ハンドレッド―とある転生者の奮闘記―   作:konvoi

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 お久しぶりです。2ヵ月ぶりですね。

 9話目にしてはかなり短めです。今回はオリ主が原作主人公と一緒に決闘する事になった要因とのやり取りです。脈絡もなくてかなり突拍子もないです。オリ主もたいして行動していませんので今回は見ている方々からしたら面白くないかもしれません。

 それでも良いという方はどうぞ。

 なお、サブタイに意味はありません。


原作と違う展開に向かったと思ったら、原作撮りの展開に進んでいた。な、何を言ってるのかわからねぇと思うg(ry

 リディさんとの決闘(デュエル)が前日となっていた翌朝。どうやらあのまま決闘(デュエル)の疲れとかで爆睡してしまっていたらしい。気が付けば朝方の8時を過ぎていた。小鳥のチュンチュン具合がそれを示している。

 だが今の俺は昨日晩飯を食ってないから腹の虫が喧しい。グギュルルルとかグボボボボとか鳴りっぱなしでとにかく喧しい。後者は何か違う意味な気がしなくもないがわりとどうでもいい。問題はどうやってこの腹の虫を鎮めようかと悩むうち、昨日部屋に戻った際に落とした上衣を拾って胸ポケットに仕舞っていたPDAを手に取った。

 おっと、どうやら俺が爆睡していた間に全校生徒に向けての通知が発信されていたらしい。何せここに来て初めての通知なんでどんな内容なのか楽しみだったりする。さーて、どんな内容かなー、と♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ノア・シェルダンと劉 雪梅(リュウ・シュエメイ)の放校処分の撤回について』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なん・・・・・・だと・・・」

 

 目を疑う文面を見て、俺は思わず目を擦ってもう一度文面に目を通す。

 

『ノア・シェルダンと劉 雪梅(リュウ・シュエメイ)の放校処分の撤回について』

 

 一度目と変わらない文面に多少の動揺を覚えつつも、俺はその文面に続く字面に目を通す。

 どうやら昨日の決闘(デュエル)結果は俺の後に続いたクレア会長と如月の決闘(デュエル)は原作通りに進み、引き分けとなったようだ。

 決闘の最中に如月が『全身武装』をしてみせ、対するクレア会長も同じく『全身武装』で対抗。開始前にクレア会長は自身に「全身武装はしない」という追加ルールを設けるもそれを破り、結果は原作通りに進んだようだ。

 

 ここで脚注を加える。『全身武装』と言うのは自らのエナジーを一気に解放し、通常の物よりも武装を強化した状態の事を差す。最初にハンドレッドを展開した状態の事を『単純武装』と呼び、たとえ見習いから抜け出せても基本的にここから始まるのは言うまでもない。

 全身武装の力は強大だけど、肉体にかかる負担も大きくて長い間使用できないのが難点。端的に言えば「切り札」とも言える。

 

 原作では会長と如月の一騎打ちだったのが俺と言うイレギュラーが加わったせいでリディさんと戦い、俺は敗北という残念な結果に終わった。が、それがどうして二人の放校処分の撤回となったのだろう。

 あの時、クレア会長は言った――「"二人"が敗北以外の結果なら、処分を考え直す」と。だが結果は俺が敗北した事で再考の余地はなくなった筈だが・・・如月がいたからなのか? 問題はそこか。やはり原作主人公だからか?

 

「・・・・・・・・・・・・・・・クソ、訳が分からん」

 

 俺の存在で原作と多少は違う道筋に進んだ筈なのに、結果は原作と同じ展開に・・・これでは俺の戦い損じゃないか。別に俺も巻き込まれに行く必要もなかったんだ。あのまま傍観を決め込んでいたらそのまま・・・・・・いや、俺自身が選んだ道だ。今さらどうこう言うのも筋違いだな。

 この件についてはもう考えるのを止そう。もっと根本的な部分が解明できない今、この場で考えてても仕方のない事だ。

 とりあえず今は腹ごしらえだな。食堂はもう開いていた筈。昨日から制服着たままで寝ちまったから、シャツがしわくちゃだ。替えのシャツはあるから良いとして、さてジャージは何処か・・・お、ベッドの下の収納スペースに仕舞われてる。まるで実家の俺の部屋みたいな配置だ。まぁただの偶然だろうな。気にせずこれに着替えよう。

