォード」
「なんでさ。実力を示したハヤトやアキラは良くて、僕は駄目って不公平じゃないかい?」
「公平不公平の問題ではありません。セレクションズへの加入には、サベージと対等に戦える者、もしくはそのサポート役を十全にこなせる者でなければ」
自分も入れろと抗議するエミールに対し、会長がそれは出来ない事と理由を述べるものの、エミールは諦めきれずに食って掛かる。
「それなら当然二人にも当てはまる事じゃないか! 結局は君達の都合で二人を側に置いておきたいだけだろう!」
「お二人は昨日の
「ぐっ・・・・・・それは・・・・・・け、けど! それなら僕だってハヤトに次いでハンドレッドの反応数値は高いよ! アキラよりかは高いし、実力だって、少なくとも僕のほうに分がある! それだけでも僕も入れたほうがそっちの利になる筈だよ!」
「利になるかどうかでもありません。確かな実力も必要ですが、一番重要なのは志のほうですわ。如月ハヤトはまだよく存じておりませんが、四宮アキラは一月前に力を持ったが故に、それを正しく振るおうと決意してこのリトルガーデンに入学してくれたのです。そして、それは昨日の決闘で証明していただきましたわ。故に、わたくし達は彼を加入させるに足ると判断したのです。今のあなたに、それほどの志がおありですの?」
「あぁ、あるさ! サベージの討伐が大事だって事は十分に理解してる。けど、僕は僕自身の気持ちでこのリトルガーデンに来たんだ! それでハヤトがセレクションズとかいう部隊に入れられると言うのなら、僕も入って共に戦うよ。それなら一緒の時間を削られずに済みそうだし、何より戦力は大いに越した事はないだろうからね!」
「呆れましたわ。ほぼ個人的な理由からではないですか。そんな理由でセレクションズ入りを志願されましても、たとえ武芸大会で他の方より優秀な成績を示したとして、加入を認める訳にはまいりませんわね」
まぁ確かにエミールは個人的な理由でここに入学した訳だしな。体内に流れる"アレ"絡みな意味もあり、如月に対しての気持ちなりも合わさって、ね。
「でも、要は僕がその実力を示せればいいってことだよね」
「あなたは何を仰りたいのかしら?」
「それなら僕は会長に
まぁた
原作の展開からして大方そうなるだろうとは思ってはいたけども、ここまで予想通りだと一周回って笑えてくるな。笑いは笑いでも苦笑いだけど。
「残念ですが、あなたからの
「なんでさ?」
「
さてここで捕捉──基本的に人のエナジーには限りがある。それを全快させるには最低でも一週間もの長い時間を要するのが通例となっており、その間はどんな理由があるにせよ、在校生及び新入生に関係なく、
もしそんな校則が無かったと仮定して、連日
おまけにリトルガーデンは武芸者を育てる教育校ではあるが、基本的に要請があれば出撃する事もあるのだ。現時点でこのリトルガーデンの主戦力である会長達生徒会の面々においそれと勝負を申し込めないのが実情だ。
だから、校則としてそういう制度が設立当初からあるのだと、会長が言う。
「それなら会長以外の人と戦えばいいだけの話じゃないか。昨日は会長と副会長の二人がやったんだし、もう一人の副会長が相手してよ。そっちはいつでも万全の状態みたいだしさ。その方がフェアでしょ」
と、そこで良い案浮かんだと言わんばかりに輝かせた表情を浮かべながら、エミールがそう提案した。
いやいや、流石に強行にも程があるだろうがそれは。原作ではここでエミールの矛先はリディ副会長に向いていたのに、昨日の
仕方ない、ここは出張るか。
「いや。少し待てって、エミール。昨日の騒ぎの当事者な俺が言うのもなんだが、さすがに連日で
「いいやッ! 「限界」だッ! 僕は副会長に決闘を申請するねッ!」
「おい誰も振ってねぇだろ! 唐突に吉良化すんじゃねぇよッ!」
ネタ挟むくらいならもう少し冷静になれよ。いきなり過ぎてついツッコんじまったじゃねぇか。
