IS学園に入学したので皆に眼鏡をかけてもらいたい   作:陽夜

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投稿が遅くなりまして大変申し訳ございません(土下座)。私事情ではございますが少し忙しい日々を送っていたので、空いた時間にちょっとずつ執筆を進めていました。

まぁ作者の日常はどうでもいいですかね。早速本編にいきましょう。


8.クラス代表ではなく眼鏡っ娘をかけての戦い

 

 

『前方にISを確認。敵性と判断。これより操縦者が装着している眼鏡に敵機からのエネルギー反応を表示します』

 

オルコットさんがライフルを僕に向けて構えると、さっきの束さんの声とは違う普通の機械音声が流れ始めた。そして少しずつ僕の視界がほんの少し緑がかった景色に変化していく。これで相手からの攻撃が見えるようになったのかな。

 

「(えっと、とりあえず武器の確認をーー)」

「はっ!」

 

 

ビュンッ‼︎

 

 

「うわぁっ⁉︎あ、危なっ…!」

 

咄嗟に横に動いてなんとか躱す。な、中々に怖いね、ビームが飛んでくるっていうのは。軌道の表示がなかったら絶対避けられなかったよ今の。完全に油断してたから。

 

「運良く避けましたわね」

「あの、オルコットさん?此方は初心者なので、最初はゆっくりと戦いを進めて頂けるとありがたいのですが…」

「勝負において手を抜くことはこのセシリア・オルコット、断じて致しませんわ。貴方も男ならば真っ向から立ち向かってみなさい!」

 

真っ向から、ね。オルコットさんには悪いけど少しばかり様子見させてもらうつもりだ。まずは僕の専用機がどれくらいの性能なのかを把握しておきたい。

 

 

ピピッ ピピッ

 

 

「(ん、何だ?)」

 

 

プシューッ‼︎

 

 

『機体の速度制限を解除。《SPEED-TYPE》への移行が完了。出力速度の上限を解放』

「…なるほど、これで本当の準備完了か」

 

音声と共に僕の機体から空気が抜けたような音がした。でも身体に纏っている装甲が無くなったり薄くなったりとか変化があったわけじゃないみたいだ。

さて、それじゃあそろそろ束さんが言う"速さに特化した"っていうのがどれ程の物なのかそろそろ体験させて頂こう。

 

「ーー何度も避けられると思ったら、大間違いですわよ!」

 

次弾を撃つために構えるオルコットさん。よし、じゃあ右に避けーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒュンッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side 千冬〜

 

「…束」

「ん?なんだいちーちゃん」

「お前が桐崎に渡したあのIS、まさかとは思うが"ふざけた性能"をしているわけじゃないだろうな?」

「えーやだなぁ。初心者にいきなりボーナスは与えないってー」

 

突出して機体のスペックが他の者達より高いと色々と面倒だ。不満の声等も出てくるかもしれない。天災が手を掛けたというなら尚更だ。私はそこを危惧している。

男性操縦者というだけで何かと不自由なのだろうから、余計な面倒事であまり負担を掛けさせたくはない。

 

「別に特殊な武装とかはゆーくんの専用機には入れてないよ。ただちょっと他のISより機動力の面で優れてるってだけ」

「…お前の言う"他の"というのは"世界中全ての"という意味で捉えていいのか?」

「んふふ、さぁ?どうだろうねぇ」

 

はぁ…仕方ない。後で私の方でも桐崎の機体のチェックをしておくか。

 

「姉さん、優は本当にただ"動いて避けた"だけなんですか?私には速すぎて全く見えませんでしたが…」

「うん、そうだよ。あれはゆーくんの機体が出せるスピードで横に動いて"攻撃を躱した"だけ」

「アリーナの壁に衝突しそうになったのを見るに、あの機体を扱うのには難がありそうだな」

「初動で派手に突っ込まなかっただけゆーくんには見込みがあるよ。きっとすぐに乗りこなせるんじゃないかなー」

 

お前も災難だな"優"。こんな奴に目を付けられるなんて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハイパーセンサー越しにオルコットさんの驚いた顔がよく見える。きっと彼女からしたら視界から僕が一瞬で消えたようにでも見えたのだろう。まるで瞬間移動でもしたように。

でも実際は違う。僕はほんの数秒の間にこの身体で体感した。超スピードでアリーナの壁に激突しそうになる恐怖を。

 

遊園地の絶叫系の乗り物なんかより100倍怖かった。泣きそうです。泣かないけど。

 