 

 ★☆

 

 ジャージに着替えた俺はPDAをポケットに仕舞いながら部屋を出る。

 よく考えるとルームメイトである筈のフリッツがいない事に今更気付いた。窓際のベッドは多少の皺が残っていたから、多分俺が寝ている間に帰ってきていたのだろう。

 あいつめ、どうせ帰ってきてたのなら起こしてくれても良かっただろうに。・・・まぁ、昨日が初対面だったのだから、遠慮したのは考えなくともわかる事だけどさ。俺の数少ない友人なんかは平日休日祝日に関わらず実家の俺の部屋に向けて「突撃!隣の朝ごはん!」とか言って図々しくも朝ごはん要求してくるついでに朝起こしに来るんだぞ。別に家は隣同士じゃないけども。そんな度合いで朝起こしてくれてもいいんだZO☆・・・いや、やっぱ無理だわ。あいつのような存在が二人いるとか考えただけでも欝々としてくる。正直そんな毎日から解放されてスッキリしているのだからこれ以上は勘弁願いたい。わりと切実に。

 

「アキラー! こっち来いよー!」

 

 と、そんなどうでもいい事を考えながら食堂に着くと、俺の到着に気付いたルームメイトことフリッツが離れた所から声を掛けてくる。

 大声だったせいか、食堂にいた殆どの生徒が一斉に俺に向けて視線を向けてくる。一瞬だけビビったが、別にビビるほどの変な眼差しを向けられた訳じゃないので悟られずに持ち直す事ができた。そんな視線の中を悠然と進んだ俺は同じジャージを着込んだフリッツと、同席となっていた如月とエミールに向けて朝の挨拶を交わす。

 

「おはよう、3人とも」

「おはよう、四宮」

「アキラおはよー」

「おはよーさん、昨日はよく眠れたみたいだな」

 

 3人がそれぞれに挨拶を返してくれる。朝って感じがするね。

 

「事が事だからな。さすがに気張り過ぎた」

「お疲れ様だね。何はともあれ、元気になってくれて良かったよ」

 

 エミールが心配してくれたような体で言葉を掛けてくる。そこまで落ち込んでるように見えたのか、決闘(デュエル)後の俺ってば。それはちょいと気恥ずかしいな。

 

「つうか俺としては処分撤回についてが一番気になってる所なんだけどな」

「あー、あれな。俺も通知が届いて見た時は驚いたさ・・・ていうか、多分殆どの生徒が同じ反応したと思うぞ?」

 

 だろうな。さっきから他の生徒からの視線をずっと感じているけど、それはきっと昨日の決闘(デュエル)の当事者である俺や如月に向けてのものだと思う。ぶっちゃけ視界に映るその他大勢の生徒からのチラッチラしてくる様子がウザったいったらありゃしない。

 

「ま、何はともあれ無事に済んで良かった。あのままじゃ二人が可哀相だったからな。四宮だってそう思うだろ?」

「ん? そうだな」

 

 如月の言う通りだ。いくら撤回の理由が思い至らないとしても、どんな理由があったにしろ2人が無事で済んだなら言う事はない。

 俺は同調しつつ遠く離れた位置にある広いテーブルの上にあるサンドイッチに目を向ける。もうお腹が空いて力が出ないから返事のボキャブラリーも欠いている。お、照り焼きサンド発見。

 

「・・・さっさと取りに行って来いよ」

「良いのか? んじゃ遠慮なく」

 

 フリッツからGOサインをもらったので俺はなるべく早足で目的の物を取りに行く。

 

「へー。これは中々」

 

 そこには色とりどりのサンドイッチが並んでいた。

 タマゴにツナ、野菜にカツと、コンビニとかでよく見る代わり映えの無い品々だが、よほど丁寧に作られているのか素人目から見ても中々に綺麗だった。使われているパンもよほど素材の良いものだろうからそれも当然だろうけど。

