仮面ライダーゴーストプロデューサー 作:ゴーストプロデューサー
剣を手に走り出す。
刀眼魔と槍眼魔もそれぞれの獲物を手に走り出す。
槍眼魔が槍を突き出してくる。
それを剣で弾き、すり抜け様に斬り付ける。
そして、そのまま刀眼魔に剣を振り下ろすが、刀眼魔は剣を受け止め、逆に俺の剣を封じようと、詰め寄ってくる。
「せやっ!」
そこをついて、槍眼魔が槍を俺の背中に放ってくる。
「うぉっ!?」
慌てて俺は、ジャンプで躱そうとするが、ジャンプした瞬間、体がふわっと浮かび、そのまま宙を浮いた。
「何っ!?」
「なるほど。これがゴーストの力が……便利だな!」
「あまり調子に乗るなよ。調子に乗ると」
「くらえ!」
ゴーストの力に驚いて、興奮していると、刀眼魔が跳躍し、俺を斬りつける。
「ぐあっ!?」
吹き飛ばされた俺は、壁に叩き付けられ、地面に落ちる。
「死んでるのに……滅茶苦茶痛い……!」
「死んでるから死にはしないぞ。その代り、死ぬ程痛いぞ~」
「それを先に言えよ!」
ユルセンに怒りをぶつけ、立ち上がる。
すると、槍眼魔が槍を振り回して、俺に攻撃を放つ。
槍で薙ぎ、振り下ろし、突きを放つ。
突きを躱すことができず、俺は突きを胸に食らう。
「うわっ!?」
「これで終わりだ!」
槍眼魔は槍を構え、突進してくる。
「トリガーをもう一度引け!オメガドライブだ!」
ユルセンの言葉に従い、トリガーを引く。
なぜか頭の中に、印が浮かび、俺は自然とその印を結ぶ。
「命……燃やすぜ!」
《ダイカイガン!オレ!オメガドライブ!》
右脚が熱くなるのを感じた。
そして、槍眼魔と衝突する瞬間、右脚での蹴りをカウンターで当てる。
蹴りを当てた瞬間、槍眼魔から何かが飛び出し、それが爆発する。
そして、槍眼魔の体も爆発した。
爆発した後、眼魔の中から、槍の穂先と眼魂が飛び出し、眼魂は破裂した。
「やった!」
「気を抜くなよ。敵はもう一体いるぞ」
ユルセンの言葉で思い出し、剣を拾い上げ、刀眼魔と対峙する。
「あとはお前だけだ!」
「ふん!確かに強いようだな。だが!いくら強くても、数には敵うまい!」
刀眼魔はそう言い、眼魂をいくつか取り出し、放り投げる。
するとそこから、のっぺらぽうの様な頭部をした、黒いパーカーを身にまとった眼魔が現れた。
「な、なんだ!?」
「眼魔コマンド。戦闘力と知能は低いが、数だけはある。さぁ、数の暴力苦しめ!」
剣を手に、眼魔コマンドを倒す。
確かに、そこまで強くないが、数が多すぎる。
倒したすきに他の眼魔コマンドの攻撃を食らってしまった。
一回攻撃を食らうと、そこから一斉に追い打ちをかけ始めて、攻撃ができず、防戦一方になってしまった。
「くそっ!厄介すぎる………!」
「た、タケル殿!」
珠美ちゃんを庇いつつ戦うのにも限界がある。
せめて、珠美ちゃんだけでも………!
「タケル殿」
そんなことを考えていると、珠美ちゃんが俺の腕に触れて来た。
「珠美は、タケル殿のことを信じます。ですから、必ず勝ってください……」
腕が振るえている。
本当は怖くてしょうがないはずだ。
なのに、この子はその恐怖を押し殺して、俺を信じてくれている。
「……そうだったね。すぐに終わらせるって言ったんだ。男なら、守らないとな」
剣に力を込め、眼魔コマンドたちを見据える。
その時だった。
突然、珠美ちゃんから光が溢れ出した。
「こ、これは?」
「た、タケル殿!?珠美の体が急に光りだしました!?」
「き、キタキタキタ━━━━━━━!!」
今度はユルセンが大声を上げる。
「ユルセン、どうしたんだよ!?」
「英雄アイ魂の反応だ!?この嬢ちゃんと、どっかの英雄の魂が共鳴してるんだよ!」
「え!?」
「あとは嬢ちゃんが想いを形にするだけだ!」
「か、形ですか!?ど、どうやって……!」
「想えばいいんだよ!そうすりゃ、英雄も答えてくれる!」
「想い……想い………た、タケル殿!頑張って下され!」
珠美ちゃんがそう言うと、光が集まり出し、その光は眼魂になった。
その赤い眼魂は珠美ちゃんの手の中にあった。
「アイ魂!?そいつをよこせ!」
刀眼魔が眼魔コマンドに命じて、眼魔コマンドが襲い掛かってくる。
俺はとっさに、剣を横薙ぎ降り、眼魔コマンドを斬り飛ばす。
「そいつだ!そいつを使え!」
ユルセンが叫ぶ。
だが、俺は珠美ちゃんだけを見ていた。
「珠美ちゃん……珠美ちゃんの想い、俺に預けてくれないか?」
「はい!もちろんです!」