『武装を展開します』

「まだ機体の操縦に慣れてないしなんなら恐怖を植え付けられたのに早速戦えと言うんですかそうですかスパルタだなぁちくしょう」

 

僕の手元に粒子状の光が浮かぶと、そのまま光は集結し一本のライフルを具現化した。

 

「(銃か。作戦はどうしようかな))」

 

アリーナをこの機体の超速度で駆け回ってオルコットさんを翻弄し、隙を見て狙いを定めて撃つ。そしてまた駆け回る。こんな感じでどうだろう。作戦としてはいいんじゃない?ヒットアンドアウェイ的な。出来るかどうかは別にしてね。

 

「…デタラメな速さですわね。瞬時加速が霞んで見えますわ。でも、次は外しません!」

「いえ、次は僕の番です」

 

 

チャキッ

 

 

「あら、交戦の意思はあるのですね」

「当たり前です。僕は貴女に勝つつもりですから」

「まともにISを操縦したこともない初心者が、代表候補生に勝てると?」

 

 

「ーーそれを、今から証明してみせます」

『ターゲットロック。エネルギー射出準備完了。敵機からのエネルギー反応を感知。攻撃に備えてください』

 

 

互いに構え合う。

先に撃ったのはオルコットさん。先手を取られた僕は彼女に向けていたライフルを降ろし、一先ず回避に専念する。

 

 

ビュンッ‼︎ ビュンッ‼︎

 

 

「(速度を抑えるんだ。今の僕じゃ、さっきのスピードのまま操縦することは出来ない…!)」

 

集中力を高める。一瞬足りとも気を抜かずに、見える射撃の軌道に当たらないよう機体を動かす。

今の僕の機体が出しているスピードは先程の超速度の半分も出ていないだろう。それでも十分速い方だとは思うけど、オルコットさんは僕を撃ち抜こうと的確に居場所を捉えビームを放ってくる。

 

「ッ、逃げ足だけは一流ですわね…!」

「イライラしてはいけませんよ。勝負事において冷静さを欠いたら、足元をすくわれてしまいます」

「そんなこと、貴方に言われなくとも分かっていますわ!」

 

オルコットさんからしてみれば、格下である僕に逃げ回られて攻撃が当てられないのが気に食わないんだろう。代表候補生としてのプライドみたいなものもあるに違いない。

 

「はぁっ!」

『ヒット。敵機のSE減少』

 

対して僕には背負っているものなんてない。あるとすれば、束さん達からの期待と彼女に眼鏡をかけさせるという僕に与えられた使命かな。別に与えられてないけど。

 

 

『…うぅ、は、恥ずかしいですわ…』

『顔を背けないでよ。ほら、もっとよく見せて?オルコットさん』

『あっ、き、桐崎さん…』

 

 

うん。たまには僕からグイグイ行くのも悪くないかもしれない。強気な彼女がしおらしくなるのも見てみたいし。

 

『被弾。SE減少』

「あっ」

 

…試合中なのに妄想が捗ってしまい、操縦の方を怠りました。しっかりするんだ僕。気を抜くんじゃない。

 

「わたくしとの試合中によそ事を考える余裕があるとは、いい度胸ですわね」

「……ど、どうして分かったんです?」

「そんな気の緩んだ顔をしていれば誰でもわかりますわ」

 

な、なんと。顔に出てましたか。これは恥ずかしい。

 

「…失礼。試合に集中します」

 

妄想なんて後でいくらでもできる。今はこの戦いのことだけを考えろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side セシリア〜

 

もうっ、一体なんなんですのこの殿方は!

代表候補生であるわたくしに勝つなどと無謀な宣言をしておきながら、試合中に何か嬉しかったことを思い出したかのように頬を緩め気を抜くなんて!

 

「っ、はぁぁっ!」

 

…でも、彼の目はまだ決して諦めていない。最初に見せたあのとてつもない速さは見る影もないが、慣れないなりに頭を使い操縦しているのがわかる。勝利を手にするためにわたくしに牙を向いている。

 

「………」

「…ん?どうかされましたか、オルコットさん」

 

わたくしがライフルを降ろせば、同じく攻撃の手を止めて敵だというのに心配の言葉をかけてくる。

 

 

「お答えください、桐崎さん。貴方は何故この戦いに本気で挑まれるのですか?」

 

ーー知りたい。この男が戦う理由は何なのか。どうしてここまで必死になれるのか。

 

 

「そう、ですね。負けられない理由があるからですかね」

「その理由とは?」

「僕は別に男としての誇りやプライドを掲げて戦っているわけではありません。そんなものは一夏に譲って任せます」

「…そんなもの、ですか」

「男らしくないと言われたらまぁその通りかもしれません。でも、僕にだって譲れないものもあります」

 

先ほどまでの真剣な顔とは打って変わって、純粋な子供のような柔らかな笑顔を浮かべる桐崎さん。

 

 

「僕、"眼鏡っ娘"が大好きなんです。というかそれ以外の属性は全く興味ありません」

「……は?」

 

 

め、メガネ?