 これを作った人は相当腕の立つ人なんだろうなぁ。俺も人並みに料理はできるけど、流石にここまで綺麗なサンドイッチは出来上がらない。これからそれを食そうとしている事に引け目を感じなくもないが、むしろこれらを食さないこと自体が許されない事であって自然と手が伸びていくのは当然の事なのだ。ただサンドイッチを取るだけなのに何を躊躇しているのかねぇ、俺は。

 腹を空かせ過ぎているせいか、自分でも何を考えているのかわからなくなってきた。おのれ、腹の虫めが。すぐに満足させて黙らせてやるからよぉゲッヘッヘッヘッヘ。

 

「ねぇ君。さっきから突っ立っているだけみたいだけど、取らないのかい?」

 

 ふと声を掛けられ、俺は反射的にそちらに振り向く。

 そこには短い金髪のちょいと小太りな少年が立っていた。俺の着ているジャージと同じものを着込み、ふくよかなその体型はあまり武芸者(スレイヤー)らしくないと感じる。彼の手には一枚のトレイが乗っていて、これからおかわりでもするのだろうかサンドイッチを取る気満々だった。て、俺が邪魔で取れないのか。

 

「すまん。邪魔をしていたみたいだな」

「平気だよ、サンドイッチは逃げないからね。たしか君は四宮って言ったっけ? 昨日副会長と決闘(デュエル)していた。僕は同じ武芸科の一年で、名前はアルフォンス・ブリュスタット。フランソワ王国出身さ。これからよろしくね」

「ああ、ブリュスタットだな。知っての通り、俺は四宮アキラ。出身は皇国ヤマトだ。こちらこそよろしく」

 

 ブリュスタットから自己紹介交じりの握手を求められ、俺も改めましての意を込めた自己紹介で握手で返す。原作キャラとの邂逅はこれで何人目だろう? ぶっちゃけ数えてないけどな。

 

「昨日はすごかったね。まさか生徒会の副会長とあそこまで張り合える人がこの一年の中にいたなんて思わなかったよ。周りの生徒達も釘付けだったよ。結果は残念だったけど、まぁ相手が相手だからね。敗北は仕方ないよ」

「そうだな。俺自身もそう思う」

 

 昨日の決闘(デュエル)を観客席から見ていたブリュスタットがそう感想を述べて、その当事者である俺は短く端的に返した。そこまで張り合えていたか? むしろ原作知識があった上であんな戦術を取ろうとしたんだけど・・・結果は散々だったからなぁ。結局俺程度の実力じゃ熟練者の足元にも及ばない事が身に染みてよくわかったし、これからはあまり逆らわない方針でいこうと考えてます。ひと、これを負け犬思想と言う。

 

「まぁ、それよりもあの二人が処分にならなかったのは奇跡だね。やっぱりあの歴代1位君のおかげなのかな?」

「如月の事か?」

 

 ブリュスタットの呟きに俺は訊ねる。「そうだよ」と頷きが返されつつ彼は言う。

 

「君と副会長の決闘(デュエル)の後、あの歴代1位君が我らが会長、クレア様と戦ったじゃないか。君は見てなかったの?」

「・・・まぁな。リディさんとの戦いで疲れてて、終わったら部屋に戻ってた」

「そっか。いやぁ、見物だったよ。何せ初めての戦闘で彼が全身武装をしちゃうんだもん。君と副会長の戦いが霞んで見えちゃうくらいに」

 

 そら当然だわ。何せ俺と副会長はまだ全身武装なんかできないからな。俺の全身武装はいつ開花するのだろう。ていうかあるのか?

 

「それに開始直後のあの事故と言ったら・・・羨ましいったらないね。開始早々クレア様に突っ込んだだけじゃなくてその手で・・・ハァ、ハァ」

「あーわかったわかった。だいたい察したから」

 

 俺の静止する言葉に「そう?」と首をかしげるブリュスタット。どうやら俺の存在があってもなくても如月のラッキースケベイベントは滞りなく進むらしい。ブリュスタットの鼻息が荒々しくなった様子を見てこれから先に起こるあいつのラノベ主人公体質にため息を吐きたい気分だ。てか欲望が丸出しなんですがブリュスタット君。

 

「それじゃ僕は戻るから。またね」

「おう。またな」

 

 色欲よりも食欲の方が勝ったブリュスタットが目的の物の収穫を終えると自分が座っていたであろう席に戻っていく。さて、俺も目的の照り焼きチキンサンドを、と・・・ん? あれ、見当たらない。さっきまでここに二つほど残ってたのに。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・ハッ! まさか!」

 

 俺は慌ててブリュスタットの姿を探す。やがてその姿を視認すると、幾つかのテーブルの向こう側に居座っていたブリュスタットが両の手に照り焼きチキンサンドを1つずつ握っていて、それを交互に味をかみしめるように食していた。

 おのれ、ブリュスタット・・・せめて一個ずつ食えやッ!!

