仮面ライダーゴーストプロデューサー 作:ゴーストプロデューサー
枕元に置いたスマホのアラームが鳴り響く。
うるさいと思いながら、アラームを止める。
そして、時間を確認し、慌てて飛び起きる。
「しまった!もうこんな時間!」
俺はベッドから降りると、すぐにハンガーにかけておいたスーツを手に取り、着替える。
着替え終わると、身だしなみを整え、カバンの中に、必要なものを詰め込む。
「よし!急げば、間に合う!」
俺の名前は深大寺タケル。
卒業まで、残り1年を迎えた大学生だ。
3年までで卒業必須単位を取得し、卒業論文も終わらせ、あとは、就職活動のみ。
そして、今日はとある会社への面接の日。
だが、うっかり寝過ごしてしまい、アラームは俺が設定した最終時刻を鳴らしていた。
身支度を五分以内に終わらせ、俺は玄関を飛び出す。
すると、目の前にいた配達業者のおっちゃんをぶつかりそうになる。
「うおっ!?危ないな!」
「あ、すみません!」
おっちゃんに謝り、走り出そうとする。
「あ、深大寺さん!お届け物です!」
「え?あ~もう!急いでるのに!」
引き返し、おっちゃんから荷物を受け取る。
「ここにサインお願いします」
「はいはい。これでいいね!」
「はい!ありがとうございます!」
おっちゃんは頭を下げ、伝票と共に帰っていく。
「俺も、急がないと!」
そして、俺は荷物を部屋に置かず、そのまま持って、駅へと向かった。
なんとか目当ての電車に乗り、一息つく。
「よかった……これで、なんとか間に合う」
席に着き、スマホを弄ろうとしたその時、荷物を手にしたままなのに気づく。
「いっけね………まぁ、駅のコインロッカーに入れとくか」
そう呟き、誰から送られてきたのか差出人を確認する。
『差出人:深大寺龍』
「え!?」
電車の中なのに、思わず声が出た。
周りの乗客が、俺の方を見てくる。
小声ですみませんと言い、もう一度差出人を確認する。
『差出人:深大寺龍』
「間違いない……父さんの名前だ……」
別に父さんの名前だからどうって訳じゃない。
物を送ってくることが以外な訳でもない。
「でも、父さんは十年前に………俺の目の前で死んだはず………」
そう、俺の父さん、深大寺龍は十年前に死んでいる。
その父さんから、荷物が送られてきた。
「幽霊からの贈り物………な訳ないか。よく見れば、これ、指定郵便じゃん」
よく見ると、指定郵便になっており、日付が今日になっていた。
「………いや、でも、おかしいよな。なんで、父さんはわざわざ、今日に指定したんだ?」
父さんが死んだのは十年前。
つまり、この荷物は十年前、つまり父さんが死ぬ前に俺に送った物。
今日は4月4日。
俺の22歳の誕生日だ。
これだけなら、サプライズの誕生日プレゼントと言えるがもしれないが、だったらなんで父さんの死後から十年も経ってからなんだ?
不思議に思いつつ、包みを剥がし、中身を見る。
そこにあったのは、白い球体があった。
側面にスイッチのようなものがついている。
試しに押してみるが、なんの反応もない。
「なんだこれ?」
謎の物体を手の中で弄っていると、目的の駅に着き、俺はそれをスーツのぽっけにしまって、電車を降りる。
コピーした地図を見ながら、目的の会社へ向かう。
「えっと………道はあってると思うんだけど………ここどこ?」
気が付くと、なぜか薄暗い路地裏にいた。
「おかしいな、道間違えたか?」
そんなことを考えながら、一度大通りに戻ろうとした時だった。
「きゃあああああああ!!?」
「うおっ!?今のって……まさか、悲鳴!?」
悲鳴が聞こえたのは路地の奥。
見にいけば、確実に時間に間に合わない。
一瞬躊躇したが、俺は悲鳴がした方へと走り出した。
声がしたところに着くと、そこには一人の女の子が座り込んでいた。
「君、大丈夫!?」
「あ、あの、急に、壁に傷が……!」
女の子が放壁を指を刺す。
壁には、まるで切られた様な傷があり、切断面も綺麗だった。
「え?」
思わず、そう呟いた。
壁の傷にじゃない。
立っている腕が刀の化け物と、槍を手にした化け物に、俺は思わず呟いた。
「アイ魂を、寄越せ!」
槍の化け物が、槍を女の子目がけ投げつける。
「危ない!?」
とっさにその女の子を引っ張り寄せる。
女の子がさっきまでいた場所に、槍が突き刺さる。
「な、なにが起きてるんですか!?」
「え?君、あれが見えないの!?」
「あれって一体、何のことですか!?」
この子には、あの化け物が見えていない。
どういうことだ?