「ともかくとして! 副会長は僕と
そう前置きするや、エミールは胸元から赤い鉱石・・・彼専用のハンドレッドを取り出した。
「
展開の起動コードを口にすると上に放り投げられた鉱石が青い光を放ちながら分解、微粒子状のエナジーが彼の体を包むようにして収束していく。光が収まると、彼の両手足に白の手甲や具足が備わり、周囲に同じ色をした六つの浮遊物体が展開された。
「こんな風に、今すぐにでも始められるよ」
「あなた、どうしてハンドレッドを所持して・・・」
突然すぎて事態を数瞬遅く理解した生徒会一同が驚きを露わにする。それを見ていた如月も「何でこんな事に・・・」と頭を抱え、その唯一の肉親である妹さんは事態をうまく飲み込めきれずに生徒会の面々とエミールを交互に見ていた。
ついでに言うと、俺の両親はいたって冷静だ。父さんなんかは興味深げにエミールのハンドレッドを凝視しているし、母さんは「あらあら、綺麗ねー」と呑気に感想を述べている。こんな二人を見ていると、俺自身本当にこの二人の子供なのかと疑問に思えてくる。正直に言ってここまで原作改変が起こるなんて夢にも思わなかったからか、如月ほどではないにしろ今すぐにでも頭を抱えたい気分だった。
「その話はまた後でね」
「おい、まだ俺もセレクションズってやつに入るって決めたわけじゃないんだし、やめろって!」
「・・・ごめん、確かにちょっと熱くなり過ぎたかも・・・」
如月の宥めるような言葉に漸く冷静さを取り戻し始めたエミール。ナイスフォローだ、如月。これで後は交渉にでも・・・。
「・・・・・・いいでしょう。その申請、承諾します」
「ハァッ!?」
おいおいおい、これはちょっと予想外だぞ。まさかクレア会長に崇拝に近い感情を持ち合わせるエリカ副会長がまさかそんなあっさりと。
「エリカ。不用意に申請を承諾するのはよくありませんわよ」
「クレア様……申し訳ありません。ですが、エミール・クロスフォードのハンドレッド、わたしとしてはどうしても気になるのです。それに・・・」
「それに?」とオウム返しで訊ねるクレア会長にエリカ副会長が答える。
「ここまでされて今更引き下がられるなんて、生徒会副会長の一人として見過ごせません。クレア様、どうか
「・・・・・・・・・仕方ありませんわね。いいでしょう。リトルガーデンの生徒会長として、この
長い思案の末、現時点で二人の
「なぁ、四宮。あれ、このままにしといて良いのか? さすがにカレンやお前の両親がいる傍でなんて・・・」
二人の対決が開始される中、如月は小声で俺に耳打ちをしてくる。のだが・・・。
「サァ、モウイインジャネ・・・」
「し・・・四宮? なんか、何かを悟ったような目になっている気がするんだけど・・・」
「キノセイジャネ・・・モウ、ナンカ、コウ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・メンドクサクナッタ」
もうどうにでもなれや。連日で起きる原作改変なんぞどうやったって処理しきれないことを悟った俺は、半ば投げやり気味に如月にそう返した。
もう起きてしまったことは仕方のないことだ。ここは穏便に済ませてもらうしかない。幸いにも、まだクレア会長とリディ副会長は冷静そのものだ。もしやばくなったら、二人のうちどちらかが止めに入るに違いない。・・・決して面倒くさくなってもう割り込みたくないと思ってなんかいない。ほ、本当なんだからね!?
俺は先ほどまでいた席に腰かけ、まだ食っている途中だったモノに目を向ける。
あ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アイス溶けてらぁ。ショック。
今回何度決闘と打ったんだろう…?
次回も未定です。
追伸。三の丸さんへ。誤字報告ありがとうございます。修正しました。