珠美ちゃんから英雄アイ魂を受け取り、俺は構える。
「なんで一々確認とったんだよ?」
「これは珠美ちゃんの想いだ。他人の想いを勝手に使えるかよ」
「そうかい。ま、英雄アイ魂がありゃ、あんな奴ら造作もないさ」
「ああ、任せろ」
ゴーストドライバーから眼魂を取り出し、英雄アイ魂を入れる。
《アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!》
お馴染みの音声が流れ、ベルトから赤いパーカーが現れ、パーカーの肩から刀の刃が紐でぶら下がっており、現れたパーカーは襲い掛かってくる眼魔コマンドを切り裂いた。
「力を貸してくれ!」
そう叫び、トリガーを引く。
《カイガン!ムサシ!決闘!ズバッと!超剣豪!》
珠美ちゃんを共鳴した英雄の魂は、二刀流の使い手、剣豪の宮本武蔵だった。
「凄い……まるで、俺自身が武蔵になった様な気分だ……」
溢れ出てくる力に驚き、少し興奮する。
「くっ!武蔵のアイ魂………!そいつをよこせ!」
刀眼魔が声を上げる。
俺は剣を分離させ、二刀流になる。
「悪いが、俺はもう負けないぞ。俺には武蔵の力と、珠美ちゃんの想いがあるんだ!」
「アイ魂を奪え!」
眼魔コマンドが一斉に襲い掛かってくる。
俺はそれを二刀流で迎え撃つ。
攻撃を受け止め、もう一本の剣で切り裂く。
横から襲い掛かってくるコマンドも、二刀で対応し、切り裂く。
背後からの攻撃は、肩からぶら下がってる刀、ゴーストブレイドで対応する。
そして、大量にいた眼魔コマンドは、一分の掛からない内に殲滅した。
「残りは、お前だ!」
「ふん、やってやる!」
互いに間合いを図り、そして、同時に飛び出す。
刀同士で切り結び、鍔競り合う。
鍔競り合ったとき、一瞬、刀眼魔の力が緩み、それと同時に、刀を跳ね上げる。
そして、胴を斬り付ける。
「ぐあっ!?」
そのまま振り向きざまに、背中を斬り付け、膝をつかせる。
刀眼魔は、膝をつきながらも刀を振ってくる。
それを躱し、体勢を立て直される前に連撃を叩き込む。
「ぐああああああっ!!?」
刀眼魔は再び膝をつき、動くことすらできない状態だった。
「今だ!剣をベルトに翳して、アイコンタクト!」
「アイコンタクト?」
ユルセンの言葉が分からなかったが、剣を見ると、鍔の部分に眼の様なマークがあった。
「こうか!」
マークの部分をベルトに翳す。
《ダイカイガン!ガンガンミナー!ガンガンミナー!》
一気に走り、刀眼魔にとどめを刺す。
「や、やめてくれー!」
刀眼魔は命乞いをするが、俺は止まらない。
「これで、終わりだ!」
刀のトリガーを引き、必殺技を決める。
《オメガスラッシュ!》
「はあああああああああああ!!」
赤いオーラを纏った一撃は、刀眼魔を両断する。
「ぐおおおおおおおおおおおっ!!?」
刀眼魔は絶叫し、爆発した。
槍眼魔と同様に、爆発のあと、刀と眼魂が落ち、眼魂は破裂した。
「お、終わった………!」
《オヤスミー》
ベルトからアイ魂を取ると、変身が解け、スーツ姿に戻る。
「タケル殿!」
一息ついてると、珠美ちゃんが駆け寄ってくる。
「珠美ちゃん、大丈夫だった?」
「はい!タケル殿のお陰で 珠美は平気です!」
珠美ちゃんは笑顔で言う。
この子が笑顔でいられたなら、十分な気がする。
「しかし、珠美から武蔵のアイ魂?ができるとは、なんだか嬉しいですね」
自分から武蔵のアイ魂ができたことが、嬉しいらしく、珠美ちゃんはへにゃっとした笑顔をする。
うん、さっきの笑顔もいいけど、こっちもなんだが、味があっていい。
「(あれ?そもそも、アイ魂ってアイドルからできるんだよね。それってつまり………)あのさ、珠美ちゃんって、もしかしてアイドル?」
「え?あ、はい。一応ですが………」
「へ~、こんなに小さいのにアイドルとか立派だな~」
「ち、小さいとはなんですか!?これでも、珠美は立派な16歳ですよ!」
「え!?」
高校生だったとは………てっきり、小学生かと…………
「ご、ごめん。見た目で判断しちゃった。本当にごめん!」
手を合わせ、必死に謝る。
「まぁ、いいです。珠美は大人ですし、許してあげます」
どうにか許してもらえた。
しかし、こんな時間じゃもう面接には間に合わないか。
スマホの時刻は、面接開始の五分前となっていた。
「そう言えば、タケル殿はスーツを着ていますが、どこかへお勤めなのですか?」
「あ、いや、違うよ。就職活動中でね。今日は面接の日なんだよ。でも、これじゃあ、もう間に合わないけど」