「とにかく、逃げるよ!こっちに!」
その子の手を取り、俺は走り出す。
逃げる際に、周りにある板材とかビールケースとかを倒し、進路を塞ぐ。
なんとか、逃げきれ、俺は一息つく。
「あ、あの……一体何が起きてたのでしょうか……」
女の子は何が起きていたのか理解できていないらしく、まだ震えていた。
そりゃ、急に壁に傷がついて、挙句、自分が立っていた場所に槍が突き刺さったら、驚いても仕方ないよな。
ましてや、こんなに小さいんだ。
「えっと、なんて言っていいのかわからないけど、本当にあの変な奴らは見えてないんだよね?」
「変な奴らとは?あそこには、珠美と貴方しかいませんでしたけど……」
やっぱり、見えてないか。
俺だけにしか見えないって一体………
「あ、一応、名乗った方がいいかな?俺は、深大寺タケル。君は?」
「あ、これは失礼しました!脇山珠美と申します!」
女の子、もとい珠美ちゃんは、頭を下げる。
「じゃあ、珠美ちゃん。とにかく、ここから離れようか。まだ危ないだろうし」
珠美ちゃんにそう言い、この場を離れようとしたその時。
「見つけたぞ」
あの刀と槍の化け物が、いきなり現れた。
「珠美ちゃん、走って!」
俺は落ちていた鉄パイプを拾い、珠美ちゃんを下がらせる。
「え?え?何が起きてるんですか?」
やっぱり見えてない!
「いいから、大通りに行って!」
「邪魔だ!」
「そこをどけ!」
化け物が同時に襲い掛かってくる。
攻撃をかわし、鉄パイプで殴りかかる。
が、余り効いてないらしく化け物は平然と攻撃してくる。
奴らが攻撃するたびに、スーツは切り裂かれ、頬や腕に傷ができる。
「た、タケル殿!?怪我が!?」
「いいから、逃げて!」
化け物の足を狙い転ばせたり、腕を弾いたりしているものの限界がある。
このままじゃ殺される…………!
「死ね!」
刀の化け物が、刀を振り下ろしてくる。
鉄パイプで受け止めるも、刀は鉄パイプをたやすく切り裂き、俺の体を切り裂く。
「あ……」
血が溢れ、俺は膝をつき、倒れる。
「タケル殿!?」
珠美ちゃんが俺に駆け寄ってくる。
「タケル殿、しっかりして下さい!」
珠美ちゃんが俺の体を揺すってくる。
そんな間にも、あの化け物は珠美ちゃんに近寄ってくる。
ダメだ……!
早く逃げろ………!
「逃げろ!」
俺は飛び起きた。
だが、そこはさっきの路地裏じゃなく、滝のある森の中だった。
「ここは………」
「目が覚めたか」
「!?」
振り向くと、そこには老人が立っていた。
「あんたは?」
「名乗るほどの者じゃない。気軽におっちゃんとでも、呼んでくれ。仙人でもいいぞ」
そう言って、自称仙人のおっちゃんは近くの石に座る。
「深大寺タケル。お前は眼魔と戦う運命にある」
「がんま?なんだよ、それは?」
「お前を殺した、あの化け物だ」
そう言っておっちゃんが空を指さすと、スクリーンの様なものが現れ、あの化け物たちを映す。
そして、俺の体を揺すってる珠美ちゃんも。
「珠美ちゃん!逃げろ!早くしないと、殺される!」
「やれやれ、死んでも尚、人の心配か。そんなんだから、お前は死んだんだ。あの時、見捨てていれば、死なずに済んだものを」
「……どういう意味だよ?珠美ちゃんを見殺しにしろっていうのか!」
思わず腹が立ち、おっちゃんに詰め寄る。
だが、おっちゃんが手をかざすと、俺は吹き飛ばされ地面を転がる。
「抗う力もないのに、戦おうとする奴を大馬鹿者というんだ。今のお前のようにな」
おっちゃんの声が胸に突き刺さる。
「そうだよ……確かに、俺は大馬鹿野郎だ。でも、それでも!俺は目の前で消えかけてる命があるのに、手を差し出さないのは嫌なんだよ!」
おっちゃんに向けて、叫ぶ。
「なら、力をやろう」
そう言って、おっちゃんが再び手をかざす。
すると、俺の腰に変わった形のベルトがつく。
「これは?」
「ゴーストドライバーだ。そいつに、お前の持つ眼魂を使うことで、お前は眼魔と戦える力を得ることができる」