 

 

 

「お、戻ってきたか。て、どうしたんだ。なんだか恨めしそうな顔をしているが」

 

 いくつかのサンドイッチをトレイに乗せて席に戻った俺の様子を見て、フリッツがそう訊ねてくる。そりゃ一番食べたかったものをいつの間にか盗られてたなんて事になれば、そんな顔にもなるさ。

 

「あぁ・・・ちょっと仕返ししたい奴ができてな」

「朝食を取ってくるだけなのに仕返ししたい奴が出来たって物騒過ぎない? いったいどんな子なのさ?」

 

 そうツッコミを交えて訊ねるエミールだったが、生憎とそれを答えようにもそんな気分にならない俺にはどうやったって答える事は出来ない。うん、大人げない事は重々承知している。でもやっぱり見た目も中身も十代なんだもの。そういう気持ちになったって仕方ないよね。推定精神年齢20代相当の転生者が何を言ってるなんてツッコミは無視だ無視。

 

「ちなみに仕返しってどんなの?」

「生クリームに大量のイクラを投入してそれをサンドイッチにして馳走させてやる。そして中身が悟られないようにカットした苺で誤魔化しつつ「苺サンド作ってみたからこれ食べてみ」と言って奴に一泡吹かせてやる」

「物騒と思ったけどやってる事が悪辣な嫌がらせにしか聞こえない件」

 

 食ってる側からしたらただのフルーツサンドかと思ってたらまさかの魚卵サンドで、歯で噛んだ瞬間に破裂すると同時に生クリームの甘さと組み合わさって何とも形容し難い味になるだろうけど悶絶する姿は実に必見だろう。ヤバイ、今から楽しみになってきた。ん? 『器量の小さい男』だって? 自分でもそう思うから言わないで。

 

 ★★

 

 朝食を終えた俺達は食べている間にそれぞれ今日の予定を口にしあってから、やはりと言うか別々に行動した。

 フリッツはサンテミリオンに誘われて闘技場(コロシアム)へ。そこで上級生が模擬戦闘をしているから見学に行くという。

 如月はエミールに誘われて繁華街(セントラル)を見て回るようだ。エミール曰く「ハヤトとデートが、したいからぁ~」だそうだ。別にどこぞの韓流スターっぽく言った事に他意はない。

 しかしその前に如月は昨日から風呂に入っていなかったそうで、まずはシャワーを浴びてからエミールと合流する予定のようだ。つい先程別れた。

 俺も俺で今日はしたいことがあるから皆とは別行動になる。だから今はジャージ姿のままだ。

 皆と別れてから、俺は一人、誰もいないであろう訓練場へと来ていた。誰もいないと思ったのは今日が日曜日だからだ。このリトルガーデンにいる時点で普段は学業と訓練の毎日だ。平日の学業を終えてもその後は直帰と言うのが通例だから、今日のような休日にしか遊ぶ時間はないだろうからな。

 そろそろ繁華街(セントラル)のお店も本格的に開業をするだろうし、多分訓練場には今の時間帯に人は居ない筈だ。

 

 訓練場に到着してみると予想通り、俺以外に訓練場に来ている人はいなかった。電気も消灯されたままだった事からするに、この感じだと今日は俺以外には誰一人としてここに足を踏み入れてないようだ。

 

「ま、誰もいないならやりやすいからいいけどな」

 

 誰に言ったでもない独り言を口にしつつ、俺は倉庫に向けて歩を進める。

 