「も、もしや珠美の所為で!?」
「いや、珠美ちゃんの所為じゃないよ。元々は道に迷った俺の所為だし」
「あの、ちなみに、どういう企業ですか?」
「えっと、ここだよ」
地図のコピーを、珠美ちゃんに見せる。
「あ、ここって………」
「この度は、我が社のアイドルを助けていただきありがとうございます。脇山さんから話は聞いています。上の方からも許可を頂いてるので、面接を始めます」
「あ、はい!ありがとうございます!」
「では、お掛け下さい」
驚く事に、俺が面接を受けようとしたところは、アイドルプロダクション、所謂芸能事務所だった。
それもかなり大きい。
そして、珠美ちゃんはこの、346プロダクション所属のアイドルだった。
珠美ちゃんがせめてのお礼にと、面接官に口を利いてくれて、特別に面接を受けさえてもらうことになった。
一通りの受け答えをすると、面接官が何かを考え出す。
「あの、深大寺さん。もしよろしければ、うちでバイトをしませんか?」
「………え?」
「あ、すみません。言葉が足りませんでしたね。今回の面接での採用はすべて私に一任されてまして、結論から言うと、深大寺さんを採用したいと考えています」
まさか、面接だけで採用されるとは思っておらず、開いた口がふさがらなかった。
「それで、もし深大寺さんがこの話を受けるなら、バイトという形で研修をしてもらいつつ、入社までのスキルアップに努めてもらいたいと思っています。……どうでしょう?」
願ってもないことだが、俺は死んでる身だし…………待てよ。
アイ魂を15個集めれば、願いが叶う。
アイ魂はアイドルから出来る。
なら、この話を受けた方がいいんじゃ………
「あの……ありがとうございます!その話、喜んで引き受けさせて頂きます」
「では、よろしくお願いします、深大寺さん。あ、申し遅れました」
面接官は懐に手を入れ、名刺を取り出す。
「私、今回の面接を担当し、現在シンデレラプロジェクトの担当をしていますプロデューサーの武内と申します」
「はい、よろしくお願いします」
「では、詳しいことは後日連絡をします。今日のところは、お帰りになられて結構です」
「はい、失礼します」
武内さんに頭を下げ、部屋を出る。
「あ、タケル殿!」
部屋を出ると、珠美ちゃんが近寄ってくる。
「珠美ちゃん、もしかして待ってたの?」
「はい!面接の結果が気になりまして」
「ああ、なんか採用になったよ」
「そうですか!それは、おめでとうございます!」
「うん、ありがとう。これも、珠美ちゃんのお陰だよ」
なんか話が合い、そのまま玄関まで一緒に歩く。
「でも、本当によかったの?武蔵のアイ魂、もらっちゃって」
「はい!珠美が持ってても、意味はないですし、それに、タケル殿にはアイ魂が必要なのはわかってます!これは、タケル殿が持つべきものです!」
「そっか。ありがとう」
もう一度、珠美ちゃんにお礼を言い、ムサシ魂をポッケにしまう。
「いきなり、アイ魂ゲットとはやるな」
また背後から聞き覚えのある声が聞こえ、振り向く。
そこにはおっちゃんがいた。
「おっちゃん!」
「え!?ま、まさか、またお化けですか!?」
俺が何もいないところに、声を変えたので、珠美ちゃんは驚き、俺の後ろに隠れる。
「ちょっと待ってね」
クモランタンを出し、おっちゃんを照らす。
これで、珠美ちゃんにも見えるはずだ。
「タケル、お前に一つ言い忘れたことがある」
「言い忘れたこと?」
「ああ。99日以内に、アイ魂を15個集めないと、本当に死ぬからな」
「「………え!?」」
おっちゃんの言葉に、衝撃を受け、俺も珠美ちゃんも驚く。
「ど、どういうことだよ!?」
「ゴーストでいられるのにも限界がある。それが99日だ」
「あと、99日で……アイ魂を14個も………」
長い様で短い日数と、少ない様で多い数に唖然とし、俺は項垂れる。
「た、タケル殿!珠美も、お手伝いします!」
珠美ちゃんが、俺を励まそうとそう言ってくる。
「いや、今日はもう終わりだから、残り98日か」
「「そ、そんなああああああああああああ!!?」」
少し、変更しました。
卒業まで残り半年→卒業まで残り1年
「英雄眼魂は、アイドルと偉人の魂の波長が重なり合い、高まった時、アイドルの想いを形として生み出される」→「英雄眼魂は、アイドルと偉人の魂共鳴した時、アイドルの想いを形として生み出される」
この部分の変更としました