 

「眼鏡っ娘を拝むためなら何だってします。宿題の手伝い、掃除当番の手伝い、教材運びの補助等色々と。後は休日にショッピングモールで洋服選びの参考意見役なんかもしましたね」

 

…最後のは、お手伝いというよりただ遊びに行っているだけですわね。

 

「そして、このISバトルを経て貴女に眼鏡をかけていただけるなら僕は僕なりに足掻いてみせるつもりです」

「(教室でわたくしに言っていましたわね。自分が勝ったら眼鏡をかけてくれないか、と)」

 

 

「ーー絶対、貴方に眼鏡をかけさせます。だから僕はここで負けるわけにはいきません」

「(…それが、貴方の戦う"理由"なのですね)」

 

再びライフルをわたくしに向けて構え直し、戦いに意識を集中させている。

周りからすればそれはふざけた理由かもしれない。しかし、彼にとっては他の何ものにも代え難い大切なモノなのだろう。わたくしにもその熱い想いは確かに伝わってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合中にオルコットさんの動きが急に止まったからどうしたのかと思ったけど特に問題はないみたいだ。よし、じゃあそろそろ再開しーー

 

「先程までの戦いでの無礼を謝罪いたしますわ」

「ん?ああ、うん。…え、無礼?何のこと?」

「ここからは、わたくしの全力で貴方と戦わせていただきます」

 

彼女がそう言うと、オルコットさんの周りに4基の新たな武装と思わしき物が彼女を囲むようにフワフワと浮き始めた。な、なんですか?それ。

 

 

「桐崎さん。わたくしの"ブルー・ティアーズ"と踊っていただく準備はよくて?」

「…はは、嘘ですよね?」

 

 

ここにきて一体僕は何処で彼女の闘志に火をつけてしまったのだろうか。出来るなら全力を出さないままでいて欲しかったなぁ。そんな隠し球があったなんて。

 

「さあ、いきますわよ!」

「え、ちょ、まっーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合の結果は僕の負けだった。本気を出した代表候補生にアリの如き1匹の初心者が勝てるわけなかったんだよね。

 

終わった後に彼女に握手を求められた。何でも初試合にしては素晴らしい戦いだったとのことだ。美少女に褒められたのは嬉しいけど少し残念。勝ちたかったから。

まぁ今は仕方ないか。もっと技術と知識を磨いて強くなってからリベンジしよう。そして絶対にオルコットさんに眼鏡をかけてもらうんだ。

 

「優」

「どうしたの?」

「…お前さ」

「うん」

 

ちなみに僕と一夏の試合。彼にとってはこれが初戦である。

 

「さっきから何だよそのIS、動くの速すぎるだろ⁉︎俺全然見えないんだけど⁉︎」

「えー、オルコットさんはちゃんと見極めてライフルで撃ってきたよ?」

「いやいや全然無理だろこんなのぉぉぉ‼︎」

「あはは…」

 

ごめんよ一夏。でもこれは勝負だからね、手は抜かないよ。

オルコットさんとの試合は善戦していたけど、僕の時と違って最初から気迫が凄かったから大変そうだったなぁ。そこも謝っておこう。僕が彼女に火をつけてしまったんだ。何で着火したかは分からないままだけどね。

 

「全く、精進が足りんぞ!一夏、優!」

「…はい」「俺ら代表候補生相手に頑張ったと思うんだけど…」

 

箒さんには試合後正座させられました。束さんと千冬さんは知らぬ顔して雑談してたよ。…部屋に戻ったら、簪さんに慰めてもらってから寝ようかな。




セシリアさんはいい友人ポジになりますかね。貴族と(エセ)紳士ですからきっと気も合うことでしょう。
それともう一つ。ISABのベルベット・ヘルさんは眼鏡っ娘ですね。最高です。優×ベルベットを書かなければ…(使命感

次回予告→9.インタビュアーが美人で眼鏡っ娘な件
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