おなべとエルフと七魔将(ナイトセブン) 作:シュウナ・アカネ
ハーメルンでの1年ぶりの投稿となります!小説家になろうで執筆している作品をこちらでも連載していこうと思います!
それでは、どうぞ!
プロローグ
・・・・・・─冷える。寒い。
「この村で暮らすには2つの掟を守らないといけないよ」
エルフの少女は哀を漂わせる顔で淡々と語り始めた。
夕日は地平線に沿って半分ほど沈みかけ、烏の鳴き声と焚き火の燃える音が重なり、北に位置する山から降りてくる涼風が黒ずくめの女性の身体を足元から冷やしていく。春服に身を包んだ身体には少々堪える寒さである。
「この村で暮らすかどうかは掟を聞いてから決めるわ。さあ、言って頂戴」
一度口を少し開き、すぐ口を閉じて上目遣いで様子を窺っているのが分かる。だが女性は表情を変えずエルフの少女を見る。そしてエルフの少女はゆっくり口を開く。
「一つは朝起きたらすぐ太陽が昇ってくる地平線に祈りを捧げること。これは太陽が昇りきってから祈っても問題ないよ」
「問題ないわ。もう一つの掟は?」
「2つ目は・・・・・・」
───────────
寒いな、この世界は。色んなことが寒くて冷たくて、たまに暖かい。
だから今は、かなり寒い。
そう思いながら村を背後に東に広がる平らの地平線を眺める。
「ごめんね。嫌な表現の仕方をしてしまったね。出来る限りあくどいことは言わないようにするよ」
エルフの少女はそれだけ言い残し、村の焚き火の方へ向かっていく。全く、とんでもない掟も存在したものだ。
「まさか、"人肉又は人骨を食え"なんて言い出すとは思わなかったなあ。さすが異世界、元いた世界とは全く習慣どころか常識もかけ離れてる」
エルフの少女曰く、神へと捧ぐ゛行為゛らしい。
彼女もとい人間の身体は、生理的に限界がある物事には対応出来ないもので、過度なモノには失神・嘔吐・発狂をすることもある。この村の人たちは、習慣だから平気で人を食えるのかは謎である。人間としての理性を失うことは誰もが恐怖に感じることだ、と思う。
日も沈み、焚き火の周りだけが明るく、光が届かない場所は深い闇の世界へと化していた。雲が空を覆い、月の明かりを遮る。
外は寒く、春服でも冷える。なかなか低気温には強いと思っていたが、そうでもないようだ。
中心に長めの木を刺し、布を被せただけの簡易テントの様なものの中に入り、そのまま地べたに寝転がる。
外で寝るなんて、何年ぶりだろうか。両親の言うことも聞かず、家を追い出され何度も赦しを乞うていた8歳の頃。遊びに出かけ、終電を乗り逃し駅前で朝まで待った14歳の頃。最近とは言わないが、今までの人生の中で今日が3度目である。
(お父さんとお母さん、今どうしてるかな。ちゃんと食器洗って私の分のご飯作ってくれてるかな)
「私のこと、心配してくれてるのかな・・・・・・」
単純な愛の欲求は体に哀しさを流れ込んでくる。熱くなってくる体と白銀に輝く水が眼から漏れる。流れた水は地面へまっすぐ吸い込まれるように落ちて、彼岸花のように弾けた。
ここは何処かも分からない、異世界。外国なのか存在する場所なのか、ましてや三途の川のその先なのかは分かりかねる。だが、意識はある。まだ、生きている。
この時は、ただ生き抜くことだけを考えていた。
生まれてきた世界が表の世界だと言うのなら、裏の世界で雪飼羽織ゆきかいはおりは生きていく。そう、この異世界で──!
どうでしたでしょうか?
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