 さて、これから俺は一人で訓練に励むつもりだ。その為に倉庫に施錠されている鍵を手に持ってここに来た。

 実は皆と別に分かれた後、俺は教員室へと訓練場の使用許可と施錠された倉庫の鍵を借りてきていた。こんな朝から珍しいみたいな視線を向けられたが、やって来たのが昨日起きた出来事の中心人物の片割れである俺と知るや、その場に居合わせた教員らは何故か妙に納得したような顔で申請を受理してくれた。何を納得したんだか。

 

 そうして訓練場の倉庫を開けた俺は、管理されている良質な素材で作られた木製の武具数種を手に訓練場の端に併設されているベンチに持って行った。

 取り出した武具は昨日俺が模造した武具、もしくはそれに限りなく近い形の物だ。

 左右一対の双剣、聖剣に見立てた両刃の長剣、先端に短剣の付いた長槍、それから巨大な刃の付いたクラッシャー型が使うであろう大剣と普通の木刀。

 これらを使って、俺なりの戦術プランを練りつつ型の練習と習熟に取り組む。俺のハンドレッドは数種類の武具を模造して戦うのが基本だから、こうやってエナジーを使わないで取り組むのが最も効率的だ。要はにぼしやサプリメントなどの通販商品を好むツンデレ型勇者が浜辺でやっている事を真似しているだけに過ぎないが。にぼっしー。

 それに何よりも、フランソワ王国で俺にエナジーの扱い方を教授してくれた【彼女】からの言いつけという意味もある。尤も、言われなくても元から励むつもりだったけれど。

 

「まずはこっちからやってみるか」

 

 迷わず双剣を手に取る。模造できる中でも双剣が俺にとっての初期装備であるがゆえに、最初にこちらの習熟に励むのも普段の日課だ。

 上衣のジャージをベンチに脱ぎ捨て、双剣を手に訓練場の中心に移動する。

 まずは肩の力を抜いて脱力する。得物を掴む力はそのままに、体はいつでも動き出せるよう意識を集中させる。

 

 イメージするは昨日の決闘(デュエル)相手だったリディさん。あくまでイメージの中の存在だから昨日の彼女の動きをトレースさせてその動きに対処できるよう体を動かす事で準備運動を兼ねる。

 まずはランスで突いてくるイメージを反映。それを両手の双剣で受け流しつつ横にずらし、両手の剣を返しながら斬りかかる。イメージの相手は避けて距離を取る。俺は大股で相手に接近しながら斬り返した左手の剣でもう一度斬りかかる。

 前面に出した盾で剣を防がれるも、無理に攻撃せずに相手の懐に潜り込む様に左側に飛び出す。一瞬遅れて相手も地面を蹴り上げて距離を離し、その一瞬を見逃さず、俺は右手の剣を振りかぶる。まだ刃の届く位置だから振るったが、直前で構え直された盾で二度も追撃を防がれた。惜しい。

 距離を離した彼女は地面を踏みしめるとともに俺に向けて吶喊、勢いを乗せた鋭い刺突を繰り出してくる。俺は身を屈めながら左手の剣を振り上げランスを打ち上げるが、反対の盾を用いて縁で殴り掛かってくる。昨日はこれで腹を思いっきり殴打されたから、今回は剣を逆手に持ちながら盾にして殴打を防ぐ。

 防いだ剣で盾を弾き、反対に持った剣を弾いた際に動きの遅れた相手の胸元目掛けて突き刺し――そこで止めた。

 

「・・・・・・・・・・・・やっぱり実体でないと実感が湧かないな。こう、質量とかいろいろと」

 

 ヴァリアブルストーンを持ってから一月も続けてやっている事とはいえ、やはり一戦しただけじゃイメージに反映する事は出来ないようだ。今までは【彼女】が何戦も相手をしてくれたこともあってイメージに反映させやすかったけど、他の相手となるとそれなりの回数を重ねなきゃ安定してイメージできないのを改めて痛感した。イメージしろ!(出来ない)

 

 

 

「あれ? 四宮さん?」

 

 

 

 もちっとマシな動きをイメージできないか頭を捻っているうちに、ふと声を掛けられる。

 

「こんにちはです!」

「おはようございます!」

 

 訓練場にやって来たのは生徒会の二人と決闘(デュエル)する事になった要因である件の少女達――ノア・シェルダンさんと劉 雪梅(リュウ・シュエメイ)さんだった。その二人の出で立ちは、昨日までの制服姿ではなく、俺が今着ているのと同じジャージだった。