「眼魂?もしかして、これのことか?」
ポッケから父さんからの贈り物の、あれを取り出す。
すると、それは光出し、形が変わる。
まるで目玉の様な形だ。
「それだ。それがあれば、お前は眼魔と戦える。そして、蘇ることもな」
「え?」
「眼魂以外にも英雄眼魂と言う物がある。歴史的に英雄とされる者たちの魂を宿した眼魂だ。それを15個集めると、どんな願いも一つだけ叶う。だが、英雄眼魂は眼魔も狙っている。簡単には集められない。しかし、ゴーストの力を持ったお前なら、眼魔と戦えるし、英雄眼魂も集められる」
「……その英雄眼魂は、どこにあるんだ?」
「英雄眼魂は、アイドルと偉人の魂が共鳴した時、アイドルの想いを形として生み出される」
「え?なんで、アイドル?」
「アイドルは一つの宗教みたいなものだ。アイドルと言う偶像を多くの大衆が崇める。偉人と同じだ。だからこそ、アイドルから英雄眼魂は生まれる。我々はそれを、アイ魂と呼んでる」
なんて言う親父ギャグ………
「とにかく、ゴーストっていう力があれば、眼魔と戦えるんだな」
「ああ、その通りだ。それと、こいつは選別だ」
おっちゃんは、電話、時計、ランタンの三つのアイテムを取り出す。
「コンドルデンワーとバットクロック、そしてクモランタンだ。この先、お前には必要になってくるだろう」
そう言って、その三つを俺に渡してくる。
「では、行け!」
おっちゃんがもう一度手をかざすと、俺の意識は揺らぎ、そして、気が付くと、あの路地にいた。
「タケル殿!?目を覚まされましたか!」
涙目の珠美ちゃんが、俺を見ている。
「蘇ったのか………!そうだ!眼魔!」
慌てて立ち上がると、眼魔たちは驚いた表情をしていた。
「馬鹿な!なぜ生きてる!?」
「そんなことはどうでもいい!あいつ、眼魂を持ってる!奪うぞ!」
刀と槍を構え、眼魔がにじり寄ってくる。
「いきなり大ピンチだな、こりゃ」
「うおっ!?」
いきなり背後から、目玉だけのお化けが現れ、驚く。
「な、なんだ!?」
「俺様はユルセン。仙人に頼まれて、お前のサポートをすることになった。ま、よろしくな」
「お、おう」
「あの、タケル殿?一体何と話してるのですか?」
「そういや、俺様の姿は見えないんだったな。ちょうどいい、クモランタンを使え」
「え?これか?」
クモランタンを取り出すと、ランタンが光り出す。
「ぎゃあぁぁ!!?目玉のお化けと、変なお化けが!?」
すると、珠美ちゃんが突如騒ぎ出す。
「クモランタンの光を浴びた眼魔は、その姿が見えるんだよ」
光を浴びた眼魔とユルセンの姿を見た珠美ちゃんは、壁に背を預け、驚いていた。
「悪い珠美ちゃん。事情は後で説明する。ユルセン、戦い方を教えろ!」
「眼魂のスイッチを入れて、ベルトに装着しな!」
ユルセンの指示に従い、眼魂のスイッチを押し、ベルトに入れる。
《アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!》
眼魂を入れると、音声が流れ出し、パーカーの様なものが飛び出す。
「えええ!!?」
「トリガーを引け!」
驚きながらも、トリガーを引くと、眼のような部分が閉じられ、次に開くと、眼魂のマークが現れる。
《カイガン!オレ!》
黒いスーツの様なものを身にまとった俺の上から、パーカーみたいなものが俺に被さるように身に待とう。
《レッツゴー!覚悟!ゴ・ゴ・ゴ!ゴースト!》
そして、俺は、黒とオレンジのパーカーを身に纏い、額からは一本の刃の様な角が生えた姿になった。
「た、タケル殿……?そのお姿は………?」
「よくわからないけど、俺は一度死んだみたいなんだ」
パーカーのフードを取り、俺は眼魔と対峙する。
「そして、眼魔と戦うために、もう一度蘇ったんだ」
手をベルトの前に翳すと、そこから剣が現れ、それを手にする。
「珠美ちゃん。大人しく待っててくれ。すぐに終わらせる」
剣を構え、俺は眼魔を見据える。
「死んでるけど………命、燃やすぜ!」