「ごめんくださいな」
コンコン、と何処と無く上品なノックの音が響きました。遂にお客さんのようです。「はい、どうぞ!」と元気よく返事して、ワクワクしながらドアを見つめます。
「こんにちは」
昼下がりの日光に、編み込まれた銀髪を照らされながら、お客さんはぺこりとお辞儀しました。「こ、こんにちは!」と動揺しながら私も頭を思いっきり下げます。まさかそんな丁寧な態度でやってくるお客さんがいるなんて思わなかったからです。所々にフリフリのついた割烹着なんて不思議な服装だな、と思いましたが、これは噂に聞くメイド服というやつでしょう。メイドさんでしたら、この丁寧な物腰にも頷けますね。
「『たからものや』というのは、こちらで合っていますか?」
「はい、間違いないです! 『たからものや』へようこそっ!」
勢いよく頭を上げて、にぱぁっと満面の笑みを浮かべます。これは俗に言う『営業すまいる』などではありません。何故なら、昼過ぎまで誰も来店しなかったこの店に、お客さん(しかもどなたかの遣いだとすれば、かなりの上客さん?)が来てくれたことが、私にとって心の底から嬉しかったからです。
「人里で素敵なキャッチコピーを拝見したもので、気になって訪れてしまいました」
「おお、ありがとうございます! 我ながら良い言葉だったなと自負しております!」
「ここにあるものは全て売り物なんですよね?」
「ええ、そうですよー。どれも、誰かの想いの詰まった
「ふむふむ」
お客さんは、静かに店内を見廻り始めます。宝の声を聴く──もとい、見聴きする程度の能力で感じた宝物の由来をお教えしようかとも思ったのですが、何処か影を帯びた表情や一品一品を吟味するその様子から、何となく話しかけちゃいけないような雰囲気を感じて、何も言えませんでした。
「店主さん、少々よろしいですか?」
「大丈夫ですよー。なんなりとお聞きくださいませ!」
「貴女はこの店の物が、どういった宝なのかをご存知なんですよね?」
「そうですねー。私は『宝の声を聴く程度の能力』を持っているので、その宝の宝たる
「そう──なら、一つ伺いたいのですけれど」
お客さんは──銀髪の、お上品な所作のメイドさんは、求める品物を口にしました。
「この宝の山の中で、最も