 

「おはよう、二人とも。朝から元気だな」

「はい! 昨日の夜に処分撤回の通知が来て二人してもう吃驚しすぎで!」

「ここに残れたのも、如月さんと四宮さんが頑張ってくれたお陰です! 本当に、ありがとうございましたっ!」

「あっ、わたしからもお礼を言わせてください。ありがとうございました!」

 

 わたわたしながらも揃ってお礼の言葉を述べてくる二人だったが、ぶっちゃけると俺は何も出来なかったのと同じことなので感謝されるいわれは無い筈だ。むしろここで「あー、昨日あれだけ大口叩いてたくせに結局ボロ負けした人じゃないですかー! 如月さんにおいしい所を全部持ってかれた可哀相で痛い人じゃないですかー!」とか言われても可笑しくないのに。・・・自分で言ってて悲しくなってくるのは気のせいだそうに違いない。

 

「いや、俺はボロ負けしたから礼を言われる資格はないよ。むしろ礼なら如月に言った方が・・・彼も二人の処分撤回には安心していたし。何より彼のほうが一番頑張ってくれたんだから、ね?」

「いいえ、"お二人"がわたし達を庇ってくれただけでなく、生徒会の方々と戦ってくれたから、わたし達は今もこうしてここに残り続けていられるんです。そんな人達に感謝しなくては恩知らずというものです!」

 

 雪梅さんの言葉にうんうんと頷くシェルダンさんが続けるように言葉を紡いでいく。

 

「四宮さんがあの時、生徒会長に反論してくれなかったらわたし達はこの学校を去っていました。もし、実際にそうなっていたらと思うと後悔しかなくて・・・だから! これからは自分達の行動は自分達なりの責任をもって取り組もうと劉さんと誓いました! ですから、このお礼はわたし達なりのケジメと言いますか・・・」

 

 なるほど・・・要は遅刻とか同じ失敗を踏まないよう、色々と努力しようってわけか。・・・合ってるよね? まぁいいや(自己完結)。

 この子達も原作ではちょくちょく出てくるだけで、特にこれと言った活躍もなかったしな。・・・こういう努力しようって気張ってる子を見るのはいつ以来だろうか。少なくともこの今生ではあまり見なかった記憶がある。今も恐らくは俺の実家の地元近くから普通科の高校に通っているであろう友人達に思いを馳せる。努力しなくても平均以上の学力は元から備わっていた連中だったからな、努力の努の字も頭からすっかり抜け落ちてしまっていた気が今更ながらしてしまう。

 俺はと言うと自分で言うのもあれなのだが、努力はしているつもりでもあまりその実感が湧かなかったりする。現在進行形の形で。今こうして鍛練を行っているのも自分なりに努力しているつもりなのだが、やはり複数の武器を使いこなすのは困難を極める。

 

 話が逸れた。兎も角として、これから精進していこうとしている彼女達を応援していきたいと思うのも俺にとっては滅多にない事だから、偶には良いかもしれない。

 だから――

 

「そうか・・・ありがとう。じゃあさ、お礼ついでに一つ、お願いを聞いてもらってもいいかな?」

「あ、はい!」

「なんでしょう!?」

「――俺の鍛練に付き合ってくれない?」

 

 ――目の前にいる、これから努力をしていこうと意気込む彼女達に、これくらいの事は要求しても罰は当たらないよな。




 と言う訳でちょっとしたオリ主の鍛練模様と原作キャラとのやり取りでした。後者の2人はヒロインという訳ではないんですが、基本的にオリ主は彼女達と仲良くします。ヒロインは別にいます。本編のわりと最初から既に出てきています。さて誰でしょう。
 それにしてもオリ主が朝起きてからまだ二時間も経っていないんですよね、これ。

 何気に始めての一万字以下で自分自身驚いています。こういう短い話を一度書いてみたかったんです。これからもこういう短めの文書を書けるといいなー、と思っています。

 次回は場面を変えてまた別の原作キャラと会う回を予定しております。ぶっちゃけ今回の話の時点で会わせなきゃいけない原作キャラもいたので。(決して忘れていたとかではないです)

 それでは、良ければまた次回でお会いしましょう。
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